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『暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120』 翔泳社 [食生活]


暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120

暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120

  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2022/01/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




見て楽しく読んで役立つ暮らしの絵本です。日々の暮らしに身近な調味料の世界を知ることができます。良品購入の手引きともなります。最近スーパーに出かけると、売れ筋商品しか置かなくなっています。いいものなのだけれど高価なものが排除されているのを感じます。そんな世相でもイイものを知っていれば、近隣の店舗でさがすこともできますし、無ければネットで取り寄せることもできます。奥ゆかしいことに当該書籍では、(価格変動も考慮してのことかもしれませんが)商品の写真と説明はでているものの値段は示されていません。ですから、メーカー提携による売らんかなのカタログとしてではなく、良質な製品の指針を教示する本として好感がもてます。調味料の特徴・使い方も提示されています。レシピも出ています。印字にパステルカラーを用い、紙の本として丁寧につくられています。総じて、たいへんイイ本に仕上がっています。ただ一つ残念に思える点は、キッチンでの使用を考えると、表紙をビニル(耐水ペーパー)装にして欲しかったところです。もっとも汚れるのが惜しまれて、キッチンにはそもそも置かないかもしれませんが・・。
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「中国飲食故事」浙江出版集団東京 [食生活]


中国飲食故事

中国飲食故事

  • 出版社/メーカー: 浙江出版集団東京
  • 発売日: 2019/12/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


啓発的で深い内容だと思うのですが、むずかしい

「食」という生活の基本的な部分をとおして中国の文化(漢文化)に親しむことができればと手に取りました。

内容としては、著名な中国の人物たち(李白、杜甫、蘇軾、孔子、屈原、隋煬帝・・)と特定の料理、食材との関係がエッセイ風に論じられていきます。ところが、たいへん難しい。多分、そうした人々、また料理についてのある程度の知識とさらに知りたいというつよい願いが伴わないと、通読自体難しいのではないかと思います。

同様の中国の故事などを扱う平凡社の「東洋文庫」であれば、索引が用意され脚注で補足されて理解を助けられますが、本書に脚注、索引はありません。また、料理名、人物名にルビが付されているものもありますが、付されていないものの方がはるかに多く、どのように読んで(発音して)いいものか分からないものを通読していくというのは、なかなかたいへんなものがあります。

たとえば、以下に目次(章立て)を示しますが、第3章の「小吃」に「シャオチー」とルビが付されていますが、それ以外の名詞、熟語にいっさいルビはありません。第5章の□としたところには、草冠に會の文字(第2水準漢字)が入りますが、同様にルビはありません。

第1章 名菜 「東西南北 名菜千秋」中国各地の名物料理とその逸話 第2章 食材 「七滋八味 食材為先」 多彩な味作りは食材選びから 第3章 小吃 「官礼嘉湖 小吃應時」軽食は官礼と季節に合わせて 第4章 酒茶 「品味飲趣 酒茶莫属」飲む楽しみは酒と茶にあり 第5章 雑録 「勝友高朋 雑□見長」優れた友らの食文化への貢献

日本でいうなら聖徳太子、柿本人麻呂、空海、紀貫之など著名な人物たちとなんらかの料理、食材との関係が綴られていく内容で、たいへん興味深く思うのですが、以上の点が障壁になるように思います。(個人的にはハクビシンが食材として美味く、「菓子狸」と呼ばれることを知ることができたのは収穫でした)。それでも、より深く「食」をとおして漢文化に迫りたいという方にとっては、啓発的で深い内容であると思います。

以下、抜粋引用。〈実際、李白の時代に飲まれていたのは、作りが荒く素朴な加工されていない赤酒や米酒で、後に広く広まる高粱や大麦など穀物を蒸留させて作った焼酎や白酒ではなかった。これらはすなわち、『水滸伝』の文学的事実として、武松が通った景陽岡のあの「三碗不過岡」という強い酒である。/ 赤酒の見られる史冊は商周期に始まる。中国最初の医学文献『黄帝内経』に頻出する「□□(ロウレイ)」こそ赤酒の前身だ。・・(p185「李白と『黄酒』)〉

2020年3月27日にレビュー

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「発酵食の歴史」マリ=クレール・フレデリック著 原書房 [食生活]


発酵食の歴史

発酵食の歴史

  • 作者: マリ=クレール・フレデリック
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/02/21
  • メディア: 単行本


食生活をかえりみ、本物を取り入れるよう促される

発酵食品・飲料の歴史の本。人類の食の歴史のなかで、発酵がどのような位置を占めてきたか、それがどのように伝播し、世界の各地で食されてきたか記される。日本の食についての記述も多い。世界の発酵食についての該博な知識に圧倒される。

人類にとってたいへん身近なもので、かつ有用なものでありながら、発酵は腐敗と同列に誤まって位置づけられてもきた。とりわけ、パスツールが細菌を明るみに出して以来、醗酵は闇に埋もれてきたと言っていい。それは「パン生地を醗酵させる」ではなく、「パン生地をやすませる」などという表現からもうかがい知ることができる。

その闇に埋もれた発酵・食に著者は光をあてる。火(力)を用いて調理する以前、狩猟した獲物の肉を食しやすくする上で発酵があったことなど、示す。フツウの食の歴史の本なら、抜け落ちてしまうところではないだろうか。また、食品産業の提供するパンやチーズやビールと昔ながらの製法によるそれらとの違いなど、現在の醗酵食の状況も示される。

自分の食生活をかえりみ、本物を取り入れるよう促される本だ。

2019年3月31日にレビュー

発酵は錬金術である (新潮選書)

発酵は錬金術である (新潮選書)

  • 作者: 小泉 武夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11/01
  • メディア: 単行本



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「意外と知らないお酒の科学」 齋藤 勝裕著 シーアンドアール研究所 [食生活]


SUPERサイエンス 意外と知らないお酒の科学

SUPERサイエンス 意外と知らないお酒の科学

  • 作者: 齋藤 勝裕
  • 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
  • 発売日: 2018/10/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「科学」だけでなく文化的な情報も

「お酒」(日本酒、焼酎、味醂、ワイン、ビール、ウイスキー、ブランデー、リキュール、老酒、茅台酒、その他いろいろ)に関する「意外と知らない」知識が示されている。「科学」だけでなく文化的な情報もある。しかし、その「科学」という点では、もう一つ踏み込んでもいいような気もする。アルコール発酵の化学式やエタノールの分子式などが示され、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドについての言及はあるが、アルデヒドについての説明はない。とはいえ、そこまで踏み込むと、「意外と知らない」どころか、知らないのはアタリマエのことになって本書の枠を逸脱してしまう。その程度に踏みとどまって、やさしく解説しているところが本書のいいところにちがいない。適度な知識情報のおかげで、酒の席などでシラケさせることなく、顰蹙を買うことなく話題提供できる。いい気分で提供した知識に他からもまた知識が提供されて、場を盛り上げるものとなるかもしれない。それでも、たしかにオモシロイ本ではあるが、酒にまつわる同種の本をこれまで読んできた方には、多少物足りないの感があるかもしれない。

●Chapter.1 お酒の基礎知識
●Chapter.2 お酒の種類
●Chapter.3 醸造酒の種類と作り方
●Chapter.4 蒸留酒の種類と作り方
●Chapter.5 その他のお酒の作り方
●Chapter.6 酒器のいろいろ
●Chapter.7 お酒の雑学

2018年12月28日にレビュー

「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本

「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本

  • 作者: 垣渕 洋一
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2020/12/22
  • メディア: Kindle版



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『長友佑都の食事革命』 長友佑都著 マガジンハウス [食生活]


長友佑都の食事革命

長友佑都の食事革命

  • 作者: 長友佑都
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



長友のイメージを描こうとすると、スタミナ抜群でフィールドを走り回り、得点にからんでいこうとする姿だ。一言で言うなら「執念」である。

とりわけサッカーファンでない評者でも、そうなのだから、きっとファンであればなおさら、そうだろうように思う。その長友が、パフォーマンス・ダウンから選手としての「瀬戸際」を実感し、そこから脱するために取り組んだ「食事革命」の記録であり、現在である。ビフォー・アンド・アフターである。スタミナをウリにしてきた長友のスタミナがバージョンアップした、というのだから、読まないわけにはいかない。

たいへんテンポのいい文章で読みやすい。長友の談話を聞き取って腕のいいライターが執筆したものだと思うが、克己心と自己抑制と目的意識に貫かれている長友であれば、このくらいの文章はあるいは書いてしまうかもしれない、など思う。いずれにしろ、出版社(マガジンハウス)の精鋭がそうがかりで作った本という印象だ。

以下「目次」から

カラダが劇的に変わる! 10の食事革命

革命1 白い砂糖を断つ。
革命2 食材の数に注目する。
革命3 タンパク質補給術を考える。
革命4 油について考えてみた。
革命5 野菜の摂取量とベジブロス。
革命6 朝のスムージーで体内に活力を!
革命7-1 糖質制限食を実験してみる。
革命7-2 セミケトン食にシフトする。
革命8 主食を玄米に替える
革命9 食べる順番を考える。
革命10 ミネラルをチャージする。


さらに工夫を! カラダが快適になる、7つの食事改革

改革1 間食で摂りにくい栄養素を補給。
改革2 マヌカハニーで免疫力アップ。
改革3 油と食材選びでケガに対処。
改革4 1日1 杯の赤ワインを飲む。
改革5 心身を満足させるカレー。
改革6 味噌汁について再考する。
改革7 時差ボケに対処する食べ方。




究極の身体 (講談社+α文庫)

究極の身体 (講談社+α文庫)

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!

肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!

  • 作者: 高岡英夫
  • 出版社/メーカー: カンゼン
  • 発売日: 2018/05/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『ブランデーの歴史 (「食」の図書館)』 原書房 [食生活]


ブランデーの歴史 (「食」の図書館)

ブランデーの歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: ベッキー・スー エプスタイン
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2017/11/20
  • メディア: 単行本


それとなく上品に薀蓄を傾けたい向きには格好の書籍

2014年英文発行の書籍。「本書ではワインを蒸留して造られる蒸留酒だけをブランデーとして扱っている」。使われる原料によって、ブランデーは3種類に分かれるが、ブドウ以外の果実から造られるもの、ワインを造ったときの搾りかすから造られるもの、は取り扱わない。

ブランデーの語源、その蒸留方法、コニャックのこと、アルマニャックのこと、その流通の歴史、世界のブランデー文化・産業、本書発行時におけるブランデーの流通・流行状況、ボトルの選び方、飲み方、レシピなどなど、盛りだくさんである。以下、そのうちのいくらかを引用してみる。

〈蒸留したワインは、最初はオランダ語でbrandewijn(ブランドウェイン、すなわち火を通した「焼いた」ワイン)と呼ばれ、この言葉が後に短縮されて「ブランデー」になった〉(第1章 ブランデー誕生)

〈できたてのブランデーは無色である。たいていのブランデーは木製の樽で熟成されるので、木の色が溶け出して無色の液体が琥珀色になり、その色が年とともに深まっていく。しかし無色であれ琥珀色であれ、ブランデーであることに変わりはない。実際、ヨーロッパやアメリカのカクテルで最近人気がある蒸留酒は、ピスコと呼ばれる無色のブランデーだ。ピスコはペルー産のブランデーである。・・略・・しかしピスコは通常オーク材の樽で熟成しないので、色がつかないのである〉。(第2章 ブランデーを造る)

〈コニャックの町の小さな美術館を訪れると、およそ500年前にこの町で生まれて王位についたフランス国王フランソワⅠ世に拝謁することができる。肖像画でも彫像でも満面の笑みを浮かべている。そして国王がご満悦なのは、ちゃんと理由がある。フランソワⅠ世の治世に、川沿いの町コニャックはすでにこの地方の輸送の中心地であり、ブランデー産業が花開きつつあったからだ。オランダ人商人はこの地方で活動を広げ、取り引きする新たな商品を探し求めていた。 / コニャックの「発明」に関してもっとも広まっている説は、オランダ人商人がこの地方の・・・〉(第3章 世界に広まるコニャック)

〈1945年のヤルタ会談で、スターリンはイギリス首相ウィンストン・チャーチルにアルメニア産ブランデーを自慢したと言われている。チャーチルはその味がいたく気に入ったようで、以後、スターリンは自分が死ぬまでチャーチルに毎年1ケースのアルメニア産ブランデーを送り続けた〉。(第5章 ヨーロッパとコーカサスのブランデー)

〈上質な蒸留酒の謎めいた世界に足を踏み入れるとき、つい安価なものや熟成期間の短いものから手を出したくなるが、コニャックの場合、それはやめたほうがいい。最初に飲むコニャックには、まずVSOPを勧めたい〉。(第9章 コニャックについて語り尽くそう)

〈日本の消費者は、西洋の蒸留酒といえばスコッチ・ウイスキーを選ぶが、中国人やその他のアジア人はブランデーの熱烈な消費者だ。・・略・・2012年、中国のコニャック市場はそれまで1位を誇っていたアメリカ市場を売上金額で上まわった。この途方もない成長ぶりを見て、コニャックメーカーの視線は数年前からアジアに集まっている〉。(第10章 コニャックのカクテルと最新の流行)

原書房「『食』の図書館」シリーズからは、対象食(材)の広汎な知識が得られる。その文化・歴史等を知って、食事をしながら、家族に友人に、それとなく上品に薀蓄を傾けたい向きには格好の書籍。

2018年2月7日にレビュー

バーボンの歴史

バーボンの歴史

  • 作者: リード ミーテンビュラー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/01/27
  • メディア: 単行本



ウイスキーの歴史 (「食」の図書館)

ウイスキーの歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: ケビン・R・コザー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2015/05/25
  • メディア: 単行本


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『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』 井出 留美著 幻冬舎新書 [食生活]


賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

  • 作者: 井出 留美
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 新書


本書から学んで生活に当てはめるなら、日本中から、膨大なムダをなくせるにちがいない

評者は、戦時中の窮乏生活とは無縁だが、それでも、ご飯を食べるとき、茶碗に一粒の米も残さないようにと育てられた。その教えが身体に沁みついていて、外食時にもついついそうなる。他の人がそうしないのをとがめることはしないが、それでも、まったく気にせずご飯を残している家族など見ると、食べること・食べられることへの感謝の念の欠如に、いつかバチがあたりそうな気がする。

そんなわけで、評者は「賞味期限」などぜんぜん気にしない。さすがに、1年前のものを平気で客にだした有名落語家ほどではないが、数ヶ月くらいは平気のつもりでいる。豆腐なぞ、口に入れて古くなって酸味を帯びて(すえて)いなければ、平気だ。もっとも先日、ほんの少しだけ残った牛乳パックのミルクをぐっと飲んだら、腐っているので吐き出した。すこーしだけ飲み込んでしまい、ハラをコワスかと思ったが、よほど丈夫に免疫系ができているらしく、なんともなかった。

本書は、他の人を責めるつもりはないものの、賞味期限の意味を知って、食品を適正に扱うように、身内も含め他の人に親切に勧める際に、役立つ。本書をとおし、その点で「理論武装」することができた。「賞味期限」とともに、「消費期限」というのもあるのを知ることができたのは、感謝である。自分が知らずにしていたワルイ習慣を改めるよう助けられもした。だれもが、本書から学んで生活に当てはめるなら、日本中から、膨大なムダをなくせるにちがいない。

2017年2月23日にレビュー

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか (幻冬舎新書)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/10/26
  • メディア: Kindle版


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『日本と世界の塩の図鑑』 青山志穂著 あさ出版 [食生活]


日本と世界の塩の図鑑

日本と世界の塩の図鑑

  • 作者: 青山志穂
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2016/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


自分(の家族)に合った「塩」選びの助けに

著者は、「一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会」を設立し、塩のプロフェッショナルを育てるべく「ソルトコーディネーター」資格制度を立ち上げた方。

本書は、日本で購入できる245種類の塩を紹介する写真・図鑑。「まずは知りたい塩の基礎知識」(原料、製法、製塩の工程、意外と知らない塩の常識、新常識など)が示されたあと、「海水塩」、「藻塩」、「岩塩」、「その他の塩」に分類されて、245種の塩たちが個別に簡潔に紹介されていく。ページをめくって、見ているだけでも楽しい。

そこには、お皿にのせられた塩(の結晶)の写真だけでなく、スーパーの店頭でも見かけるパッケージの姿も示されている。購入先の住所・電話番号・URLも示されている。自分(の家族)に合った塩選びの助けにもなって親切である。

インタビュー記事も興味深い。19種の塩を、素材に合わせじょうずに利用しているイタリアン・シェフは、「まずそろえておきたい3タイプの(天然)塩」1:苦味の強い(マグネシウムが多い)塩、2:甘みの強い(カルシウムの多い)塩、3:酸味の強い(カリウムの多い)塩を用い、最期に調整するのに精製塩をつかうのがコツなのだという。さらに、もうお一方25種もの塩のパレットを用意して天ぷらを提供している店主は、塩を称して「物語のある調味料」であるという。たしかに、世界各地の塩の来歴を知るだけでも、物語はつきない。本書には、地図、索引もついて、塩の「物語」を聞くための助けとなっている。


高血圧との関係がやかましく言われ、血圧の高い方のカタキのように見なされている塩(分)ではあるが、《減塩はもう古い!? 「適塩」を目指そう》とある。最新の医学情報からいくと、塩ばかりを目の敵(カタキ)にすべきではないという。

「適塩生活のための心がけ」として以下の点が挙げられている。

1:だしや酸味、香辛料をじょうずに利用する
2:できるだけシンプルな味つけで食べる
3:仕上げにかけたりつけたりする
4:濃い味、薄い味の品を両方だす
5:食材や調理法に適した塩を選ぶ
6:加工食品を摂りすぎない
7:料理は適温を保つ

その理由は、どうぞ本文で・・


2017年1月4日にレビュー

塩の道 (講談社学術文庫)

塩の道 (講談社学術文庫)

  • 作者: 宮本常一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/08/28
  • メディア: Kindle版



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『脂肪の歴史』 ミシェル フィリポフ著  原書房 [食生活]


脂肪の歴史 (「食」の図書館)

脂肪の歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: ミシェル フィリポフ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/10/21
  • メディア: 単行本


本書で扱われるのは「体内に蓄積される脂肪ではなく、食用脂肪」

著者はタスマニア大学でマスメディアにおけるフード・ポリティクスを研究している。本書は、本年2016年イギリスで出版されたもの。脂肪のイメージは、さまざまだが、グローバルな視点から、その文化・歴史が記されていく。「ウィンディゴ精神病」「「コケイン神話」「ドイツのシュマルツ」「肉のコンフィ」「イタリア料理のラルド:ホワイト・プロシュット」「メイラード反応」「トランス脂肪酸」論議、マーガリンの誕生とその後の展開など興味深い。

序章において、「脂肪が単なる栄養素であるというだけでなく、文化的・象徴的な意味合いも持っている」ことに触れたのち、「本書では体内に蓄積される脂肪ではなく、食用脂肪、すなわち消化される脂肪の使用と意味について考察する。三大栄養素のひとつである脂肪は、地球上の人間が暮らすあらゆる場所で使われ、陸生・海洋動物、種子、果物、ナッツ類などのさまざまな食材の中に、数えきれないほどの形態で存在する。・・略・・ありふれていながら、卓越し、陳腐かといえばさまざまな意味を内包するという、食用油脂の驚くべき正体をさぐっていく」と記される。

目次は、序章 脂肪ーーさまざまなイメージの複合体 第1章 権力と特権ーー脂肪の歴史(高い栄養価、権力の象徴、古代の脂肪、中世の脂肪、料理法の変化、オート・キュイジーヌ、美食のパラダイス、宗教との関係、キリスト教と脂肪、アジアの宗教と脂肪) 第2章 脂肪はおいしい(防腐剤としての脂肪、重労働を支える「故郷の味」、独特の食感、まろやかな舌ざわり、刺激と「こく」、炒める 揚げる、ファストフード) 第3章 栄養学 対 脂肪(飽和脂肪酸「悪魔」説の誕生、新たな「悪魔」-トランス脂肪酸、不信感、ローカーボ〈低炭水化物)ダイエット、善悪二元論への疑問) 第4章 代替品と本物(マーガリン、ショートニング、「トランス脂肪酸ゼロ」の代替品、「低脂肪」製品の失敗、新たな代替品) 第5章 大衆文化の中の脂肪(児童文学と脂肪、『ピノキオ』『ヘンゼルとグレーテル』『ちびくろサンボ』、ブレア・ラビット、映画と小説の中の脂肪、テレビアニメの中の脂肪、現代美術の中の脂肪、テレビの中の脂肪) 謝辞、訳者あとがき、・・参考文献、レシピ集、注

2016年12月4日にレビュー


バーボンの歴史

バーボンの歴史

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/01/27
  • メディア: 単行本



ナッツの歴史 (「食」の図書館)

ナッツの歴史 (「食」の図書館)

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本



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『ナッツの歴史 (「食」の図書館)』ケン アルバーラ著 田口未和訳 原書房 [食生活]


ナッツの歴史 (「食」の図書館)

ナッツの歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: ケン アルバーラ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本


シリーズの一冊、薀蓄を傾けたい向きには格好の書

原書房「『食』の図書館」シリーズの一冊。対象食(材)の広汎な知識を得られる。その文化・歴史等を知って、食事をしながら、家族に友人に、それとなく上品に薀蓄を傾けたい向きには格好の書籍といえる。

当該書籍も例外ではない。初めて聞くようなナッツについてはもちろん、身近に出回っているナッツについても思いがけない知識を得られる。聞く面々にとっても、それは驚きとなるにちがいない。たとえば、日本で販売されているナッツの中には、野生種しか無く、それも、たいへんな労力をかけて“採集”されていることを知ることができる。値段が高くなるのは当然ということになる。


目次// 序章 風変わりな食べ物// 第1章 ナッツとは何か?(ナッツの定義/ 原始時代のナッツ/ ドングリ/ ブラジルナッツ/ ココナッツ/ ナッツの形/ 人間の健康とナッツ)// 第2章 噛むナッツ(ビンロウの実/ コーラナッツ/ ナツメグ)// 第3章 料理に使われるナッツ(古代のナッツの食べ方/ クリ/ イチョウ・銀杏/ ヘーゼルナッツ/ 中世のアーモンド/ レシピから見えてくる当時の暮らし/ フランスのアーモンド料理/ 南ヨーロッパのアーモンド料理/ 現在の「ローフード」)// 第4章 おなじみのナッツ、めずらしいナッツ(ヒッコリー/ ピーカン/ 松の実/ 狩猟採集時代のめずらしいナッツ/ マカダミアナッツ/ モンゴンゴ/ カシューナッツ/ パラダイスナッツ/ イェヘブ/ カルカ/ ピリ/ ククイ)// 第5章 デザート、スナック、ジャンクフード(ピスタチオ/ クルミ/ ビーチナッツ:ブナの木の実)// 第6章 現代のナッツ産業(収穫の現場/ 巨大工場)// 訳者あとがき/ 写真ならびに図版への謝辞/ 参考文献/ レシピ集/ 注

2016年10月14日にレビュー

ナッツをうまく食べれば100歳まで長生きできる! : 驚くべき健康・美容パワーのスーパーフード!

ナッツをうまく食べれば100歳まで長生きできる! : 驚くべき健康・美容パワーのスーパーフード!

  • 作者: 工藤孝文
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/11/25
  • メディア: 単行本



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