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『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』佐々木 俊尚著 [読書法・術]





あくまでも一読しての印象ですが、これだけタスクが多くては注意散漫ではいられません。きっと著者は、これらすべてをラクラクと楽しんでストレスなしに日々こなしているのでしょう。情報インプットとアウトプットを生業としてきた方の工夫がよく示されています。

注意散漫は決して何も得られないわけではありません。「分散集中」という意識状態があったかと思います。いわゆる一点集中ではなく、全体に隈なく意識をやる状態です。武術的意識操作であり、読書法で言うならフォトフォーカスはそれに相当するように思います。要するに潜在意識(無意識)主体の集中状態です。

快感原則というのも聞いたことがあります。人間「快」でないと、知識も入らないし定着もしないそうです。実際そのとおりに思います。いやいやの受け身的態度では、入らないし残らないものです。好きなことは知識がどんどん繋がって体系化されて、いつの間にか、いっぱしの口を利くようになったりします。

本書のコンセプトをまとめるなら、最終的には著者同様、「快感」レベルにもっていくなら、それなりの工夫もするし、効果的な情報のインプット、アウトプットができるようになる、ということかと思います。

具体的な提案がでていて「佐々木 俊尚流」として高く評価できますし、そのままそっくりマネしたい点もありますが、本を「読む」こと(読書)そのものの「力」のレベルアップを図るということであれば、石黒圭著〔「読む」技術~速読・精読・味読の力をつける~ (光文社新書)〕がベストかなあ・・と、思います。


「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



読む心・書く心: 文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ02)

読む心・書く心: 文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ02)

  • 作者: 秋田 喜代美
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2002/10/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『究極 読書の全技術』齋藤 孝著  KADOKAWA [読書法・術]


究極 読書の全技術

究極 読書の全技術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/03/02
  • メディア: 単行本



2014年に発行された『大人のための読書の全技術 』(現行価格3480円)の増補改訂版。タイトルが「大人のための」から「究極」に変わっただけで、旧版とほぼ同一内容である。

変わったのは目次の字句がほんの少し変わった(たとえば「セルフイノベーション」が「自己イノベーション」)ことと『特別講義 その1、その2』が加わったこと。

内容は旧版と同じく良いものだ。なによりも価格が旧版のほぼ半額になったことは大きい。求めるなら当該書籍が断然「お得」。まちがっても旧版を(新品で)買わないこと。また、旧版を持っている方は決して手を出さないこと・・。

『特別講義その1』は「マンガ読書で教養を深めよう」と題され、紹介されているのは、①ヒストリエ 1~11巻(岩明均著/ 講談社アフタヌーンKC)②墨攻 全2巻 (森秀樹著、酒見賢一原作・・/ 小学館ビッグコミック)、③東周英雄伝 全3巻(鄭問著、徳田隆訳/ ・・)、④梨花の下で 李白・杜甫物語(辻康潤著/ ・・)、⑤へうげもの 全25巻(山田芳裕著/・・)、⑥百日紅 上下巻(杉浦日向子著/・・)、⑦『坊ちゃん』の時代 全5巻(関川夏央・谷口ジロー著/ ・・)、⑧虹色のトロッキー 全8巻(安良良和著/ ・・)、ペリリュー(楽園のゲルニカ)全11巻(武田一義著/ ・・)、⑩角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全15巻・別巻4冊、⑪角川まんが学習シリーズ 世界の歴史 全20巻、⑫あさきゆめみし 全7巻(大和和紀著/ 講談社漫画文庫)、⑬もやしもん 全13巻(石川雅之著/ ・・)、⑭まんが 医学の歴史(茨木保著/ 医学書院)、⑮マンガ 化学式に強くなる さようなら、「モル」アレルギー(高松正勝原作/ 講談社ブルーバックス)、⑯マンガ 物理に強くなる 力学は野球よりやさしい(関口知彦原作/ 講談社ブルーバックス)

『特別講義その2』は「古典名作ハイライト読書」と題され、紹介されているのは、①論語(斎藤孝訳/ ちくま文庫)、②声に出して読みたい新約聖書〈文語訳〉(斎藤孝訳/ 草思社)、③声に出して読みたい旧約聖書〈文語訳〉(斎藤孝訳/ 草思社)、④声に出して読みたい古事記(斎藤孝訳/ 草思社)、⑤声に出して読みたい日本語 音読テキスト1⃣平家物語、⑥源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑦枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑧方丈記(全)、⑨徒然草、⑩万葉集、⑪古今和歌集、⑫新古今和歌集、⑬竹取物語、⑭伊勢物語、⑮今昔物語集、⑯宇治拾遺物語、⑰おくのほそ道(全)ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川書店/ 角川ソフィア文庫)、⑱孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典(角川ソフィア文庫)、⑲老子・荘子、⑳韓非子、㉑史記 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典(角川ソフィア文庫)

大人のための読書の全技術

大人のための読書の全技術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本



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『偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編』東京電機大学出版局 [科学一般]


偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編 (サイエンス探究シリーズ)

偉人たちの挑戦(1)数学・天文学・地学編 (サイエンス探究シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
  • 発売日: 2022/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「偉人」、「知の巨人」たちの生涯・その「挑戦」業績をとおして学びを得ることができる。イラストが多用され、対話形式でとっつきやすい書籍だ。『巻頭言』、および『まえがき』から本書の位置づけが分かる。全文引用したいところだが、長くなるので以下に抜粋する。今、これから求められる「知」について知り、若い人たちが勉学に励むよい動機付けとなるにちがいない。

『巻頭言 社会の中のデザイナー(Designers in Society)』に次のようにある。〈科学はこれまで自然現象をはじめさまざまな「対象」を理解できるようにしてきました。自然科学は宇宙や生命を、人文科学は言語や心理を、社会科学は社会現象を解明の対象として急速に理解を進めてきました。さらに科学的知識は行動の根拠を与えてくれました。人類は科学の発展とともに行動の様式が変わり、行動範囲も広がっていきました。・・(中略)・・// しかし、(科学的知識を駆使して人工衛星を打ち上げ、その宇宙船に食料を届けることができても)紛争地帯で飢餓に苦しむ人たちに食料を届けることができないのです。// これはなぜでしょうか。私たちが実現可能と考える行動を実際に実現できるか否かは、科学だけでは説明できない場合があり、私たちが望むことを実現するための行動は、科学的知識だけでは厳密に計画できないのです。その理由は、実現可能な行動は知性だけでなく、感性をも含む世界で行われるからなのです。知性による思索能力を拡大するものとして体系的な科学的知識があり、それは増加中です。しかし、感性による行動能力のための体系的知識はまだ確立されていないのです。// この新しい体系的知識を、「デザイン学」と呼びます。これからの社会は、科学的知識を超えた多くの創造的なデザインという仕事が人々を待っており、デザイナーの役割が大きなものとなるでしょう。そしてそのデザイナーとは独自の思索の骨格を持ち、人々に語りかける言葉を持つ、社会の中のデザイナー(Designers in Society)であるべきなのです(吉川弘之)〉。

以下は『まえがき』部分からの引用。〈さて、みなさんが生きる今日の世界にはさまざまな問題が山積しています。・・(中略)・・どれひとつをとっても1つの分野だけでは解決できません。環境学、生物学、医学、工学、情報学、社会学、法学、心理学などさまざまな分野の知をデザインし総合した「総合知」をもとに課題に取り組む時代になっているのです。巻頭言をじっくり読んでみてください。そして課題解決のためには知識を鵜吞みにせず、自分の頭で考え判断し学び、課題を設定し挑戦していく姿勢が大切です。(中略)// 本シリーズは、偉人を紹介した国立研究開発法人科学技術振興機構サイエンスポータルの動画「偉人たちの夢」(1999年~2008年)をベースに書籍用に再編集したものです。・・〉


世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生

世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/07/21
  • メディア: 単行本



世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生

  • 作者: 大田 暁雄
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2021/12/17
  • メディア: 単行本



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『幸せの追求』フレデリック・ルノワール著 田島葉子訳 [心理学]


幸せの追求-よく生きることを先延ばしにしない (単行本)

幸せの追求-よく生きることを先延ばしにしない (単行本)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/02/21
  • メディア: 単行本



コロナ禍のど真ん中でフランス人によって書かれた本。原題は『予測のつかない世界で生きる』。

巻頭エピグラフにC・G・ユングが引用される。「突然やってくる危機や激変や病気は、単なる偶然の産物ではない。それらは軌道を修正し、新たな進路を見つけ、別の生き方を模索するための道標として、わたしたちに大いに役立っている」。『目次』は以下のとおり。

目次
第1章 何よりもまず安心感を
第2章 逆境から立ち直る力
第3章 しなやかに適応する力
第4章 ポジティブな感情を大切に育てる
第5章 今という瞬間を味わって生きる
第6章 他者との絆を結び直す
第7章 自分の人生に意味を持たせる
第8章 自分を縛るものから自由になる
第9章 死を賢く手なずける
第10章 働きかけることと受け入れること

巻頭エピグラフと目次を見れば、分かる人にはおおよその内容は見通せると思う。第7章で「人生の意味」とあれば、たぶん『夜と霧』の著者:ヴィクトール・フランクルへの言及がなされるのでは・・と予測できる方は読む必要がないかもしれない。ちゃんと出てくる。

本書のキーワードは「レジリエンス」。意味は「苦難や逆境の中でもしなやかに生き延び、回復・成長していく力」と注が付されている。要するに「疾風勁草」である。『はじめに』で著者は次のように記す。〈この本は言ってみれば、サバイバルと人間的成長のためのマニュアル、いわゆる「レジリエンス」の手引き書である。先の見えない不安な日々の中でも、前向きに幸せに生きることはできる。その力、つまりレジリエンスを身につけるためのヒントを示すことが、この本を書いた目的である〉。

読みながら正岡子規の言葉を想起した。結核病みとなって体が思うようでなくなった子規はいう。「余は今まで禅宗のいはゆる悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違いで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。」(『病床六尺』)

著者はモンテーニュとスピノザなどを引用しながら、コロナ禍のいつ明けるともしらない夜のなかで、自論を展開する。仏語原書の裏表紙には有名な一節「生きるとは、嵐が単に過ぎるのを待つことではなく、降りしきる雨の中でもダンスを踊れるようになることである」が示されている。ますます『予測のつかない世界』において、「平気で生きて居る」だけでなく、「ダンスを踊れるよう」助けられる。


ユング心理学入門

ユング心理学入門

  • 作者: 河合 隼雄
  • 出版社/メーカー: 培風館
  • 発売日: 2022/04/27
  • メディア: 単行本



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『コミュニケーションは正直が9割』田原総一朗著 [マスメディア]


コミュニケーションは正直が9割

コミュニケーションは正直が9割

  • 作者: 田原総一朗
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2022/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



田原総一朗さん(88歳)は11歳の時に敗戦を経験する。それまで神風が吹いて必ず勝利すると信じてきたにも関わらず、鬼畜とされていたアメリカに日本は負ける。それを機に田原さんは、親も教師も政府も信じられなくなる。田原さんより4歳年少の養老孟司さんも、戦後、教科書の神話的記述に墨塗りさせられた世代として、どれほど確かなものに思える考えであっても、懐疑的にならざるをえない心情をくどいほどに語る。今日、田原さんの同世代、敗戦を知る人びとはどんどん亡くなっている。

本書は、コミュニケーションの方法を論じる体裁をとってはいるが、実質的には、同世代を代表するかのようにしてなされる田原さんの叫びである。B29の空爆を受けるようになる中、なされる竹ヤリ訓練に愚かしさを感じていながら、誰もそれを表明することはなかった。多くが当時の空気にのまれていた。そして、盲従した。田原さんは、それではダメだ、盲従するな、疑問を表明せよ、と猛獣のように叫ぶ。

戦後、田原さんは、あらゆるものに突っかかってきた。武器は誠実さ、正直さである。やさぐれダメ男を自称しつつ、引っ掛かるものがあれば相手が総理総裁であっても真っ向勝負を挑む。そうして得たのは信頼である。この男には胸襟を開くしかない。そう相手に思わせた。そう相手に思わせるだけの気迫があった。

本書に示されるコミュニケーションの知恵は、学術的な理論理屈から引き出されたものではない。自ら体当たりで得たきたものだ。役に立たないはずはない。


小林亜星、両足を棺桶に入れる(矢崎泰久氏、追悼文から)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
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『インド残酷物語 世界一たくましい民(集英社新書)』池亀彩著 [文化人類学]


インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書)

  • 作者: 池亀彩
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/11/25
  • メディア: Kindle版



『インド残酷物語』のタイトルを見て、宮本常一や山本周五郎が編集委員となって出版された『日本残酷物語(平凡社ライブラリー)』を想起した。そこでは江戸から明治あたりの話が集められている。「残酷」の中身としては、飢饉のときに間もなく亡くなる親を食べ合う約束をする隣人同士の話など出ていた。それに比べると本書の「残酷」は、予想の範囲ではあったが、それでもびっくりな内容である。なにしろ、こちらは今世紀しかも2010年代の話である。

「世界一たくましい民」とあるが、置かれている環境・状況がこのようであれば、たくましくならざるを得ない。その状況は、カースト制度に由来するものがもっぱら取り上げられる。バラモン、クシャトリア、バイシャ、スードラなどと学んだアレである。しかし、それとはまた別なモノもある。それらが複雑に絡み合っている。そして、社会にどっしり根を張っているから、上から法律でなんとかしようとしても、そうそう直るようなものではない。そういう中で、草の根から努力を積み上げているNGOの話が取り上げられる。

インドの今日、その現場の実況を見るような面白い本だが、そのことよりも、著者が親しく接するようになった人たちがたいへん魅力的に示される。家事手伝いのアムダ―、運転手のスレ―シュ、NGOを運営しているM・C・ラージ、それにシリゲレ・グル(シヴァムールティ・シヴァーチャーリア師)といった人たちである。なかでも、魅力的なのは、そうした現地で奮闘する著者自身かもしれない。現地で、たくましさを身につけて、著者あとがき(「おわりに」)を次のように締めくくる。「最後に、私が執筆に集中できるよう家事の大半を引き受けてくれた夫に感謝したい」。


日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)

日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/04/12
  • メディア: 文庫



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『ぼくはただ、物語を書きたかった。』ラフィク・シャミ著 ・松永美穂訳 西村書店 [エッセイ]


ぼくはただ、物語を書きたかった。

ぼくはただ、物語を書きたかった。

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2022/02/15
  • メディア: 単行本



薄く小さな本だが、重量感がある。この重量感は、著者の背負ったモノからくる。著者ラフィク・シャミは、アラビア語圏の出自である。亡命せざるを得なくなってドイツに赴き、ドイツ語で小説等の作品をモノすようになった。それから50年、いまだ愛する故国の土を踏むことができないでいる。

本書を一貫通底するキーワードは「亡命」。亡命とそれに伴うものごとの重さが否応なく伝わってくる。母語で書くのでさえたいへんであろうに、なぜ母語ではなく、ドイツ語で書くのか?『ぼくはただ、物語を書きたかった。』からである。そうせざるを得なかった事情、他言語で物語を書くうえでの工夫と忍耐、他文化で暮らす戸惑い、憤り、亡命作家としての日常、そうした中で多くの賞を得てきた作家としての成功の秘訣などなどが示される。

暗く陰鬱で、通読に難儀する本ではない。著者「の仕事場には・・古いアラビア語の箴言が、額装されて壁にかかっている」。そこには、『忍耐とユーモアは、それがあればどんな砂漠でも横断できる二頭のラクダだ』とある。ラフィク・シャミのユーモアと翻訳に助けられて、読者もらくに横断できる。


言葉の色彩と魔法

言葉の色彩と魔法

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2019/05/20
  • メディア: 大型本



空飛ぶ木―世にも美しいメルヘンと寓話、そして幻想的な物語

空飛ぶ木―世にも美しいメルヘンと寓話、そして幻想的な物語

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: 単行本



夜と朝のあいだの旅

夜と朝のあいだの旅

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2002/07/01
  • メディア: 単行本



片手いっぱいの星

片手いっぱいの星

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/07/20
  • メディア: 単行本



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『一生お金に困らない山投資の始め方』永野 彰一著 [ビジネス書]


一生お金に困らない山投資の始め方

一生お金に困らない山投資の始め方

  • 作者: 永野 彰一
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2022/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



著者の投資法を示す書籍である。著者は、持て余されている「山」を二束三文どころか「一山 1円」で入手する。土地は八百屋の大根以下の価格で売買される。相続等で受け継いだものの管理責任を問われるであろう煩わしさを避けたいなどの思いから、相続人は「これ幸い」とばかりに、著者に1円で「山」を投げ売りするわけである。買い取る土地は、固定資産税がかからない「山」なので、著者は基本的に永久無料で所有できる。そして、著者が狙いをさだめるのは「山」に立つ電信柱である。電力会社は1本あたり200円ほど土地所有者に支払うことになっている。つまり、1本の電柱があれば投資した額の200倍の収益を生み出すことになる。そうした「山」を著者は全国に数多く所持するのである。

この本は「山投資」の勧めの本だが、評者は投資を進めるビジネス書としてではなく、「人間=投資ビジネス」というような著者:永野 彰一を知る書籍として読んだ。永野 彰一 は一般になされているように、何かを安く入手し転売して、その差益を喜ぶということをしない。永野 彰一にとって収益は、銀行口座の数字の羅列が増えることに過ぎない。元手となるカネも、単なる投資の手段である。手段としてそれなりに評価はするが、それに固執執着することはない。ゆえに、損失を恐れない。永野 彰一は、ビジネスをとおして得られる人間関係、そこから得られる学びから、投資の糸口を見出し、そこからビジネスを展開することに歓喜する。そして、一人その喜びを味わおうとはしない。仲間と共に喜ぼうとする。

著者はタイヘン幸せな人である。昔ばなしに『わらしべ長者』というのがある。たまたま転んだ時に手のひらにおさまったわらしべ(1本のわら)を大切にする。その後、つぎつぎと出会う人と今現在自分が所持するモノとを、どんどん交換していく。それは、儲けようとしてのことではない。すべての機会において、他のひとが困っているのを見て、その役に立てばと提供するのだ。そうして、たまたま返礼として得たものが、どんどん高価なものになっていくのである。それが、繰り返されるうちに、初めに手にしたわらしべは、とうとう御大尽(大金持ち)の御姫様に替わる。その家の婿となって、御大尽になる。

永野 彰一に現代の「わらしべ長者」を見る思いである。高速回転するコマを眺める思いであった。著者は、読者に「投資」(というより「投身」に近い)を勧める。自分には元手がない、学歴がない、資格がない、などと言ってないで、先ずはなにかしら「行動」するよう促す。著者自身、多くの失敗もしている。慎重であることの大切さも承知している。しかし、失敗も損失もチャレンジするそのことの醍醐味にくらべれば、どうってことない。自分をオン・ザ・ジョブで鍛えている。すがすがしい思いで読了した。


わらしべ長者: 日本民話選 (岩波少年文庫)

わらしべ長者: 日本民話選 (岩波少年文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/08/18
  • メディア: 単行本



人生に奇跡を起こす わらしべ長者の魔法

人生に奇跡を起こす わらしべ長者の魔法

  • 作者: 元谷 拓
  • 出版社/メーカー: 東京ニュース通信社
  • 発売日: 2021/05/12
  • メディア: Kindle版



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『暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120』 翔泳社 [食生活]


暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120

暮らしの図鑑 調味料の味わい 楽しむ工夫×基礎知識×毎日使いたい調味料120

  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2022/01/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




見て楽しく読んで役立つ暮らしの絵本です。日々の暮らしに身近な調味料の世界を知ることができます。良品購入の手引きともなります。最近スーパーに出かけると、売れ筋商品しか置かなくなっています。いいものなのだけれど高価なものが排除されているのを感じます。そんな世相でもイイものを知っていれば、近隣の店舗でさがすこともできますし、無ければネットで取り寄せることもできます。奥ゆかしいことに当該書籍では、(価格変動も考慮してのことかもしれませんが)商品の写真と説明はでているものの値段は示されていません。ですから、メーカー提携による売らんかなのカタログとしてではなく、良質な製品の指針を教示する本として好感がもてます。調味料の特徴・使い方も提示されています。レシピも出ています。印字にパステルカラーを用い、紙の本として丁寧につくられています。総じて、たいへんイイ本に仕上がっています。ただ一つ残念に思える点は、キッチンでの使用を考えると、表紙をビニル(耐水ペーパー)装にして欲しかったところです。もっとも汚れるのが惜しまれて、キッチンにはそもそも置かないかもしれませんが・・。
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『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』藤井聡・談(ポプラ新書) [経済]


なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか (ポプラ新書)

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか (ポプラ新書)

  • 作者: 藤井聡
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2021/11/17
  • メディア: Kindle版



リーマンショックの後だったろうか、まだ半年も経過しない頃だったように思う。ニューヨークのロックフェラーセンターの巨大なクリスマスツリーのところでインタビューを受けた女性が、景気が回復しつつあることに安堵していると話すのを聞いて、驚いたおぼえがある。日本はといえば、全然そういう明るい雰囲気になかったからである。本書を読んで(と、いっても、目次を見て、内容をつまみ食いした程度だが)、その理由が伝わってきた。回復力にモンダイがあるのは、いわば体質的なものであるということだ。本書は、対談スタイルで理解しやすい。(以下、目次)

はじめに ~岸田新総理の「所得倍増」計画を実現させるために

序章 岸田内閣で、日本経済はこうなる!(岸田ビジョンに「希望」はある/ 「財政再建は大切だ」といい続ける危うさ/ 資本家が国民のカネを吸い取ってきた/ 「株主資本主義」から「公益資本主義」へ/ 株主の取り分を労働者に「分配」するだけでは・・・/ 本来の「アベノミクス」をきちんとやれば成功する/ プライマリーバランスを撤廃できるかどうか / 国民が「民主主義」を実行すれば所得は倍増できる)

第1章 「国の借金で破綻する」は真っ赤なウソ(国民は財務省のつくり話にダマされている/ 日本政府が財政破綻することはあり得ない/ アルゼンチンやギリシャが破綻した理由 / 政府はいくらでも貨幣を供給できる/ 政府の借金は返さなくてもいい/ 百年変わらない現実離れした経済学/ 「おカネ」とは何か?/ おカネは銀行で借りたときにつくられる/ 借金を返すとおカネが消える/ 政府の赤字=国民の黒字/ 税金は財源ではない/ 国債発行の上限はインフレ率で決める/ 国民の所得が減り続けていく「デフレ不況」/ 「景気は緩やかに回復している」はやっぱりウソだった)

第2章 「消費増税しないと将来にツケを残す」というウソ (結局、アベノミクスはどうなったのか/ 第1の矢「金融政策」は的を射ていた / 飛んでいなかった第2の矢「財政政策」/ アベノミクスをぶち壊した消費増税/ 消費税のせいで給料が激減した / 憲政史上最も国民を貧しくした安倍政権/ 「常識」が通じない人たち/ 日本経済の土台を痛めつけた10%消費税/ 「法人税引き下げ」と「消費税引き上げ」はワンセット/ 格差を拡大する消費税/ 「消費税は全額を社会保障に使う」はウソだった/ 消費税を増やすと税収が減る/ 消費増税は将来にツケを回す)

第3章 「日本経済を守るために緊縮財政が必要だ」というウソ (緊縮財政による失政を謝罪した橋本総理/ 財務省が必死で「政府の負債」を減らしたい理由/ 「プライマリーバランス黒字化」という呪文/ 「政府の財政」は「家計」とは全然違う/ 「PB黒字化目標」を達成したアルゼンチンとギリシャ/ 財政規律は毎年「骨太の方針」で決められる/ 「緊縮財政は絶対に正しい」という空気/ なぜマスコミは真実を伝えられないのか/ 「増収分」の6割弱が「借金返済」に回された/ 適度な経済成長が国民を幸せにする/ 重要なのは「金融市場」よりも「実体市場」の活性化/ 誰かが「借金」しないと経済は1ミリも動かない/ 借金こそ経済成長の原動力/ 実体市場から金融市場へおカネが逆流するデフレ不況/ 金融市場から実体市場へ「おカネが盛んに流れる好景気/ 「PB改善」は「活きたおカネ」を殺す/ 非常時にも出費をケチる政府と財務省/ 財政緊縮派議員は間接的な国民殺人者である)

第4章 「グローバリズムが日本を救う」というウソ (第3の矢「成長戦略」の大誤算/ 「規制緩和」が倒産や失業を増やす/ 「緊縮財政」と「グローバリズム」は双子の関係/ 構造改革は官邸で決まる/ 財務省も財界もアメリカも大歓迎の構造改革/ 構造改革を仕掛けてがっぽり稼ぐ「政商」たち/ 労働者の4割を占める「非正規雇用」/ 資本家たちが世界を不況に陥れた/ 時代遅れの「新自由主義」/ 知らぬ間に進む日本のグローバル化/ 日本の暮らしを揺るがす「移民」自由化/ 営利企業に有利な水道民営化/ 日本の利益が外資に吸い取られる/ 政府はもう農家を守らない/ グローバリズムで国民はますます貧しくなる/ 日本は外需に頼らなくてもいい「内需大国」/ 「緊縮思想」の否定から始まる真の成長戦略)

終章 コロナを逆手に取って、みんなで金持ちになろう!(「インバウンド・マインド」の大きなツケ/ 「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」へ/ 政府がケチだとコロナ病床は増えない/ 日本経済と社会を破壊しただけの「緊急事態宣言」/ 「自粛しろ。でも補償はしない」は政府の虐待/ 「自己責任」というバカの壁/ 緊急事態宣言を出しながらオリンピックを開催した理由/ 感染を抑制しつつ経済も社会も回せ!/ コロナ不況を逆転させる「景気V字回復策」)

終わりに ~真実を知り声を上げ続ければ「所得倍増」も夢ではない
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