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ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書) [教育・学び]


ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

  • 作者: おおたとしまさ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/04/15
  • メディア: Kindle版



2、3年経つだろうか、『サンデー毎日』に各県の高校とその後社会で活躍している卒業生を取り上げた連載があった。見開き2ページ程度のものだが、面白かった。それで、本書もその類とみて手に取った。

『サンデー毎日』の連載から推せば、社会で活躍する人物を多数排出している高校が名門校ということになる。同様に、旧制高校や藩校の伝統を受け継ぐ知名度の高い高校が、本書でもとりあげられる。

著者は、名門校のもつ「におい」「らしさ」について書く。〈いい味噌や醤油をつくる昔ながらの蔵元には、「家付き酵母」が棲みついているという。長い年月をかけてそこに棲みつき、味噌や醤油に、そこでしか再現できない独特の「風味」を加える。同じ材料、同じ製法で造っても、他の蔵元では同じ味は出せないのだそうだ(「はじめに」)〉。

この冒頭の言葉で、名門校のもつ空間と時間、つまるところ伝統について言いたいのだなと察することができる。そして、後に、著者〈は、名門校と呼ばれるような学校に共通した特徴としてまず、「自由」「ノブレス・オブリージュ」「反骨精神」の三つのキーワードを挙げたい〉といって詳述していく。その際に、それを私見であるとしながら、読者にも「名門校とは何か」思案するよう促す。そして、そのような「問い」を卒業生各自が発しつづけ自ら答えようとし続けるところに名門校の「らしさ」が醸成されていくのではないかという。

評者が印象に残った部分を抜粋してみる。〈イギリスのパブリックスクールの代名詞的存在イートン校。世界で最も有名な名門校といっていいだろう。イギリスの政治、宗教、軍事を牛耳る学校といっても過言ではない。その意味で、オックスフォード大学やケンブリッジ大学を出るよりも、イートン校出身であるほうが、価値が高いとされている〉。オックスブリッジを出ているとしても、それよりはるかにイートン校を出たことが誇りである。そういう自負をもてる学校が「名門校」かなあと思った次第・・。


なぜオックスフォードが世界一の大学なのか

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  • 出版社/メーカー: 三賢社
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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