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「カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑」STEVE PARKER著 東京書籍 [動物学]


カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑

カモフラージュ: 自然に隠れる生物図鑑

  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2022/08/31
  • メディア: 大型本



ハードカバーの立派な書籍。「はじめに」で総論が示され、後に、動物たちの見事なカモフラージュの様子が地域別に示されていく。各動物ごとに見開き2ページが充てられ、「よく使われる名前」「学名」「大きさ」「生息地」「食性」「保全状況」が示される。動物好きにはたまらない本にちがいない。

例えば、『キリン』であれば、その下に「背が高くて隠れられる」と簡潔な紹介文が示され、次の行から太めの文字で以下の解説が加えられる。「体重は1tを越す、世界で最も背の高い動物だが、果たして背景に紛れることなどできるのだろうか。確かに、できるーただし、場所によるのだが。私たちが目にするキリンの映像といえば、首と四肢ばかり目立つ草食動物がアフリカのサバンナを悠然と闊歩(かっぽ)している光景が多い。草原と空を背景にキリンの姿が際立ち、いかにも絵になるからだろう。しかし、キリンが多くの時間を過ごすのは、そうした視界の開けた場所ではなく、むしろ木のまばらな樹林地であり、とりわけ、棘立つ(とげだ)ったアカシアやシロアカシア(Faidherbia)、ハンザ(Boscia)、ソーセージノキ(Kigelia)が生育する場所である。そうした場所の木々を見ると、地面から5mほどの高さまで花や果実はおろか小枝も葉もきれいになくなっており、キリンたちが採食を行ったことが一目でわかる。この境界線をブラウズ・ライン(browse line)という」。

そして、さらに補足的な解説がなされる。ページ右側には「よく使われる名前:Giraffe / Twiga(スワヒリ語) / Nduida (キクユ語)/ Kameelperd (アフリカーンス語)/ Ndhlulamithi(ズールー語)」、「学名:Giraffa camelopardalis」「大きさ:高さ4.5~5.5m、体重1~1.5t」「生息地:疎林(木々のまばらな樹林地)、サバンナ、低木林」「食性:葉(特にアカシアの葉)、小枝、茎、果実」「保全状況:IUCN  危急(VU) (→p8)」。以上が見開きの左側ページで、右側ページは写真となっている。

因みに、総論となる「はじめに」は次のようにある。「基本的なカモフラージュの定義はこうだ。周りと一体になったり周りに溶け込んだりすることで、遮蔽物がないところでも自分の存在を探知されるのを防ぎ、気づかれずにいること。一口にカモフラージュといっても、さまざまな種類があり、隠蔽(クリプシス)という似た意味の言葉に結びつけられることも少なくない。ただ、隠蔽はカモフラージュよりも定義が広く、見つけられないための、ありとあらゆる方策が含まれる。たとえば、茂みや穴に隠れたり、木に登ったりすることも隠蔽の部類に入る。/ カモフラージュは自然界に広く行き渡っている。そのため、本書では大まかな地理的アプローチをとる。具体的には、大陸や地域ごとに章を立て、海洋生物のそれも含めたカモフラージュの例を見ていく。・・後略・・」。

親子でたのしむことのできる本である。しっかりとした造本で、丁寧に取り扱えば「一生もの」である。ちかごろはソフトカバーのビジネス書の価格が1500~2000円もする。そのことを考えると、破格である。

「死んだふり」で生きのびる: 生き物たちの奇妙な戦略 (岩波科学ライブラリー 314)

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  • 作者: 宮竹 貴久
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2022/09/15
  • メディア: 単行本



Camouflage: 100 Masters of Disguise from the Animal Kingdom

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  • 作者: Parker, Steve
  • 出版社/メーカー: Ivy Press
  • 発売日: 2021/09/21
  • メディア: ハードカバー



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