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「はじめて学ぶグリーフケア 第2版」日本看護協会出版会 [医学・健康]


はじめて学ぶグリーフケア 第2版

はじめて学ぶグリーフケア 第2版

  • 出版社/メーカー: 日本看護協会出版会
  • 発売日: 2022/06/30
  • メディア: 単行本



本書において「悲嘆:グリーフ」は次のように定義されている。「 重要な愛着の対象を喪失する時、人は強い失望感を抱き、衝撃、不安、孤独を伴う深い悲しみに見舞われます。特に死別とは、対象との絶対的な別離ですから、もう会えない喪失対象を思い出し恋しく思う「思慕」や、先立った人に「負い目」を感じつつ、もう一方では何とか現実を生き延びる覚悟を整えようとしています。この二者が併存する不安定な身心反応を悲嘆(グリーフ)と言います」。

そして、愛する者を亡くした遺族には、否応なく仕事が発生するという。そのことが次のように記される。「死別者は、立ち直ろうとし、悲しみながらも、内省を伴う自己整理作業を繰り返し行います。死者と自分を見つめ直しながら、生きる意義を問い返すのです。/ 早く忘れ去ろうと努めますし、周囲からも立ち直りを勧められ、期待もされるのですが、なかなか思うようにはいきません。自分にとって故人が残した影響・事績は埋めようのないほど大きいことに気づくのです。 / この、残された人々の悲嘆と、個人の悲嘆の消化作業とその過程を含めて「悲嘆の作業:グリーフワーク」と言います」。

本書は、基本的には愛する者を亡くした方(あるいは、これから失くそうとしている方)と悲嘆体験を共有(し、「ケア:援助」)せざるをえない立場にある看護師向けの本である。とはいえ、そのような立場にない評者にとっても有益であった。医療関係者とりわけ看護職の担う荷の重さを知る機会となった。また、「グリーフケア:悲嘆の援助」とはいかなるもので、どのような心構えが必要か、具体的にどのように対応すべき(方法がある)か知ることができた。同時にそれは、単に寄り添い、同情すればいいようなものでないことを知ることもできた。さらに、(詳述されているわけではないが)死生学という学問領域があるのを知ることができたのも収穫である。(以下、目次)

1章 悲嘆とは何か
1-1 悲嘆の基礎知識
1-2 悲嘆の社会問題
1-3 グリーフケアに当たって
1-4 悲嘆研究の歴史的背景

2章 日本人の悲嘆
2-1 日本人の4つの悲嘆
2-2 複雑性悲嘆について
2-3 予期による悲しみ
2-4 死別前と死別後と「心の危機に向き合う」
~巡るスピリチュアルペイン~
2-5 家族と悲嘆
2-6 災害とグリーフケア

3章 グリーフケア・カウンセリング&ワークショップの実践
3-1 グリーフケアの形
3-2 G-WSの実践

4章 遺族と看護師からの相談
4-1 遺族からの相談に関する留意事項
4-2 遺族からの相談
4-3 看護師からの相談
4-4 災害時における相談


看とりのグリーフケア ~看とられる人と看とる人を救う心のケア~

看とりのグリーフケア ~看とられる人と看とる人を救う心のケア~

  • 作者: 近藤和子
  • 出版社/メーカー: ごきげんビジネス出版
  • 発売日: 2022/01/26
  • メディア: ペーパーバック



もしも一年後、この世にいないとしたら。

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  • 作者: 清水研
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2019/10/11
  • メディア: Kindle版



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