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「15歳の寺子屋 15歳の日本語上達法」金田一秀穂著 [日本語・国語学]


15歳の寺子屋 15歳の日本語上達法

15歳の寺子屋 15歳の日本語上達法

  • 作者: 金田一 秀穂
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/01/26
  • メディア: 単行本



です・ます調の話し言葉で、言葉のはたらきを知り、言葉を大切にすべきことが若い読者にもよく分かるように記されている。その中身そのものも面白いのだが、評者はそちらよりも金田一家の家系や血といったものを感じる機会となって面白かった。学校嫌いで高校の成績はドンケツ、何をしたらいいか分からず悩んで、大学を卒業してから3年ニートをしていたという秀穂氏。父親としては、ふつうならじれったい思いをするところだろうが、それをあたたかくじっと見守る父親の春彦氏の顔が思い浮かんだ。また、石川啄木に多大のカネを貸した祖父:京助氏のことも想起された。『別冊 太陽(近代文学百人)』で見た記憶があるのだが、そこに啄木自身が借金を記録した手帳の写真が掲載されていた。多くの人からの借金が一桁二桁だった中で、「金田一京助君 百円」とあった(ように思う)。そういう懐の深い人たちの中で育った人ならではの人柄が秀穂氏からも感じられる。いわば、癒し系である。進学、進路に悩む人は読むといい。ゆっくりじっくり大人になればいいんだと安心できる。その癒し効果は半端でないように思う。


15歳の寺子屋 「フラフラ」のすすめ

15歳の寺子屋 「フラフラ」のすすめ

  • 作者: 益川 敏英
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/17
  • メディア: 単行本



近代文学百人 (別冊 太陽, 日本のこころ 11)

近代文学百人 (別冊 太陽, 日本のこころ 11)

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: -



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『橋本式国語勉強法』橋本武著(岩波ジュニア新書) [日本語・国語学]


橋本式国語勉強法 (岩波ジュニア新書)

橋本式国語勉強法 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 橋本 武
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/10/20
  • メディア: 新書



灘校の名物国語教師橋本武先生の国語勉強のすすめ。単なる受験勉強ではなく生涯の財産となる国語の勉強法が示される。この授業・方法についてい・く(ける)なら、力が身に付くのは当然だ。灘校という恵まれた環境のなかで、指導に沿って互いに切磋琢磨した生徒たちが東大をはじめ有名校に合格していった。本書に、その具体的方法が示される。たいへん地味といえば地味であるが、こうした地に足のついた努力のなかで、力は確かなものとなる。

1 心構え
 一 灘校と私
 二 あなたと国語
 三 国語勉強の心構え
2 現代文
 一 現代文を勉強するための四つのテキスト
 二 読み方の基本
 三 現代文の勉強法――「銀の匙」を例に
 四 要約のトレーニング
 五 記述式答案の書き方
3 古文
 一 基礎学力をつけるために
 二 応用力を養うために
4 漢文
 一 漢文勉強の出発点
 二 漢文実力の増進法
 三 漢文勉強の楽しさ
 四 漢文勉強の到達点
5 文法
 一 勉強のポイント
 二 文法勉強の実際
 三 敬語
6 文学史
 一 文学史勉強の心構え
 二 勉強の方法
7 まとめ
 一 七つのポイント
 二 大学入試の対策

伝説の灘校国語教師の「学問のすすめ」 (PHP文庫)

伝説の灘校国語教師の「学問のすすめ」 (PHP文庫)

  • 作者: 橋本 武
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: Kindle版



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「くらべてわかる日本語表現文型辞典」 ジェイ・リサ-チ出版 [日本語・国語学]


くらべてわかる日本語表現文型辞典

くらべてわかる日本語表現文型辞典

  • 作者: 大阪YWCA
  • 出版社/メーカー: ジェイ・リサ-チ出版
  • 発売日: 2008/08/02
  • メディア: 単行本


読むに値する辞典

日本語「上級」者となるために、日本語学習者は本書にある表現を知っている必要があるらしい。立項されている「見だし」を見るかぎり、日本語を母語とする評者は、ほぼモンダイなく使っているように思うが、それを教える立場となったら天を仰ぐにちがいない。まして、類似の表現を示し、その微妙な差異を示すとなったら絶望である。右往左往どころか立ちすくんで終わりである。本書は、そこで助けとなってくれる本だ。本書に「見だし」として取り上げられている表現(たとえば、「A と思いきや B」など)を、国語辞典で見い出すことはできるにしても、その用例を見いだせるとは思えない。まして、類似表現との関係を比較考量した解説など、もとより期待できない。しかし、本書は、複数の例文を(「正しい例文」、「誤用例文」も)示し、差異を明らかにし、どうぞ役立ててくださいとばかりに使い方を示している。たいへん便利である。果たして、わたしは日本語「上級」者と言えるだろうか?それを確かめる意味でも、読むに値する辞典だ。
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「100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む」小倉 孝保著 プレジデント社 [日本語・国語学]


100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む

100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む

  • 作者: 小倉 孝保
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2019/03/13
  • メディア: 単行本


日本の現在と近未来を知り、自分の生き方を鑑みるうえで助けとなる

取り扱われている対象はイギリス中世の言語であり、ラテン語辞書を100年もかけて完成させた人々である。が、しかし、著者の思いの主要な対象は日本社会であり日本語である。『はじめに』に次のようにある。

「本書は中世ラテン語、歴史、辞書に携わる人々を描いたノンフィクションである。欧州におけるラテン語の重要性、ギリシャ・ローマ文明に欧州の人々が抱くあこがれに似た感覚を現代に生きる人々の言葉を通じて伝えている。だが、僕の興味はラテン語や辞書そのものにあったわけではない。中世ラテン語辞書プロジェクトは日本社会を映す鏡だと思った。その鏡を通して個人の生き方、働き方のヒント、企業や国の社会での役割を考えてきた。どんな生き方、働き方が人間を幸福にするのだろう。中世ラテン語辞書作成に携わった人々を訪ねた時間は、僕にとって生き方、働き方へのヒントを求める旅だった」。

全体は10章構成で、1章 羊皮紙とインク、2章 暗号解読器の部品、3章 コスト削減圧力との戦い、4章 ラテン語の重要性、5章 時代的背景、6章 学士院の威信をかけて、7章 偉人、奇人、狂人、8章 ケルト文献プロジェクト、9章 日本社会と辞書、10章 辞書の完成 となっているが、「9章 日本社会と辞書」に多く紙幅(92ページ)を割いている。

だからといって、中世ラテン語辞書作成の様子がイイカゲンに扱われてはいない。現場で働いた方々への丁寧なインタビューが重ねられ、示される。1913年に始まったラテン語辞書作成以前に成された「オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー(OED)」への言及もある。言語、辞書に関心ある方にとってたいへん興味深いものであるにちがいない。

「9章 日本社会と辞書」においても多くの取材がなされている。「日本語研究者で辞書の歴史について数々の本を書いている清泉女子大学文学部教授の今野真二」、『広辞苑」第5版から7版の改訂に携わった岩波書店の平木泰成、諸橋徹次著『大漢和辞典』修訂第二版の刊行に大修館書店・元編集第一部長として刊行販売に関わった森田六朗、同じく大修館書店で『明鏡国語辞典』の編集に携わった正木千恵、『ジーニアス英和辞典」第5版編集責任者五十嵐靖彦、『明鏡国語辞典』の発案者であり編者でもある元筑波大学学長北原保雄、移動にはもっぱら自転車を使い、携帯電話を携帯せず「カバンの中には分厚いアイヌ語辞典を入れている」詩人のアーサー・ビナード、「糸井重里の発案で始まった『ほぼ日の学校』の学校長として古典を学ぶ場と機会を提供している」河野通和、「漢文を学ばないことで日本語の伝統が途絶えることを危惧している」中国文学者の守屋洋、「日本の地方から世界まで時空間を縦横に飛び回り、情報について考えを巡らせてきた」編集の専門家松岡正剛。彼らから引き出した日本・語をめぐる話は興味深い。

日本の現在と近未来を知り、自分の生き方を鑑みるうえで助けとなる本である。

2019年5月27日にレビュー

Dictionary of Medieval Latin from British Sources (Medieval Latin Dictionary)

Dictionary of Medieval Latin from British Sources (Medieval Latin Dictionary)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
  • 発売日: 2018/05/29
  • メディア: ハードカバー



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「字幕屋のホンネ」 太田直子著 光文社(知恵の森文庫) [日本語・国語学]


字幕屋のホンネ (知恵の森文庫)

字幕屋のホンネ (知恵の森文庫)

  • 作者: 太田直子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 文庫


5 「引退後の話」が聞けなくなった。残念である。

本書は「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (2007年 光文社刊)」を加筆・修正して文庫化したもの。字幕翻訳者としての苦労や日本語について著者の思うところが記されている。翻訳、日本語、映画に関心ある方にとって、たいへん興味深いものであるにちがいない。

ユーモアのセンスがあって、辛らつな批判をオブラートに包む。苦労話もたのしく読める。しかし、映画会社の下請として、締め切りの制約、字幕文字数の制約の中での苦労、字幕作りに理解のない担当者との間の軋轢、またコスト削減を迫られるなかでイイ仕事をしたいがための苛立ち・・・、それらが災いしたのだろう。著者は、2016年に癌で亡くなられたという。評者と同世代でもあり共感するところも多く、同級生がガンバッテイルように感じたので、ネットを調べて愕然とした。(以下、少し引用してみる)。

「こうして1週間ほどで1作品の字幕原稿が出来上がる。/ たった1週間で? / と驚かれるかもしれないが、1週間あればいいほうで、ときには3~4日でやってしまうこともある。字幕翻訳は、字数制限も厳しいが、それに劣らず時間制限(締め切り)もハードなのだ。いつも、「一刻も早く早く!」と尻を叩かれている(p23)」

「個人的な好悪の問題にすぎないかもしれないが、「(笑い)」の有無は文章力のバロメーターのひとつなのではないかと密かに思っている。(p50)」

「おそらくどんな世界でも、いちばんおもしろい話は公の場では聞けないのがふつうだろう。オフレコの「ここだけの話」がいちばんおいしいのだ。/ わたしもほんとうは実名をばんばん挙げて激白したいのだが、それは引退後の話。(p202)」

「引退後の話」が聞けなくなった。残念である。

2019年4月15日にレビュー

字幕屋の気になる日本語

字幕屋の気になる日本語

  • 作者: 太田 直子
  • 出版社/メーカー: 新日本出版社
  • 発売日: 2016/07/06
  • メディア: 単行本



ひらけ! ドスワールド 人生の常備薬ドストエフスキーのススメ (AC BOOKS)

ひらけ! ドスワールド 人生の常備薬ドストエフスキーのススメ (AC BOOKS)

  • 作者: 太田 直子
  • 出版社/メーカー: ACクリエイト
  • 発売日: 2013/10/28
  • メディア: 単行本


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「名作コピーの時間」 宣伝会議書籍編集部 [日本語・国語学]


名作コピーの時間

名作コピーの時間

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宣伝会議
  • 発売日: 2019/01/07
  • メディア: 単行本


言葉の力ってすごいなあ

「プロのコピーライターたちが『衝撃を受けた』『運命を変えられた』、そこまで言わない人も『教えられた』『手本とする』コピーのアンソロジー」。「それぞれの世代のコピーライターが、恋した『名作コピー』に宛てての、いまだから書けるラブレター、そしてラブソング集なのだ」と一倉宏氏が「あとがき(熱い想いのベストアルバム)」に記している。

「ミイラ取りがミイラ」よろしく、コピーに打ちのめされてコピーライターとなった面々(約120名)の告白本。普遍的、ながく残る、そんなコピーが分かります。

2019年3月26日にレビュー

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

  • 作者: ジョン・ケープルズ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2008/09/20
  • メディア: 単行本



宣伝会議2019年4月号(第56回「宣伝会議賞」ファイナリスト発表号)

宣伝会議2019年4月号(第56回「宣伝会議賞」ファイナリスト発表号)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宣伝会議
  • 発売日: 2019/03/01
  • メディア: 単行本



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使える!「国語」の考え方 (ちくま新書) 橋本 陽介著 筑摩書房 [日本語・国語学]


使える!「国語」の考え方 (ちくま新書)

使える!「国語」の考え方 (ちくま新書)

  • 作者: 橋本 陽介
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/01/08
  • メディア: 新書


「物語論(ナラトロジー)」に基づく論議は興味深い

あらゆる学習能力の根幹ともいえる「国語」能力、日本語運用能力を高める点で示唆に富む本。著者の専門とする「物語論(ナラトロジー)」から多く論じられる。

著者は、高校国語講師としての経験を踏まえつつ、国語科・指導要領から、「国語」科の目指すところを解説し、実際の授業とを対照させる。「物語論」の観点から、より深く読解する方法、より理解しやすい文章作成の方法を示す。

国語力アップといっても、小手先のチマチマした内容ではなく、言語というもののクセ(出来事を示すだけでなく、その因果関係を探り、物語ってしまう、など)を示して、ニュース報道されるモノ、専門家と称する人々が学術的に語るモノなど(延いては世界)を適性に見、評価できるように助けてもくれる。

著者の(本は、はじめてだが)専門分野の既刊も目をとおしたい。

2019年3月11日にレビュー

以下、「目次」

1章 現代文の授業から何を学んだのか? 
(国語の授業はつまらない? 何をやっているのか分からない 学習指導要領では 心情中心主義と鑑賞中心主義 読書感想文の影響力 芥川龍之介「羅生門」をどう教えているのか 心情を読むとはどういうことか 原作から何が変わっているのか 説明ではなく描写がよい理由 価値判断を行うのは読者 小説文の授業について生徒はどう感じていたのか こんな否定的意見があった 解釈の押しつけが嫌だ)

第2章 小説を読むことの意味を問う
(「書かれていること」以上の読みはどうやったらできる? 「読み」のブレが起きにくい作品 作者・芥川龍之介からの解釈 「作者」から「語り手」への視点のスライド 読者はどのように読み取るのか 物語論(ナラトロジー)という別の読み方 時間を進める文と進めない文 誰の視点から書くのか 内面を書くのか、書かないのか)

第3章 教科書にのる名作にツッコミをいれる
(一方的に「味わう」ことはできない 「羅生門」って面白かったですか? 主題が明瞭すぎないか 下人に生々しさがない 『天空の城ラピュタ』にみるメッセージの込め方 「比喩」はいたるところで使われる 隠喩と直喩をわける意味はあるのか 名作「舞姫」をいま読むと 高校生には不人気な豊太郎 ライトノベルぐらい都合がよい 小説文のテストの難しさ 小説は教えるべきものなのか 文学で世界を旅する 時間を知るための道具 異なる視点を知るために 「小説」を超えて)

第4章 「論理的」にもいろいろある
(「論理的」が独り歩きしている これまでの入試でも論理は求められていた 「読む力」と「書く力」はお互いに影響を与える)

第5章 理解されやすい文章のセオリー
(どういう順番で書いていくべきか 話題にスムーズに導入するために 論じると決めた事以外は触れてはいけない 事柄の関係性に気を付けて並べる トピックセンテンスを活用する 「全体的・抽象的→具体的→
全体的・抽象的」の流れ まずは気にせず書いてみて、後に整理する)

第6章 情報を整理し、ストーリーをつくる
(どんな文章にもストーリーがある 情報の新旧の順番は間違えてはいけない 情報が錯綜する読みにくい例 細部にも読みにくさが潜んでいる 話すときにも順番とメリハリは大事 難しいことを分かりやすくするには 単純化させず、分からないことを想像する 未知のものを既知のものに置き換える)

第7章 論理ではなく、論拠を探せ!
(「論理学」の論理とは違った「論理」 「論理国語」の論理とはなにか その情報がどうやってつくられたかを読み解く 「教育勅語」をめぐるニセ情報 検証なしに「真実」にはたどり着けない 知識は知識の積み重ねによってできている 「なぜそう言えるのか」と問い続けること 課題発見は「なぜ」と問うことからはじまる)

第8章 すべての事実は物語られる
(文学的と論理的の間の日常的な文章 価値観によって物語の意味は変わってくる 書き手のバイアスと読み手のバイアス 報道の文章に潜むストーリー 先にストーリーが作られる 歴史も真実であるとは限らない 物語的イメージにとらわれる歴史 資料的根拠と解釈のあいだ フィクションと事実の連続性 引用され、断片化され、情緒的に働きかけられる)

あとがき



物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)

物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)

  • 作者: 橋本 陽介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



疎外と叛逆ーーガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話

疎外と叛逆ーーガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話

  • 作者: G. ガルシア・マルケス
  • 出版社/メーカー: 水声社
  • 発売日: 2014/03/31
  • メディア: 単行本


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「小学生から身につけたい 一生役立つ語彙力の育て方 」 石黒圭・柏野和佳子著 KADOKAWA [日本語・国語学]


小学生から身につけたい 一生役立つ語彙力の育て方

小学生から身につけたい 一生役立つ語彙力の育て方

  • 作者: 石黒圭
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/20
  • メディア: 単行本


子どものあるなしにかかわらず・・

石黒圭著「語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング(光文社新書)」を、さらに分かりやすくして、親子で学べるようにした本。前者はどちらかというと網羅的な印象があるが、こちらはじっくり解説してくれる。子どもに教える(他者に伝える)観点から解説されているので、子どもに教えながら、親も語彙の量(知識量)と質(運用力)を増し加える(ヒントを得る)ことができる。「問題」とその「解説」から構成され、楽しみながら学べるよう配慮がなされている。また、子どものあるなしにかかわらず、こちらを読んでから前者を読むとさらに理解が深まるように思う。

『はじめに』部分には次のようにある。 語彙(力)を増やす方法には二つある。「多様な世界を知ること」。そのために「偏らない読書」は不可欠。もう一つは「言葉からのアプローチ」。言い換えれば「辞書を引いて頭のなかの辞書を鍛える方法」。第1部では、辞書を使った「語彙の量」の増やし方が紹介され、第2部では、「知っている語彙を実際に使え」るよう、「語彙の質」を高めるよう助けがなされる。「とくにこどもたちが作文を書くときに注意が必要な言葉について学び、語彙の運用力を高めることを目指します」。


以下、『目次』

はじめに
第1部 「言葉の意味」が語彙力の基礎
第1章 使える語彙が増える 辞書引き
第2章 想像力で語彙が増える 多義語
第3章 意味のつながりで語彙が増える 類語
第4章 起源の違いで語彙が増える 語種
第5章 組み合わせで語彙が増える 語句

第2部 上手に使う「言葉のセンス」をみがく
第6章 内容を豊かにする かざり言葉(形容詞)
第7章 イメージを伝える オノマトペ(擬音語・擬態語)
第8章 何にでも使える コソア言葉(指示語)
第9章 流れを示す つなぎ言葉(接続語)
第10章 場面で変わる文体(話し言葉と書き言葉)
おわりに

2018年12月25日にレビュー

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/05/19
  • メディア: 新書



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『ことばと遊び、言葉を学ぶ』 柳瀬尚紀著 河出書房新社 [日本語・国語学]


ことばと遊び、言葉を学ぶ: 日本語・英語・中学校特別授業

ことばと遊び、言葉を学ぶ: 日本語・英語・中学校特別授業

  • 作者: 柳瀬尚紀
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 単行本


「ことばと遊び、言葉を学ぶ」ことへの招待

「日本語・英語・中学校特別授業」の副題がついている。子どもたち相手に語ったことが記されている。柳瀬さんの話しぶりが復元されて、懐かしい感じがする。内容としては、タイトルどおり、「ことばと遊び、言葉を学ぶ」ことが示されていく。

「ことばと遊び、言葉を学ぶ」とは、言い換えるなら、言葉にまみれることであり、凝りに凝ることと言っていいだろう。柳瀬さんが、翻訳家としてことばにまみれ・言葉に懲りだした縁起については、次のようにある。「ルイス・キャロルの翻訳を行うようになってからは、原典の英語で使われている修辞の多様さ、これだけ面白いのだから、それと等価であるような訳文を作りたい、という気持ちが生まれたのです(p205)」、と。そうか、それがジョイスに繋がって行くのか、と納得する。

訳語として応答する日本語については、次のように語られる。「日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・ルビなど、さまざまな表現方法を備えています。それに、多量の意味を持ち、表現の幅を大きく広げてくれる同音異義語・同訓異字なども多くあります。そのような日本語に触れてきた経験から、私は、翻訳というものについて、翻訳者の個性というよりは、翻訳の言葉が日本語のほうから降ってきてくれるものだと考えるようになりました。翻訳をするときには、私は、日本語を通訳しているだけなのです。(p211)」。

まるで、預言者が天からくる神の言葉を待っているかの例えである。ジョイスの著作『フィネガンズ・ウェイク』の翻訳を成し遂げるというカミ業が可能となったのは、柳瀬さんの日本語への信頼が土台にある。そして、その土台を支えたのが辞書への執着である。そのようにして、天からのインスピレーションに応答する言葉が備えあったことがカミ技の理由であろう。

本書には、氏の辞書との付き合いぶりが、示されてもいる。オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー(OED)、『諸橋大漢和辞典』、『熟語本位 英和中辞典』、『新明解国語辞典』の話など、その利用の仕方もふくめて語られる。「ことばと遊び、言葉を学ぶ」ことへ招待する本としてお勧めである。

2018年6月30日にレビュー

辞書はジョイスフル (新潮文庫)

辞書はジョイスフル (新潮文庫)

  • 作者: 柳瀬 尚紀
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫



フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)

フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)

  • 作者: ジェイムズ・ジョイス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2004/01/07
  • メディア: 文庫



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『微妙におかしな日本語: ことばの結びつきの正解・不正解』 神永 曉著  草思社 [日本語・国語学]


微妙におかしな日本語: ことばの結びつきの正解・不正解

微妙におかしな日本語: ことばの結びつきの正解・不正解

  • 作者: 神永 曉
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本


説明はできないものの、ほとんど・・・

日本語慣用表現の“正”用法を、歴史の中で位置づけようとする本。国語の専門家による“断定的な見解”が示されていない点が特徴といえる。そもそも、そういう傾向の書籍をみて、どんなものかと思ったのが執筆の動機であるという。だから、白黒ハッキリつけないところが本書の持ち味で(とは言っても、結果として、これは使わない方がよい、など記されているのではあるが・・)、その微妙なところの理解を得られるのが、面白いところである。

取りあげられている慣用表現をみていくと、“その説明はできないものの”、正用法の識別がほとんどすべてと言っていいほどできた。ある意味かんたんでもあった。しかし、そこを説明できてはじめてその言葉を知っているということになるのであろう。つまり、本当は知っていないのだと知らされたというわけである。また今日、本書のような書籍が出版されるということは、知らず知らずヘンな表現、もの言いをしている人が大勢いるということを示すものでもあるのだろう。

同様の本であるが、短いコメントのなかにもナルホドの思いをし、また、これは正さねばと多々刺激を受け(啓発され)た本に、東京堂書籍の『勘違い慣用表現の辞典(西谷 裕子著)』がある。本書を、おもしろいと思う方は、ぜひソチラも見て欲しいところ。

2018年5月10日にレビュー

勘違い慣用表現の辞典

勘違い慣用表現の辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京堂出版
  • 発売日: 2016/02/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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