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東大生の本の「使い方」 重松 理恵著 三笠書房 [読書案内]


東大生の本の「使い方」 (単行本)

東大生の本の「使い方」 (単行本)

  • 作者: 重松 理恵
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: 単行本


まあ、東大生ならそうだろうな・・・

著者は、元「東大生協の書店員」。彼女の観察した 東大生の本の「使い方」(選書の仕方、買い方、読み方・・)が示されている。主に第1章でその点が扱われる。目次(細目省略)を追うと、「東大生は何を、どう読んでいるのか?」 「おやつ感覚で本を買う? 驚きの『読書習慣』」 「本選びは『真剣勝負』」 「東大で『あの本』が売れない理由」 「『東大生』と『東大本』」 「良書を逃さない選書のコツ」 「東大のカリスマ書店員」 「思考が広がる、深まる『テーマ別読書』」 という具合だ。(まあ、東大生ならそうだろうなという内容だ)。

2章では東大生協での書籍売り上げデータから、よく読まれている本が20冊強紹介されている。目次(細目省略)を追うと「データで見る『頭のいい人の読書』」 「東大生が『世界で活躍するため』に読んでいる本」 「東大生が『スキルアップをするため』に読んでいる本」 「東大生が『幅広い教養を身につけるため』に読んでいる本」 「東大生が『最新のトレンドを追うため』に読んでいる本」。(東京大学出版会から『東大教師が新入生にすすめる本』というブックガイドが出ているが、その本を想起しながら読んだ。)3章では東大生が読んでいる「東大本」と「新書」の紹介。

4章は、東大出身者が語る本の使い方。伊沢拓司、水上颯、山口真由、藤原和博、上田正仁、養老孟司各氏が寄稿している。(読書歴の長い方ほど、内容に重みを感じるのは評者だけだろうか。)

総合して思うに・・・本書は一度通読した後、第2章にある掲載リストをコピーしてブックガイドとすればいいかなという印象である。

2019年2月3日にレビュー

ブックガイド 東大教師が新入生にすすめる本

ブックガイド 東大教師が新入生にすすめる本

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2012/04/24
  • メディア: 単行本



読んで旅する海外文学:24か国の旅行記×77冊の読書ノート

読んで旅する海外文学:24か国の旅行記×77冊の読書ノート

  • 作者: 重松 理恵
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2023/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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「読んで旅する海外文学: 24の国と地域の旅行記×77冊の読書ノート」重松理恵著 大月書店 [読書案内]


読んで旅する海外文学: 24の国と地域の旅行記×77冊の読書ノート

読んで旅する海外文学: 24の国と地域の旅行記×77冊の読書ノート

  • 作者: 重松理恵
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2023/06/08
  • メディア: Kindle版

世界を本で巡る本。著者は大学生協職員であり、『東大生の「本の使い方」』の著書である。

本書は著者の旅行記であり、旅行した土地にまつわる本を紹介する本となっている。評者に言わせれば、要するに趣向の変わったガイドブックでありブックガイドである。

「よくこれだけ旅行しましたね。また、読みましたね」と呆れるほどである。書籍・袖には「こんな読者におススメします!」とあって「アメリカ、ヨーロッパ以外の地域の作品をもっと知りたい!」方、「図書館司書をしているが、海外作品の蔵書を充実させたい」方となっている。

評者のように海外旅行はしない、翻訳書は苦手という人間にとっては、どれもこれも新鮮である。どうしても自分の好みや興味の枠のみの読書になってしまうので、本書のようなブックガイドはありがたい。視野がひろがる。

紹介される「文学」は、必ずしも旅行先の土地の人間が著者というわけではない。たとえばイタリアに関しては塩野七海著「ローマ人の物語」が入っていたりする。また「文学」の中身は小説、エッセイいろいろである。

これから旅行する土地や文化を知るうえで役に立つだろうし、出かけなくても地図を片手に楽しめそうだ。



東大生の本の「使い方」―――「考える武器」としての読書 (三笠書房 電子書籍)

東大生の本の「使い方」―――「考える武器」としての読書 (三笠書房 電子書籍)

  • 作者: 重松 理恵
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: Kindle版



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日本を見渡す48冊 (『読む力』150冊 から) [読書案内]

『近世日本国民史』 徳富蘇峰 講談社学術文庫
『真善美日本人』 三宅雪嶺 同上
『日本風景論』 志賀重昂 同上
『近時政考論』 陸カツナン 岩波文庫
『代表的日本人』 内村鑑三 同上
『新島襄』 和田洋一 岩波現代文庫
『憲法の無意識』 柄谷行人 岩波新書
『日本精神と平和国家』 矢内原忠雄 岩波新書
『国家と宗教』 南原繁 岩波文庫
『内村鑑三』 富岡幸一郎 中公文庫
『イエス伝』 若松英輔 中央公論新社
『根本佛教』 姉崎正治 国書刊行会 著作集第8巻
『基督教の起源』 波多野精一 岩波文庫
『印度六派哲学』 木村泰賢 大法輪閣 全集第2巻
『精神主義』 清沢満之 中公クラシックス
『場所的論理と宗教的世界観』 西田幾多郎 岩波文庫 哲学論集Ⅲ
『禅と日本文化』 鈴木大拙 岩波新書
『はじめての唯識』 多川俊映 春秋社(「唯識入門」)
『中空構造日本の深層』 河合隼雄 中公文庫
『意識と本質』 井筒俊彦 岩波文庫
『日蓮主義教学大観』 田中智学 真世界社
『最終戦争論』 石原莞爾 中公文庫
『阿部一族』 森鴎外 岩波文庫
『日本改造法案大綱』 北一輝 中公文庫
『日本二千六百年史』 大川周明 毎日ワンズ
『忠誠と反逆』 丸山眞男 ちくま学芸文庫
『帝国とナショナリズム』 山内昌之 岩波現代文庫
『いま、なぜ民俗か』 蓮実重彦、山内昌之 東京大学出版会
『日本のナショナリズム』 吉本隆明 筑摩書房
『中村屋のボース』 中島岳志 白水社
『ベルリン』 平井正 せりか書房
『絶対の宣伝』 草森紳一 文遊社
『ファッシズム 思想・運動・政策』 土方成美 岩波書店
『天皇と東大』 立花隆 文春文庫
『ムッソリーニ』 ロマノ・ヴルビッタ 中公新書
『全体主義概論』 務台理作 河出書房 (「廿世紀思想」第8巻「全体主義」所収)
『ファッシズムの社会観』 新明正道 岩波書店
『西洋の没落』 シュペングラー 中公クラシックス
『魔の山』 マン 岩波文庫
『帝国主義論』 レーニン 光文社古典新訳文庫
『ロシア革命史』 トロッキー 岩波文庫
『マルクス主義と民族問題』 スターリン 大月書店
『唯物弁証法読本』 大森義太郎 社会主義協会出版局
『皇民自治本義』 権藤成卿 大地社出版部
『憲政の本義』 吉野作造 中公文庫
『海上の道』 柳田國男 岩波文庫
『十二支考』 南方熊楠 同上
『死者の書』 折口信夫 中公文庫



読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/04/09
  • メディア: 新書



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海外を見渡す52冊 (『読む力』150冊 から) [読書案内]

海外を見渡す52冊

『道徳の系譜』 ニーチェ 岩波文庫
『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』 テンニエス 同上
『民族心理学』 ブント 誠信書房
『歴史と階級意識』 ルカーチ 未来社
『啓蒙の弁証法』 ホルクハイマー、アドルノ 岩波文庫
『ミニマ・モラリア』 アドルノ 法政大学出版局
『パサージュ論』 ベンヤミン 岩波現代文庫
『コミュニケイション的行為の理論』 ハーバマス 未来社
『第三の道』 アンソニー・ギデンズ 日本経済新聞社
『情報とエネルギーの人間学』 ジャック・アタリ 日本評論社
『民族とナショナリズム』 アーネスト・ゲルナー 岩波書店
『定本 想像の共同体』 ベネディクト・アンダーソン 書籍工房早山
『オリエンタリズム』 サイード 平凡社ライブラリー
『ヘーゲル読解入門』 コジェーヴ 国文社
『ネイションとエスニシティ』 アントニー・D・スミス
『人間の条件』 ハンナ・アレント ちくま学芸文庫
『存在と無』 サルトル 同上
『共同研究 転向』 思想の科学研究会 平凡社
『物理学と世界観』 マックス・プランク 育生社
『生命とは何か』 シュレディンガー 岩波文庫
『プリンキピア・マテマティカ序論』 ラッセル、ホワイトヘッド 哲学書房
『論理哲学論考』 ヴィトゲンシュタイン 岩波文庫
『幾何学の基礎』 ヒルベルト 共立出版
『近世数学史談』 高木貞治 岩波文庫
『不完全性定理』 ゲーデル 同上
『悲しき熱帯』 レヴィ=ストロース 中公クラシックス
『テクストの快楽』 ロラン・バルト みすず書房
『根源の彼方に グラマトロジーについて デリダ 現代思潮社
『貨幣空間』 仲正昌樹 世界書院
『知覚の現象学』 メルロ・ポンティ 法政大学出版局
『生態学的視覚論』ジェームズ・ギブソン サイエンス社
『身体化された心』 田中靖夫 工作社
『胎児の世界』 三木成夫 中公新書
『哲学に何ができるか』 廣松渉 五木寛之 中公文庫
『哲学と自然の鏡』 リチャード・ローティ 産業図書
『脱工業社会の到来』 ダニエル・ベル ダイヤモンド社
『サイバネティックス』 ノーバート・ウィーナー 岩波文庫
『システムの科学』 ハーバート・サイモン パーソナルメディア
『心の社会』 マーヴィン・ミンスキー 産業図書
「ゲンロン0 観光客の哲学』 東浩紀 ゲンロン
『ブリキの太鼓』 ギュンター・グラス 集英社文庫
『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ 同上
『夢宮殿』 イスマイル・カダレ 東京創元社
『第二の性』 ボーヴォワール 新潮文庫
『重力と恩寵』 シモーヌ・ヴェイユ 岩波文庫
『海上権力史論』 マハン 原書房
『デモクラシーの理論と現実』 ハルフォード・マッキンダー 同上
『プロパガンダ戦史』 池田徳眞 中公文庫
『レイテ戦記』 大岡昇平 同上
『実践論』『矛盾論』 毛沢東 岩波文庫
『延安日記』ピョートル・ウラジミロフ サイマル出版会
『日本人とユダヤ人』 イザヤ・ベンダサン(山本七平) 角川文庫

読む力 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

読む力 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: Kindle版



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「通俗本」50冊 『読む力』150冊から [読書案内]


読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/04/09
  • メディア: 新書


「通俗本」50冊

『排蘆小船(あしわけおぶね)』 本居宣長 中公バックス
『ロウソクの科学』 ファラデー 角川文庫
「数学新書」シリーズ ソビエト科学アカデミー哲学研究所 商工出版社
『科学と方法』 アンリ・ポアンカレ 岩波書店
『コペルニクス革命』 トーマス・クーン 講談社学術文庫
『ソロモンの指輪』 コンラート・ローレンツ ハヤカワ文庫
『パンダの親指』 グールド ハヤカワ・ノンフィクション文庫
『裸のサル』 デズモンド・モリス 角川文庫
『不思議の国のトムキンス』 ジョージ・ガモフ 白楊社
『モモ』 エンデ 岩波少年文庫
『ソフィーの世界』 ヨーンスタイン・ゴルデル NHK出版
『哲学入門』 バートランド・ラッセル ちくま学芸文庫
『歴史における科学』 バナール みすず書房
『歴史的現実』 田辺元 岩波書店
『人生論ノート』 三木清 新潮文庫
『まてりありすむ・みりたんす』 大森義太郎 中央公論社
『日本人の心の歴史』 唐木順三 ちくま学芸文庫
『ヒューマニズム考』 渡辺一夫 講談社現代新書
『カイエ・ソバージュ』シリーズ1~5 中沢新一 
『構造と力』 浅田彰 勁草書房 
『第二芸術』 桑原武夫 講談社学術文庫
『文明の生態史観』 梅棹忠夫 中公文庫
『惰眠の哲学』 山内得立 岩波書店
『戦後秘史』 大森実 講談社文庫
『昭和史発掘』松本清張 文春文庫
『マクルーハン理論の展開と応用』 竹村健一 講談社
『バカの壁』 養老孟司 新潮新書
『戦後まんがの表現空間』 大塚英志 法蔵館
『沈黙の春』 レイチェル・カーソン 新潮文庫
『赤の女王』 マット・リドレー ハヤカワ・ノンフィクション文庫
『日本人の偉さの研究』 中山忠直 大空社
『天皇陛下の味方です』 鈴木邦男 バジリコ
『後鳥羽院』 保田輿重郎 新学社
『崇高と美の観念の起源』 エドマンド・バーク みすず書房
『ソ連のすべて』 企画・監修 福田恒存 高木書房
『大東亜戦争肯定論』 林房雄 中公文庫
『火の鳥』 手塚治虫 講談社
『カムイ伝』 白土三平 小学館
『社長島耕作』 広兼憲史 講談社
『ドーダの近代史』 鹿島茂 朝日新聞社
『イエス伝』 エルネスト・ルナン 岩波文庫
『法華経の智慧』 池田大作 聖教新聞社
『世界がわかる宗教社会学入門』 橋爪大三郎 ちくま文庫
『神と仏』 山折哲雄 講談社現代新書
『日本宗教史』 末木文美士 岩波新書
『日本人のための宗教原理』 小室直樹 徳間書店
『ポロポロ』 田中小実昌 中公文庫
『仁義なきキリスト教史』 架神恭介 ちくま文庫


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『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』 高野 秀行・清水克行 集英社インターナショナル [読書案内]


辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2018/04/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書から得られる「教養」は、たいへん大きい

3ヶ月ごとに、課題図書を出し合い、8冊の本について語り合う。つまり2年にわたる二人「読書会」であり、「読書合戦」の記録である。立ち会う者からすると、たいへん味わい深いもので、このままさらに「合戦」を続けて欲しく思う。

もっとも、高野氏にいわせると「今だから告白するが、正直何度も、『この読書会、もう辞めたい・・・』と思った」のだそうである。ある課題図書(高野氏自身が提案した『大旅行記』)は「ざっと読むだけでも2週間かかり」、提案された清水氏は「少ない夏休みを棒に振」るなどしたという。また、こうも記している。「本を読み、丹念にメモをとり、疑問点や意見、感想をまとめる。それだけではない。ときには同じ著者の他の著作やテーマに関連した別の著者の本まで読む。特に清水さんが熱心に『これを読んでおいたほうがいいですよ』と勧めてくる。読まないわけにいかないじゃないか」。

とはいうものの、同時に、「素晴らしい充実感に包まれた」時を過ごした、という。その「充実感」は、読む者にも伝わってくる。

同じく「あとがき」で、高野氏は「教養」について書いている。「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追求していくことは、『ここが今どこなのか』を把握するために最も有力な手段なのだ。その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではなかろうか。 / もちろん、日常のルーティンにおいて、そんなことはほぼどうでもいい。だから往々にして教養は『役に立たない空疎な知識』として退けられ、いまやその傾向はますます強まっている。でも、個人や集団や国家が何かを決断するとき、自分たちの現在位置を知らずしてどうやって方向性を見定めることができるだろう。 / その最も頼りになる羅針盤(現代風にいえばGPS機能)が旅と歴史であり、すなわち『教養』なのだと初めて肌身で感じたのだ。同時に五十歳を過ぎてそんな初歩的なことに気づくようだから、私の人生は迷走の繰り返しだったのだと腑に落ちた。でも重要な決断は人生あるいはその集団や国家が終わるまで必要とされるのであり、教養を学ぶのに遅すぎることはないとも思うのである。」

「辺境」へ旅し、歴史へ分け入るその深さゆえ、本書から得られる「教養」は、たいへん大きい。

2018年6月6日にレビュー

世界の辺境とハードボイルド室町時代

世界の辺境とハードボイルド室町時代

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2015/08/26
  • メディア: 単行本



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『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』 高野 秀行・清水克行 集英社インターナショナル [読書案内]


辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2018/04/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



書物をめぐる対談本。発見があってオモシロイ。

第1章で扱われるのは、みすず書房から出ている『ゾミア』 。

ゾミア―― 脱国家の世界史

ゾミア―― 脱国家の世界史

  • 作者: ジェームズ・C・スコット
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2013/10/04
  • メディア: 単行本



「文明から未開へ」逆転の歴史観 リーダーを生まず、文字を捨てるという知恵 との紹介文もあるが、意図的に文明から立ち遅れたと思われる人々について触れられている。

以前読んだ本を思い出した。【日本の「アジール」を訪ねて: 漂泊民の居場所】という本だ。


日本の「アジール」を訪ねて: 漂泊民の居場所

日本の「アジール」を訪ねて: 漂泊民の居場所

  • 作者: 筒井 功
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: 単行本



あえて定住しない「漂泊民」としての生き方は、「国家」からの逃避であり、自由への希求のあらわれと見做していたのであったように覚えている。

「ゾミア」と類似している・・・。
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『絶景本棚』 本の雑誌社 [読書案内]


絶景本棚

絶景本棚

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 本の雑誌社
  • 発売日: 2018/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


驚きっぱなし

驚くべき本棚・蔵書の数々。個人蔵書としてこれほどの量を所有している方がごろごろいる事実に驚いた。万単位の本をもっているのは、司馬遼太郎、井上ひさし、渡部昇一さん以外にも大勢いるということだ。しかし、これも驚いたことだが、評者は、京極夏彦氏、成毛眞氏以外存じ上げない。ほかの方はまったくの未知であり、その事実に情けない思いをしている。と、いうよりなにより本書を提供した『本の雑誌』を知らないことの方が、驚異にちがいない。ウワサに聴くていどで、見たこともなかったので、見なくてはならないと思っている。

以下、掲載者名とそこに付されたコメントと(解説) をあげてみる。細谷正充氏についての(解説)には「とにかく買うのが好きで、ブックオフに行けば108円コーナーで山のように買ってきてしまうそうだ。常時1万冊くらい探している本があれば、なにかしら買う本はありますよとのこと」とあるのにはド肝を抜かれた。探索本がそんなにあるとは驚きではないか!

皆さん、たしかにうらやましい限りなのだが、一番共感したのが、最後に掲載された小山力也、牧野伊三夫両氏のエッセイというのが真実のところ。本棚よりなにより大きな家に住みたい。本書がムック本の大判サイズでないのは、そこを考量してのことか、など考えてしまった。

第1章 『百花繚乱篇』の七氏は、コメントなし。見ればわかろうということらしい。
松原隆一郎 / 京極夏彦 / 荻原魚雷 / 渡辺武信 / 成毛眞 / 今尾恵介 / 幅允孝

第2章 『不撓不屈篇』 根岸哲也「生活空間に本が押し寄せる」(すべて揃っているのは片岡義男くらい) / 喜国雅彦「本棚探偵は蔵書スリム化進行中」 / 日下三蔵「日本最大級の魔窟にして秘境」 / 永嶋俊一郎「資料室然としたリラックス空間」 / 祖父江慎「活字印刷の歴史をたどる道」 / 細谷正充「15万冊収納しても、まだまだ余地あり」 / 宮田珠己「図鑑にSF、博学の書が勢ぞろい」(いちばん大事にしている本は荒俣宏の『世界大博物図鑑』) / 名久井直子「うっとりながめる」(吉屋展子『花物語』)

第3章『泰然自若篇』 境田稔信「辞書三昧。『言海』だけで260冊以上!」 / 吉田豪「心身注ぐタレント本&グッズに囲まれて」 / 藤脇邦夫「エンタメ全開の本棚」(圧巻はなんといっても小林信彦コーナー) / 北原尚彦「背が見えなくても大丈夫。本棚裏地図で徹底管理」 / 春日武彦「レンガアーチの奥に広がるフランク・ザッパな空間」 / 松村幹彦「パラフィンに包まれるのはとっておきの一冊」 / 中野善夫「日焼けは完全ブロック!『棚入り」の本たち」 / 勝峰富雄「まるで岸壁!天井に到達する本棚」 / 加藤文「味ある和洋古書は父が残し(て田村書店が引き取らなかった)『良くない』本」 / 都築響一「ファン“必読” 背表紙から近づく都築響一ワールド」(「目標は蔵書ゼロ。必要なものはデータでクラウド上にあればいい」「自分にとって大事なのは蔵書じゃなくてフットワーク」) / 日暮雅通「廊下に玄関、長身の靴箱まで、いたるところに本のある家」

第4章『一球入魂篇』 鏡明「本の層で埋まってゆくゆとりの空間」 / 新井素子「『あたしは、まず、巨大な本棚を作る』 完成したのは図書館級の書庫」 / 嶋浩一郎「一見整然、その実雑然。並びなんて気にしない」 / 川出正樹「戦後刊行された翻訳ミステリー叢書がほぼ揃う棚」 / 西田薫「玄関入っていきなりの書庫」 / 近藤隆「キモは背表紙」 / 鳥海修「スチール製キャビネットが支える重量級の蔵書群」 / 森英俊「海外原書に貸本漫画、探偵もの。古本神の蔵書は激レア本の山なのだ」

2018年4月9日にレビュー

渡部昇一 青春の読書

渡部昇一 青春の読書

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: 単行本


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『周作人読書雑記1 (東洋文庫)』 中島長文訳 平凡社 [読書案内]


周作人読書雑記1 (東洋文庫)

周作人読書雑記1 (東洋文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2018/01/28
  • メディア: 単行本


清朝-民国・過渡期の進歩的知識人にとって読書(知的世界)とは・・・

周作人は魯迅の弟。『周作人散文全集』全14巻がある。「そうした著作の中から、直接書物に関する文集を集めて、彼が古今東西の書物をどう読んだか、どう読むべきかと考えたかを示す選集が出た。・・・『知堂書話』上下2巻である。本書はこの『知堂書話』を参考に、増訂し編成を変えて翻訳したもの」。

清朝が破綻するまで、読書人というと科挙試験に合格するためにだけ本を読むという具合だった。読む本ときては四書五経に決まっていた。辛亥革命で清国が崩壊して民国の建設が始まる。政治面ではその後の混乱が長引くが、文化的には学制の改革や文学革命、新文化運動で大きく局面が展開した。周作人らは、その急先鋒となって、科学的知識と人道的見地から古今中外の書物を批判的に読むという立場を打ち出し、新しい知識階級を作るべく文化界を牽引した。『自分の畑』をはじめ次々と文集を出版し、散文の名手としても名を上げ、民国の文壇の重鎮となった。ずっとのちに日本の中国侵略が東北三省だけでなく全土に拡大し、周作人が日本の協力者になると、彼の評判はむろん地に落ちたが、それまでは兄の魯迅とその声望を二分するだけの地位を確立していた。その啓蒙主義的文章は外国人であるわれわれが今読んでもなんの違和感もない。むしろ五四運動から百年経つ今でも中国人の宿弊に対しては有効ではないかと思われる。

以上、「第一巻あとがき」から引用した。ざっとページを繰ってみるだけで、取り上げられている書籍名からたいへんな読書家であったことが一目瞭然である。日本に留学していた時期もあり、本巻には『東京の書店』と題するものもあり、「東京の書店というとまず最初に思い出すのはなんといっても丸善である。・・中略・・わたしは1906年8月に東京に行き、丸善で最初に買ったのはセインツベリーの『英文学小史』とテーヌの英訳本4冊であった。」などとある。また、『老年の書』では「谷崎潤一郎の文章はわたしの好きなものだ。だがそれはたいていが随筆で、小説は最近の『春琴抄』『芦刈』『武州公秘話』など何篇かのほかは、多く読んでいない。』とあって、そののち長い引用がなされている。日本語、英語に堪能であったようである。

先に「中国人の宿弊に対して有効」という言葉を引用したが、『四庫全書』漫談 の言葉は、それに相当するものにちがいない。もっとも日本人についても有効に思う。そこには「中国人の読書人は『四庫全書』のことを言うと、どうも五体投地して敬服するが、これはしかし間違っている。古い人間はいうまでもないが、新しい者も欧米人の影響を受けて、やはりみなこれがたいした文化遺産だと思い、その実際の価値については実のところそれほどよくは知らない。『四庫』とは何か。これは清朝の乾隆帝弘暦が開いた図書館に過ぎず、蒐集したものは多いけれど、すべて謄写を経た、校勘を問題にしない抄写本で、装丁はきれいだが、内容は当てにならず、とてものちの諸家の校本が学術的価値を持つのに及ばない。・・」などとある。

索引が付されておらず、各項それひとつが一冊の書籍について記されているわけではない。雑多である。それでも、周作人を介した魅力的な読書案内として見ていくことができるだろう。清朝-民国・過渡期の進歩的知識人にとって読書(知的世界)とは如何なるものだったのか知るうえでも大いに役立つように思う。

2018年3月16日にレビュー

周作人(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E4%BD%9C%E4%BA%BA


日本談義集 (東洋文庫)

日本談義集 (東洋文庫)

  • 作者: 周作人
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/05/24
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)



周作人「対日協力」の顛末―補注『北京苦住庵記』ならびに後日編

周作人「対日協力」の顛末―補注『北京苦住庵記』ならびに後日編

  • 作者: 木山 英雄
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/07/27
  • メディア: 単行本



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『生命の灯となる49冊の本』 中村桂子著 青土社 [読書案内]


生命の灯となる49冊の本

生命の灯となる49冊の本

  • 作者: 中村桂子
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


『毎日新聞』書評欄に掲載(2010~2017)された中から選び出されたもの

『毎日新聞』書評欄(「今週の本棚」)に掲載(2010~2017)された中から選び出されたもの。著者の誠実な人柄が伝わってくる書評集である。

著者「まえがき」には、丸谷才一氏から「評者の一人として参加しませんかとのお誘いをいただいた」1992年当時の思いがつづられている。また、「あとがき」には、〈 「生命誌」という新しい知を求め、「人間は生きもの」であるというあたりまえのことを基本とする生き方を考えていきたいのですが、その底には科学があります。「科学」はどうしても面倒な話になり、そのために専門外の方には敬遠されがちです。でもその面倒があるからこそ本質がストンとわかるということも少なくありません。科学がそいういうものとして受け入れられるようになって欲しいと思っています。書評という形でそのような可能性が広がらないだろうか。そんな思いを込めて書いています。〉とある。

章立ては、第1章「いのち」、第2章「せかい」、第3章「こころ」。掲載されている書名・著者は以下のようになっている。読書案内として活用したい。

第1章 〈親切な進化生物学者 オレン・ハーマン〉〈生命は細部に宿りたまう 加藤真著〉〈サバンナの動物親子に学ぶ 羽仁進著〉〈かたち フィリップ・ボール著〉〈家族進化論 山際寿一著〉〈*動物には魂はあるのか 金森修著〉〈われらはチンパンジーにあらず ジェレミー・テイラー著〉〈*鼻の先から尻尾まで 岩田誠著〉〈サイボーグ昆虫、フェロモンを追う〉〈ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録 カスパー・ヘンダーソン著〉〈ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴェンテ・ペーボ著〉〈森を食べる植物 塚谷裕一著〉〈ゲノム編集の衝撃 NHK「ゲノム編集」取材班〉〈ゴジラ幻論 倉谷滋著〉〈*ホモ ピクトル ムジカーリス 岩田誠著〉 

第2章 〈*多主語的なアジア 杉浦康平著〉〈地球最後の日のための種子 スーザン・ドウォーキン著〉〈穆如清風(おだやかなることきよきかぜのごとし) 中田力著〉〈*ふしぎなキリスト教 橋爪大三郎x大澤真幸〉〈*なぜ地球だけに陸と海があるのか 巽 好幸著〉〈*弱いロボット 岡田美智雄著〉〈*言語が違えば、世界も違って見えるわけ ガイ・ドイッチャー著〉〈*世界の技術を支配するベル研究所の興亡 ジョン・ガードナー著〉〈*ここまでわかった!縄文人の植物利用 工藤雄一郎編〉〈ねずみに支配された島 ウィリアム・ソウルゼンバーグ著〉〈「運ぶヒト」の人類学 川田順造著〉〈感染症の世界史 石弘之著〉〈*ハーレムの闘う本屋 ヴォーンダ・ミショー・ネルソン著〉〈未来世代の権利 服部英二 編著〉〈時を刻む湖 中川毅著〉〈*がん哲学外来へようこそ 樋野興夫著〉〈世界をつくった6つの革命の物語 スティーブン・ジョンソン著〉〈*地球はなぜ「水の惑星」なのか 唐戸俊一郎著〉〈世界からバナナがなくなるまえに ロブ・ダン著〉 

第3章 〈方丈記 鴨長明〉〈*精神を切る手術 橳島次郎著〉〈百年の手紙 梯久美子著〉〈*ぼくの頭の中 新宮晋著〉〈3・11に生まれた君へ 「君の椅子」プロジェクト編〉〈*宇宙と人間七つのなぞ 湯川秀樹著〉〈骨のうたう 小林 察著〉〈空海 高村薫著〉〈*心はすべて数学である 津田一郎著〉〈手話を生きる 斉藤道雄著〉〈正倉院宝物 杉本一樹著〉〈*宮沢賢治の真実 今野勉著〉〈永遠平和のために イマヌエル・カント〉〈*ネガティブ・ケイパビリティ 帚木蓬生著〉

2018年2月23日にレビュー

科学者が人間であること (岩波新書)

科学者が人間であること (岩波新書)

  • 作者: 中村 桂子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/08/22
  • メディア: 新書



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