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アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫) [自伝・伝記]


アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫)

アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/03/14
  • メディア: 文庫



アインシュタインの自伝というより自論に至る自然(物理)観の推移発展を示す内容。洗顔石鹸と洗濯石鹸の区別ができなくて奥さんから怒られたとか、相対性理論を200字でまとめたら賞をやるという新聞社の一般公募に「わたしならよすね」と言ったなどの、よく聞くアインシュタインの逸話にあるようなおもしろい話を期待する向きには向かない。ほとんど思弁的内容で数学物理がよほどお好きでないと分け入ることのできない内容である。ちなみに評者は早々に撤退した。以下「8 統一場理論の遠望」からすこし引用してみる。

私たちは、〔重力と電磁力の両方が働く〕統合的な場の方程式をぜひ見つけたい。方程式群の望ましい構造は、一般化した対象テンソルで表せるものでしょう。座標の連続変換群よりも広い群です。群の構造を複雑にしすぎると、対称テンソルの場合に比べ、方程式の姿を決める力が弱まるはず。特殊相対論から一般相対論へのジャンプに似た形で群を拡張できたとすれば、それがいちばん美しい姿だろうと思えました。/ 私自身、まずは複素座標の変換群を使おうとしたものの、あえなく失敗に終わります。空間の次元を陰に陽に増やす試みも徒労でした。次元数の増加〔四次元から五次元へ〕はもともとテオドル・カルツァ〔1885~1954〕が提案したもので、その発展版を有望とみる人はいまなおいます。ただし次に書く短い話は、「四次元空間、実座標の連続変換」にかぎりましょう。不毛な努力を何年も何年も続けたあげく、以下のような方向性がいちばんよさそうだと思うのです。・・後略・・(p094)


アインシュタイン―大人の科学伝記 天才物理学者の見たこと、考えたこと、話したこと (サイエンス・アイ新書)

アインシュタイン―大人の科学伝記 天才物理学者の見たこと、考えたこと、話したこと (サイエンス・アイ新書)

  • 作者: 新堂 進
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/09/16
  • メディア: 新書



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