SSブログ
エンターテインメント ブログトップ

巻き込む力がヒットを作る "想い"で動かす仕事術" 村瀬 健著 [エンターテインメント]


巻き込む力がヒットを作る 

巻き込む力がヒットを作る "想い"で動かす仕事術

  • 作者: 村瀬 健
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/12/04
  • メディア: Kindle版


ドラマ・映画をプロデュースする売れっ子プロデューサーの仕事ぶりを知ることができる。その仕事は、自分の「想い」を他者を「巻き込」みながら、チームとしてカタチづくっていくというものだ。著者はそのようにして多くのヒット作を放ってきた。/ 本書から、作品の種となる自分の「想い」に気づく方法、他者を創作に「巻き込」んでいく方法、それを徐々にカタチにし「想い」を多くの人と共有できる作品に仕上げていく方法など学ぶことができる。/ なにかのモノづくりに携わる方だけでなく、誰もが参考にできる。なぜなら、仕事の多くは、独りで完結するものではなく、他者との関係のなかでカタチづくられていくものだからである。/ 文章は話し言葉。仕事を語るその熱い語りにアラ還ジジイ(評者のこと)は当初抵抗をおぼえた。その点で星をひとつ減らすが、若い方であればモンダイなかろう。

プロデュースの基本(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)

プロデュースの基本(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)

  • 作者: 木崎賢治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: Kindle版






nice!(3) 
共通テーマ:

抜粋 『落語ー哲学』 中村昇著から(色川武大のこと) [エンターテインメント]


落語―哲学

落語―哲学

  • 作者: 中村 昇
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2018/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



上記書籍中、『寄席放浪記』が取り上げられる。書いたのは、色川武大である。別名 阿佐田哲也として知られる人物である。

著者は、色川武大について次のように記す。

とてもまともで「本物」といいたい人物がいる。私にとって、色川武大がそうだ。学校で「道徳」なんて教えるくらいなら、高校で一年かけて、色川さんの比類なき名著『うらおもて人生録』(新潮文庫)をじっくり講義した方がずっといい。生きることの原理論が、著者の経験をまじえてわかりやすく説かれている。『いずれ我が身も』という珠玉のエッセイ(中公文庫)を読んでもそう思ったのだが、色川さんくらいキリストに近い(愛の本質を体得している)人物は、そうそういないのではないか。本気でそう思う。(p229)


たいへんな思い入れである。

もっとも、立川談志が唯一畏敬していた人物というから、また、伊集院静の『いねむり先生』のモデルであるというから、中村先生の思い入れは決して不思議ではないのだろう。

談志が「心底畏敬していたほとんど唯一の人」 
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2011-11-28

それにしても「色川さんくらいキリストに近い(愛の本質を体得している)人物は、そうそういないのではないか」と、「本気で」思わせるだけの人物であったというのは、凄いことである。


ところで、残念ながら、色川武大の著作を当方はまだ読んでいない。



寄席放浪記 (河出文庫)

寄席放浪記 (河出文庫)

  • 作者: 色川 武大
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/02/03
  • メディア: 文庫



うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

  • 作者: 色川 武大
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/11/30
  • メディア: 文庫



いずれ我が身も (中公文庫)

いずれ我が身も (中公文庫)

  • 作者: 色川 武大
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/03/01
  • メディア: 文庫



nice!(2) 
共通テーマ:

『落語―哲学』 中村 昇著 亜紀書房 [エンターテインメント]


落語―哲学

落語―哲学

  • 作者: 中村 昇
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2018/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ほんとうに落語が好きなんだなあ

日本文化・江戸の粋ともいえる落語を、哲学的に分析するという野暮。それでも、かび臭いものに落語をしてはいない。新しい切り口をしめし、鮮度は高い。「一読、即、了解」という内容では決してナイが、ベルクソンやらウィトゲンシュタインを担いでの論議は、面白い。そもそも、哲学的に分析されるだけの内容をもっている落語とは、なんと深いものか・・・そう思わせてくれる。

立川談志の名文句「落語は業の肯定」を否定するところから本書は始まる。『仏教語大辞典』にある「業」の定義から論じる。談志の本を引用をして、「なるほど、よくわかる。でも、これは、『業』ではないだろう」と、記す。そして、「これは人間の弱さであり・・・『情けなさ』みたいなものだろう」と書く。笑いについての、桂枝雀の「緊張の緩和」理論もでる。「なるほど、その通りかもしれない。でも、たとえば、こういう場合はどうだろうか。イチローが高いフライを追いかけて・・・」と、野球を引き合いにだしたりもする。

本書は、落語を哲学する前半と付録の後半からなっている。付録は、落語と落語にまつわる著作の解説になっている。『文七元結』の項には、こうある。「哲学の動機は『悲哀』だといったのは、西田幾多郎だ。涙や苦衷に染まっていない哲学は偽物である(これ、本当)。落語には、多くの種類の『悲哀』がたっぷりつまっている。哲学もそうだ。人生における苦しさや悲しさの経験から哲学や落語が生まれたのだから。この二つは、双生児のようなものといえるだろう」。書籍で紹介(というより赤裸々に告白?)されているのは、色川武大『寄席放浪記』、中野翠『今夜も落語で眠りたい』、野村雅昭『落語の言語学』、平岡正明『哲学的落語家!』、広瀬和生『なぜ「小三治」の落語は面白いのか?』、三遊亭円丈『ろんだいえん 21世紀落語論』、五代目柳家つばめ『創作落語論』。みんな面白い。

『あとがき』で著者:中村先生はいう。「この上なく豊饒で、底知れない喜怒哀楽をふくむ落語の世界に、この本をきっかけに少しでも興味をもっていただければ幸いである」。「(本書の執筆を)本当に楽しんだ。こんなに楽しく文章を書いていいのかと思うほどだった。読んでくださる方々にも、その感じが、伝染してくれればいいのだが。」

「中村先生は、ほんとうに落語が好きなんだなあ」と伝わってくる本である。

2018年9月21日にレビュー

寄席放浪記 (河出文庫)

寄席放浪記 (河出文庫)

  • 作者: 色川 武大
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/02/03
  • メディア: 文庫



nice!(2) 
共通テーマ:

『絶滅危惧職、講談師を生きる』 神田 松之丞 新潮社 [エンターテインメント]


絶滅危惧職、講談師を生きる

絶滅危惧職、講談師を生きる

  • 作者: 神田 松之丞
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: 単行本


松之丞は絶滅危惧講談界の「下火」の中からよみがえったフェニックス・・・

講談が「下火」であることは聞いていたが、「絶滅危惧」視されているとは知らなかった。そうであれば、明るい話題が出てきたということだ。コウダンシ、神田松之丞の登場である。

本書はインタビュー形式でまとめられている。聞き手の杉江松恋氏によって、神田松之丞の生い立ち、「受験よりも落語を優先した」学生時代、あえて「絶滅危惧職」へ入門したいきさつ、「前座」のつとめ、講談の修行というもの、二ツ目の現在のこと、などなどの話しが引きだされる。

本書から伝わってくるのは、なによりも、師匠神田松鯉に対する松之丞の深い敬意である。また、それに値する松鯉先生の人格と薫陶あって、松之丞という個性も、自滅することなく、押しつぶされることなく才能を拓くこともできたのだろう。それはたいへんな幸運といえる。

日本の話芸の世界の住人は、こういう世界に住んでいるのだ。このように世渡りをしているのだということがよく分かる本だ。そうした苦労のなかで研鑽を積み、芸が磨かれていくことを知ることができる。

それにしても、講談として演じられるネタは「4500席以上ある」とのことである。そのうち実際に演じられているのは、ほんのわずかであるということだ。モッタイナイ話である。

自分の耳で聞き想像をたくましくする文化、ナマで演じ語られるものを尊ぶ文化の再興が必要のように思う。そのようにして、観客が多くなれば、演者である講談師の数も増え、「絶滅危惧」職から自ずと脱することになるわけであるから。

2017年12月19日にレビュー

目次

第1章 靄に包まれた少年期
すべてを変えた父の死 / 記憶の消えた中学時代 / 無二の親友との出会い / 大人の本音をちらりと覗き見る

第2章 受験よりも落語を優先した十八歳
圓生と出会い、談志で目覚める / 芸人として生きると覚悟を決める / 観客の視線を備えるということ / 「笑わない観客」だった / 「勉強」から入った講談

第3章 “絶滅危惧職”への入門
神田松鯉の門を叩く / 生意気な新弟子 / 命名・神田松之丞 / 師匠松鯉の指導法 /

第4章 Fランク前座
忍従の日々は続く / 異例の二人会 / 四年目の限界 / 仲間たちに助けられて / 十一人の実験、〈成金〉

第5章 二つの協会で二ツ目に昇進
インナーマッスルを鍛える / 講談とお客さんを信頼するということ / おまえは寄席育ちだからな / 二ツ目になり、講談の魅力を再確認した / とにかく、僕を聴いてください / 新作講談は諸刃の剣だった / Twitterは過渡期の武器である

第6章 真打という近い未来
人のつながりで講談も変わっていく / これからが本当の勝負 / 師匠との約束を果たしたい

あとがき


伝統話芸・講談のすべて

伝統話芸・講談のすべて

  • 作者: 阿部 主計
  • 出版社/メーカー: 雄山閣出版
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 単行本



講談落語今昔譚 (東洋文庫 (652))

講談落語今昔譚 (東洋文庫 (652))

  • 作者: 関根 黙庵
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 単行本



nice!(2) 
共通テーマ:

「脇役稼業 名バイプレイヤーたちの生き様に迫る」週刊現代プレミアム 2023 Vol.2 [エンターテインメント]





キャラクター設定が決まっている主役より脇役がおもしろい。「脇役」が作品の濃度を高める。などの言葉が印象に残ります。紹介されている皆さんそれぞれに歴史があります。もちろん、名バイプレイヤーとしての彼・彼女たちを知ることができますが、同時に、彼・彼女たちを知る人たちの語り(思い出)をとおして、そのように語る人たちをも知ることのできる雑誌です。紹介されているのは14人です。懐かしい気持ちになります。もっと多くの人を知りたいものです。

川谷拓三 「本物」への渇望
大滝秀治 狂気と裏腹な好々爺
田中好子 笑顔が優しいひと
田中邦衛 自分、不器用なんで
天本英世 天才、そして怪人
野際陽子 「悪女」の矜持
志村喬 憂き世の苦みを噛みしめて
加藤嘉 孤高のロマンチスト
岸田今日子 ここではない何処かへ
梅宮辰夫 俺に勲章はいらない
金子信雄 悪い奴ほど面白い
小松政夫 ギャグと哀愁
天知茂 名探偵のち殺し屋
由利徹 芸術なんて、くだらない


わたしの脇役人生 (ちくま文庫)

わたしの脇役人生 (ちくま文庫)

  • 作者: 沢村 貞子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫



nice!(1) 
共通テーマ:
エンターテインメント ブログトップ