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one and only 自分史上最高になる 沼田晶弘著 [教育・学び]


one and only 自分史上最高になる

one and only 自分史上最高になる

  • 作者: 沼田晶弘
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2019/10/21
  • メディア: Kindle版


社会人に”これから”なろうとする方たちに、とりわけ有用

本書の対象読者は「大人になった「キミ」へ」である。「著者が初めて受け持った子どもたちは、昨年、20歳を迎えた」という。「いよいよこれから、社会でバリバリ活躍し始める彼ら」「もう大人になったキミに、もしかしたら働くことに疲れ始めたかもしれないキミに」「授業をするような感覚で本を書いてみよう」とある。

教室で「ぬまっち」と呼ばれる先生と生徒のあいだにある親近感が記述全体を覆っている。それになじめず、また迂遠な印象もあり、さらに評者は「キミ」の年齢よりずっと上の還暦ロートルでもあるので、読むのをやめようかと思いもしたが、全体読了した。実質的には、読了させるだけの内容であった。承認欲求を満たすために取るべき方策、ストレス対処法、目標設定など、さすがに小学校の先生と思わせるタトエ、実例を用いて語られる。迂遠と思われるのは、丁寧さであり優しさと言い換えることもできる。

「もともとボクの専門はコーチングであり、モチベーションを高める教育法の研究ですから・・(「ファイナルゴールとアナザーゴール」p188)」とあるのを見て、脳科学者:苫米地英人氏のゴール理論と重なる印象があることに合点がいった。そういう意味でいくと、著者はプチ・トマベチと言えなくもない。スケールの大きさでいくと苫米地氏にはかなわない。しかし、分かりやすさではプチ・トマベチ「ぬまっち先生」の方が上だと思う。PDCAサイクルに関する話しなど、小学生(6歳)の実例をあげての説明だけによく分かる。

社会人に”これから”なろうとしている方たちは特に、本書から、心理的な挫折を経験することなく、他でもない自分自身(one and only)の目標を実現していくうえでの良い指針を得ることができるように思う。

2020年3月3日にレビュー
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2020年からの新しい学力 (SB新書)石川一郎著 [教育・学び]


2020年からの新しい学力 (SB新書)

2020年からの新しい学力 (SB新書)

  • 作者: 石川一郎
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: 新書


大切な者らに寄り添い「新しい学力」を身につけるよう助けるうえで大いに役立つ

読者対象は「保護者や教師のみなさん」です。以下、簡単にマトメますと・・〈これまでの教育は限られた時間内で効率よく仕事をする人間をつくるものだった。厳しい受験競争を勝ち抜き大学に合格する力が学力とされた。しかし、そのようにして戦後教育が多く生み出してきたのは、結果として「指示待ち人間」だった。/ それではイケナイ!と教育改革が唱えられる。新学習指導要領が設けられる。しかし、それは曖昧模糊として教育の現場にどのように適用してイイものか分からない。/ AIによって多くの仕事が奪わるという予測不能の未来のおいて、真に生き抜いていくには、それに応じた力が必要だ。「新しい学力」を子どもたちに提供しなければならない〉・・・

だいぶ乱暴にマトメてしまいましたが、著者はそのような教育の現状・現況のなかで、「保護者や教師のみなさん」が、将来をしっかりと見据え、子どもたちに「新しい学力」を身につけさせる必要性を説きます。そのために、時代とともに教育が変化してきたことを示し、現状のままではいけないことを示すだけでなく、打開策と思われるものを「カリキュラムマネージャー」、「21世紀教育機構」理事の立場から提示してまいります。その一つの指針として示されるのが、「どの科目のどんなテーマにも使えると支持する人が多く、教師が指導計画を立てるときも、生徒が学習到達度を確認するときも、よい参考にな」る「首都圏模試センターが考案した『思考コード』」です。それは「ブルーノ・タキソノミー」と呼ばれる教育目標の分類学に基づくものです。

自分にとって良いものであることは分かっていながら、どのように当てはめていいか分からないことほど、はがゆい思いをすることはありません。本書は、そのかゆいところに手がとどくよう助けてくれる本です。すくなくとも方向性は教えてくれます。新書という体裁のなかによくこれだけまとめたものだと思います。労作です。今般の教育改革、新学習指導要領について、その成立の裏側を知り、自分の大切なものらに寄り添い「新しい学力」を身につけるよう助けるうえで(大学受験生だけでなく小学生の「保護者や教師のみなさん」から)大いに役立つと思います。


◆ ブルームのタキソノミー(分類学) ◆
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/2Block/04/04-1_text.html

Bloomのタキソノミー改訂版
https://gakko.site/wp/archives/1171
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いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る! 苫米地英人著 [教育・学び]


いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る!

いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る!

  • 作者: 苫米地 英人
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: Kindle版


ハビットとアティテュードと(さらには「ブリーフシステム」と)の関係が論じられ興味深い

ハビットとアティテュード(さらにはその根っこにある「ブリーフ システム」・と)の関係に基づく「習慣」論議、また、習慣と文化の関係についての論議は興味深い。人生において抽象度の高いゴールを設定し、それを目指すことの大切さを著者はいつも強調するが、そうしたなか、自分のゴールを見つめ・見直しながら、ゴールを達成するのに必要なものは何か「推定」(アサンプション)しながら、日々を送っていくことが勧められる。それが「アサンプション・アップデート」として示される。「スケジュール」の本来の意味が教示され、手帳を予定でぎっしり埋めて、いかにも仕事をしているかの気になってしまうことの愚について説かれる。本書のタイトルと同じ第5章(「脳を変えるいい習慣」)は実質的に、著者が推奨する読書法や他の書籍で示されてきた内容の重複とも言えなくないが、以下、いくらか引用してみる・・・

「思考の抽象度を上げ、自分のゴールの抽象度を高め、より社会的なものにしていくためには大量の知識が必要です。そのゴールによって構築されるブリーフシステムからアティテュードが生まれ、さらに実際の行動であるハビットを作り上げます。そして、大量の、知識を獲得するために一番適しているのが読書です」//「読むべき本の量は、個人のゴールによっても異なりますが、私は1か月に100冊以上の本を読むことをすすめています。そのくらいの知識の量を得てはじめて、現状のさらに外に向かって抽象的な思考を進めていくことができるようになります」。


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「全速脳」苫米地英人著 [教育・学び]


全速脳〜脳は鍛えると100倍加速する

全速脳〜脳は鍛えると100倍加速する

  • 出版社/メーカー: コグニティブリサーチラボ株式会社
  • 発売日: 2016/02/15
  • メディア: Kindle版


「抽象度を上げる」などの理解が深まった

著者の本を初めて読んだ時、もっと早くに知っていればと思った。苫米地氏について「いかがわしさ」を感じる方も中にはいるにちがいない。下記イメージ書籍などを著している人物と考えると、「いかがわしさ」は倍増するかもしれない。しかし評者は、直観的に「コレは大物だ」と思った。ちょうど運動科学者;高岡英夫氏の著作に、はじめて接した時の思いと似ている。いまでも高岡氏のことを「いかがわしい」と評する者もいるが、よく調べもせずに愚かであると思う。

評者にとって本書は著者:苫米地氏の3冊目になる。脳科学関連本をこれまで読んできた。「抽象度を上げる」など、これまで不分明であったことがだんだん見えてきた。やはりある程度の量を読まないと全体像が把握できない。それだけ「高い見地に立」てたということになるのだろう。著者のいう「ゲシュタルト」が構築されつつあり、「IQが高くな」ったということであるにちがいない。その点で、さらに他の著作を読んで理解を増し加えたく思う。得られるものは大きいと感じている。

速読、速音読などの効果と著者ならではの方法を知ることのできたのも収穫である。ゴールを見据えて「全速脳」を開発していきたい。


「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!

  • 出版社/メーカー: コグニティブリサーチラボ株式会社
  • 発売日: 2014/04/14
  • メディア: Kindle版



潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 (Kindle Single)

潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 (Kindle Single)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2016/02/07
  • メディア: Kindle版



夢が勝手にかなう「気功」洗脳術: 脳科学から見た「気功」の正体

夢が勝手にかなう「気功」洗脳術: 脳科学から見た「気功」の正体

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2017/09/05
  • メディア: Kindle版



意識のかたち

意識のかたち

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/09/19
  • メディア: 単行本



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「勉強が好きじゃないけどどんどんできるようになっちゃう」 石田淳著 祥伝社 [教育・学び]


勉強が好きじゃないけどどんどんできるようになっちゃう

勉強が好きじゃないけどどんどんできるようになっちゃう

  • 作者: 石田淳
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/04/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「いきなり成績がアップ」する喜びを経験できるかも・・

行動科学者で「小学生のみなさんといっしょに勉強するのがいちばん好きです」という著者が、子どもたちに直接語りかける仕方で書いた本。勉強を習慣化して、ちょっとずつ、無理なく、成績アップをはかるよう助ける内容。大人のみなさんも参考になるにちがいない。

本書をとおして、小学校のうちから偏差値を意識したり、中学受験を念頭に置いて勉強するのがアタリマエのような時代になったのだと感慨しきりである。もっとも、(ことし還暦の)評者の時代にも学習塾はあり、塾に通わなかった評者は、「○○君は独学だね」と言われたりした。円グラフに、教科名を書き込むなどして(レクリエーションの部分がやたらに多い)計画表をつくっては壁に貼り付けたが、結局のところ計画倒れになった。本書では、計画の立て方や計画倒れにならない勉強の仕方、目標の立て方も示される。たいへん親切な内容だ。

本書はつぎのように結ばれる。〈まだ「子ども」といわれる年代であっても、りっぱな一人の人間です。自分についていろいろ考え、「ちょっとずつでいいから続ける」習慣を身につけ、いっしょに成長していきましょう」。親に相談したり協力を要請したりするよう促してもいる。子供も「りっぱな一人の人間」として扱われている。

小学4年生なら、問題なく全体を通読し理解できるように思う。「実際に、ぼくが関わっている塾には、4年生くらいからいきなり成績がアップして有名中学に合格した生徒もたくさんいます」と著者は「おわりに」記しているが、成績に伸び悩んだり、勉強しなければならないのは分かっているもののどのように取り組んでいいか分からない子どもたち(と、その親御さんにとって)本書は「いきなり成績がアップ」する喜びを経験する助けとなるようにも思う。

2019年7月30日にレビュー

齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第1巻 勉強なんてカンタンだ! (斎藤孝の「ガツンと一発」シリーズ)

齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第1巻 勉強なんてカンタンだ! (斎藤孝の「ガツンと一発」シリーズ)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: Kindle版



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「英単語学習の科学」 中田 達也著 研究社 [教育・学び]


英単語学習の科学

英単語学習の科学

  • 作者: 中田 達也
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


さまざまな単語習得法の「一長一短」を知ることが・・

英語にかぎらず語学学習において、単語の習得は重要不可欠だが、本書は「英単語学習」における、さまざまな単語習得法の「一長一短」を科学的根拠にもとづいて論じている。これまで効果ありと信じられていたものが実は違っていたり、軽んじられていたものが実は正しかったりと、思わぬ展開があってオモシロイ。指導的立場にある方たちであれば、赤面モノの情報もあるにちがいない。各章ごとに「まとめ」が用意されているが、そこを通読するだけでも得られるものは多い。

(以下、章立て目次) 1章:「英単語を覚える」とはどういうことか 2章:覚えるべき英単語の見分け方 3章:語彙の意図的学習と付随的学習 4章:付随的学習を促進する方法 5章:テストが記憶を強化する 6章:正解できるほずがないテストの効果 7章:最適な学習スケジュールとは? 8章:復習間隔を徐々に広げることの効果 9章:単語の最適な学習回数 10章:関連後をまとめて覚えることの効果 11章:語源で覚える英単語 12章:記憶術を活用する 13章:カタカナ語を利用した記憶術 14章:文脈からの英単語学習 15章:単語カードを使用した英単語学習 16章:学習・テスト一致の原則 17章:多肢選択問題の効果 18章:英単語の書き取り練習の効果 19章:新出語を用いた英作文の効果 20章:適切な表現を探す方法 おわりに/初出/参考文献/索引

2019年6月29日にレビュー


新版 百式英単語 最速インプット→2023 1日20分25時間で2023語が覚えられる!

新版 百式英単語 最速インプット→2023 1日20分25時間で2023語が覚えられる!

  • 作者: 太田義洋
  • 出版社/メーカー: 西東社
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



英単語の語源図鑑

英単語の語源図鑑

  • 作者: 清水 建二
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語 [教育・学び]


キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語

  • 作者: 小林さやか
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2019/03/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


自分のしたいことが分からない?
(2019年6月25日にレビュー)

20年ほど前の夕方、あるお父さんと話す機会があった。大学を間もなく卒業しようという息子さんのことを、しみじみ語った。「困ったものです。自分のしたいことが分からないって言うんですよ」。

そのことを思い出しながら読んだ。著者のような「環境」を得たなら、そんなことはないだろうと思う。「環境」とは、親であり、家族であり、身近な「メンター」となる人々だ。それは、学校の先生かもしれないし、著者のように塾の先生かもしれない。そこで、育った(育てられた)種は「環境を選んでとりにいくことができる」ようにもなる。

教育にたずさわる方、教育に関心のある方には、たいへん参考になるにちがいない。


学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)

  • 作者: 坪田信貴
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 文庫



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高校生と考える21世紀の論点 (桐光学園大学訪問授業) 左右社 [教育・学び]


高校生と考える21世紀の論点 (桐光学園大学訪問授業)

高校生と考える21世紀の論点 (桐光学園大学訪問授業)

  • 作者: 羽生善治、伊藤亜紗、植本一子、貴戸理恵、島内裕子、島田雅彦、多和田葉子、土井善晴、富永京子、野崎歓、長谷川逸子、早野龍五、穂村弘、仲野徹、古川日出男、前田司郎、三輪眞弘、山本貴光、若松英輔ほか
  • 出版社/メーカー: 左右社
  • 発売日: 2019/03/29
  • メディア: 単行本


ぜいたくな本

ソフトカバー製本で、紙の質はふつうだが、厚さが3センチもある。著名な方々が講師として招かれ高校生に専門的な話をする。その講演の内容と質疑がまとめられている。ぜいたくな本だ。(以下、目次)

はじめに 桐光学園中学高等学校校長 村上冬樹 

第1章 自分の声を聴く
決断力を磨く 羽生喜治
物をつくること、現実を生きること 古川日出男
絶対なんて絶対ない 前田司郎
自分という人生を生きる 植本一子
不思議の国フランス 野崎歓

第2章 社会の向かう方向を読む
「わがまま」が社会を変える 富永京子
世界は日本をどう見ているのか 井上寿一
SDGsって何だろう 大崎麻子
働くってどういうことだろう 竹信三恵子
コミュ力と生きづらさ 貴戸理恵

第3章 科学の発想と方法を知る
視覚なしで世界を見てみよう 伊藤亜紗
科学とはなにか? 仲野徹
分類と系統の世界観 三中信宏
世界から世間へ。 早野龍五

第4章 ひととものの歴史から探る
食事とは 土井善晴
歩行と時間 島田雅彦
人はなぜ遊ぶのか? 山本貴光
アリの巣をめぐる冒険 丸山宗利
印刷と人間が来た道 樺山紘一

第5章 AI時代を生き抜く感性
豊かな建築を目指して 長谷川逸子
機械じかけの芸術? 三輪眞弘
集と個の芸術 やなぎみわ
伝えることの難しさ(と面白さ) 波戸岡景太
動く大地の暮らし 中谷礼仁

第6章 ことばを鍛える
いのちと人間 多和田葉子
ことばの不思議 穂村弘
英語の勉強、どこからやる?どこまでやる? 阿部公彦
いま、なぜ、古典を読むのか 島内裕子
本を読めと大人は言うけれど 大澤聡
読むと書く 若松英輔

2019年5月31日にレビュー
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「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」 ハンス・ロスリング著 日経BP社 [教育・学び]


FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本


高評価になっとく

副題にあるように「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」が示される。著者の経験にもとづく語りには説得力がある。著者は世界を広く旅し、先進国・発展途上国の著名な人物たち、さまざまな階層・背景の人と会ってきた。その中には、「不都合な真実」を書いた元副大統領アル・ゴアもいる。著者は、ゴアからの依頼を断ったという。地球温暖化に関して「みんなが震え上がるようなことをやらないと」という申し出を退ける。理由は、「厳密な調査に基づくデータの信頼性を傷つけたくない」という思いからだ。そのことが、ゴアへの深い敬意のうちに示される。

本書は、「世界を正しく見る」うえで、事実(ファクト)をネジマゲル人間の本能に気をつけるよう助けてくれる。そのネジマゲル本能は、自分のうちにもあることを気づかせてくれる。自他のうちにあるネジマガッタ根性ともいうべきものに、用心するよう助けてくれる。本書を読めば、世界の見方(同時に、自身への見方も)が変わるだろう。すでに出ている高評価は頷ける。

目次 

はじめに イントロダクション

第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
第2章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章 直線本能 「世界人口はひたすら増え続ける」という思い込み
第4章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
第6章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
第9章 犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
第11章 ファクトフルネスを実践しよう
ファクトフルネスのおおまかなルール
おわりに 謝辞 訳者あとがき 付録 脚注 出典 著者プロフィール 訳者プロフィール


Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think

Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think

  • 作者: Hans Rosling
  • 出版社/メーカー: Sceptre
  • 発売日: 2018/04/03
  • メディア: ハードカバー



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「わかりやすさの罠  池上流「知る力」の鍛え方 (集英社新書)」池上 彰著 集英社 [教育・学び]


わかりやすさの罠 池上流「知る力」の鍛え方 (集英社新書)

わかりやすさの罠 池上流「知る力」の鍛え方 (集英社新書)

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 新書


〈池上流「知る力」の鍛え方〉を知るコンパクトな一冊

「わかりやすい」解説で定評のある著者は、「わかりやすさの罠」も知っている。その「罠」とは、つまり、「わかったつもり」になって思考停止に陥ることだ。そこで満足してしまい、みずから考えることなく判断・決定を委譲しようとすることだ。それはまた、疑問を提起しつつ先に進み、「腑に落ちる」まで考えて、見聞きしたことを実人生に活かさないことでもある。

本書で著者は、氾濫する情報や他者の解説・説得に「わかったつもり」になって騙されることのないよう、誤まった選択をすることのないよう、「知る力」を鍛える方法を教えてくれる。その方法とは、つまり新聞・本・書店の活用法であり、それらを利用しての情報収集法が実体験から示される。それと関連して、テレビ出演時経験した番組制作現場からの興味深い報告もある。テレビ、ネット情報との関わり方へのアドバイスもある。取材に出かけた外国の地で「冷や汗をかいた」経験や「わかったつもり」の自分に気づいた経験もある。

〈池上流「知る力」の鍛え方〉を知るコンパクトな一冊。

2019年4月22日にレビュー

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本


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