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「考えて、考えて、考える」藤井聡太x丹羽 宇一郎 [教育・学び]


考えて、考えて、考える

考えて、考えて、考える

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



丹羽氏は主に聞き役となっている。63歳年長の経験豊かな丹羽氏がリスペクトをもって藤井少年に接しているのが感じられて爽やかである。その好奇心もすばらしい。読書家として知られる丹羽氏であるが、その教養の土台はこうして築かれてきたのだと感じさせられる。また、藤井少年の強さは、負けず嫌いの泣虫時代から培われてきたことが分かる。ただ悔しがるばかりでなく、きちんと負けの理由を言語化して次に進んできた。それは、将棋だけでなく日常のなかでも表れる。納得づくで物事に臨む。理由を知り、得心して物事に当たる。丹羽氏の考える「トップの条件」は、「負けず嫌い、反骨心」「忘れる力」「孤独の力」。それらの特質を両氏がどのように示してきたか知ることができる。


死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

  • 作者: 丹羽 宇一郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 新書



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『頭のよさとは何か』中野 信子x 和田 秀樹 プレジデント社 [教育・学び]


頭のよさとは何か

頭のよさとは何か

  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2022/03/31
  • メディア: Kindle版



脳科学者と精神科医による読みやすい対談本。「頭のよさ・・」「それは私たちのことよ」というような表紙写真に鼻つまみたくなるのは評者だけか・・。もっとも、そう感じること自体コンプレックスのなせる業かもしれない。そう。評者は自分のことを賢いと思っていない。それで、ついつい「頭のよ」くなると思える本に手をだしてしまう。

内容は「斬新」というほどのものではない。知識集積型「クイズ王」的賢さはチガウ、過去の栄光(学歴・卒業校)にこだわり、そこに留まるのもチガウ。要は「適用・応用力」、常に好奇心をもって学びつづけ変化を遂げていく人がソレだ、といった内容。巨人変人小室直樹博士、おもしろ明石家さんま、ディベートに長けた小林よしのり氏などが評価されている。故事でたとえるなら『呉下の阿蒙』であってはいけない。「士別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべし」といったように、三日経てば、三日分の目覚ましい変化を遂げている必要がある。そういう態度が求められる。・・


呉下の阿蒙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E4%B8%8B%E3%81%AE%E9%98%BF%E8%92%99
子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才

評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才

  • 作者: 村上篤直
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/09/18
  • メディア: 単行本



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ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書) [教育・学び]


ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

  • 作者: おおたとしまさ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/04/15
  • メディア: Kindle版



2、3年経つだろうか、『サンデー毎日』に各県の高校とその後社会で活躍している卒業生を取り上げた連載があった。見開き2ページ程度のものだが、面白かった。それで、本書もその類とみて手に取った。

『サンデー毎日』の連載から推せば、社会で活躍する人物を多数排出している高校が名門校ということになる。同様に、旧制高校や藩校の伝統を受け継ぐ知名度の高い高校が、本書でもとりあげられる。

著者は、名門校のもつ「におい」「らしさ」について書く。〈いい味噌や醤油をつくる昔ながらの蔵元には、「家付き酵母」が棲みついているという。長い年月をかけてそこに棲みつき、味噌や醤油に、そこでしか再現できない独特の「風味」を加える。同じ材料、同じ製法で造っても、他の蔵元では同じ味は出せないのだそうだ(「はじめに」)〉。

この冒頭の言葉で、名門校のもつ空間と時間、つまるところ伝統について言いたいのだなと察することができる。そして、後に、著者〈は、名門校と呼ばれるような学校に共通した特徴としてまず、「自由」「ノブレス・オブリージュ」「反骨精神」の三つのキーワードを挙げたい〉といって詳述していく。その際に、それを私見であるとしながら、読者にも「名門校とは何か」思案するよう促す。そして、そのような「問い」を卒業生各自が発しつづけ自ら答えようとし続けるところに名門校の「らしさ」が醸成されていくのではないかという。

評者が印象に残った部分を抜粋してみる。〈イギリスのパブリックスクールの代名詞的存在イートン校。世界で最も有名な名門校といっていいだろう。イギリスの政治、宗教、軍事を牛耳る学校といっても過言ではない。その意味で、オックスフォード大学やケンブリッジ大学を出るよりも、イートン校出身であるほうが、価値が高いとされている〉。オックスブリッジを出ているとしても、それよりはるかにイートン校を出たことが誇りである。そういう自負をもてる学校が「名門校」かなあと思った次第・・。


なぜオックスフォードが世界一の大学なのか

なぜオックスフォードが世界一の大学なのか

  • 出版社/メーカー: 三賢社
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『新版 ハマトンの知的生活』翻訳:渡部 昇一 ・ 下谷 和幸 三笠書房 [教育・学び]


新版 ハマトンの知的生活 (単行本)

新版 ハマトンの知的生活 (単行本)

  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2022/02/24
  • メディア: 単行本



現代の「知の巨人」のひとり故・渡部昇一先生の範とされたP.G.ハマトンの「知的生活」のすすめである。それはただ本を読んで思索にふけり書をしたためるというものではない。まさに「生活」である。食べること、眠ること、運動することなどなどが関係する。ゲーテやカント等の「知的生活」への言及もある。彼らをとおして「知的生活」の築き方を学ぶことができる。

評者は、トルストイの『イワンの馬鹿』を想起した。「知的生活」と馬鹿のイワンとではおおきな違いがあるように見える。しかし、腹痛であっても頭痛であっても愚直に耕作をつづける馬鹿のイワンのように「知的」であろうとするなら、ちいさな日々の積み重ねは生き方となり、それはやがて実をむすぶ。そんなことを思いながら読んだ。


知的生活 (講談社学術文庫)

知的生活 (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/09/06
  • メディア: 文庫



知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: Kindle版



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「潜在意識をアップデート」サンマーク出版 [教育・学び]


潜在意識をアップデート

潜在意識をアップデート

  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2021/12/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



学習することで意識行動が変わる。変わらない学習などしても仕方ない。より変化をもたらす学習をする面で、顕在意識と潜在意識の2方面からアプローチできる。本書は、潜在意識にどのようにアプローチできるかが示されている。

潜在意識の活用という面でジョセフ・マーフィーが有名である。「知の巨人」の名を恣にした渡部昇一氏は、マーフィーの愛読者であり実践者であった。マーフィーの著作『眠りながら成功する』を大島淳一名義で訳出した。その書籍に感化されて成功した人物の一人が、神田昌典氏である。そのことを評者は『私をつくった名著 人生を変えた1冊 黄金のブックガイド / 東洋経済新報社 』で知った。

そのムック本のAmazonブックレビューで評者は次のように書いた。〔神田昌典氏は、私の人生を変えた「運命の本」との出会いとしてJ・マーフィーの『眠りながら成功する』をあげている。「何といかがわしい本だろう?」と、当初、思ったのだそうである。ところが、勧められるとおり「紙に書いた願望」がそのとおりになり、潜在意識の及ぼす力に目覚めたという。後に、その翻訳者:大島淳一こと、つまり渡部昇一先生と対談の機会も得る。かくのごとく、「100冊読めば、4、5冊は良い本と出会える」と氏は説く。フォトリーディングを勧める方ならではの提案である〕。

ジョセフ・マーフィーに通じた方であれば本書は必用ないだろう。それでも、潜在意識へのアプローチ法、トレーニング法をいくつも提示しているので、本書から自分に当てはめやすいものを選んでいくのはイイように思う。

本書巻頭で著者は『鏡の国のアリス』の白の女王とアリスのやりとりを引用している。以下のようなものだ。本書で強調されているのは、「プラクティス、プラクティス、プラクティス」と言っていいようだ。

「人間は、不可能なことは信じることができないのよ」とアリスは言いました。
「あなたはまだ信じる練習が足りないみたいね」白の女王が答えました。
「不可能なことを信じるには、練習が必要なの。私があなたの年だったころには一生懸命練習をしていたから、まだ朝食の時間にもならないうちに、不可能なことを6つ信じられたときもあったほどよ」


私をつくった名著 人生を変えた1冊 黄金のブックガイド

私をつくった名著 人生を変えた1冊 黄金のブックガイド

  • 作者: Chabo!を応援する著者の会
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2008/11/28
  • メディア: 大型本



渡部昇一 青春の読書

渡部昇一 青春の読書

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: 単行本



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『私たちは何を悩んできたかー高校生が語った子どものころの悩み』永野恒雄編著 [教育・学び]


私たちは何を悩んできたか

私たちは何を悩んできたか

  • 出版社/メーカー: 同時代社
  • 発売日: 2021/12/09
  • メディア: 単行本


思い起こせば他愛のない悩みではあるが・・

高校で社会科(倫理)を教えていた編著者が、生徒に「今だから言える昔の悩み」という題で作文を書いてもらった成果が本書である。回答しているのは高1年生で、学齢前から小学校(低・中学年)当時の悩みが多い。その作文に対してインタビューがなされる。子どもたちをリスペクトしている様子が伝わってくる内容である。

作文からは生徒たちが「くだらない」、「ばかばかしい」、他愛もない悩みと今では評価していることが分かる。しかし、その当時は真剣な悩みで、子どもは子どもなりに、周囲(親等)を気遣いながら、ひとり悶々としていた様子が分かる。健気だといえば健気だが、一緒に悩んでくれる(見守ってくれる)誰かが居れば、どれほど負担が少なくてすんだことだろうと思う。

彼・彼女たちは、その年齢なりの仕方で悩みを解決していく。ある意味、シタタカでもある。人間のこころの成長とはこういうものなのだろうと思う。評者も、子どもの頃の同様の悩みを思いだして懐かしく思いもした。子どもの生の悩みを取り上げた本は初めて読んだように思う。その点貴重である。すこし誤植があるのが残念である。

2022年3月9日にレビュー

 まえがき
 この本を読まれる方へ

第一章 カラダの悩み
 〈作文①〉やめられない指シャブリ
 〈作文②〉だんだんホクロがふえてくる
 〈作文③〉階段が私の食卓だった
 〈作文④〉とまらないオネショ
 〔補足と解説〕◎身体の悩みあれこれ

第二章 疑問と悩み
 〈作文⑤〉なぜヒトは死ぬのか
 〈作文⑥〉「宇宙を創ったもの」を創ったものは?
 〈作文⑦〉私以外はみんなロボット
 〈作文⑧〉私の母はオナラをしない
 〔補足と解説〕◎子どもは小さな哲学者だ/◎ニセ家族という疑惑

第三章 コダワリと悩み
 〈作文⑨〉メンソレータムの少女の名前
 〈作文⑩〉マンホールの誘惑
 〈作文⑪〉消しゴムの使い方にこだわる
 〈作文⑫〉命と同じくらい大切な布きれ
 〔補足と解説〕◎子どもと強迫性障害

第四章 不安と悩み
 〈作文⑬〉愛犬ヒミコよ死なないで
 〈作文⑭〉母の浮気はワタシが防ぐ
 〈作文⑮〉霊にとりつかれてしまう
 〈作文⑯〉私は親の死に目に会えない
 〔補足と解説〕◎死の不安と哲学的疑問/◎子どもの思想的開き直り
 
第五章 罪悪感と悩み
 〈作文⑰〉ウソをつくと地獄に行く
 〈作文⑱〉気がつくと大ウソつきになっていた
 〈作文⑲〉私が殺した生き物たち
 〈作文⑳〉なくした委員バッチ
 〔補足と解説〕◎ウソとサトラレの関係

第六章 家族の悩み
 〈作文㉑〉家族の笑い顔も今のうち
 〈作文㉒〉私はエビトリ川で拾われた
 〈作文㉓〉なぜ私にはお父さんがいないの?
 〈作文㉔〉ベンツ・豪邸・キュウリサンド
 〔補足と解説〕◎「捨て児宣告」という民俗/◎「貧富の差」と序列主義

第七章 イジメの悩み
 〈作文㉕〉ついに相手をタコなぐり
 〈作文㉖〉いじめられっ子のウラミは深い
 〈作文㉗〉いじめていた子からの手紙
 〈作文㉘〉学校でウンコをしただけで
 〔補足と解説〕◎いじめた側からの証言/◎学校と排便をめぐる問題

第八章 成長と悩み
 〈作文㉙〉どうしてもウサギになりたい
 〈作文㉚〉私の背はもう伸びないの?
 〈作文㉛〉昔の僕はヒーローだった
 〈作文㉜〉土曜深夜に受けた性教育
 〔補足と解説〕◎子どもを演ずる子どもたち

あとがき
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『世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生』 大田 暁雄著 [教育・学び]


世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

  • 作者: 大田 暁雄
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2021/12/17
  • メディア: 単行本


偉大な先達たちの精神に触れることができて仕合せ

自分の住む世界を認知し把握して掌中の珠のごとくにし、必要に応じてホイとばかりに提示できたならいいであろうと本書を手にした。そのような認識のヒントが、また提示する知恵や指針が『世界を一枚の紙の上に』とタイトルされた本書から得られるように思ったのである。

「一枚の紙の上に」描かれているのは、多くの情報を盛り込んだ地図である。単なる所在を示す地図ではない。その情報は観察や計測によって得られた科学的知識であったり、調査によって得られた統計であったりする。それを示すにあたって、多くの先達が、直観的に理解把握できるよう種々の工夫(それはグラデーションなどの絵画的表現であったり、統計グラフ等の視覚的表現や幾何学的表現であったりする)をこらしてきた。本書は、その歴史といっていい。

表紙にしめされているのは、海流にも名を残すアレクサンダー・フォン・フンボルトの「赤道直下地域の植物地理学:アンデスと周辺地域の自然画(タブロー・フィジック)」。著者は第1章を「自然世界のミニアチュール 垂直植生分布図と生態系の目覚め」と題して、その情報盛りだくさんの自然世界のミニアチュールである「自然画」から説き起こす。

著者「まえがき」には〈「世界を描く」。この本は、そんな不可能ともいえる課題に挑戦した西欧近代人の、思考の軌跡を追ったものである。より正確にいえば、19世紀初頭の探検科学者アレクサンダー・フォン・フンボルトから、戦間期・第二次世界大戦中に活動した社会活動家オットー・ノイラートに至るまでの、およそ150年間に及ぶ科学的グラフィズムを辿ることが本書のテーマである〉と、ある。

また、執筆にあたっての努力目標については次のように記されている。〈これはデザインの文献一般についてもいえることだが、図があくまでも結果(つまり見た目)としてしか提示されず、それが描かれた経緯や、背後にある問題意識に言及されていないことが多い。こうした事態を解消するため、本書では図に一体何が描かれていて、どのような意図のもとにそれを視覚化しようとしたのかを可能な限り辿り、図を思考のプロセスの一環として捉えるように努めた〉と、ある。

じっさいのところ図に示された工夫内容もさることながら、その工夫にいたる「思考の軌跡」「問題意識」も深堀りされている。先達が「1枚の紙の上に」世界を収めようとするに際しての視覚化の意図が説明される。たとえばフンボルトの「自然画」については次のようにある。〈徹底的に経験に基づいて世界を観察しつつも、最終的には人々の自然への感受性を喚起して、合理主義以来分離された心身の結合へと至らなければならない。フンボルト科学の画期的な点は、近代科学とロマン主義的な芸術の融合にあった(p021)〉。

さらに、こういう記述もある。〈ノイラートの博物館構想の背後には、社会民主主義の思想と論理実証主義的な方法論、それに生活世界を背景とした実際主義の徹底があった。彼はのちに教育を「人間化=ヒューマニゼーション」のプロセスであると述べている。人間化とは、人々が自ら思考することで、生活環境・生活様式を自主的に選択し行動できるようになることとされる。それに対して「大衆化=ポピュラリゼーション」とは、専門家によって上から教育を施すことだとされる。われわれは「大衆化」ではなく「人間化」によって、貧困、労働環境、住宅問題、ひいては戦争を解決しなければならない。「人間対人間の争い」よりも「共通の危機に対する共闘」の方へーーそのためには「視覚教育」が大いに役に立つとノイラートは考えたのである。/ / 彼のいう「視覚教育」とは、よく規則化された絵ことばを用いた視覚資料によって、直感的に理解可能なやり方で教育を施すことである。映画や広告などに見られる近代的な視覚化技術を教育に転用すれば、文字や数字による教育では興味をもちづらい子どもたちや、一般の人々の興味を引きつけ、劣等感を感じることなしに思考する機会を与えられるーーそれがアイソタイプの狙いであり、やがては「人間化」を達成する手段となりうるのである。「よく開発された視覚言語は、共同の文化的生活、共同の文化的な関係性の基盤となる」(p220)〉。

全体を一度通読したまでであるが、偉大な先達たちの精神に触れることができて仕合せな気分である。

2022年2月26日にレビュー

“忘れられた科学の巨人”フンボルトの本当のすごさ
『フンボルトの冒険』
東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10403


フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明

フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2017/02/27
  • メディア: Kindle版



インフォグラフィックスの潮流:情報と図解の近代史

インフォグラフィックスの潮流:情報と図解の近代史

  • 作者: 永原 康史
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: Kindle版



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『説明組み立て図鑑』犬塚壮志著 [教育・学び]


あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑

あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑

  • 作者: 犬塚 壮志
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2021/11/25
  • メディア: Kindle版


説明(話の切り出し、展開)のテンプレート集

論理的で説得力のある話し手・語り手になれればとの思いから手に取った。全体を概観しての印象は、説明(話の切り出し、展開)のテンプレート集である。タイトルに「図鑑」とあるとおり、マンガ仕立てで(吹き出しも用意されて)読みやすい。各テンプレート冒頭にある【「型」、ポイントフレーズ、使いどき!】部分を読めば、後続の説明がなくても分かる人は分かるにちがいない。その説明も簡潔である。熟練したセールスマンや予備校講師などは、ほとんど意識することなく本書のテンプレートにそって成果をあげていることだろう。

何からどのように話しを切り出し、それをどのように展開するかを言語化して型に分け網羅的に示したことに本書の価値があるように思う。ただ、そんなにまで細分化する必要があるだろうかという思いも残る。「基本の3つの型」がしめされる。それを詳しく説いていけば十分だったようにも思う。「3つの型」(CRF法、SDS法、PREP法)が理解できれば、あとは応用すればいいだけである。ただそれでは、いまのせわしない時代の多忙な読者が、即実践活用できないということなのだろう。

〈大事なことなので繰り返しますが、説明の目的やシチュエーション(制約)に合わせて効果を発揮する「型」は異なります。だからこそ、自身がどのような目的で、どのようなシチュエーションのもと説明を行うのかを明確にした上で、そのときに最適な型を使ってみてください。卓越したスキルは、先天的なものではなく、後天的にいくらでも身につけられるものです〉と、ある。手元に置いて、聞く人を納得させ動かす説明スキル向上に役立てたい。

2022年2月2日にレビュー

相手の頭に 「絵」が浮かぶように話しなさい 100%伝わる! 説明のコツ (PHP文庫)

相手の頭に 「絵」が浮かぶように話しなさい 100%伝わる! 説明のコツ (PHP文庫)

  • 作者: 野口 敏
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/12/19
  • メディア: Kindle版



論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

  • 作者: 野矢 茂樹
  • 出版社/メーカー: 産業図書
  • 発売日: 2001/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「できる人」はどこがちがうのか (ちくま新書)」斎藤 孝著 [教育・学び]


「できる人」はどこがちがうのか (ちくま新書)

「できる人」はどこがちがうのか (ちくま新書)

  • 作者: 斎藤 孝
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2001/07/01
  • メディア: 新書


「生きる力」を得られる

最近よく「生きる力」という言葉を聞きます。予測不能の変化に対して柔軟に対応できる生き抜く力のことだと文科省は述べているようです。

本書にしめされた「できる人」となるための方策は、どんな領域、職業、世界に放り込まれても、生き抜いていく力となります。技術面をはじめ種々の面において上達をとげ、同僚・仲間の足手まといになるどころか、同等さらには上を短期間で達成する助けともなります。さらには、若い人だけでなく、人生100年時代、ながい老後を持て余すことなく、もてるエネルギーを上手に発散する方法を示唆するものともなっています。上達にまつわる数々のエピソードも楽しく読むことができます。上達して「できる人」になるという視点で、物事を見、本を読み、他者と交わるなら、誰もが、あらゆる領域で「できる人」になれることも示されます。

斎藤孝氏の書籍を比較的よく読んできた方であると自負いたしますが、本書の文章スタイルから、力と切れ味の鋭さをつよく感じました。氏の専門分野(身体論、教育学)に直結する内容であるからにちがいありません。本書の論議は、たいへん中身の詰まったもので、読みごたえがありました。

2020年3月14日にレビュー

身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)

身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)

  • 作者: 斎藤 孝
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2000/08/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



勉強なんてカンタンだ! 齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第(1)巻

勉強なんてカンタンだ! 齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第(1)巻

  • 作者: 齋藤孝
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/03/20
  • メディア: 単行本



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竹中式マトリクス勉強法 竹中 平蔵著 幻冬舎 [教育・学び]


竹中式マトリクス勉強法

竹中式マトリクス勉強法

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: 単行本


竹中氏の雑草魂が伝わってくる

竹中氏を評して「小泉(純一郎)の茶坊主」というのがあった。権力におもねりへつらう印象から、そう評されていたのだと思う。そういう人物であることを、本書からも理解した。もっとも、良い意味においてである。「茶坊主」は、将軍や大名の周囲で、あらゆる雑用に従事した役職だと〈ウィキペディア〉に記されている。竹中氏は、小泉純一郎首相に仕えたこと、その下で精力的に働き成果をあげたことを自負している。また、銀行勤務時代、王道である営業職ではなく総務課に回され、支店長夫人のこまごました依頼に応じたり、職員の引っ越しの手伝いをしたりなどして、雑用に喜んで従事したことも回顧されている。そして、そうした仕事をした経験がリスクを進んで背負うことのできる体質をつくるものとなったと述べ、さらには雑用を勧めてさえいる。良いポジションから外されてもヘコタレナイ根性を養成したということであろう。要するに、竹中氏は、慶応ボーイのお坊ちゃんなどではなく、苦労人の雑草魂の持ち主であるということだ。経済学で世のため人のためになることを願い、志し、キャリア形成をしてきたという。華々しいポジションも結果としてそうなっただけであるという。

竹中氏は、宮城音弥のいう「能才」であろう。能才とは、社会適応能力に優れた才能の持ち主で、適応力に欠ける傾向のある「天才」と対照させられている。評者は、その言葉を宮城の著書『天才(岩波新書)』で知ったのだが、本書をとおしずっと〈竹中氏は「能才」のなかの「能才」だ〉という思いで読んだ。

前置きがながながしくなったが、変化し先の読めない現代社会のなかでも上手に世渡りしていく力を本書から伝授してもらえる。著者は、自分の経験、人生を、正直に示しつつ、『竹中式』勉強法を説いている。テレビに出る竹中氏の印象とは異なり、たいへんドロ臭くもある。子ども時代、父親のこと、銀行勤務時代、ハーバード大学留学時のこと、小泉総理のもとで仕えた時期のことなど記される。「竹中式」で、著者ほどに勉強するなら、どんな下積みの中からでも這い上がっていけるように、また、ドロのなかからでも花を咲かせることができそうに思う。


2020年3月12日にレビュー

※ 言うまでもないことですが・・
知識を習得することは大切ですが、得られた知識をどのように運用するかはもっと大切です。適切に運用するためには倫理観が求められます。多くの知識を習得したことへの評価とそれを運用する人間への評価はベツモノであることを覚えておきたく思います。

渋沢栄一 人間、足るを知れ―「時代の先覚者」はなぜかくも「無私」たりえたのか

渋沢栄一 人間、足るを知れ―「時代の先覚者」はなぜかくも「無私」たりえたのか

  • 作者: 永川 幸樹
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: 単行本



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