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「電通 洗脳広告代理店」苫米地英人著 [社会・政治]


電通 洗脳広告代理店

電通 洗脳広告代理店

  • 作者: 苫米地 英人
  • 出版社/メーカー: サイゾー
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: Kindle版



以下は、本年1月21日に、上記書籍についてAmazonにレビュー投稿したもの。

タイトルは、「電通」を巨大化させたものは何か?

新聞、テレビなどメディアに巨大な影響力をもつ「電通」。その影響力が、メディアを本来あるべき姿から遠い存在にしていることが示される。メディアは、国民の方ではなく、広告をくれるスポンサー企業(直接的には「電通」)の方を向き、媚びへつらい、権力を監視する役割を果たしていない。それは、権力のもとにある一般市民(つまり、われわれ)に不利益をもたらしている。なぜ、一企業にすぎない「電通」がそれほどまでに巨大化したのか、その背景が示される。巨大化しバケモノのようになっていながら、なぜ独占禁止法が適用されないのか、その理由が示される。その影響力のもと、国民はバカにされ、実際バカになってしまった。バカになっていながら、バカになっていることも分からないあり様だ。ちょうど「電通」というバケモノが目に入らないのと同じだ。きっと、バカになりきっているからにちがいない。著者は、そこに「洗脳」が関係していることを示す。洗脳から抜け出るよう助ける。バカはバカのままでいてはいけない。知識がバカを脱する助けになる。著者はバカをやめるよう呼びかける。本書が出版(東北大震災の翌年に発行)されて後、著者の呼びかけに「電通」の心ある社員はこたえ応じた風はなく、「電通」も解体されてはいない。であれば、各自「電通」の影響力が今でもメディアをとおして行使されていることを忘れずにいる必要がある。騙されないようにする必要がある。騙されないためのカギは知識であり、自分のアタマで考えることだ。

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「国家が人を殺すとき」 ヘルムート・オルトナー著 日本評論社 [社会・政治]


国家が人を殺すとき

国家が人を殺すとき

  • 作者: ヘルムート・オルトナー
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2019/03/04
  • メディア: 単行本


「不条理」「滑稽さ」を感じる

副題にあるように「死刑を廃止すべき理由」について記されている。しかし、そう内容は単純ではない。理由を列挙し、死刑は不合理であるので、廃止すべきであると声高に主張するという論調ではない。死刑という制度を、“正義”をもって(いわば、独善的に)暴き・裁くというのではなく、人間存在そのもののもつ闇に(同じく暗部をもつ人間のひとりとして)手を突っ込んで引き出すような仕事がなされている。

そこから引き出されたモノは、不合理というより「不条理」といった方がいいように思う。「不条理とは何よりもまず高度の滑稽である(ウィキペディア)」とあるが、「死刑」の名のもと、国家が(人を介して)人を殺すという営為に、「滑稽さ」を覚える。ばかばかしいという感情も湧いてくる。それは本書が、知に働きかけるだけのモノではないことを示している。

「この書物は文献の渉猟と調査と聞き取りの産物である」「私がとくにインスパイアされた書籍はリチャード・J・エヴァンズの『復讐の儀式ーードイツにおける死刑1532-1987』である(「出典について」)」と著者はいう。その他、多くの文献が用いられ、死刑の不条理があぶりだされる。

実質的に、本書は死刑の歴史であり、死刑の現在の本でもある。「国民の多数が国家による殺人システムを暗黙裡に了解している」民主主義国家として日本への言及もある。多くの者にとって「暗黙裡に」置かれている死刑制度に光を当てることが本書の望みと著者はいう。光は当てられ、あぶりだされたモノを読者は見ることができる。本書が、死刑制度の是非を問う有用な書籍であることは間違いない。


特別寄稿 『国家が人を殺すとき』日本語版へ 村井敏邦
プロローグ 国民の名のもとにーー最新の状況

序 
1 国家が人を殺すとき――長らく待たされたトロイ・デイビス
2 アーカンソー州の薬物カクテル注射
     ――または、なぜ米国ではその薬物が不足するのか

第1部 儀式――太古の罰
第1章 殺害のカタログーー権力と名誉と死
第2章 神の手による殺害ーー報復と和解
第3章 最後の食事ーー和解の申し入れ

第2部 処刑器具――殺害技術の進歩
第1章 すべての権能を機械にゆだねてーーギロチン
第2章 銃弾による死ーー銃殺
第3章 身体に流される電気ーー電気椅子
第4章 「アクアリウム」での死ーーガス室
第5章 血管からもたらされる死ーー薬物注射

第3部 執行人――法の手足となって
第1章 処刑人という職ーー追放されし者
第2章 カルニフェクス(死刑執行人)--関連資料
第3章 「私はよき処刑人でした」--死刑執行人が語る
第4章 ギロチンの隣に立つ男ーーヨハン・ライヒハルト

第4部 マーケッター――殺害の値段
第1章 悪に対する米国の闘い 

第5部 告知するもの――公的な演出
第1章 恐怖の劇場ーー民衆文化と死刑
第2章 最期の言葉ーー処刑された人々が遺した言葉

エピローグ 
死刑についての考察――ある見解表明

展望 
希望のとき?――死刑制度をめぐる世界の現状

死刑制度に抗して トーマス・フィッシャー

訳者あとがき 須藤正美

補遺
処刑方法に関する資料ーー絞首刑から薬物注射まで
1976年以降に死刑制度を廃止した国々
出典について

文献一覧

以下は、「私は写真集を自律言語として評価している。本書には収録されていないが、米国の女性カメラマンの卓越した写真集」として著者が紹介する書籍。「米国の処刑室を撮った」「資料価値の高い冷静な写真の数々」が掲載されているという。

2019年6月11日にレビュー

The Omega Suites

The Omega Suites

  • 作者: Lucinda Devlin
  • 出版社/メーカー: Steidl
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: ハードカバー



以下は「文献一覧」に紹介されている邦訳書籍

ギロチンと恐怖の幻想

ギロチンと恐怖の幻想

  • 作者: ダニエル アラス
  • 出版社/メーカー: 福武書店
  • 発売日: 1989/06
  • メディア: 単行本



犯罪と刑罰

犯罪と刑罰

  • 作者: チェーザレ・ベッカリーア
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 2011/02/11
  • メディア: 単行本



図説 死刑物語―起源と歴史と犠牲者

図説 死刑物語―起源と歴史と犠牲者

  • 作者: カール・ブルノー レーダー
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 1989/10
  • メディア: 単行本



ヒトラーの裁判官フライスラー

ヒトラーの裁判官フライスラー

  • 作者: ヘルムート・オルトナー
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本



死刑産業―アメリカ死刑執行マニュアル

死刑産業―アメリカ死刑執行マニュアル

  • 作者: スティーヴン トロンブレイ
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 1997/01/01
  • メディア: 単行本



監獄の誕生 ― 監視と処罰

監獄の誕生 ― 監視と処罰

  • 作者: ミシェル・フーコー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/09/01
  • メディア: 単行本



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米国人弁護士だから見抜けた 日弁連の正体 ケント・ギルバート著 扶桑社 [社会・政治]


米国人弁護士だから見抜けた 日弁連の正体

米国人弁護士だから見抜けた 日弁連の正体

  • 作者: ケント・ギルバート
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「因縁」の対決

著者が大学院生だった頃の「因縁」話もでている。外国人弁護士を煙たく思っていた(「よう」な)日弁連が、著者の就労ビザが下りないように仕向けて「いたらし」く、そのお蔭で、もらえるはずの高給を1カ月分もらいそこねたという。「弁償してもらいたいですね」と『おわりに』に書いている。

その因縁のある日弁連の正体を著者は暴く。怒りはしばしば理性を失わせ論議を偏らせるが、著者の怒りは、時間の経過とともに深まり、「正体」に肉迫する熱意となったようだ。逐一丁寧に読んだわけではないが、論議は偏っていないように思う。そして、たしかに、著者の指摘通りであれば、(そこに属するすべての弁護士がそうだとは言わないまでも)、日弁連はたいへん偏ったグループであると言えそうだ。

組織も、人間と同じく、その性格を特徴付けるモノが時間とともに積み重なり、顕れてくる。してみると、著者「26歳の頃」より(表紙に見る著者はだいぶお年を召したが)ずっと、日弁連の性格を見抜くことはたやすいということになる。これはどの組織についても言えることだが、今後もその動向を注意して見ていく必要がありそうだ。

2019年1月11日にレビュー
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トコトンやさしい道路の本 (今日からモノ知りシリーズ) 峯岸 邦夫著 日刊工業新聞社 [社会・政治]


トコトンやさしい道路の本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい道路の本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 峯岸 邦夫
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本


道路を見る目が変る

毎日お世話になっている道路のことを知ろうと本書を手にした。「トコトンやさしい」シリーズであれば、やさしく教えてくれるだろうと期待した。期待に違わなかったことを報告したい。

第1章「道路とは?」は、項目1「交通って何?」から始まる。そこで、「このような人や物の場所的な移動のことを、私たちは『交通』と読んでいます。・・略・・一方で、交通は空間的に隔離された地理的な障壁を乗り越える行為とも言われます」。項目5「道路の機能(1)」では、その機能として「通行機能」「アクセス機能」「滞留機能」が挙げられ、「これらを合わせて『道路の交通機能」と呼んでいます」とある。こうした説明が項目ごとに見開き2ページ(1ページはイラスト等)で展開する。7章67項目で構成されている。解説は、簡潔明瞭で、たいへん理解しやすい。

歴史的な面も取り上げられる。第2章は「道路にまつわる歴史と文化」であり、その項目12「道路の歴史(世界編その1)」の副題には「道路網の整備は時の権力者の象徴」とある。また、第6章:道路の管理および保守・点検と更新 の項目53「信号制御と表示」で、「信号制御は、同一平面上で交差する道路に対して、青、黄、赤の表示で時間的に通行権を分配して、安全かつ円滑な交通を確保する最も有効なものです」という説明もある。道路と支配権、道路とそこを通行する権利との関係が示される。

もちろん、実際の道路がどのように施工されているのか知ることのできる章(4章「舗装の種類や施工方法」、5章「舗装の材料と道路工事の現場」)も用意されている。

道路を歩き、運転しているだけでは、決して考えることのないであろう気づきを与えてくれるオモシロイ本だ。

(以下、「目次」)1章:道路とは? 2章:道路にまつわる歴史と文化 3章:道路を計画・設計するとき考えていること 4章:舗装の種類や施工方法 5章:舗装の材料と道路工事の現場 6章:道路の管理、保守点検と更新 7章:道路事業を行うにあたって

2019年1月11日にレビュー

トコトンやさしいダムの本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいダムの本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 溝渕 利明
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2018/07/25
  • メディア: 単行本




THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―

THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―

  • 作者: ナディア・ムラド
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2018/11/30
  • メディア: 単行本



以下は、上記書籍『THE LAST GIRL』からの抜粋

イラクの都市間をつなぐ道路は、こうした道が連なっていることが多く、ある場所がほかより危険であることもあるし、それにいつも混んでいた。ISISがやってきたとき、都市を占領する以前にまず道路を支配下に置く戦略が取られた。交通を遮断し、逃げられないようにして人々を孤立させた。それから、検問所を置いて、逃げ出すものがいれば簡単につかまえられるようにしたのだ。イラクの大部分では、市民が町を出て逃げるには、舗装されたハイウェイを通っていくしかない。開けた平野と砂漠には、人が隠れるところなどほとんどない。大小の都市がイラクの臓器であるなら、道路は動脈と静脈で、ISISがそれらを支配下に収めたときには、住民の生死を決める権利をも手に入れることになったのだ。p324


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目次「ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ」大村 大次郎著 ビジネス社 [社会・政治]


ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ

ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ

  • 作者: 大村 大次郎
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2018/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



著者の考えは、ノーベル平和賞を受けたムハマド・ユヌスのマイクロファイナンスより実行可能で、効果的かもしれない・・・。


以下、上記イメージ書籍の「目次」。

はじめに

第1章 「お金の仕組み」は欠陥だらけ
そもそも「お金の仕組み」は矛盾だらけ*社会のお金の量は「借金の量」で決まる*「社会のお金」は常に不足している*社会全体が借金を完済すれば金融は破綻する*我々は「拡大再生産」を義務付けられている*「質が豊かになれば破綻」という恐怖のシステム*「現代通貨システム」にとって節約は敵*現代通貨システムが環境破壊を引き起こした*現在の「お金の仕組み」にとっての正解はバブル経済*「お金の仕組みにとっての正解」と「人類の幸福」はマッチしない*大企業や大金持ちの要求が最優先される*我々は常に銀行の利益に振り回される*ビジネス社会が騙し合いになる理由*貿易戦争もお金の欠陥が一因*通貨切り下げ競争の不思議*国際収支の黒字で自国の通貨量が増えるカラクリ*今のお金は「作り物」に過ぎないのにコントロールできない

第2章 信じられないほどいい加減な「お金の成り立ち」
そもそも、お金はどうやって作られたのか?*なぜお金の起源がコインなのか?*貴金属のお金の問題点*17世紀の商人の悪知恵から始まった現代のお金*悪いジョークのような現代の銀行の仕組み*なぜ「商人の悪だくみ」が今も金融制度の中心になっているのか?*なぜアメリカの株価が暴落したら世界大恐慌になったのか?*世界大恐慌も「お金の欠陥」が要因*リーマン・ショックも「お金の欠陥」のせい

第3章 現代の紙幣はただの紙切れ
「金匠の悪知恵」と「今の金融システム」の違いとは?*なぜ金本位制が世界標準となったのか?*日本も明治の早い段階で金本位制に*第一次世界大戦で金本位制が揺らぐ*アメリカの台頭が世界金融システムを揺るがす*アメリカの金の貯めこみにより金本位制が崩壊*第二次世界大戦後の「金・ドル本位制」とは?*「金・ドル本位制」も長くは続かなかった*貴金属との兌換保証がない現代の通貨*お金の仕組みの矛盾を象徴する“アメリカ・ドル”*アメリカが赤字だからこそ世界経済は回っている*アメリカの借金が世界のお金の原資になっている

第4章 「お金の欠陥」と「日本のデフレ」の関係
企業の堅実な経営が不況を招く*なぜ日本はバブル期まで景気が良かったのか?*借金を減らしたために景気が悪化した*「金回りの悪さ」は先進国共通の悩み*貯蓄が経済を停滞させる*日本人の勤勉さが日本経済のクビを絞める*デフレの最大の要因は人件費*この20年間、先進国で賃金が上昇していないのは日本だけ*日本の企業は世界一ケチ*アメリカの金融緩和は何を意図していたのか?*なぜ黒田バズーカは効果がないのか?日本の金融緩和政策はいずれ必ずやめなくてはならない*財政赤字で日本経済は救われている?*日本が貿易黒字にこだわる理由*日本の貿易収支は異常*世界貿易において日本は迷惑者?*高度成長期には、なぜ国民生活が劇的に豊かになったのか?*持続不可能な高度成長システム

第5章 “国連版仮想通貨”の発行を
新しい通貨制度を*銀行に返さなくていい通貨を*仮想通貨の衝撃*“国連版仮想通貨”を*全世界の人々に毎年100ドル支給する*世界でもっとも信用のできる通貨*なぜ“IMF版”ではなく“国連版”なのか?*ドル・ペッグ制にすればアメリカのメンツも保てる*“直接支給”にこだわるべし*技術的には十分に可能*地域紛争や独裁政権の解消にもつながる*必ずしも“仮想”通貨でなくてもいい*衝撃が大きい地域は弾力的にすればよい*貧しい人の欲求が世界経済に反映される*本当の意味での「民主化」*世界経済の景気が大きく刺激される*先進国の負担が大幅に減る*世界の通貨の量を調整できるようになる*ハイパーインフレなどは絶対に起きない*金持ちから間接的に税を取ることになる*いい税金の条件とは?*“国連版仮想通貨”は理想の税金*すべてを平等に配分するわけではない*世界的な経済学者も提言*おそらく銀行は猛反対する

おわりに

************

ムハマド・ユヌス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%8C%E3%82%B9


3つのゼロの世界――貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済

3つのゼロの世界――貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済

  • 作者: ムハマド ユヌス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/02/20
  • メディア: 単行本



ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム

ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム

  • 作者: ムハマド ユヌス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/22
  • メディア: 単行本



インドを襲うマイクロファイナンスの悲劇、借金苦で貧困層の自殺多発(bloomberg) [2010年12月29日(Wed)] http://blog.canpan.info/dogenkasenaika/archive/5055



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ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ 大村 大次郎著 ビジネス社 [社会・政治]


ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ

ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ

  • 作者: 大村 大次郎
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2018/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


予想に反してオモシロイ

評者は、大村大次郎氏の本をはじめて読む。ウィキペディアや本書プロフィルを見ると、実名ではなくペンネームらしい。学歴も示されていない。ラジオに出演しているらしいが、評者は聞いたことがない。「元・・」という肩書きは、評論家・作家である佐藤優氏をマネているようでもある。そして、本書タイトルは、人騒がせで、売らんがためにつけたかの印象がある。要するに、言いたいのは、ウサンクサイ思いで読み始めたということだ。

ところが、予想に反して、オモシロイ。面白いだけでなく、タイヘンな本である。タイヘンというのは、啓発的であり、自分の見ている現実世界に対応しているだけでなく、その解決策も提示していると思われるところからくる。

もちろん、啓発的であるというのは「評者にとって」という条件付きである。経済に詳しい情報通には、そうではないと言う方もいるにちがいない。また、本書の解決策を壮大なビジョンとしてではなく、馬鹿げたものと見なす方も中にはいるだろう。しかし、それを承知の上で、未読の方には一読をお勧めしたい。繰りかえし、同じことが、いろいろな切り口で語られる。つまりそれは、現在の「お金の(流通の)しくみ」は間違っているということだ。その間違った「お金のしくみ」がどのように始まって、間違っていると知られながら延々と続いてきたかが示されている。これまでボンヤリとしていた「金本位制」の意味を、評者は本書でやっと把握できた。ニクソン・ショックの意味も理解できた。「17世紀ヨーロッパの悪徳商人」のやり方が踏襲された世の中に住んでいることも分かった。そして今日、喧伝されている「デフレ脱却」のための手順もまた、間違っているらしいことが・・・。

そしてさらに著者は(現実的でバランスの取れた見方を持っており)間違った「お金のしくみ」を、ソノママの状態にしつつ、富んだ者にも貧しい者にも益をもたらす「仮想通貨」の運用方法を提示している。その主張の根拠として著者は、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ブキャナン、榊原英資、森永卓郎、各氏の名を挙げている。

もっとも、どんな有望な解決策と称されるものも、実際に運用してみると、解決策にならない場合もある。著者のいう解決策もそういうものかもしれない。それでも、こんなことを考えている人が現にいると知ることができるだけでも、人間捨てたものではないという気持ちになる。大風呂敷を広げただけなのかもしれないが、広げられるだけ大したものである。そういう意味でも、一読をお勧めしたい。

2019年1月9日にレビュー

赤字の民主主義 ケインズが遺したもの (日経BPクラシックス)

赤字の民主主義 ケインズが遺したもの (日経BPクラシックス)

  • 作者: ジェームズ・M・ブキャナン
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: 単行本



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『世界の空き家対策  公民連携による不動産活用とエリア再生』 米山秀隆編著 学芸出版社 [社会・政治]


世界の空き家対策: 公民連携による不動産活用とエリア再生

世界の空き家対策: 公民連携による不動産活用とエリア再生

  • 作者: 米山 秀隆
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「空き家」問題に取り組むのは日本だけでない

総務省「2013年住宅・土地統計調査」によると、2013年の全国の空き家数は820万戸、空き家率は13.5%となり、10年前に比べ、空き家数は107万戸増加したという。そのうち特に問題となるのは、空き家になったにもかかわらず、買い手や借り手を募集せずそのまま置かれている状態にある空き家。住まなくても維持管理を行っていれば問題はないが、放置期間が長引くと倒壊したり、不審者侵入や放火、不法投棄の危険性が増したりするなど周囲に悪影響を及ぼす「問題空き家」となる。

人口減少と少子高齢化によって、これからますます増えるであろう空き家、「問題空き家」に関し、日本をふくめ諸外国の実態とその対策について専門家が記している。国によって異なる住宅にたいする思い(新築を重視するしないなど)や移民・難民による人口動態なども記され興味深い。

2018年11月20日にレビュー

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

  • 作者: 河合 雅司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/14
  • メディア: 新書



空き家改修の教科書 古民家×DIYで自分らしい暮らしを実現!

空き家改修の教科書 古民家×DIYで自分らしい暮らしを実現!

  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2023/04/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『地形図を読む技術』 山岡 光治著 サイエンス・アイ新書 [社会・政治]


地形図を読む技術<新装版> すべての国土を正確に描いた基本図を活用する極意 (サイエンス・アイ新書)

地形図を読む技術<新装版> すべての国土を正確に描いた基本図を活用する極意 (サイエンス・アイ新書)

  • 作者: 山岡 光治
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: 新書


「地図を見れば現地が見える」までに・・・

2013年に発行された同じタイトル書籍の新装版。〈「地図の中の地図」ともいえる地形図〉を読み解く方法・技術を説いた本。

地形図とは〈基準点などにもとづき三次元である地表を平面に正確に縮小表現したもの〉。それは商業出版されている市販の地図とは異なる。国土地理院発行の官製地図。都市部の大き目の書店や日本地図センターで入手できる。(国土地理院のサイトでWeb閲覧もできる)。

基本となる等高線の見方、地形図上に「尾根」や「谷」を発見する方法・コツといったところから説明がなされていく。そうして、どの道筋を選択すれば見晴らしを楽しみつつ山歩きができるかなどの出題がある。それらの問題を解きつつ「読む技術」を取得、向上させることができる。最終的には、地形図の中のある地点に立ったとき、どのような景観を実際に目の前にすることになるかが想像・予測できるようにもなる。

もう少し大きな版型で出版して欲しいところだが、その点を差し引いても星5つあげたい本。

以下は、「目次」// 1章:地形図からなにが読み取れるのか?(地図で現地の風景がわかる? / 地図読みを始める前に) 2章:地形図から多彩な情報を読み取る技術(地形図を広げて「秋谷」を歩いてみる / 縮尺を知って距離や面積を考える / 等高線を知って高さを知る / 山や尾根は等高線でどう表現されるのか? / 植生や地名からわかるもの / 異なる地図を並べ、重ねて変遷をよむ / 地図の情報を地球に位置する / ナビゲーションする) 3章:地形図をもち歩きながら読む技術(川跡探しをする~弦巻川跡を探す / 昔探しをする~人形町の昔を探す / 里山歩きをする~大山千枚田を歩く / 野山歩きをする~小田原の不動山に登る) 4章:地形図から現地の風景に思いをはせる技術(半島を読む / 河川を読む / 海と湖を読む / 高まりを読む / 森や植生を読む / 海を読む / 地名から読む / 地図から工場を見学する / 集落を読む / 維持管理された地図から読む) / 参考文献 / おわりに / 新版に寄せて / 索引

2018年11月1日にレビュー

地形図を読む技術 (サイエンス・アイ新書)

地形図を読む技術 (サイエンス・アイ新書)

  • 作者: 山岡 光治
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2013/07/17
  • メディア: 新書



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『裁判の原点:社会を動かす法学入門 (河出ブックス)』 大屋雄裕著 河出書房新社 [社会・政治]


裁判の原点:社会を動かす法学入門 (河出ブックス)

裁判の原点:社会を動かす法学入門 (河出ブックス)

  • 作者: 大屋雄裕
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/18
  • メディア: 単行本


裁判という制度をその現実の姿において描き出す・・・

国を訴えた裁判などで隔靴掻痒の思いをすることがある。それは訴えをきちんと審理しないばかりか、「門前払い」することから来る場合もあれば、判決は出されたものの「不当判決」であると感じてそう思う場合もある。しかし、そういう思いをさせる裁判所の側にも、ちゃんとした理屈があることを本書は教えてくれる。アタリマエといえばアタリマエだが、そういう理屈(もしかすると「屁理屈」)がアルことを知ることができるだけでも、本書を読む価値はある。けっこう難しい言葉も出て来るが、説明はその都度なされていくし、対話形式で話は進められるので、法学のシロウトも読めないことはない。

本書の内容を、「序文」から引用すると次のようなものである。〈本書では、裁判という制度をその現実の姿において描き出すこと、律法・行政のような他の国家機能との関係でそれがどのような特徴と権限を与えられており、どのような制約の下にあるかを位置付けることによって、たとえば “社会を動かすためにあり得る選択肢の一つとして何をそこに期待すべきなのか” という議論を試みたい。それは同時に、裁判が本来そのようなものであることを予定されている姿、いわば『裁判の原点』を確認することにもなるだろう。あるいはそれによって、「木に縁りて魚を求む」状態にあるかに思えるいくつかの社会運動・市民運動(と称するもの)の再検討が促されることになるのかもしれない。 // ありがちな誤解を通じて実際の姿を記述するという狙いを踏まえて、本文では対話形式を採用した。大学のゼミのようなシーンを想定したつもりだが、すべての発言者・発言内容は架空のものである。(p4,5「序文 裁判は正義の実現手段ではない」)〉

2018年5月16日にレビュー

目次
序文 裁判は正義の実現手段ではない

第1章 裁判は政策を問う手段ではない――違憲立法審査権と権利侵害
1 集団的自衛権をめぐる訴訟 2 司法権とは何か 3 裁判できるのは「法律上の訴訟」 4 違憲審査制の分類  5 適法な訴訟の条件 6 主観訴訟と客観訴訟 7 憲法訴訟を基礎付けるもの 8 裁判の決まりごと

第2章 日本の裁判所は消極的ではない――中古ゲーム訴訟と判例法理
1 日本は司法消極主義か 2 比較対象としてのアメリカ 3 判例法理の存在 4 法理を作った「整理解雇の四要件」 5 立法を排除した「サラ金訴訟」 6 立法への挑戦としてのグレーゾーン金利 7 中古ゲーム販売はなぜ訴えられたのか 8 ゲームは「映画の著作物」か 9 頒布権とは何か 10 権利は消滅するか? 11 四者四様のパズル 12 最高裁の結論 13 立法的解決と正統性の問題

第3章 裁判所は万能ではない――定数是正訴訟と救済の限界
1 定数是正訴訟で何が変わったか 2 「平等」の意味 3 合理的な期間と裁量権 4 救済をめぐる問題 5 選挙全体の無効? 6 緊急集会? 7 具体的な判決の評価 8 司法自身による制度設計 9 将来効判決の可能性? 10 何が問題なのか?

第4章 権威は絶対的ではない――司法政治論と民主的正統性
1 憲法改正という解決法 2 非嫡出子の法定相続分変更で何が変わったか 3 統治機構から見えるお国柄 4 立法と司法の関係 5 権威とは何か、権力とは何か 6 非嫡出子法廷相続分違憲決定が意味していたこと 7 いらだつ裁判所 8 政治としての司法

第5章 国会はピラミッドではない――政策形成訴訟と立法の氾濫
1 訴訟の目的は何か 2 政策形成訴訟の建前と本音 3 アピールとしての訴訟 4 格差を覆うものとしての訴訟 5 賭けとしての訴訟 6 政策形成訴訟が支えてきたもの 7 五五年体制と不動の立法 8 行き詰まる刑法改正 9 立法の再活性化 10 議員立法の活性化 11 変わりゆく政治の姿

第6章 裁判は手段であって目的ではない――訴訟の機能を支えるもの
1 なぜ訴訟なのか? 2 裁判の合理性 3 権利のための闘争? 4 司法制度改革と日本型ロースクール 5 擾乱をもたらしたもの 6 訴訟の理想と現実 7 強権を裏付けるもの 8 「合理化」する訴訟

第7章 政治は私的利害の追求(だけ)ではない――議員立法と少数者の人権保障
1 少数者の問題と政治 2 性同一性障害特例法が意味するもの 3 難航する夫婦別姓問題 4 統治者の不偏性 5 同僚としての政治家、ライバルとしての政治家

第8章 民主政に「銀の弾丸」はない――国民主権と司法の役割
1 権力分立の意義 2 三権の分立と分担 3 三権分立の非効率性 4 権力集中の危険性 5 三権分立のメイン・ターゲット 6 司法府への権限は実質的か 7 立法府と司法府と民意 8 裁判所の限界と制約 9 ディパートメンタリズム 10 日米の同じところ、違うところ 11 二つの「間違い」 12 最善の判断と、最終の判断 13 「間違い」と安全装置 14 「銀の弾丸」を望むべきか

おわりに 正義とは正しさではない


裁判所の正体:法服を着た役人たち

裁判所の正体:法服を着た役人たち

  • 作者: 瀬木 比呂志
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/05/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方』 鶴見 済著 新潮社 [社会・政治]


0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方

0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方

  • 作者: 鶴見 済
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


お金がなくても「豊かな」暮らしを営むヒントが

マーク・ボイル著『無銭経済宣言』の焼き直し・日本版書籍かと思ったが、そうではない。著者はずっと「個人の生きずらさを減らすことが最も大事だ・・・と90年代の当初から言い続けている」。最近、政治学者の中島岳志氏が、東工大でおこなわれたシンポジウム『1990年以降の激動する社会と宗教を振り返る』で、90年代を象徴する3冊として選んだ中に、本書の著者:鶴見 済氏の『完全自殺マニュアル』が入っていた。評者は当時そのマニュアル本を恐る恐る覗いたが、具体的な方法・成功率などが網羅的に取り上げられていて、よく調べたなーと感心したのを覚えている。

そういう著者の問題意識や網羅的に調べる傾向が当該書籍にも現れている。『0円で生きる』方法として記されているものも、通り一遍ではない。以前、冒険家の大場満郎氏が東京ならばゴミをあさって生きていけると話していたが、本書には「ゴミを拾う時の注意」事項が17も挙げられている。

だが、やはりこの本の魅力は著者の問題意識の方だ。「今の日本では格差が広がり、お金のない人が増えるにつれ、終身雇用への願望が強まって、統計では昭和期よりもそれに肯定的な人が多い。 / もともとお金を使わない社会では、お金をもっていないことは何の問題にもならない。例えば、伝統的な社会の人々がお金をあまり使わないことを、一概に貧しくてかわいそうと見なすことはできない。けれどもお金への依存度が高い社会になるほど、それを持っていないことは致命的になる。そして日本の社会は、この依存度が極めて高い社会だ。 / ここからもわかるとおり、お金がない人が多いという貧困の問題への対策としては、二つの方向がある。ひとつには、賃金を上げさせ行政の支援を増やし、もっとお金が貰える社会にする方向だ。もちろんこれは必要だ。けれども、同時に社会のお金の依存度を下げることもまた大事なのだ。そして本書が取る立場は後者だ。・・省略・・もちろん最低限のお金はなければならないし、この本を読んだからといって、お金なしで暮らせるようになるわけではない。けれども、楽しみながら社会を変えていく方法がここには詰まっているはずだ(「まえがき」)」。

目次は 1章 貰う(無料のやり取りの輪をつくる) / 2章 共有する(余っているものを分け合う) / 3章 拾う(ゴミは宝の山) / 4章 稼ぐ(元手0円で誰にでもできる) / 助け合う(一緒にやれば負担が減る) / 6章 行政から貰う(もっと使える公共サービス) / 7章 自然界から貰う(無償の世界) となっていて、各章ごとに具体的方法が示されていくが、「この章のレクチャー」として色ちがいの紙を用いた部分に示される歴史・民俗・文化的記述も興味深い。主題だけあげると 1章:贈与経済とは何か? 2章:なぜ私有が行きわたったのか? 3章:捨てる問題と拾う人々 4章:市とお金と資本主義 5章:日本の「助け合い」とそのマイナス面 6章:再配分は富の偏りを正す 7章:自然界と「無償の贈与」 というものだ。お金がなくても「豊かな」暮らしを営むヒントが本書には詰まっている。

2018年2月28日にレビュー

脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし

脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし

  • 作者: 鶴見 済
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: 単行本



無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

  • 作者: マーク・ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2017/08/29
  • メディア: 単行本



森のムラブリ [DVD]

森のムラブリ [DVD]

  • 出版社/メーカー: アースゲート
  • 発売日: 2023/07/07
  • メディア: DVD



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