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『私、山の猟師になりました。: 一人前になるワザをベテラン猟師が教えます!』誠文堂新光社 [動物学]


私、山の猟師になりました。: 一人前になるワザをベテラン猟師が教えます!

私、山の猟師になりました。: 一人前になるワザをベテラン猟師が教えます!

  • 作者: 三好 かやの
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2016/09/09
  • メディア: 単行本


「私“も”、山の猟師に・・」との思いをもつ人たちにとって、強力なあと押しとなるにちがいない

本書は、「猟師」になるための案内書といえよう。『私』とは、「山の猟師」として現在活躍中の方々のこと。編著者:三好さんのルポは、各地・現場の猟師たち《日本の山の中で何が起きているのか、最もリアルに伝えられる人たち》の肉声とともに、その人柄も伝わるたいへん魅力的なもの。昨今、野生動物の食害に悩まされている自治体のこと、それに比して狩猟者の少ない報道を耳にする。本書中にも 《1970年代、日本には約65万人の猟師が存在していたが、2010年には半分以下の約20万人。大部分が60歳以上で高齢化が進み、5年後には現場で活躍できる猟師は5万人以下になるといわれている》とある。本書は、「私“も”、山の猟師に・・」との思いをもつ人たちにとって、強力なあと押しとなるにちがいない。

(以下、引用と目次)

《「そもそも後から移住してきた自分より、先に住んでいたのはシカやサルの方。彼らは生きるために食っているし、僕が彼らを撃つのも生きるため。ある意味これは戦いで、お互いフェア=対等なんです。けもの=悪、農家=善ではなく、どちらにも“義”がある縄張り争い。当事者しか問題を共有できないので、他所の人が『かわいそう』とか『皆殺しにしろ』というのとは訳がちがう」》File 04

《「動物を、ただ撃ち殺すのが楽しい。そんな人間に猟をやる資格はない」と羽田さんはきっぱり。それでも狩猟そのものが好きでなければ、猟師は続けられないという。それって、どこか矛盾していないか?前の晩の懇親会で、ベテラン猟師たちがこんな話をしていた。・・中略・・野生獣でも家畜でも魚でも、野菜でも果物でも穀物でも、我々は他者の命を奪って生きている。しかも、その命を奪う行為を誰かに委ねて。 猟師とはその運命に目をそらさずに向き合って、自らけものたちと命のやりとりを続ける人たちなのかもしれない》File 11

目次 [実例編] File 01 森とけものを守るのが本物の猟師だ // File 02 若手猟師が少ない今こそ、チャンスだ! // File 03 狩猟者は、農家の大事なパートナーです // File 04 生きるために、サルは食い、僕は撃つ、これは戦いです。 // File 05 40年続けた料理をやめてマタギになるかもしれません // File 06 捕獲も、解体も美しくせなあかんのです // File 07 クマに感謝する「熊まつり」 やらずにはいられません // File 08 シカ肉の魅力を伝えていけばきっと一生の仕事になる // File 09 人間が持っている能力を最大限に生かしたい // File 10 一度殺したシカを二度殺したくありません // File 11 狩猟の世界は山とけものと犬が師匠です // Column データで見る国内の狩猟事情①全国の狩猟者数の推移は? [情報編] 狩猟を始める前に知っておくこと 狩猟者(ハンター)になるまで~手続きと諸経費 1 「狩猟」という営み/ 狩猟のスタイル / 捕獲の種類と時期 2 狩猟免許の取得について/ 狩猟免許試験の内容 3 猟具の所持について/ 猟銃を所持するための手続き 4 狩猟者登録について/ 狩猟者登録に必要なもの 5 経費はどのくらい必要か? 狩猟の種類と方法 罠猟/ 網猟 / 銃猟 Column データで見る国内の狩猟事情② 鳥獣被害の現状と対策

2016年11月7日にレビュー

ジビエ教本: 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法

ジビエ教本: 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法

  • 作者: 依田 誠志
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 単行本



ぼくは猟師になった (新潮文庫)

ぼくは猟師になった (新潮文庫)

  • 作者: 千松 信也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/11/28
  • メディア: 文庫



わが国の狩猟法制―殺生禁断と乱場

わが国の狩猟法制―殺生禁断と乱場

  • 作者: 小柳 泰治
  • 出版社/メーカー: 青林書院
  • 発売日: 2015/10
  • メディア: 単行本



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『動物言語の秘密 暮らしと行動がわかる』 ジャニン・M. ベニュス著 西村書店 [動物学]


動物言語の秘密 暮らしと行動がわかる

動物言語の秘密 暮らしと行動がわかる

  • 作者: ジャニン・M. ベニュス
  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2016/08/07
  • メディア: 単行本


次に、動物園に行くのが楽しみになる本

本書は《動物観察に役立つツールとなる。この本を読めば、アマチュア行動学者も本格的な観察ができるようになるだろう。著者のベニュスは動物たちのことばと、見落としがちだが観察するべき場面について教えてくれる。(中略)本書にのっている動物の行動をどれかひとつでも覚えておけば、次に動物園に行ったときには、まったく違った体験ができるはずだ(本書に寄せて;アレクサンドラ・ホロウィッツ博士)》と、あるがホントだ。

本書は、「入門編」「観察編」の2部から成る。全体で509ページあり、写真ではなく、挿絵(Juan Carlos barberisによるペン画、点描)が多数もちいられ、挿絵なしのページは、3㍉角程度の文字で30行x35文字で構成されている。「観察編」の各動物については、「動物園/自然界で見られる行動」リストと「行動早見表」も付されている。ぎっしり詰まった内容である。

動物好きにはたまらない本だ。アフリカゾウの「飲水行動」に関する記述をすこし引用してみる。《サバンナではゾウが水場に近づくと、たいていの動物はゾウに場所をゆずる。ゾウが堂々とした態度で鼻を少しゆすれば、それだけでキリンもバッファローもサイも、ライオンさえ後ろに下がってゾウに順番をゆずる。// 動物たちの中には、ゾウが水を飲んでくれなければ、順番を待つどころかまったく水が飲めないものもいる。干ばつが激しくて川が干上がってしまったときにも、ゾウは牙を使って川の地下に眠る水を掘り出すことができるのだ。そのときは数mの深さの穴を掘り、砂の上に水がゆっくりとにじみ出てくるのを待つ。そして、そこへ来るまでにどれだけ長距離を歩いてきたときでも、どれだけ喉が渇いているときでも、水に混ざった砂が沈んで水がきれいになるのを辛抱強く待ち、それから時間をかけて飲む。ゾウが去ると、他の動物がその穴に集まってきて水を飲む。サバンナの動物にとって、ゾウの掘る「井戸」は気候が厳しい時期の命綱となっている。ゾウが減少しつづけて絶滅してしまえば、非常に困った事態になるだろう》。

目次
本書に寄せて/ はじめに

入門編 動物園の歴史と役割、動物の行動の背景を知る

生まれ変わった動物園(今も昔も変わらぬ動物への思い/ 動物園の歴史/ 動物園の役割/ 安全網としての役割/ 動物園の動物が教えてくれること/ 人々の協力を得るという役割/ 動物園の将来)

動物たちの行動(行動の背景:行動とは何だろう?/ 不死への挑戦/ 生息地の役割/ 相手の事情を理解したうえで観察する)(基本的な行動:移動/ 採食/ 飲水行動/ 排泄/ 体を清潔にする/ 体を乾かす/ 体温調節/ 隠れ家/ 睡眠/ あくびと伸び/ 捕食者への対応)(社会行動:社会生活のタイプ/ 個体同士の関わり方/ コミュニケーションの方法/ 日常的な信号の意味とその見分け方-動物の発するメッセージとその手段-反対の法則-表情/ 友好的な行動/ 闘争行動-闘争を避けるためのかけ引き-かけ引きが役に立たないとき/ 性行動/ 育児行動)(飼育下における行動:異常行動の原因/ 個人でできること)

観察編 動物の行動の意味を読みとる 

ゴリラ/ライオン/アフリカゾウ/サバンナシマウマ/クロサイ/キリン/ダチョウ/オオフラミンゴ/ナイルワニ/ジャイアントパンダ/クジャク/コモドオオトカゲ/ハンドウイルカ/カリフォルニアアシカ/ハイイロオオカミ/ハクトウワシ/カナダヅル/シロイルカ/ホッキョクグマ/アデリーペンギン

2016年10月11日にレビュー

犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること

犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること

  • 作者: アレクサンドラ ホロウィッツ
  • 出版社/メーカー: 白揚社
  • 発売日: 2012/03
  • メディア: 単行本



次は、Juan Carlos barberisによる挿絵が用いられている本

Call of the Wild (Short Classics)

Call of the Wild (Short Classics)

  • 作者: Jack London
  • 出版社/メーカー: Steck-Vaughn Co
  • 発売日: 1991/06
  • メディア: ペーパーバック



Secret Language of Animals: A Guide to Remarkable Behavior

Secret Language of Animals: A Guide to Remarkable Behavior

  • 作者: Janine M. Benyus
  • 出版社/メーカー: Black Dog & Leventhal
  • 発売日: 2014/04/15
  • メディア: ペーパーバック



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くらべてわかる哺乳類 小宮 輝之著 山と渓谷社 [動物学]


くらべてわかる哺乳類 (くらべてわかる図鑑)

くらべてわかる哺乳類 (くらべてわかる図鑑)

  • 作者: 小宮 輝之
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2016/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「日本で記録のある哺乳類すべて」が掲載されてある

山と渓谷社からでている「くらべてわかる図鑑」シリーズの一冊。見ているだけで楽しい書籍。

「コンセプト」として、「本書は、日本で記録のある哺乳類すべてを掲載し、外見の特徴や暮らしをくらべることをテーマにしています。それぞれの図鑑ページでは、間違えやすいなかまを近くに配置しており、類似する種類を見分ける手掛かりとしてもらえるように工夫しました」と、ある。

個人的には、これまでアシカとアザラシの区別がわからず、不分明だったのが、本書をとおして絶対タシカなものとなったのはうれしいこと。

「日本で“記録のある”」とあるとおり、絶滅したニホンカワウソ、ニホンオオカミ、エゾオオカミ、オキナワオオコウモリ、オガサワラアブラコウモリや30年以上目撃例のないニホンアシカもイラスト・写真(ニホンカワウソのみ)で示されている。環境省レッドリスト掲載の「絶滅危惧」指定されている動物たちの姿も見ることができる。

評者は首都圏の県庁所在地に住んでいる。たまに野生動物に出会う。頻出順にあげると(と言っても多い方でも一月に一度あるかないかといった程度だが)アナグマ、ハクビシン、キツネ、タヌキ、イタチ、イノシシである。昨日は、車にはねられたらしいハクビシンが雨の路上に横たわっていた。ここ10年をふりかえると、以前よく見たタヌキは見かけなくなり、キツネを見るようになった。当月も、警戒心が強いというキツネが舗装道路を早朝走っているのを見かけて驚いている。

さいわい、そういう具合に、キツネ・タヌキの区別はわかるが、本書に示されている日本に10属21種いるというネズミについては皆目わからない。身近なところで、当該書籍をひもとかなければならないほどに、数多くの動物たちに出会いたいものだと思う。

2016年6月28日レビュー
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白黒つけないベニガオザル: やられたらやり返すサルの「平和」の秘訣 (新・動物記 7)豊田 有著 [動物学]


白黒つけないベニガオザル: やられたらやり返すサルの「平和」の秘訣 (新・動物記 7)

白黒つけないベニガオザル: やられたらやり返すサルの「平和」の秘訣 (新・動物記 7)

  • 作者: 豊田 有
  • 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
  • 発売日: 2023/01/17
  • メディア: 単行本


ベニガオザルに魅力をおぼえ、先行・長期研究のほとんどない彼ら・彼女たちと出会うために著者はタイに乗り込む。水道の蛇口をひねると死んだ魚が出てくるような非衛生な環境に長期滞在して観察を重ねる。

本書は、新人動物学者の(しかも稀に見る心優しいサル学者による)研究報告である。ベニガオザルについて知ることができるだけでなく、デジタル機器の発達した今日のフィールドワークがどんなものかについて、また、学位を取得するための(経済面もふくめた)労苦について、そして何よりもそれらについて語る著者自身について知ることのできる著作である。

心優しい人である。著者のような人がサル社会に入るとサルも影響を受けてしまって天然野性のままではいられなくなりはすまいかと思ってしまうほどだ。子ウサギの皮をむしり取って食べようとしたベニガオザルがほとんど肉を食べずに放置したのは、著者の視線を意識しその心情を察したからではないかと評者には直観された。

ニホンザルとは異なるベニガオザルのサル社会について示される。評者はサルの生態を示す本を読むこと自体はじめてなのだが、これほどオモシロイものとは思わなかった。以前、『サル学の現在』を書いた立花隆さんが、たいへんオモシロイと言っていたが、その意味がわかった気がする。人間にちかい動物種であるだけに、読んでいると自然に比較してしまうのだろう。本書ではサルの性行動や争い、和解行動について記されて興味深い。(以下、本書主題とも関係するところを一段落抜粋してみる)

やられたらやり返す社会の中で、ベニガオザルたちがバラバラにならず集団の秩序を保って暮らせている理由は、平等だからではない。平等な社会だからこそ起きてしまう争い事を、彼らが彼らなりに努めて回避しようと工夫しているからである。順位関係があいまいで衝突が起こりがちな社会でどうやって平和を維持していくか、という問題に対するベニガオザルたちなりの一つの工夫や努力の表れが、和解行動の洗練なのだ。(p126 『3章「平和なサル」のウラの顔 平等社会を維持する努力』から)

地政学だけではわからない シン・国際関係論

地政学だけではわからない シン・国際関係論

  • 作者: 天野 修司
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2022/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「図説異形の変態 幻想動物変異百科」 原書房 [動物学]


図説 異形の変態: 幻想動物変異百科

図説 異形の変態: 幻想動物変異百科

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2022/12/19
  • メディア: 単行本



自分のアタマの悪いことを棚にあげていうようだが(事実そのとおりなのだが)読んでいてスッと入って来ない。翻訳にモンダイがあるのか、訳語の理解に問題があるのか、それともフランス人の書いたもので(とりわけ「変態」を研究する方であるだけに、その思考も変態で)あるためか、難しい。それで、とりあえず撤退することにした。

『序章 変態の力』は次のように始まる。《人は誰しも自分以外の体になることを夢見る。もっと大きく、もっとすばらしく、もっと美しく、あるいは自分とは違う性別の体になりたい、と。鳥やイルカや馬になるのを夢見ない人はいない。文学や映画はあらゆる種類の変態であふれている。変態が21世紀の若者の心をとらえて離さないように、古代のギリシャ人やローマ人も人間が変態する様子を想像して遊ぶのが好きだった。この遊びはアジア、アマゾン、グリーンランド、サハラ砂漠など世界じゅうで見られ、おそらく最も古い例は先史時代まだ遡る。 / 宗教的な示唆に富んだ説話、象徴的な寓話、滑稽なファンタジー、博物学の描写など、動物への変態という驚くべき現象は、神話や妖精物語や動物学の書籍に見られる。神が動物の姿になったり、人間が白鳥や雌牛になったり、イモムシが蝶の姿で生まれ変わったりというように、どの場合も不可逆的な経路(ただし自然の法則に従わない神々は除く)を通って性質を変える。 / 変態した生き物はいままでの生き方を捨てて、別の生き方を見つける。境界線を越えることは、世界を別の角度から知覚するのと同義だ。空高く飛んだり、海の底へ潜ったり、姿を見られずにあちこちに忍び込んだり、大きなネコ科の生き物の力を持つようになったり・・・。しかも、これらは変態が約束するもののほんの始まりでしかない! / ある生き物に変化するということは、その生き物も自分と同じ宇宙、同じ生命の世界に属しているのを認めるということでもある。人間が動物との見えないつながりを予期させる。変態してどんな種類の動物になるのかは、その変態が何を投影しているのかを知るのに重要だ。動物のなかには、象徴として大きな役割を持つ種類もいる。だが、その役割は国や時代によって変わる。 / 変態の結果とは無関係に、変態のプロセスそのものが重要な問題を引き起こす。私たちは生きている限り姿を変えていくが、変化はときにとても早い。誰しも青年期の記憶はきわめて強烈に残っているに違いない。青年期だけで、その後の数十年に匹敵する感情や思い出にあふれているだろう。だが、人間がイモムシと同じように根本的に姿を変えたらどうなるのだろう? 変態とは別の生、別の形で生きることへの通過儀礼だ。変態は、ライフコーチが「生き方を変えて、自分自身の翼で飛び立つんだ!」と言うのと同じくらい宗教的な提案をしているのだ。イモムシが蝶に変身するのならば、人間の変態はどこにたどり着くのだろうか?》 (以上p6,7から引用)

という具合である。本書巻頭「はじめに」を「デロール代表」が書いている。デロールとは「19世紀にジャン・バプティスト・デロールによってパリに創設された剥製と標本の店」と注がついている。本書において図版はおおきな役割を果たしているが、その図版について「デロール代表」は次のように記しつつ文章を終えている。

《本書の図版は、それぞれの研究標本の内部の進化の過程や複雑さを理解する際の手解きとなる。デロールは幻の生き物を生み出し、幻の生き物だけを集めた百科事典をつくった。変態の神秘を把握するのに役立つ分析をした百科事典だ。本書のおかげでデロールは、科学の概論書が述べるように、超自然的な学問の秘密を「科学的に」解き明かし、体内の器官が変化していく段階を詳細に述べられるようになった。(中略)デロールの超自然的な図版は「トランスヒューマニズム」の形をした崩壊を予告するカッサンドラの役割を果たすだろう。 / これは果たして変態なのか、それとも進化なのかだろうか?  デロール 1831年設立》

以上を引きうつしつつ改めて読んでみて思うに「古代のギリシャ人やローマ人も人間が変態する様子を想像して遊ぶのが好きだった」という、その「遊び」につきあう気持ちがある方にとっては「遊べる」本なのかもしれない。要するに、評者には「遊び」心が足りないのかもしれない。それだけかもしれない。

パリの麗しき標本屋DEYROLLE ( デロール)/ パリの驚異の部屋②〜パリ旅行記⑶
https://lulucabinet.wordpress.com/2021/11/14/%e3%83%91%e3%83%aa%e3%81%ae%e9%ba%97%e3%81%97%e3%81%8d%e6%a8%99%e6%9c%ac%e5%b1%8bdeyrolle-%ef%bc%88-%e3%83%87%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab%ef%bc%89-%e3%83%91%e3%83%aa%e3%81%ae%e9%a9%9a%e7%95%b0/

図説 異形の生態:幻想動物組成百科

図説 異形の生態:幻想動物組成百科

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2021/02/20
  • メディア: 単行本



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オカメインコとともに [動物学]


オカメインコとともに

オカメインコとともに

  • 出版社/メーカー: グラフィック社
  • 発売日: 2022/05/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「オカメインコの限界寿命は40歳ほど」とあります。そうした長寿命のオカメインコの一生に「寄り添うための手引き」です。内容的には、ひとことで言うなら「至れり尽くせり」の本です。印字も大きめで読みやすく、手元に置くと重宝です。





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66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。/ 竹内久美子著 ワニブックス [動物学]


66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。

66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2022/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



挫折したり、世間で生きにくさを感じている方々への応援エッセイといったところでしょうか。評者は、著者(竹内久美子氏)のことを本書ではじめて知りました。著述家として、いろいろ賞をとってこられたようですが、ほぼ同年齢でありながら、まただいぶ本を読んできたつもりでおりましたが、まったく存じ上げませんでした。読みだすと日高敏隆氏が登場します。その弟子筋ということで親近感をおぼえました。子ども時代からいろいろと書いておられます。自認されておりますが、「アスペルガー症候群の要素が強」く、自分にとって意味のないことはやりたくない負けず嫌いの人見知りする個性です。ですから、集団の中で生きるのはそもそも難しいところがあるわけです。ウツやパニック障害を発症した過去も記されます。長じて学界にはいってから、著述家となってからの苦労話もでます。学界というところは紳士淑女ばかりかと思いましたら、他の業界同様にヘンなのもいるみたいです。訴訟をおこされたりなど、それで苦労した過去も記されます。60代になって人見知りが治ったとのこと。長生きはするものです。動物行動学の観点から人間世界(男と女)をみると、類似点があるとのこと。そういう風に世の中を見ることもできるのかという学びがあります。ぎくしゃくした文章だなあと思いつつ読んでいましたが、最後まで読んでしまいました。要するに、面白かったということでしょう。(以下、引用)

『そんなバカな!』は翌1992年に「講談社出版文化賞科学出版賞」を受賞した。ただ、その審査において意見が分かれたという。このような本はお行儀がよくなく、賞にふさわしくないという意見が半分くらい存在したのだ。 / そんなことは百も承知。私は行儀がよくて(行儀がよいのは、主に学界から批判されないための対策である)、退屈な本など書く気はない。 / 普通の言葉で、普通の人が理解できる内容。学界対策のためにごちゃごちゃ言わず、話の流れがスムーズで推理小説のよう。時にはジョークも交え、飽きさせない。そうして最後まで読ませる。読んだ後にはものの見方が変わるとか、心が救われる。そのようなことを狙っているのだ。そこが理解されるかどうかだが、週刊紙で書評し、絶賛してくださった丸谷才一先生などはすべて分かっておられた。多くの賢明な読者も理解してくれた。(「一般の人にも伝わるものを書きたい」p069-070)


世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)

世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)

  • 作者: 日高 敏隆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/01/18
  • メディア: 文庫



虫の目になってみた: たのしい昆虫行動学入門

虫の目になってみた: たのしい昆虫行動学入門

  • 作者: 和男, 海野
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/27
  • メディア: 単行本



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「カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑」STEVE PARKER著 東京書籍 [動物学]


カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑

カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑

  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2022/08/31
  • メディア: 大型本



ハードカバーの立派な書籍。「はじめに」で総論が示され、後に、動物たちの見事なカモフラージュの様子が地域別に示されていく。各動物ごとに見開き2ページが充てられ、「よく使われる名前」「学名」「大きさ」「生息地」「食性」「保全状況」が示される。動物好きにはたまらない本にちがいない。

例えば、『キリン』であれば、その下に「背が高くて隠れられる」と簡潔な紹介文が示され、次の行から太めの文字で以下の解説が加えられる。「体重は1tを越す、世界で最も背の高い動物だが、果たして背景に紛れることなどできるのだろうか。確かに、できるーただし、場所によるのだが。私たちが目にするキリンの映像といえば、首と四肢ばかり目立つ草食動物がアフリカのサバンナを悠然と闊歩(かっぽ)している光景が多い。草原と空を背景にキリンの姿が際立ち、いかにも絵になるからだろう。しかし、キリンが多くの時間を過ごすのは、そうした視界の開けた場所ではなく、むしろ木のまばらな樹林地であり、とりわけ、棘立つ(とげだ)ったアカシアやシロアカシア(Faidherbia)、ハンザ(Boscia)、ソーセージノキ(Kigelia)が生育する場所である。そうした場所の木々を見ると、地面から5mほどの高さまで花や果実はおろか小枝も葉もきれいになくなっており、キリンたちが採食を行ったことが一目でわかる。この境界線をブラウズ・ライン(browse line)という」。

そして、さらに補足的な解説がなされる。ページ右側には「よく使われる名前:Giraffe / Twiga(スワヒリ語) / Nduida (キクユ語)/ Kameelperd (アフリカーンス語)/ Ndhlulamithi(ズールー語)」、「学名:Giraffa camelopardalis」「大きさ:高さ4.5~5.5m、体重1~1.5t」「生息地:疎林(木々のまばらな樹林地)、サバンナ、低木林」「食性:葉(特にアカシアの葉)、小枝、茎、果実」「保全状況:IUCN  危急(VU) (→p8)」。以上が見開きの左側ページで、右側ページは写真となっている。

因みに、総論となる「はじめに」は次のようにある。「基本的なカモフラージュの定義はこうだ。周りと一体になったり周りに溶け込んだりすることで、遮蔽物がないところでも自分の存在を探知されるのを防ぎ、気づかれずにいること。一口にカモフラージュといっても、さまざまな種類があり、隠蔽(クリプシス)という似た意味の言葉に結びつけられることも少なくない。ただ、隠蔽はカモフラージュよりも定義が広く、見つけられないための、ありとあらゆる方策が含まれる。たとえば、茂みや穴に隠れたり、木に登ったりすることも隠蔽の部類に入る。/ カモフラージュは自然界に広く行き渡っている。そのため、本書では大まかな地理的アプローチをとる。具体的には、大陸や地域ごとに章を立て、海洋生物のそれも含めたカモフラージュの例を見ていく。・・後略・・」。

親子でたのしむことのできる本である。しっかりとした造本で、丁寧に取り扱えば「一生もの」である。ちかごろはソフトカバーのビジネス書の価格が1500~2000円もする。そのことを考えると、破格である。

「死んだふり」で生きのびる: 生き物たちの奇妙な戦略 (岩波科学ライブラリー 314)

「死んだふり」で生きのびる: 生き物たちの奇妙な戦略 (岩波科学ライブラリー 314)

  • 作者: 宮竹 貴久
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2022/09/15
  • メディア: 単行本



Camouflage: 100 Masters of Disguise from the Animal Kingdom

Camouflage: 100 Masters of Disguise from the Animal Kingdom

  • 作者: Parker, Steve
  • 出版社/メーカー: Ivy Press
  • 発売日: 2021/09/21
  • メディア: ハードカバー



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