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『偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編』東京電機大学出版局 [科学一般]


偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編 (サイエンス探究シリーズ)

偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編 (サイエンス探究シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
  • 発売日: 2022/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「偉人」、「知の巨人」たちの生涯・その「挑戦」業績をとおして学びを得ることができる。イラストが多用され、対話形式でとっつきやすい書籍だ。『巻頭言』、および『まえがき』から本書の位置づけが分かる。全文引用したいところだが、長くなるので以下に抜粋する。今、これから求められる「知」について知り、若い人たちが勉学に励むよい動機付けとなるにちがいない。

『巻頭言 社会の中のデザイナー(Designers in Society)』に次のようにある。〈科学はこれまで自然現象をはじめさまざまな「対象」を理解できるようにしてきました。自然科学は宇宙や生命を、人文科学は言語や心理を、社会科学は社会現象を解明の対象として急速に理解を進めてきました。さらに科学的知識は行動の根拠を与えてくれました。人類は科学の発展とともに行動の様式が変わり、行動範囲も広がっていきました。・・(中略)・・// しかし、(科学的知識を駆使して人工衛星を打ち上げ、その宇宙船に食料を届けることができても)紛争地帯で飢餓に苦しむ人たちに食料を届けることができないのです。// これはなぜでしょうか。私たちが実現可能と考える行動を実際に実現できるか否かは、科学だけでは説明できない場合があり、私たちが望むことを実現するための行動は、科学的知識だけでは厳密に計画できないのです。その理由は、実現可能な行動は知性だけでなく、感性をも含む世界で行われるからなのです。知性による思索能力を拡大するものとして体系的な科学的知識があり、それは増加中です。しかし、感性による行動能力のための体系的知識はまだ確立されていないのです。// この新しい体系的知識を、「デザイン学」と呼びます。これからの社会は、科学的知識を超えた多くの創造的なデザインという仕事が人々を待っており、デザイナーの役割が大きなものとなるでしょう。そしてそのデザイナーとは独自の思索の骨格を持ち、人々に語りかける言葉を持つ、社会の中のデザイナー(Designers in Society)であるべきなのです(吉川弘之)〉。

以下は『まえがき』部分からの引用。〈さて、みなさんが生きる今日の世界にはさまざまな問題が山積しています。・・(中略)・・どれひとつをとっても1つの分野だけでは解決できません。環境学、生物学、医学、工学、情報学、社会学、法学、心理学などさまざまな分野の知をデザインし総合した「総合知」をもとに課題に取り組む時代になっているのです。巻頭言をじっくり読んでみてください。そして課題解決のためには知識を鵜吞みにせず、自分の頭で考え判断し学び、課題を設定し挑戦していく姿勢が大切です。(中略)// 本シリーズは、偉人を紹介した国立研究開発法人科学技術振興機構サイエンスポータルの動画「偉人たちの夢」(1999年~2008年)をベースに書籍用に再編集したものです。・・〉


世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生

世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/07/21
  • メディア: 単行本



世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

  • 作者: 大田 暁雄
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2021/12/17
  • メディア: 単行本



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『科学法則大全』化学同人発行 [科学一般]


科学法則大全

科学法則大全

  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2022/02/14
  • メディア: 単行本



科学絵本です。わたしたちの生活の中の(科学的な意識が無ければ潜み隠れているかに思える)科学現象や生活を支配している科学法則が明らかにされ、どの現象・法則が生活のどの部分・側面と関連しているかが示されていきます。

章構成は「キッチン」「家」「ガーデンパーティー」「科学館」「病院」「街の広場」「メイン・ストリート」「田園地帯」「海辺」「大陸」「地球」「太陽系」「大宇宙」と別れていて、各章冒頭にその場面の精細なイラストが描かれています。そして、後のページで細かく絵のどの部分がどの法則・現象と対応し繋がるかが示されます。

たとえば、『キッチン』に見出される法則・現象として以下のものが挙げられています。「シャルルの法則」「ゲイ・リュサックの法則」「ファラデーの電磁誘導の法則」「ジュールの第一法則」「熱力学第一法則」「熱力学第二法則」「熱力学第零法則」「毛管現象」「酸・塩基反応(中和)」「コースティクス(火線)」「断熱膨張」「凝集」「腹鳴(お腹の鳴る音)」「熱伝導」「対流」「エレクトロ ルミネッセンス」「共有結合」「乳化」「溶解」「酵素加水分解」「渦電流」「指数関数的成長」「発酵」「イオン結合」「強磁性」「遊色効果」「蛍光発光」「潜熱」「摩擦 / 抵抗」「ライデンフロスト現象」「メイラード反応」「非ニュートン流体」「メニスカス」「オストワルド熟成」「金属結合」「放物線軌道」「モアレ模様」「蠕動運動」「量子跳躍」「でんぷんの糊化」「放射」「強い相互作用」「レイリー・ベナール対流」「導波管」「胞子の形成」「重力の脆弱性」。

それら各法則・現象についての説明はツイート並みの短いモノです。たとえば、『非ニュートン流体』についての説明は「力のかけ方によって粘り気が強くなったり弱くなったり、流れやすさが変わる流体のこと。非ニュートン流体のひとつであるケチャップは、ボトルの底を軽くたたくことで発生する圧力波によって流れやすくなる」です。そして、その説明に対応する『キッチン』での様子が(イラスト全体から切り取られて)描かれています。それが各ページ8種示されます。

その説明とイラストとで、了解できるものもありますが、分からないものも少なくありません。その点は、著者も説明が十全でないことを認めていて「紙面の関係で」できなかったことを述べ、各自がさらにインターネットで調べてみるよう促しています。

たいへん膨大な量の法則・現象が示されています。本書ですべてを理解するのは不可能です。とはいえ、本書の醍醐味は、実生活と科学法則・現象との対応関係、繋がりを「発見」することであり、それは後々大いに役立つように思います。


化学 2022年4月号 (2022-03-18) [雑誌]

化学 2022年4月号 (2022-03-18) [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2022/03/18
  • メディア: Kindle版



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「うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)」 グラフィック社 [科学一般]


うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)

うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: グラフィック社
  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: 単行本


人間が自然をどのように認知し組織分類し図版としてきたかに注意が向けられている

邦題は「うつくしい博物画の記録」。原題は“Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album”。編者はウェルカム・コレクション(Wellcome Collection ):ロンドンにある無料の博物館。「はじめに」を“Four Fields”の著者 ティム・ディー(Tim Dee)が書いている。

新書を二回りほど大きくしたハードカバー書籍で、美術書の体裁だ。そのせいか値段も高い。(原著は、驚くような値段:4137円がついているので、それに比べれば廉価ではあるが・・)。

全体の内容を追っていくと、人間が自然をどのように認知し組織分類し図版としてきたかに注意が向けられている。「はじめに」は、次のようにはじまる。「ものに名前をつけ、その名を呼ぶこと。それは、人間と人類全体の成長段階に見られる行為です。/ 幼い子が何かを指差しながら、名前を口にして言葉を覚え始めることはよくあります。筆者の子どもたちは2人とも「パパ」という前に「でんしゃ」と言いました。」 // 名前をつける作業は人類の歴史物語にも出てきます。聖書の天地創造の物語では、・・・」とあって、このあとアダムが動物たちに名前をつけていくことが記され、後に次のように結ばれる。「本書に集めたすばらしい文章やイラストや図は、私たち人類がどのように成長してきたかを教えてくれるでしょう。私たちは惹きつけられては苛立たせられ、悩まされては魅了されながら、自然を理解しようとしてきたのです。」

自然を理解し自分の世界に配置しようとした人類の努力のあとが、「ならべる ORDERING.」「あつめる・みせる COLLECTING & DISPLAYING.」「しらべる・みわける INVESTIGATING & IDENTIFYING.」「「ちずにする MAPPING.」「くらべる COMPARING.」の各項に示されていく。

一番はじめにとりあげられるのは〈カール・フォン・リンネ「自然の体系」〉。見開き2ページで示され、次の説明が付される。〈「自然の体系」は自然界全体を体系的に秩序づけようとする最初の試みで、18世紀最大の科学的業績の1つ。リンネは動物界の頂点に人間を置き。Nosce te ipsum 、すなわち「汝自身を知れ」という簡略な語で説明した。「ものの名前を知らなければ、そのものの知識も失われたことになる」と記したリンネは、生涯に4400種以上の動物と7700種以上の植物に、自らの画期的な「二名法」で命名した。ただし、当時の他の大勢と同様、自然界を変わることのない神の創造物と考えた上での分類だった〉。

よって、人間が世界をどのように捉えてきたか、その歴史に関心ある方には、おおいに価値ありといえる。見るだけでも楽しめる本。文字がたいへん小さいのが難点。

2019年4月5日にレビュー

記憶術全史 ムネモシュネの饗宴 (講談社選書メチエ)

記憶術全史 ムネモシュネの饗宴 (講談社選書メチエ)

  • 作者: 桑木野 幸司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album

Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album

  • 作者: Tim Dee
  • 出版社/メーカー: Wellcome Collection
  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: ハードカバー



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「77冊から読む 科学と不確実な社会」海部 宣男著 岩波書店 [科学一般]


77冊から読む 科学と不確実な社会

77冊から読む 科学と不確実な社会

  • 作者: 海部 宣男
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本


世界でも特異な「文系支配国家」に風穴を開ける

毎日書評賞受賞作『世界を知る101冊』の続編。〈世界でも特異な「文系支配国家」〉に風穴を開ける、もしくは風通しを良くする書評集。

著者は「あとがき」でいう。〈近代日本の統治はもともと、科学に重きを置いてこなかった。それは明治政府以来の伝統〉。〈いまも政治家や官僚のトップ、企業のトップに理系出身者、まして学位を持つ人はほとんどいない〉。〈統治・社会運営から科学・科学者が事実上締め出されていることにおいて日本はかなり極端だが、いまや科学不信・科学軽視は世界的な潮流になろうとしているようだ。〉

〈科学に基づく長期的視点を持とうとしないこと、事実を踏まえない乱暴な主張、人権や社会的不公平の軽視といった傾向は、日本を含めて復古的右派勢力にはかなり共通している。それは政治信条の如何は別としても、将来の日本にとって大きな心配の種だ。なぜなら、自然界や社会の法則性をとらえ、それを踏まえた長期的なビジョンを提示して社会に活かしてゆくことこそが、現代社会における科学の最も大事な役割なのだから。それはまた、科学にしかできない役割なのである。いま世界で台頭しつつある非論理性や非科学性に基づく政策は、まちがいなく社会の質的低下、ひいては大きな混乱を招くことになるだろう。〉

〈現代文明では科学がますます社会と深く結びついており、それは科学技術コミュニケーションを発展させる努力や、科学者だけでは解決できない社会の中で起きる科学的問題を正面から取り上げようという「トランスサイエンス」の推進(p169)などに表れている。社会への関心を閉ざして自分の研究に専念するという時代は終わりつつあることを、分野を問わず現代の研究者は認識しなければならないだろう。「より良い社会のための科学」という概念(p172)は、欧米の研究者の間ではすでに大きな拡がりを見せているし、日本でもその兆しが強まっていることを感じる〉。〈科学にとっては、これからが踏ん張りどころなのだろう〉。

以上、6ページにわたる「あとがき」からの抜粋であるが、本書は、かくいう方による書評集である。理系は専門領域に偏る傾向があり、文系は諸学横断的な教養が求められる、それゆえジェネラリストは文系出身者がふさわしいようにも聞くが、理系・文系を横断する(しかも、科学的専門性の高い)人材がこれからは求められるようである。そのような視点、思考を身につけるうえで本書は役立つにちがいない。

2019年3月27日にレビュー

世界を知る101冊――科学から何が見えるか

世界を知る101冊――科学から何が見えるか

  • 作者: 海部 宣男
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 単行本



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「波のはなし―科学の眼で見る日常の疑問」 稲場 秀明著 技報堂出版 [科学一般]


波のはなし―科学の眼で見る日常の疑問

波のはなし―科学の眼で見る日常の疑問

  • 作者: 稲場 秀明
  • 出版社/メーカー: 技報堂出版
  • 発売日: 2019/01/01
  • メディア: 単行本


想像以上にむずかしい

「科学の眼で見る日常の疑問」シリーズの一冊。

タイトルにある「・・・のはなし」、「日常の疑問」という言葉から一般向けの本と思ったが、想像以上にむずかしい内容だ。掲載されている数式や図表から推すに、大学教養課程以上のしっかりとした基礎知識がないと無理だろう。「1話:波とは?」「2話:縦波と横波はどう違うか?」「3話:波の振幅、波長、速度は?」などの質問に答えるかたちで、1項目につき2ページで取り扱われている。文章自体は決して難しくないが、圧縮された情報ゆえの難しさがあるようにも思う。

「まえがき」にある文面(たとえば、「若者の読書離れ、理科離れが言われる今日、日常の何気ない現象に目を留め、『なぜ?』という疑問を持つこと、そして子どもが発信してくる疑問に大人が答えることができることが求められます。その答え方しだいで子どもたちは自然や身近で経験する現象に対する関心を深め、好奇心を広げ、世界の広がりと奥深さを感じるに違いありません。」)から推して、理科教育に携わる先生方やこれから教職につく予定の方々のために用意された本と考えられる。

第1章 振動と波 第2章 水と波 第3章 地震波と地球の内部構造 第4章 地殻変動と地震・津波 第5章 音波 第6章 超音波 第7章 電波 第8章 赤外線 第9章 可視光線 第10章 紫外線 第11章 X線とγ線

2019年3月27日にレビュー

エネルギーのはなし―科学の眼で見る日常の疑問

エネルギーのはなし―科学の眼で見る日常の疑問

  • 作者: 稲場 秀明
  • 出版社/メーカー: 技報堂出版
  • 発売日: 2016/04
  • メディア: 単行本



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「化学史への招待」 化学史学会編 オーム社 [科学一般]


化学史への招待

化学史への招待

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2019/01/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


決して易しくはないが・・・

本書は通史形式をとっていない。古代から現代までを時代順に概観することをしない。「通史を学ぶことは大切ですが、ややもすれば総花的で退屈になりがち」と(「はじめに」)記されている。また、「近代科学の誕生から現代までの時代を扱う化学史の入門書ではありますが、通史とは異なり、人間が営んできた化学という領域の歴史から様々な興味深いトピックスを剔出し、それらを掘り下げて論じたエッセイからなります」と紹介されている。

入門とあるが、けっして易しくはない。すくなくとも高校程度の基礎知識が必要だろう。バラエティーに富んだ内容で、「化学史の記述法、概念史、人物史、実験史、ジェンダー、技術と環境問題、日本科学史などに関する7つの章立てに」なっている。「興味深いトピックスを剔出し、それらを掘り下げ」とあるが、通念を覆す内容と言っていいものもある。ちなみに、評者は、人物史、日本科学史は容易であったが、それ以外は気楽にエッセイを読むという風にはいかなかった。それでも、線引きしながら熟慮したい内容であった。

2019年3月21日にレビュー

以下、目次

はじめに

1 化学史研究の現在(①酸・塩基・塩の歴史 ②ロバート・ボイルの化学研究の現場 ③18世紀化学史研究の現在ージョーゼフ・プリーストリの事例をもとに ④再発見:ニッポニウムの真実 ⑤カローザースとナイロン) 読書案内

2 化学革命の現在~燃焼の本質を求めて~(①ベッヒャーとシュタール 原質説とフロギストン ②プリーストリ 「酸素の発見」と「燃焼の本質」 ③カール・ウィルヘルム・シェーレ もう一人の酸素ガス発見者 ④ラヴォワジエ 燃焼現象の解明と酸素の本質 ⑤ラヴォワジエと質量保存の法則の原理) 読書案内

3 人物化学史の現在 (①「ニュートン錬金術」研究の現状  錬金術とは? ②自然哲学者としてのマイケル・ファラデー ③メンデレーエフと周期律発見 ④マリー・キュリーとラジウムの発見) 読書案内

4 実験および実験器具の化学史 (①錬金術から化学へ 装置の連続性 ②ヴォルタまでの電気および電気実験の歴史 ③リービッヒと有機分析装置 ④アーノルド・ベックマンとpHメーター) 読書案内

5 ジェンダーと化学史 (①ラヴォワジエ夫人 化学革命の女神か? ②科学者マリー・キュリーの「栄光」 ジェンダーと、放射能の「受容」をめぐる問題 ③黒田チカの生涯 女性化学者の先駆けの軌跡) 読書案内

6 化学技術・環境問題 (①日本の板ガラス技術の歴史 ②アンモニア合成 ③合成化学物質の功罪 DDTと有鉛ガソリンのたどった道 ④環境と化学の半世紀 生物濃縮、オゾン層破壊、地球温暖化 ⑤水俣病とカセイソーダ製造技術の転換) 読書案内

7 日本の化学史 (①「化学」のはじまり ②日本の化学のはじまり 人と風土 ③幕末のロンドンにおける薩長留学生と化学の出会い ④国立科学博物館の化学者展示:日本の近代化学事始め ⑤地球化学を生きた人 岡田家武) 読書案内  

おわりに 索引
 
入門化学史 (科学史ライブラリー)

入門化学史 (科学史ライブラリー)

  • 作者: T.H. ルヴィア
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本



化学史事典

化学史事典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 単行本



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「新版 科学的とはどういうことか」 板倉聖宣著 仮説社 [科学一般]


新版 科学的とはどういうことか

新版 科学的とはどういうことか

  • 作者: 板倉 聖宣
  • 出版社/メーカー: 仮説社
  • 発売日: 2018/11/26
  • メディア: 単行本


「科学を学ぶ人びとの最大の課題」もわかる

仮説実験授業を提唱し、日本科学史学会会長をつとめ、昨(2018)年に亡くなった著者旧著の新版。文字が大きく読みやすい。

〈「科学的に考えたい」「科学的に考えられるようになりたい」という人はたくさんいても、科学のさまざまな側面を実感的に体験した人が少ない〉・・。そうした状況下での議論に「空虚さ」を感じていた著者は、〈読者の方々が手軽に実験してたしかめることのできるような素材を用意して、「科学的に考えるとはどういうことか」体験的に実感をもってとらえることができるように工夫したらどうだろう、と考え〉、〈その結果、この本をまとめることになったのです〉と(「はじめに」)記している。

「第1部 予想をたのしみ、やってみる話」 「第2部 うそとほんと、ほんととうその話」の2部構成となっている。目次は、第1部 卵を立ててみませんか 砂糖水でも卵は浮くか 水の沸点は97℃?! タンポポのたねをまいてみませんか 鉄1キロとわた1キロとではどちらが重い? 月はお盆のようなものか、まりのようなものか 虫めがねで月の光を集める シロウトと専門家のあいだ// 第2部 スプーン曲げ事件の反省 意図的なインチキとは限らない コックリさんはなぜ動く だまされない方法はあるか 「うそ」から大発見も生れる 宇宙はタカミムスビの神が作った?! 「超能力であたった」という話

第1部 最終項目「シロウトと専門家のあいだーー科学を学ぶたのしさ、むずかしさーー」の最後の段落は以下のようなもの。〈科学を学ぶことのむずかしさは、まさにこの点にあるといってもよいでしょう。科学とか科学者というものは、どういうときにどこまで信用できて、どれほど信用できないか、その大まかな目処(めど)がわかるようになることーーこれこそが科学を学ぶ人びとの最大の課題であると思うのです。〉

2019年2月9日にレビュー

科学的とはどういうことか―いたずら博士の科学教室

科学的とはどういうことか―いたずら博士の科学教室

  • 作者: 板倉 聖宣
  • 出版社/メーカー: 仮説社
  • 発売日: 1977/05/05
  • メディア: 単行本



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フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体(ブルーバックス) 藤岡 換太郎著 [科学一般]


フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 (ブルーバックス)

フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 (ブルーバックス)

  • 作者: 藤岡 換太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/08/22
  • メディア: 新書


世界で、きわめて唯一特異な地域に生活していることを実感

スケールの大きな話だ。なにしろ相手が相手である。日本列島が今ある姿にたち到ったその来歴を百、千万、億年も前から説き起こそうという内容だ。アルフレッド・ウェゲナーの大陸移動説は聞き知っていたが、ユーラシア大陸から日本の北と南半分が離れ、それぞれが回転しつつ合体したのが日本列島で、その時ドッキングしたラインが巨大地溝を形成したという“ような”話だ。

しかし、話はそれだけではない。その移動の要因、また、フォッサマグナの成因が説き起こされる。それには「スーパープルーム」「オラーコジン」など関係していると言う。しかも、それらが同時期に生じたという。著者は、「漫画」「試論中の試論、『漫画』以上に荒唐無稽な話」という。しかし、誰も見ていない。何を言っても仮説であり試論である。それが腑に落ちるかどうかが問題だ。少なくとも当方には、オモシロかった。

なによりも、世界でも唯一特異な地域に生活していることを実感することができた。

(以下、引用:難しそうな用語もでてくるが、本文中で丁寧に説明されてある) / 「現在のところ、世界にフォッサマグナのような地形がほかに見当たらない理由も、決してほかの場所でフォッサマグナができなかったのではなく、いったんできたとしても、微妙なバランスを保つことができず、やがて崩壊したり、変形したりしてしまったからではないかと私は考えています(p189)。」

「もっと言うならば、オラーコジンと海溝三重点を結ぶリフトの存在こそが、フォッサマグナなのです。このような配列が15Maにできたことは、まったく再現不可能な、特異な地球科学現象であると思われます。フォッサマグナに相当する地形が地球でほかに見つけられないのも、そう考えるとうなずけるのではないでしょうか(p196)。」

2018年10月17日にレビュー

山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)

山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)

  • 作者: 藤岡 換太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 新書



海はどうしてできたのか (ブルーバックス)

海はどうしてできたのか (ブルーバックス)

  • 作者: 藤岡 換太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 新書




科学の目で見る 日本列島の地震・津波・噴火の歴史 (BERET SCIENCE)

科学の目で見る 日本列島の地震・津波・噴火の歴史 (BERET SCIENCE)

  • 作者: 山賀 進
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2016/07/23
  • メディア: 単行本


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トコトンやさしい電気の本(第2版)(今日からモノ知りシリーズ) 山﨑 耕造著 日刊工業新聞社 [科学一般]


トコトンやさしい電気の本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい電気の本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 山﨑 耕造
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: 単行本


電気にまつわる「体系立て」られた種々の工学分野の一端を垣間見ることが・・

電気、磁気をめぐるお話からはじまり、種々の電気工学分野に話しが及びます。基礎編、応用編、未来編から成り、章を経るごとにだんだん難しくなって「トコトンやさしい」印象ではなくなります。本書を手にして、後半のページを最初にめくったなら、「どこが『トコトンやさしい』・・」と言いたくなるにちがいありません。できれば、基礎編だけで一冊を構成するようであれば有難く思います。池上彰さんのセリフではありませんが、小学生にも分かるような本にして欲しく思います。もっとも、「一般の人にとって電気の世界をなるべく幅広くやさしく紹介し、同時に、学生や電気従事者にとっても役立つように電気の分野を体系立ててやさしく解説するように試みました(『はじめに』)」とあります。「学生」の中に、小学生は入っていないのでしょう。それでも、小学生並みの電気知識しかもたない「一般の人」もいることを考慮に入れてほしく思います。しかし、そうではあっても、電気にまつわる「体系立て」られた種々の工学分野の一端を垣間見ることができただけでも感謝です。

目次(章立て)は以下のようになっています。【基礎編】第1章 静電気と電流のはなし(電荷と電流の基礎) 第2章 磁石と電流のはなし(電流と磁場の基礎) 第3章 電磁波と情報通信のはなし(電磁波工学と情報通信工学) 第4章 電気回路とエレクトロニクスのはなし(電気回路学と半導体工学) 第5章 電力とパワーエレクトロニクスのはなし(電力工学とパワーエレクトロニクス) 【応用編】第6章 ハイテクな電子・情報機器(電子機器工学) 第7章 頼もしい電気・動力機器(電気機器工学) 第8章 不思議な生命・医療の電気(電気生理学と医療電子工学) 第9章 驚きの自然・宇宙の電気(地球電磁気学と宇宙電磁気学) 【未来編】第10章 輝かしい電気の未来(未来電気工学)

2018年9月23日にレビュー

電気の図鑑 (まなびのずかん)

電気の図鑑 (まなびのずかん)

  • 作者: 理科教育研究会
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2013/07/12
  • メディア: 大型本



史上最強カラー図解 プロが教える電気のすべてがわかる本

史上最強カラー図解 プロが教える電気のすべてがわかる本

  • 作者: 谷腰 欣司
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2009/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『積乱雲 ー都市型豪雨はなぜ発生する?』 小林文明著  成山堂書店 [科学一般]


積乱雲 ー都市型豪雨はなぜ発生する?ー

積乱雲 ー都市型豪雨はなぜ発生する?ー

  • 作者: 小林文明
  • 出版社/メーカー: 成山堂書店
  • 発売日: 2018/07/31
  • メディア: 単行本


積乱雲は猛獣だ

ゲリラ豪雨をもたらす入道雲:積乱雲についての本です。その生態について豊富なカラー写真・イラストで説明されてまいります。発生期、発達期、最盛期、衰弱期のライフサイクルがあるのですから、生態といってもいいでしょう。実際、まるで生きもののようです。

最新のレーダーを使っての「雲を掴む」話もでてきます。だいぶ専門的になりますが、はじめから読んでいけば、ダイジョウブだと思います。脚注など用いつつ丁寧に順次説明がなされていきます。かわいい雲のイラストも説明してくれます。

「雲は天才だ」といった詩人がいますが、本書の読後感からいくと「積乱雲は猛獣だ」と言いたい気分です。山岳部、平野部、どこでも積乱雲は生まれますが、とりわけ “都心(都会)生まれの積乱雲は凶暴化する(p118)”ということです。その凶暴な積乱雲に対応するために、「まさに今、さまざまな“眼”で“雲を掴む”ことが可能になりつつあります。スマホなど携帯電話でリアルタイムのレーダー画像を見ながら頭上の空を見上げて、個人が行動を判断できる時代になったといえます(「ハザードマップ」p105)」という記述もあります。

雲への愛情が伝わってくるような本です。猛獣をペットにしてかわいがる方もおりますが、著者もそうしたひとりにちがいありません。

2018年9月22日にレビュー

竜巻ーメカニズム・被害・身の守り方ー

竜巻ーメカニズム・被害・身の守り方ー

  • 作者: 小林文明
  • 出版社/メーカー: 成山堂書店
  • 発売日: 2014/08/21
  • メディア: 単行本



ダウンバースト―発見・メカニズム・予測

ダウンバースト―発見・メカニズム・予測

  • 作者: 小林 文明
  • 出版社/メーカー: 成山堂書店
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本


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