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66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。/ 竹内久美子著 ワニブックス [動物学]


66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。

66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2022/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



挫折したり、世間で生きにくさを感じている方々への応援エッセイといったところでしょうか。評者は、著者(竹内久美子氏)のことを本書ではじめて知りました。著述家として、いろいろ賞をとってこられたようですが、ほぼ同年齢でありながら、まただいぶ本を読んできたつもりでおりましたが、まったく存じ上げませんでした。読みだすと日高敏隆氏が登場します。その弟子筋ということで親近感をおぼえました。子ども時代からいろいろと書いておられます。自認されておりますが、「アスペルガー症候群の要素が強」く、自分にとって意味のないことはやりたくない負けず嫌いの人見知りする個性です。ですから、集団の中で生きるのはそもそも難しいところがあるわけです。ウツやパニック障害を発症した過去も記されます。長じて学界にはいってから、著述家となってからの苦労話もでます。学界というところは紳士淑女ばかりかと思いましたら、他の業界同様にヘンなのもいるみたいです。訴訟をおこされたりなど、それで苦労した過去も記されます。60代になって人見知りが治ったとのこと。長生きはするものです。動物行動学の観点から人間世界(男と女)をみると、類似点があるとのこと。そういう風に世の中を見ることもできるのかという学びがあります。ぎくしゃくした文章だなあと思いつつ読んでいましたが、最後まで読んでしまいました。要するに、面白かったということでしょう。(以下、引用)

『そんなバカな!』は翌1992年に「講談社出版文化賞科学出版賞」を受賞した。ただ、その審査において意見が分かれたという。このような本はお行儀がよくなく、賞にふさわしくないという意見が半分くらい存在したのだ。 / そんなことは百も承知。私は行儀がよくて(行儀がよいのは、主に学界から批判されないための対策である)、退屈な本など書く気はない。 / 普通の言葉で、普通の人が理解できる内容。学界対策のためにごちゃごちゃ言わず、話の流れがスムーズで推理小説のよう。時にはジョークも交え、飽きさせない。そうして最後まで読ませる。読んだ後にはものの見方が変わるとか、心が救われる。そのようなことを狙っているのだ。そこが理解されるかどうかだが、週刊紙で書評し、絶賛してくださった丸谷才一先生などはすべて分かっておられた。多くの賢明な読者も理解してくれた。(「一般の人にも伝わるものを書きたい」p069-070)


世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)

世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)

  • 作者: 日高 敏隆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/01/18
  • メディア: 文庫



虫の目になってみた: たのしい昆虫行動学入門

虫の目になってみた: たのしい昆虫行動学入門

  • 作者: 和男, 海野
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/27
  • メディア: 単行本



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