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『自分の頭で考える読書』 荒木 博行著 日本実業出版社 [読書法・術]


自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」

自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」

  • 作者: 荒木 博行
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2022/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



他者の色に染まるばかりの自分の頭で考えない読書には危うさがある。ショーペンハウアーのいう、アレだ。分かった・分からない、面白い・つまらない、と簡単に片づけてしまうことなく、何かしら引っ掛かるものを得て、それを懐胎し、それを育てていく。そんな読書が勧められている。と同時に、読書とはこうあるべきという考えに縛られることなく、自分なりに楽しむように勧められてもいる。本の内容は、そこで発せられている「問い」と「答え」との関係から、3つに分類できるという。その点を意識して臨むなら得られるものも違ってくるだろう。

1:「本と読書」だけが与えることのできる力
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2008-12-15


読書について 哲学文庫

読書について 哲学文庫

  • 出版社/メーカー: 哲学研究会
  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: Kindle版



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『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』佐々木 俊尚著 [読書法・術]





あくまでも一読しての印象ですが、これだけタスクが多くては注意散漫ではいられません。きっと著者は、これらすべてをラクラクと楽しんでストレスなしに日々こなしているのでしょう。情報インプットとアウトプットを生業としてきた方の工夫がよく示されています。

注意散漫は決して何も得られないわけではありません。「分散集中」という意識状態があったかと思います。いわゆる一点集中ではなく、全体に隈なく意識をやる状態です。武術的意識操作であり、読書法で言うならフォトフォーカスはそれに相当するように思います。要するに潜在意識(無意識)主体の集中状態です。

快感原則というのも聞いたことがあります。人間「快」でないと、知識も入らないし定着もしないそうです。実際そのとおりに思います。いやいやの受け身的態度では、入らないし残らないものです。好きなことは知識がどんどん繋がって体系化されて、いつの間にか、いっぱしの口を利くようになったりします。

本書のコンセプトをまとめるなら、最終的には著者同様、「快感」レベルにもっていくなら、それなりの工夫もするし、効果的な情報のインプット、アウトプットができるようになる、ということかと思います。

具体的な提案がでていて「佐々木 俊尚流」として高く評価できますし、そのままそっくりマネしたい点もありますが、本を「読む」こと(読書)そのものの「力」のレベルアップを図るということであれば、石黒圭著〔「読む」技術~速読・精読・味読の力をつける~ (光文社新書)〕がベストかなあ・・と、思います。


「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



読む心・書く心: 文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ02)

読む心・書く心: 文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ02)

  • 作者: 秋田 喜代美
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2002/10/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『究極 読書の全技術』齋藤 孝著  KADOKAWA [読書法・術]


究極 読書の全技術

究極 読書の全技術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/03/02
  • メディア: 単行本



2014年に発行された『大人のための読書の全技術 』(現行価格3480円)の増補改訂版。タイトルが「大人のための」から「究極」に変わっただけで、旧版とほぼ同一内容である。

変わったのは目次の字句がほんの少し変わった(たとえば「セルフイノベーション」が「自己イノベーション」)ことと『特別講義 その1、その2』が加わったこと。

内容は旧版と同じく良いものだ。なによりも価格が旧版のほぼ半額になったことは大きい。求めるなら当該書籍が断然「お得」。まちがっても旧版を(新品で)買わないこと。また、旧版を持っている方は決して手を出さないこと・・。

『特別講義その1』は「マンガ読書で教養を深めよう」と題され、紹介されているのは、①ヒストリエ 1~11巻(岩明均著/ 講談社アフタヌーンKC)②墨攻 全2巻 (森秀樹著、酒見賢一原作・・/ 小学館ビッグコミック)、③東周英雄伝 全3巻(鄭問著、徳田隆訳/ ・・)、④梨花の下で 李白・杜甫物語(辻康潤著/ ・・)、⑤へうげもの 全25巻(山田芳裕著/・・)、⑥百日紅 上下巻(杉浦日向子著/・・)、⑦『坊ちゃん』の時代 全5巻(関川夏央・谷口ジロー著/ ・・)、⑧虹色のトロッキー 全8巻(安良良和著/ ・・)、ペリリュー(楽園のゲルニカ)全11巻(武田一義著/ ・・)、⑩角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全15巻・別巻4冊、⑪角川まんが学習シリーズ 世界の歴史 全20巻、⑫あさきゆめみし 全7巻(大和和紀著/ 講談社漫画文庫)、⑬もやしもん 全13巻(石川雅之著/ ・・)、⑭まんが 医学の歴史(茨木保著/ 医学書院)、⑮マンガ 化学式に強くなる さようなら、「モル」アレルギー(高松正勝原作/ 講談社ブルーバックス)、⑯マンガ 物理に強くなる 力学は野球よりやさしい(関口知彦原作/ 講談社ブルーバックス)

『特別講義その2』は「古典名作ハイライト読書」と題され、紹介されているのは、①論語(斎藤孝訳/ ちくま文庫)、②声に出して読みたい新約聖書〈文語訳〉(斎藤孝訳/ 草思社)、③声に出して読みたい旧約聖書〈文語訳〉(斎藤孝訳/ 草思社)、④声に出して読みたい古事記(斎藤孝訳/ 草思社)、⑤声に出して読みたい日本語 音読テキスト1⃣平家物語、⑥源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑦枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑧方丈記(全)、⑨徒然草、⑩万葉集、⑪古今和歌集、⑫新古今和歌集、⑬竹取物語、⑭伊勢物語、⑮今昔物語集、⑯宇治拾遺物語、⑰おくのほそ道(全)ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑱孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典(角川ソフィア文庫)、⑲老子・荘子、⑳韓非子、㉑史記 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典(角川ソフィア文庫)

大人のための読書の全技術

大人のための読書の全技術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本



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『考える力がつくフォトリーディング』 PHP研究所 [読書法・術]


考える力がつくフォトリーディング

考える力がつくフォトリーディング

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2008/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



子どもがフォトリーディングを学び、習得するための本。「フォトリーディングキッズ」養成本。父兄向けのページも必要に応じて備えられ、子どもと共に学び、習得するよう勧められている。イラストも多くカラフルでたいへん読みやすい。

子どもに向けた本であるだけに、分かりやすい。そもそもフォトリーディングのメソッド自体は単純である。とはいえ、いざ実践するとなると、どうするのか迷う部分も出る。その部分が、子どもに分かるように示されている。つまりは、大人であればなおのことである。

メソッドの理論を深く知りたいのであれば、開発者ポール R.シーリィ著・神田昌典訳の本を読むのがいいように思う。しかし、実践で、すぐにでも役立てたいのであれば、本書の方が(類書に勝って)有用に思う。

「わくわく」感をもって読書に向かうべきことや、その土台のあるなしが読むべき本かどうかを計る尺度であり、教科書のような「わくわく」感のもてない本を読まなければならない時に、どのように「わくわく」感を産み出すことができるかなど示されてもいる。フォトリーディングの後にまとめとしてつくるマインドマップ作製方法についても言及されている。

小学生のうちに、メソッドを自分のものにできたら勉強がたいへんラクになるように思う。評者も、もっと早くに知りたかった。

「火事場のばか力」読書法
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2017-03-22

丸谷才一の読書法(トリアタマのすすめ ?!)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2017-03-23


あなたもいままでの10倍速く本が読める

あなたもいままでの10倍速く本が読める

  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2001/09/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2005/05/24
  • メディア: 大型本



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「無敵の読解力」 佐藤優x池上彰(文春新書) [読書法・術]


無敵の読解力 (文春新書)

無敵の読解力 (文春新書)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/12/16
  • メディア: Kindle版


池上・佐藤両氏が、自分たちの読みの深さを披歴する本

稀代の読書家として定評のある池上・佐藤両氏の対談本です。「無敵の読解力」なる力があって、それを増強する方法について詳しく述べる本ではありません。「無敵の読解力」をもつ池上・佐藤両氏が、自分たちの読みの深さを披歴する内容です。

その読みをとおして、読者は「無敵の読解力」を身につけることができるにちがいありません。各章ごとに、テーマと関連する書籍が複数冊紹介されてまいります。その本を話題にしつつ、両氏がどのように話をすすめるかに着目すると、ある書籍が書かれた時代背景、著者の立ち位置・動機、それが古典的書籍であれば当時の世評(大多数の評価とそれに反する評価の両面に)気を配ることの必要性など学ぶことができます。別な言い方をすれば、文字として記されていることだけでなく「行間」に思いを馳せることの大切さとも言えそうです。

また、さらには出版された国の歴史・文化を知ることの大切さも学べます。そして、そのような知識の裏付け(教養)がないと表層的な読みしかできないという警告にもなっています。とりわけ『政治家の本棚(早野透著)』を引用しつつ著名な政治家たちの読書(法)についてたいへん厳しい言葉が発せられます。彼らはいわば反面教師、悪い手本として扱われています。その中には存命の方もいます。それは本書発行の意図からいくと当然で、糾弾されるべくして糾弾されたということになります。

池上氏が「はじめに」で、次のように記しています。〈どうも、このところ日本社会には反知性主義が蔓延しているのではないか。与野党を問わず数多くの政治家の発言から、知性の煌きが感じ取れません。教養という言葉は、どこに消えたのか。いくらなんでも、もう少し何とかならないものか。/ この焦燥感において佐藤優氏と意気投合し、日本そして世界をよりよく理解するための助けになる書籍を読み解いていこうということになりました。この問題意識のもとに本書が完成しました〉。

「おわりに」で、佐藤氏は以下のように書いています。〈本書では日本のエリートたちの読書法を具体的かつ批判的に検討して、「このような本の読み方を止めなくては日本の知力も国力も弱っていく」というメッセージを私は伝えたかった。重要なのは、アカデミズムで行われているテキスト批判、解釈学の手法を入口だけでもよいので政治家やビジネスパーソンの読書に取り入れることだ。その結果、日本人の読解力が飛躍的に向上するだろう〉。

2022年1月30日にレビュー




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古本道入門 [読書法・術]


古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公文庫)

古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公文庫)

  • 作者: 岡崎 武志
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/02/21
  • メディア: 文庫


「敷居は低いが、奥は深い」

書籍・帯に「敷居は低いが、奥は深い」とある。古書道と同じく、それは本書にも当てはまる。たいへん読みやすくまとめられていて、古書道へ深入りするためのよい案内になっている。けっこうな本読みのつもりで、古本にも通じていたツモリでいたが、多々啓発を受けた。

古本というと、評者はすぐにブックオフを思い浮かべる。ところが、出店当時とちがって最近は、出向いても目ぼしいものが見当たらなくなり、足を向けることさえなくなった。背取りといわれる連中がバーコードリーダーを片手に大量に仕入れて行ってしまうからだ。連中の出没した後は、ぺんぺん草も生えない状態になっている。評者にとって面白みのある本が安く入手できなくなってしまった。それが、本書をとおし、背取りの連中に荒らされたあとか、そうでないかを見分けるための示唆を受けた。同じブックオフでもフランチャイズ店と直営店とがあり、どちらに目ぼしいものがあるかも知ることができた。それだけでも、評者にとっては収穫だった。

古本の魅力、楽しみ方を著者の経験から学ぶことができる。敷居をまたぐのに躊躇いを感じる方も、本書をとおして古書店でのマナーを学べば、入りやすくなるにちがいない。本書はまた、古本・古書をめぐる関連書籍の紹介本と見なすこともできる。さらに奥に入りたい方は、それらを読むこともできる。また、その道の達人たち:植草甚一、紀田順一郎、坂崎重盛、鹿島茂、池谷伊佐夫、樽見博、山本善行、坪内祐三の古本への入れ込み方を(「コラム」をとおして)知ることもできる。また、さらには、古本を買うだけでなく、売る側にまわるよう勧められもする。その点でも、敷居を低くしてくれる本である。

ちなみに、本書(中公新書ラクレ版)は2011年発行だが、2017年に文庫化されて、中公文庫から出ている。

2020年3月22日にレビュー
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つながる読書術 (講談社現代新書)日垣 隆著 [読書法・術]


つながる読書術 (講談社現代新書)

つながる読書術 (講談社現代新書)

  • 作者: 日垣 隆
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/11/18
  • メディア: 新書


「みんなでおもしろがる読書術」の本。その前に、自身がおもしろがっている必要がアル

著者の本をはじめて読む。ブックオフで110円で入手した。巷に多くある読書術と本書の違いは、「自分一人だけではなく、みんなでおもしろがる読書術という点」と著者はいう。多くの本が提唱するのは「自分の人生に役立つ読書」「個人単位で完結するタイプの読書」だが、「本書では、あなたが本で学んだことを書き、話すことでコミュニケーションを取る方法などについて述べ」るとあり、具体的には、複数で読む「ソーシャルリーディング」を実生活に取り入れる方法(つまり「読書会を催す方法」)や「自分で電子書籍をつくって発行する方法」などが記されている。

発行が2011年となっている。当時既に、著者は自分のサイトを持ち、メールマガジンを発行し、クレジット会社と交渉してワンクリックで課金できるようにするなどして「売文業」に励んでおられたようだ。(本書と同時に、複数冊の新書を購入してわが家に帰って見たら、同じ著者による『売文生活(ちくま新書)』が混じっていた)。出版不況と言われて久しく、生活保護を受けつつ執筆している作家先生もいると聞くが、著者はその点、機を見て行動するにたいへん速いと言える。そしてうまくいっているようである。それもまた、読書の賜物にちがいない。

先に引用した著者の言葉(『まえがき』からの引用で、本書・袖にも記されている)だけを見るなら、個人としてどう本を読むのかという点がオロソカにされている感を受けるにちがいない。しかし、「みんなでおもしろがる」ためには、その前に本人自身がおもしろがって本を読んでいる必要がある。著者は「読書には7種類あ」り、知的体力を高め、知性の筋力アップを図るためにはおもしろい本を読む必要があるという。そして、その「おもしろいには7つのカテゴリーがあ」るという。著者は学生時代から、膨大な量の本を(時に意地と見栄とから)を読みこなしてこられたようである。以下のような驚くべき記述もある。「私の手法はプロとしてのものであり、言ってみれば極論ではありますが、これまでに10万冊近くを読み、現在も仕事部屋に書庫を3つもっているような極端な読書や調査を続けてきたからこそ、汎用性もノウハウも蓄積せざるをえないーーと思ってくださいな(笑)」。

著者は、他者を批判・批評するに際しては、リスペクトからその著書すべてに目を通してこられたようである。読者へ多読を勧めるに際しても「人間の脳は、追い込まれると非常に合理的な働きをすべく、前頭葉が動き出します。この特性を活かして、まず「1週間で100冊」といった目標を立て、とにかくやりきってみてください。できなければ、自分はそれだけの人物だと、いさぎよう諦めましょう。天才だと思い込むのも一興かとーー」と書いている。著者は、今日の多くとは桁違いの読書人である。そうした人物の読書法が公開されるなら敬意のまなざしをもって迎え入れて当然である。そして、実際、敬意に値する内容だ。

新書として(しかも、たぶん、読書を苦手とする方たちに向けて)書かれたこともあり、時に、くだけた言い回しが採用されている。「くださいな(笑)」「そうなのですがね」などである。それが理解を助けるものともなり、また、妨げるものともなっているように感じる。また、著者独特の表現(「自分の土俵で本を読む」など)もあって、すんなり了解するわけにいかない部分もある。しかし、すんなり分からないから、すぐさま退けるというにはあんまりにもモッタイナイ本である。本書上梓のために「4年がかりの実験と実践で補いつつ、ようやく完成」という文言もある。スルメのようにあじわい尽くしたい本である。

2020年3月20日にレビュー

売文生活 (ちくま新書)

売文生活 (ちくま新書)

  • 作者: 日垣 隆
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/03/08
  • メディア: 新書



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「読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか」勝間和代著 [読書法・術]


読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか(小学館101新書)

読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか(小学館101新書)

  • 作者: 勝間和代
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/01/21
  • メディア: Kindle版

勝間和代はいかにして読者から著者へと進化せしや

評者が、本書の内容に即してタイトルをつけるとしたら「勝間和代はいかにして読者から著者へと進化せしや」となる。(これでは、いまどき売れないだろうから、「カツマのメタモルフォーゼ 読者から著者への進化」に変更)

読書方法としては、王道として「本を読む本(講談社学術文庫)」が、さらには神田昌典氏が日本に紹介したフォトリーディングへの言及がなされている程度である。それゆえ、本書全体が、読書のための進化した技術・方法について記されていると期待すると落胆することになる。

しかし、おもしろい本である。読書をただの知識の習得のためだけでなく、生活全般に影響を及ぼしてナンボという見方がなされている。良い本との出会いは、生活全体のステージを上げ、より自由な境遇へと人を進化させるものとなる。著者は、まさにその実例であり、本書中に引用されるカツマーたちの経験談は、勝間本を読んで影響を受け、進化し、ステージを上げた人たちの実例である。

発行当時、まだ電子本は今日ほど普及していない。Amazonのkindleがアメリカで利用され始めた時期で、電子書籍は紙の本との関係でこれからどうなるのか、出版業界はどのように推移していくのか注目の時期であった。著者は、インターネットにはやくからかかわり、一読者からWebを利用してブロガーへ、ブロガーから著者へと進化していく。そのように進化できたのは、ほかでもない読書のおかげである。紙の本のおかげだ。

しかし、変化をとげつつある出版業界は、著者に目を留める。その助けを得て、一ブロガーというプライベートな人材から、パブリックな人材:著者へと、勝間氏はメタモルフォーゼを遂げる。人気ブロガーから、ビジネス書著者へ、そしてベストセラー著者へ。その変化を勝間氏は、ひとつの社会実験のように観察する。そして、出版を支えてくれた人々と共にマーケティングの実践を試みる。

子ども時代からの読書について記される。出版当時、行きつけの書店を訪問し、どのように本を選んでいくかの実践が示される。16冊を購入し、飲み代と比べたら安いものよと豪語する。そして、自著の印税のうち20%を寄付する取り決めをつくるのにリーダーシップを発揮する。

読書の対象物である本をつくる過程の見える本で、そうした過程が見えて読むのとそうでないのとでは、読書のあじわいも異なるにちがいない。そういう点でもお勧めである。

2020年3月13日にレビュー


ミルコの出版グルグル講義

ミルコの出版グルグル講義

  • 作者: 山口ミルコ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「年収が10倍になる速読トレーニング」 苫米地英人著 [読書法・術]


年収が10倍になる速読トレーニング

年収が10倍になる速読トレーニング

  • 出版社/メーカー: コグニティブリサーチラボ株式会社
  • 発売日: 2013/12/23
  • メディア: Kindle版


もっと早くに知っていればと残念に思うほど

Kindle Unlimited に加入した関係で、目についた本を乱読している。著者の本は2冊目である。当該書籍は、発行されてだいぶ経つ。2013年発行とあるが、内容から推してもっと早いのではないか。本書は、改訂版だろうか。いずれにしろ、もっと早くに、発行当時から知っていれば良かったのにと残念に思うほどである。

読書法全般に関しては石黒圭著〈「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける(光文社新書) 〉を超えるものはこれからも出ないように思うが、「速読」という方法に関していえば、当該書籍がベストと言っていいように思う。フォトフォーカス・リーディング、キーワード・リーディングの評価も適切である。

「年収が10倍になる」とタイトルにあり、たいへん俗っぽいが、著者の思いはもっと高邁である。読者を引き寄せるための出版社サイドの方策だろう。内容的にそこは強調されていない。年収と読書量は比例することが読書統計から示されている程度である。世界の幸せのために知的能力を用いるよう、カネに支配されることのないよう勧めてもいる。

きちんと内容を把握しかつ速く読むための経験に即したアドバイスは有用だ。


追記:本書は、以下のブログ記事の内容から推して、2010年発行〈ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方〉の改訂版のようだ。
https://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-09-12


「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



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「できる人の読書術」 堀 紘一著 ダイヤモンド社 [読書法・術]


できる人の読書術

できる人の読書術

  • 作者: 堀 紘一
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


モチベーションを高めるために有用

著者はほんとうに「できる人」なのだなと分かります。その経歴からです。外交官の父をもち、イギリスのエリート教育をほどこす小学校に編入させられた苦労・・・。東大卒業後、ナベツネにスカウトされて読売新聞に入社、後に三菱商事に移り、ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得し「ベーカー・スカラー」を得て・・・、その学歴・職歴は圧倒的です。

そういう方が、一流・超一流の人物となる上で、学歴ではなく学習歴を重視し、それを積むよう勧めます。そのための方法であり基礎となるのが読書です。本書で紹介されている読書“術”は、「できる人」が書いたからといって、特別優れているというわけではありません。他の著者による本でも言われ、言い古されているといってもイイようなものばかりです。簡単にまとめるなら地道な読書です。それでも、仕事に追われるビジネスマンが、忙しいなかで「できる人」になり、「スカウトされるに値する」ほど自らに磨きをかけ続けていくうえで、本書は意欲を起こさせるに十分であるように思います。

やはり、著者の経験と重なるところがオモシロイ。読んでいて迫るものがあります。外務省の子弟寮時代からいっしょだった(著者が「知の巨人」であるという)与謝野馨氏との交友、三菱商事退社後、勤めたボストン・コンサルティング・グループ(BCG)創業者ブルース・ヘンダーソンからバカ呼ばわりされた経験など・・・。地道に学習歴を積むうえでモチベーションを高めるのに一読再読の価値はあります。

2019年5月8日にレビュー

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



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