『新版 ハマトンの知的生活』翻訳:渡部 昇一 ・ 下谷 和幸 三笠書房 [教育・学び]
現代の「知の巨人」のひとり故・渡部昇一先生の範とされたP.G.ハマトンの「知的生活」のすすめである。それはただ本を読んで思索にふけり書をしたためるというものではない。まさに「生活」である。食べること、眠ること、運動することなどなどが関係する。ゲーテやカント等の「知的生活」への言及もある。彼らをとおして「知的生活」の築き方を学ぶことができる。
評者は、トルストイの『イワンの馬鹿』を想起した。「知的生活」と馬鹿のイワンとではおおきな違いがあるように見える。しかし、腹痛であっても頭痛であっても愚直に耕作をつづける馬鹿のイワンのように「知的」であろうとするなら、ちいさな日々の積み重ねは生き方となり、それはやがて実をむすぶ。そんなことを思いながら読んだ。