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『コミュニケーションは正直が9割』田原総一朗著 [マスメディア]


コミュニケーションは正直が9割

コミュニケーションは正直が9割

  • 作者: 田原総一朗
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2022/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



田原総一朗さん(88歳)は11歳の時に敗戦を経験する。それまで神風が吹いて必ず勝利すると信じてきたにも関わらず、鬼畜とされていたアメリカに日本は負ける。それを機に田原さんは、親も教師も政府も信じられなくなる。田原さんより4歳年少の養老孟司さんも、戦後、教科書の神話的記述に墨塗りさせられた世代として、どれほど確かなものに思える考えであっても、懐疑的にならざるをえない心情をくどいほどに語る。今日、田原さんの同世代、敗戦を知る人びとはどんどん亡くなっている。

本書は、コミュニケーションの方法を論じる体裁をとってはいるが、実質的には、同世代を代表するかのようにしてなされる田原さんの叫びである。B29の空爆を受けるようになる中、なされる竹ヤリ訓練に愚かしさを感じていながら、誰もそれを表明することはなかった。多くが当時の空気にのまれていた。そして、盲従した。田原さんは、それではダメだ、盲従するな、疑問を表明せよ、と猛獣のように叫ぶ。

戦後、田原さんは、あらゆるものに突っかかってきた。武器は誠実さ、正直さである。やさぐれダメ男を自称しつつ、引っ掛かるものがあれば相手が総理総裁であっても真っ向勝負を挑む。そうして得たのは信頼である。この男には胸襟を開くしかない。そう相手に思わせた。そう相手に思わせるだけの気迫があった。

本書に示されるコミュニケーションの知恵は、学術的な理論理屈から引き出されたものではない。自ら体当たりで得たきたものだ。役に立たないはずはない。


小林亜星、両足を棺桶に入れる(矢崎泰久氏、追悼文から)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
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「ベストセラーはもういらない」 秦隆司著 ボイジャー [マスメディア]


ベストセラーはもういらない

ベストセラーはもういらない

  • 作者: 秦隆司
  • 出版社/メーカー: ボイジャー
  • 発売日: 2018/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


アメリカの出版システム,その課題・問題、出版をめぐる状況、作家たちの活動など知ることができる

本書は、「電子本とオンデマンド本だけを出版するORブックスという出版社を作ったジョン・オークス」へのインタビューを軸に展開する。アメリカの出版システムのこと(リテラリー・エージェント、ディストリビューター、インプリントなど)が示される。また、その課題・問題、出版をめぐる状況、作家たちの活動など知ることができる。

さらにジョン・オークスが「ニューヨーク・タイムズ」紙の社主(アドルフ・オックス)のファミリーメンバーで「オックス/サルツバーガー家」に連なる人物であることから、その歴史も示される。関連して、ジョセフ・ピューリッツァーやウィリアムズ・ランドルフ・ハーストのことも示される。

またさらに、ジョンが、アメリカで「サミュエル・ベケットやウィリアム・バロウズ、大江健三郎などの作品を出版してきたグローブ・プレス(現在はグローブ・アトランティックのインプリント)の元編集者」であった関係で、「伝説のグローブ・プレス」の社主バーニー・ロセットのこと、その無修正版『チャタレイ』の著作権をめぐる「出版人アルフレッド・クノッフとの戦い」など示され興味深い。

著者は「この本をとおして、読者の方々に作り手から見た新聞・出版の世界とニューヨークの街を少しでも近い存在に感じて頂けたら幸いだ。(「はじめに」)」と記している。本書は、ソフトカバーの本にしては価額が高いが、本書をとおしてニューヨークの風にあたることができる。インタビューには元手がかかっている。そのことを考えると安いともいえる。

「目次(章立て)」は以下のとおり・・・ はじめに 第1章:チェルシーの朝 第2章:ニューヨークが呼んでいる 第3章:グレート・ジャーナリズム 第4章:パリの異邦人 第5章:伝説のグローブ・プレス 第6章:返本のない出版社 第7章:ORブックスの誕生と成長 あとがき 参考文献

2019年2月22日にレビュー

アメリカン・エディターズ—アメリカの編集者たちが語る出版界の話— eブックジャム

アメリカン・エディターズ—アメリカの編集者たちが語る出版界の話— eブックジャム

  • 出版社/メーカー: 株式会社ボイジャー
  • 発売日: 2012/05/28
  • メディア: Kindle版



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いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話 駒井 稔著 而立書房 [マスメディア]


いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話

いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話

  • 作者: 駒井 稔
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2018/10/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


誕生の秘話というか顛末というか

序文で著者は坂本龍一の父親に言及する。名編集者として知られた坂本一亀でさえ自著をもたなかった、にもかかわらず私ごときが本書を刊行するのは・・というわけだ。つまり、それだけ、「光文社古典新訳文庫」への思い入れがあって、書かざるをえなかったということだ。創刊に深くかかわった人間なのだからアタリマエだが、オモシロイ本だ。なによりも、「光文社古典新訳文庫」を読んでみようという気持ちになる。著者の思いいれ苦労がジンジン伝わってくるからだ。本書のタイトルは、社長に「光文社古典新訳文庫」についてのコピーを迫ったときに、社長の口にしたフレーズだそうである。なるほど、シリーズをよく表した、いいコピーではないか。本書は、創刊の顛末だけでなく、古き佳き時代を示してもいる。雑誌全盛で出版業界がバブっていた時代だ。会社のカネで社員が遊びほうけることができた時代だ。よく遊びよく学んでイロイロな企画が生まれた。団塊の世代、当時30歳くらいの人たちが読者ターゲットだったという。著者自身、現在60半ばになろうとしている。今の若い世代に、信じられないだろうがこんな時代があったと回顧しつつ、「です・ます調」で語りかける。大衆雑誌・畑で生き、大衆に通じる言葉で働いてきた人は、姿勢そのものがたいへん低い。実るほど頭を垂れる稲穂かな、である。そうして鍛えられた姿勢が、「光文社古典新訳文庫」を生んだのだろう。出版の世界、編集や翻訳に関心のある人が、とりわけ楽しむことのできる本に思う。

2018年12月19日にレビュー

ファミリーヒストリーで紹介された坂本龍一の父 真実の姿を伝える「伝説の編集者 坂本一亀とその時代」
田邊園子
2018.04.23
http://web.kawade.co.jp/bunko/2013/


伝説の編集者 坂本一亀とその時代 (河出文庫)

伝説の編集者 坂本一亀とその時代 (河出文庫)

  • 作者: 田邊園子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 文庫






編集者、それはペンを持たない作家である 私は人間記録として、自分の感動を多くの読者に伝えたかった。

編集者、それはペンを持たない作家である 私は人間記録として、自分の感動を多くの読者に伝えたかった。

  • 作者: 神吉 晴夫
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2022/06/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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ジャーナリストの誕生――日本が理想としたイギリスの実像  河崎 吉紀著 岩波書店 [マスメディア]


ジャーナリストの誕生――日本が理想としたイギリスの実像

ジャーナリストの誕生――日本が理想としたイギリスの実像

  • 作者: 河崎 吉紀
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「ジャーナリストは生まれる者であって作られる者ではない」?

ジャーナリストとはいかなる存在か、その「誕生」は天賦の才によるものか、それとも育成しうるものか、という問いの答えがイギリスの「ジャーナリストの誕生」の歴史から示される。

そのことを著者は次のように記す。そして、そこに示される自著への評価は間違っていないように思う。

本書はイギリスとの比較において、そのイメージが世界において多様であることの一端を示し、「ジャーナリズム」「ジャーナリスト」という言葉の概念を豊かにし、広げることを目指してきた。内容は専門的で、冗長にすぎることもあったろう。しかし、ジャーナリストとは何者なのかについて、イギリスが100年以上にわたり議論を闘わせてきた熱意は伝わったのではないか。自分たちは何者なのか、どうありたいのか、どうあるべきなのか、彼らは自問自答し、あるときは戦争に、あるときは政府の政策に翻弄されながらも、ジャーナリストを訓練、教育する道を模索し続けてきた。その過程を振り返ることは、だれもがジャーナリストになれる可能性に満ちている21世紀において、必要なことではないだろうか。(以上「おわりに」からの抜粋)

2018年12月6日にレビュー

ジョン・レディ・ブラック――近代日本ジャーナリズムの先駆者

ジョン・レディ・ブラック――近代日本ジャーナリズムの先駆者

  • 作者: 奥 武則
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/10/18
  • メディア: 単行本



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データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい 松本 健太郎著 毎日新聞出版  [マスメディア]


データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

  • 作者: 松本 健太郎
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 単行本


ニュースへのセンスが磨かれる

この本は、データサイエンスについて学びたいと思っているけど、数学は苦手だし、なによりも、どこから学んでいいかわからないと戸惑っている人のための超・入門書です。

本書のメインテーマは「データの読み方」です。データの特徴を理解して、背景に隠されている事象に思いを馳せて、データに違和感を覚え、時には現場に足を運び、データが何を表現しているかを読み解く作業が「データを読む」という仕事です。

そもそも、データサイエンスティストの仕事の大半は、「データを読む作業」です。高度で難しい統計学や最近流行の機械学習を駆使することがデータサイエンスだと勘違いしている人もおられるようですが、それは誤解です。

データへの理解、データの扱い方、データを分析する着眼点が少しでも身に付き、「明日からもっとデータサイエンスの勉強をしてみたい!」と思ってもらうことが本書の目的です。

以上、本書「はじめに」から(強調されている部分を)抜粋した。事実そのような本で、ニュースなどでよく耳にすることどもを、著者は、公開されているデータから読み解き、解きほぐし説明する。「フェイスブックはおじさんとおばさんしか使っていない」や「世界から愛される国、日本」など、である。なんとなくそうであろうと受け入れていた考えがどうもチガッテいたらしいことが、少しずつ明らかにされていく。結果、覆われているものがヒッパガサレル小気味よさと、単なる考えを(その意味を深く考慮することなく)受け入れていたことへの恥ずかしさを味わうことができる。そのショックが大きいほど、これから耳にするニュースへのセンスが磨かれるように思う。

目次「01バイアスだらけの私にリテラシーを」の見出しは 以下のようなもの 信じたい内容だけを信じる人がいる / 人間は昔からバイアスにまみれている / Facebookはおじさんとおばさんしか使っていない? / 「おじさん・おばさん」は何歳からが正解? / 「Google 嘘っぽい」とツッコむ力こそ「リテラシー」だ / 課題発見のためにトヨタは「なぜを5回繰り返す」 / 「インチキデータ」はなぜ発生するのか / 「データを読む」ために必要なリテラシーを高める訓練をしよう

2018年12月3日にレビュー

ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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ジャーナリズムの道徳的ジレンマ 畑仲哲雄著 勁草書房 [マスメディア]


ジャーナリズムの道徳的ジレンマ

ジャーナリズムの道徳的ジレンマ

  • 作者: 畑仲 哲雄
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: 単行本


読者もジレンマに陥るような仕掛けがなされてある

本書では、報道の世界で働くときに遭遇する道徳的な問題が20ケース取り上げられる。そこでは、読者もジレンマに陥るような仕掛けがなされる。単なる傍観者としてではなく、当事者として考えなければならないハメになる。ジャーナリズムの恩恵を被る身として、こうしたせめぎあいを経て、新聞紙面が作られているのだなとの感慨をもった。そのご苦労を慮ることができた。

〈ケースはすべて、「思考実験」→「異論討論」→「実際の事例と考察」の3パートで構成され〉る。〈「思考実験」では、ジャーナリズムの道徳的難問が物語の形式(見開き2ページ)で示され〉〈「思考実験」の最後には、AかBかの選択肢が与えられ〉ている。〈どちらかが正しく、どちらかが間違っているわけでは〉ない。 / 次の「異論討論」〉では、AとBの対立する2つの立場からの意見が(3つずつ)交互に述べられる。

各ケースごとに、ディベートに参加している気分になる。身につまされつつも、A、Bどちらの立場でもいいように(素人目に)思ったりもするが、どちらの意見にもキチンと根拠があることが「実際の事例と考察」から示される。それら一連の流れには(記憶に新しいモノ、古いモノいろいろだが)「実際の事例」がドーンとあるので、抗いがたい力がある。それだけに、否応なく考えさせられるし、単なる読み物として読んでもオモシロイ。

ちなみに、ここのところ話題によくのぼる「忖度(そんたく)」について言及のあるケース10「記事の事前チェックを求められたら」から以下に引用してみる。そこでは、もっぱら「検閲」の問題が扱われているのだが・・・。〈権力による露骨な介入はわかりやすいが、現代社会における「検閲」の問題はケースごとに判断するしかない。読者や視聴者が注意しなければならないのは、メディアが権力の意向を忖度(そんたく)して自主規制する行為だ。メディア企業が内部で自主検閲しはじめれば、読者・視聴者の側は、何が隠されたか知る手がかりを失ってしまう。〉

(以下、「目次」から)第1章 人命と報道(最高の写真か、最低の撮影者か / 人質解放のために警察に協力すべきか / 原発事故が起きたら記者を退避させるべきか / 家族が戦場ジャーナリストになると言い出したら) // 第2章 報道による被害(被災地に殺到する取材陣を追い返すべきか / 被害者が匿名報道を望むとき / 加害者家族を「世間」から守れるか / 企業倒産をどのタイミングで書く) // 第3章 取材相手との約束(オフレコ取材で重大な事実が発覚したら / 記事の事前チェックを求められたら / 記者会見が有料化されたら / 取材謝礼を要求されたら) // 第4章 ルールブックの限界と課題(ジャーナリストに社会運動ができるか / NPOに紙面作りを任せてもいいか / ネットの記事を削除してほしいと言われたら / 正社員の記者やディレクターに表現の自由はあるか) // 第5章 取材者の立場と属性(同僚記者が取材先でセクハラ被害に遭ったら / 犯人が正当な主張を繰り広げたら / 宗主国の記者は植民地で取材できるか / AIの指示に従って取材する是非) // あとがき ジャーナリストの理想へ向けて / 索引

2018年11月9日にレビュー

地域ジャーナリズム: コミュニティとメディアを結びなおす

地域ジャーナリズム: コミュニティとメディアを結びなおす

  • 作者: 畑仲 哲雄
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2014/12/23
  • メディア: 単行本



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『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』 毎日新聞校閲グループ [マスメディア]


校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術

校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術

  • 作者: 毎日新聞校閲グループ
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: 単行本


校閲の仕事を知り、「校閲記者の“目”」を自分のものに

新聞の紙面校正係が、校閲「記者」と呼ばれる理由が分かった気がする。とてもとても校閲の面々がいなければ、記事を印刷し発行するなどできない。情報をつかみウラを取り、元になる記事を書く(フツウの)記者をサポートして、誤字脱字だけでなくモロモロの誤りを訂正し読者へと繋ぐ。そのモロモロに何が含まれるかが本書に示されていく。そのようにして、ある意味において、日本語の習慣・モラルを守っているのだ・・・。

その点、本書『はじめに』に、こうある。〈 私たちは紙面を守る「ゴールキーパー」とも言えます。誤りを見逃す-失点しても、自ら点を取りに行って挽回するようなことはできません。けれど、0点に抑えることはできる、負けない試合をすることはできるのです。これこそ校閲の存在意義です。日々さまざまなシュートが飛んできますし、阻止する方法も毎回違います。本書は、その実例をまとめたものです。〉

読者は、第1章で、「ゴールキーパー」としての適正試験を受けることになる。トランプ米大統領の勝利「号外」を校閲するよう促される。その直後の解説の見出しは「1カ所見逃しただけで0点」である。たいへんきびしい。

〈校閲記者は見逃さないようにするため、(・・・省略・・・)と、幾通りものチェックをします。同じ文字の列を追うにしても、見方を変えてみると、別の違和感が生じて手と目が止まることもあるからです。 / 新聞1㌻を校閲するのにどれくらい時間がかかりますかとよく尋ねられますが、1時間でも2時間でも、許された時間内ぎりぎりまであらゆる角度から見直すため、一概には言えません。(p80)〉という記述もある。

校閲記者の具体的な苦労話しをとおし、また修練をとおして、「あらゆるミスを見逃さない」「校閲記者の“目”」を自分のものとできるかも・・。

2018年9月21日にレビュー

校閲ガール (角川文庫)

校閲ガール (角川文庫)

  • 作者: 宮木 あや子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫



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『新聞社崩壊 (新潮新書)』 畑尾一知著 新潮社 [マスメディア]


新聞社崩壊 (新潮新書)

新聞社崩壊 (新潮新書)

  • 作者: 畑尾一知
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/02/15
  • メディア: 新書


足元で起きている情報地殻変動とその行方を実感できる

マスコミ関連事情通の多くは、新聞社が低迷、凋落傾向にあることは知っている。なによりも、紙媒体の新聞が読まれなくなっている。どの家でも新聞をとる(契約する)のがアタリマエの時代は去った。

本書は、新聞社だけでなく、その周辺、新聞業界の末端に至るまでが視野に入っている。新聞社経営サイドだけでなく、個別宅配を担う新聞販売店の配達員や講読契約を担うセールスについても語られる。それゆえ、新聞業界の裏話もおおく知ることができる。かつての繁栄と凋落の落差を知ることもできる。

2025年に、購読者数は現在よりもさらにマイナス30%になるという推測もなされる。実際のところどうかわからないが、もっとヒドクなってもおかしくはない。自主再建は可能だろうか。著者は、そうするためのヒントを示す。そして同時に「すでに破綻している新聞のビジネスモデルを白紙撤回し、根本的に再構築する“白馬の騎士”を待たなければならない」とも記す。“白馬の騎士”とは誰か、そのヒントも示唆する。

足元で起きている情報地殻変動とその行方を実感できる本だ。

2018年8月11日にレビュー

マードック―世界のメディアを支配する男

マードック―世界のメディアを支配する男

  • 作者: ウィリアム ショークロス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 単行本



小説 新聞社販売局

小説 新聞社販売局

  • 作者: 幸田 泉
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 新書



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『進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります』 奥村 知花著 PHP研究所 [マスメディア]


進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります

進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります

  • 作者: 奥村 知花
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「書籍PR」の仕事を知ることのできる本であり、売れる本の舞台裏を知ることのできる本であり・・・

タイトルにある「書籍PR」は著者の肩書き。著者は、書籍専門のパブリシスト。書籍専門でパブリシティの仕事をしている。

その仕事内容は、メディア各方面に、「担当している本の存在を、企画として【売り込む】お仕事」。「年間、何万点もの書籍が出版されている昨今、せっかく素晴らしい本があるにもかかわらず、あらゆる他の本に埋もれてしまい、その存在が知られないままに、そっと店頭から消えていってしまうことが多くあ」る、「そんなことにならないよう、あらゆるメディアの方々に向けて、その本の存在を売り込み、番組や特集、著者のゲスト出演やインタビューなどで、お取り上げいただけるよう、働きかけることで『本と読者の出会い』を増やすお仕事」。

著者は「書籍PR」をはじめて15年になる。そのひょんな始まりから、これまでの具体的な活動・苦労・喜びが、ミリオンセラーとなった担当書籍のことなど交えて記されていく。本を「売る」ために、著者、編集者、出版社・営業、書店・員、パブリシストたちが、チームとして機能してこそ本が売れるのだということが分かる。

「書籍PR」の仕事を知ることのできる本であり、売れる本の舞台裏を知ることのできる本であり、「なにかを売り込むことに悩みを抱える」者らにエールを送る本である。

2018年5月30日にレビュー

ワンダー Wonder

ワンダー Wonder

  • 作者: R・J・パラシオ
  • 出版社/メーカー: ほるぷ出版
  • 発売日: 2015/07/18
  • メディア: 単行本



おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本  絵本&朗読CDブックセット

おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本 絵本&朗読CDブックセット

  • 作者: カール=ヨハン・エリーン
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2016/12/14
  • メディア: 単行本



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『ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)』 立岩 陽一郎・揚井人文 著 [マスメディア]


ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

ファクトチェックとは何か (岩波ブックレット)

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


事実とされるものを真実かどうか判定できる能力はより重要だ

事実と意見(感想・気持ち・思い・評価・認識・・・)とを分けることは大切だと言われる。だが、事実とされるものを真実かどうか判定できる能力はより重要だ。ところが、「事実確認」をして報道する新聞、テレビのニュース情報を「事実」であるとして、多くは疑わない。まるごと真実であるかのように鵜呑みにしてしまうこともある。昨今、「フェイクニュース」などと言われるものも登場して、眉に唾して臨まなければならない状況になっている。そうした中、「ファクトチェック」する姿勢は、欺かれないために有用だ。

本書は「事実(ファクト)」とされるものをチェックする営為・運動・活動についての教科書といっていい。たいへん分かりやすい解説がなされていく。まずは、ファクトチェックを「事実確認」と訳すことの誤りが指摘される。第一章冒頭は次のように始まる。

〈このブックレットは、ファクトチェックについて日本で初めて詳しく紹介する本です。 / ファクトチェックとは、言説の内容が事実に基づいているかどうか、正確なのかどうかを調べて、その結果を発表することを言います。世の中に影響を与える言説や情報のうち、真偽が必ずしも定かでないものや正確さに疑いがあるものが、ファクトチェックの対象となります。ニュース記事、インターネット上の情報はもとより、政治家や有識者などの社会的影響力をもった人物の言説も対象になります。 / 日本では時々、ファクトチェックが「事実確認」と訳されているのを見かけます。これは誤解のもとです。日本のメディア関係者からも「ファクトチェック?そんな当たり前のことは今までもやってきたよ。何をいまさら・・・」という反応がよく返ってきます。ファクトチェックを、メディアの取材・報道プロセスで当たり前のように行われてきた「事実確認」作業と混同しているのです。 /
「事実確認」という日本語から思い浮かべるものと、欧米を中心に行われてきたファクトチェック(Fact-Checking)とは似て非なるものです。多くの日本人は「事実確認」という言葉から、メディアの報道や研究発表など対外的な発表内容に誤りがないように、取材や調査のプロセスで慎重に事実関係を調べる作業を思い浮かべるのではないでしょうか。 / 本書で扱うファクトチェックは、そういうものではありません。すでに公表された言説を前提に、その言説の内容が正確かどうかを第三者が事後的に調査し、検証した結果を発表する営みです。

ファクトチェックする際の判定方法・基準について米国のファクトチェック団体「ポリティファクト」によるものが紹介されている。①真実(True):正確であり、重要な事実が抜け落ちていないもの ②大まかに真実(Mostly True):正確だが、説明や情報の補足が必要であるもの ③半分真実(Half True):一部だけ真実。一部の事実に触れなかったり、文脈を無視したりしているもの ④大半が間違い(Mostly False):真実も含んでいるが、決定的に重要な事実を無視しているため、異なる印象を読者に与えかねないもの ⑤間違い(False):不正確なもの ⑥全くのでたらめ(Pants on Fire):不正確であり、滑稽なもの

本書は、「ファクトチェックとは何か」、その「基本ルール」とは何か、「国際的な潮流」動きは?、「日本でファクトチェックは広がるか」という(各章の)テーマにそって、論議が展開される。そして、最後は次のような呼びかけで結ばれる。〈このブックレットを手に取った方の多くが、ファクトチェックに参加してくださることを期待します。具体的な取り組みは第1章、第2章に書かれている通りです。どなたにでもできます。ぜひ、一緒にファクトチェックに取り組みましょう(「おわりに」末尾)〉。呼びかけに応じたくなる本である。

2018年5月23日にレビュー

立岩氏が編集長をつとめるサイト
ニュースのタネ
https://seedsfornews.com/

NPOメディアが切り開くジャーナリズム 「パナマ文書」報道の真相

NPOメディアが切り開くジャーナリズム 「パナマ文書」報道の真相

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 新聞通信調査会
  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



トランプ報道のフェイクとファクト

トランプ報道のフェイクとファクト

  • 作者: 立岩 陽一郎
  • 出版社/メーカー: かもがわ出版
  • 発売日: 2019/03/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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