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「感情は、すぐに脳をジャックする」佐渡島庸平/他著 学研プラス [心理学]


感情は、すぐに脳をジャックする

感情は、すぐに脳をジャックする

  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2021/12/14
  • メディア: Kindle版



怒りのマネジメントの本は多い。本書は、アンガー・マネジメントだけでなく、嫉妬や悲しみなど、怒り以外のネガティブ感情に支配され振り回されることのないようマネジメントするのに役立つ。ネガティブなものとは思えない喜びの感情でさえ、場合よっては持て余したりするものだが、適正に取り扱えるようになるにちがいない。そのためには、まず自分の感情をしかるべく認知し、それを受容することが必要だ。そして、適正に変容させること。それができれば最高だ。本書には、その術(アウトプットの質を高めることも含め)が示唆されている。

感情を認知するうえで、著者が「活用しているのが、米国の心理学者、ロバート・プルチック博士が提唱した『感情の輪』」。それは、8つの基本感情:喜び / 信頼 / 恐れ / 驚き / 悲しみ / 嫌悪 / 怒り / 期待 とその混合感情で構成され、感情というあいまいな概念を、視覚的かつ体系化した状態で捉えることができる。基本感情は、以下の組で、その相関性(振幅)を考慮できる。喜び⇔悲しみ、信頼 ⇔ 嫌悪、恐れ ⇔ 怒り、驚き ⇔ 期待。そして、隣接する感情から生まれる混合感情として次の8種が示される。喜び+信頼 ≒ 愛、信頼+恐れ ≒ 服従、恐れ+驚き ≒ 畏怖、驚き+悲しみ ≒ 拒絶(失望)、悲しみ+嫌悪 ≒ 後悔(自責)、嫌悪+怒り ≒ 軽蔑、怒り+期待 ≒ 攻撃、期待+喜び ≒ 楽観、以上の関係が図示され興味深い。

4章、5章は、著者たち(佐渡島庸平氏、石井善樹氏、芳賀翔一氏)による鼎談。トピックは「恥」「罪」「悲しみ」「絶望・希望」「怒り・イライラ」「誇り」「驚き」「安心」「感謝」のそれぞれ。あんまりおもしろくないと感じられるのは、三者で楽しんでいるのが妬ましいからか? その感情を吟味せねばならない・・


感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

  • 作者: 乾 敏郎
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: 単行本


以下、第3章 感情を正しく認知する(あいまいで未知。だから感情の探究は面白い!)から抜粋


「作家やマンガ家、編集者とは、あらゆる感情を味わい尽くす職業」
僕の日常はこの視点によって形づくられています。思うようにいかないこともありますが、多くの人が経験したことがあるはずなのに認知できていない感情を、瑞々しく言語化する才能に触れたとき、僕の心は震えます。

コルクがエージェントを務める芥川賞作家・平野啓一郎は、僕にとってまさにそうした感情を描けるクリエイターの一人です。
平野さんは、小説『ある男』では「愛に過去は必要なのか」を問い、『本心』では「最愛の人の他者性」をテーマに、中年男性が母親を亡くした際に抱く感情と心理を、緻密さと繊細さをもって描いています。僕にとって平野さんとの打ち合わせで交わす言葉ひとつでさえ、未知の感情を探る刺激的なものとなっています。そして、読者には作品の中で僕と同じように「はじめての感情」を体感してもらえるよう願いながら、創作に携わっています。
(p117-8)


本心

本心

  • 作者: 平野啓一郎
  • 出版社/メーカー: コルク
  • 発売日: 2021/05/26
  • メディア: Kindle版



感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

  • 作者: 乾 敏郎
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: 単行本



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