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『またすぐに! 会いたくなる人の話し方』野口 敏著 三笠書房 [ビジネス書]





見知らぬ人と信頼関係をきずいていくのは、なかなかたいへんなものがあります。その点でまず間違いのない(修羅場を潜り抜けてきた者にとってはアタリマエと言えばアタリマエの)方法が示されます。それは 「相手を主人公にして話す」ということです。自分中心ではなく相手を話題の中心に据え、自己本位ではなく相手本意の会話をすることです。とはいえ、モンダイは、ソレを具体的にどう応用できるかです。初対面の人とどのようにキッカケをつくり、どのようにして関係を深めていけるか、その具体的な方法が実例をからめて教示されます。話しベタを自認する方には、特に役立つ内容です。すぐ応用できますし、うまく「相手を主人公に」できれば、相手はいい気持ちでどんどん話してくれます。自分はあまり話さずにすみます。そして、好意を得ることができます。営業職だけでなく、日常生活全般にすぐに活かせる内容です。
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『頭のよさとは何か』中野 信子x 和田 秀樹 プレジデント社 [教育・学び]


頭のよさとは何か

頭のよさとは何か

  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2022/03/31
  • メディア: Kindle版



脳科学者と精神科医による読みやすい対談本。「頭のよさ・・」「それは私たちのことよ」というような表紙写真に鼻つまみたくなるのは評者だけか・・。もっとも、そう感じること自体コンプレックスのなせる業かもしれない。そう。評者は自分のことを賢いと思っていない。それで、ついつい「頭のよ」くなると思える本に手をだしてしまう。

内容は「斬新」というほどのものではない。知識集積型「クイズ王」的賢さはチガウ、過去の栄光(学歴・卒業校)にこだわり、そこに留まるのもチガウ。要は「適用・応用力」、常に好奇心をもって学びつづけ変化を遂げていく人がソレだ、といった内容。巨人変人小室直樹博士、おもしろ明石家さんま、ディベートに長けた小林よしのり氏などが評価されている。故事でたとえるなら『呉下の阿蒙』であってはいけない。「士別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべし」といったように、三日経てば、三日分の目覚ましい変化を遂げている必要がある。そういう態度が求められる。・・


呉下の阿蒙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E4%B8%8B%E3%81%AE%E9%98%BF%E8%92%99
子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才

評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才

  • 作者: 村上篤直
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/09/18
  • メディア: 単行本



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ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書) [教育・学び]


ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か? (ちくま新書)

  • 作者: おおたとしまさ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/04/15
  • メディア: Kindle版



2、3年経つだろうか、『サンデー毎日』に各県の高校とその後社会で活躍している卒業生を取り上げた連載があった。見開き2ページ程度のものだが、面白かった。それで、本書もその類とみて手に取った。

『サンデー毎日』の連載から推せば、社会で活躍する人物を多数排出している高校が名門校ということになる。同様に、旧制高校や藩校の伝統を受け継ぐ知名度の高い高校が、本書でもとりあげられる。

著者は、名門校のもつ「におい」「らしさ」について書く。〈いい味噌や醤油をつくる昔ながらの蔵元には、「家付き酵母」が棲みついているという。長い年月をかけてそこに棲みつき、味噌や醤油に、そこでしか再現できない独特の「風味」を加える。同じ材料、同じ製法で造っても、他の蔵元では同じ味は出せないのだそうだ(「はじめに」)〉。

この冒頭の言葉で、名門校のもつ空間と時間、つまるところ伝統について言いたいのだなと察することができる。そして、後に、著者〈は、名門校と呼ばれるような学校に共通した特徴としてまず、「自由」「ノブレス・オブリージュ」「反骨精神」の三つのキーワードを挙げたい〉といって詳述していく。その際に、それを私見であるとしながら、読者にも「名門校とは何か」思案するよう促す。そして、そのような「問い」を卒業生各自が発しつづけ自ら答えようとし続けるところに名門校の「らしさ」が醸成されていくのではないかという。

評者が印象に残った部分を抜粋してみる。〈イギリスのパブリックスクールの代名詞的存在イートン校。世界で最も有名な名門校といっていいだろう。イギリスの政治、宗教、軍事を牛耳る学校といっても過言ではない。その意味で、オックスフォード大学やケンブリッジ大学を出るよりも、イートン校出身であるほうが、価値が高いとされている〉。オックスブリッジを出ているとしても、それよりはるかにイートン校を出たことが誇りである。そういう自負をもてる学校が「名門校」かなあと思った次第・・。


なぜオックスフォードが世界一の大学なのか

なぜオックスフォードが世界一の大学なのか

  • 出版社/メーカー: 三賢社
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫) [自伝・伝記]


アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫)

アインシュタイン回顧録 (ちくま学芸文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/03/14
  • メディア: 文庫



アインシュタインの自伝というより自論に至る自然(物理)観の推移発展を示す内容。洗顔石鹸と洗濯石鹸の区別ができなくて奥さんから怒られたとか、相対性理論を200字でまとめたら賞をやるという新聞社の一般公募に「わたしならよすね」と言ったなどの、よく聞くアインシュタインの逸話にあるようなおもしろい話を期待する向きには向かない。ほとんど思弁的内容で数学物理がよほどお好きでないと分け入ることのできない内容である。ちなみに評者は早々に撤退した。以下「8 統一場理論の遠望」からすこし引用してみる。

私たちは、〔重力と電磁力の両方が働く〕統合的な場の方程式をぜひ見つけたい。方程式群の望ましい構造は、一般化した対象テンソルで表せるものでしょう。座標の連続変換群よりも広い群です。群の構造を複雑にしすぎると、対称テンソルの場合に比べ、方程式の姿を決める力が弱まるはず。特殊相対論から一般相対論へのジャンプに似た形で群を拡張できたとすれば、それがいちばん美しい姿だろうと思えました。/ 私自身、まずは複素座標の変換群を使おうとしたものの、あえなく失敗に終わります。空間の次元を陰に陽に増やす試みも徒労でした。次元数の増加〔四次元から五次元へ〕はもともとテオドル・カルツァ〔1885~1954〕が提案したもので、その発展版を有望とみる人はいまなおいます。ただし次に書く短い話は、「四次元空間、実座標の連続変換」にかぎりましょう。不毛な努力を何年も何年も続けたあげく、以下のような方向性がいちばんよさそうだと思うのです。・・後略・・(p094)


アインシュタイン―大人の科学伝記 天才物理学者の見たこと、考えたこと、話したこと (サイエンス・アイ新書)

アインシュタイン―大人の科学伝記 天才物理学者の見たこと、考えたこと、話したこと (サイエンス・アイ新書)

  • 作者: 新堂 進
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/09/16
  • メディア: 新書



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ミネルヴァ書房の「よくわかる」シリーズ

ミネルヴァ書房の「よくわかる」シリーズといっていいのだろう。以下2冊以外にも出版されている。大判書籍でワントピックを見開き2ページで解説している。読了していないが、手元に置いて必要に応じ参照し、ぼちぼち読み進めたい本だ。


よくわかる現代科学技術史・STS (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

よくわかる現代科学技術史・STS (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2022/02/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



よくわかる中国思想 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

よくわかる中国思想 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2022/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『心配事の9割は起こらない』枡野 俊明著 三笠書房 [宗教]


心配事の9割は起こらない―――減らす、手放す、忘れる「禅の教え」 三笠書房 電子書籍

心配事の9割は起こらない―――減らす、手放す、忘れる「禅の教え」 三笠書房 電子書籍

  • 作者: 枡野 俊明
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: Kindle版



心理学の本と思って手に取ったが、禅の本だった。「莫妄想」「把手共行」「隋処に主となれば、立処みな真なり」「大地黄金」などの禅語がたいへんやさしく説かれる。生き辛さの素となっている妄想を退けて、今ここに集中立脚した生活を築くよう勧められる。「考えてみれば、なんのことはない。最近はやりの『マインドフルネス』のことではないか・・」ということになるが、それは逆である。あちらがこちらから派生したのである。模倣である。

その昔、40年以上前の話だが、禅について知りたく思って入手したのは鈴木大拙の『禅とは何か』であり、『臨済録』の解説書であった。どちらも高校生には歯が立たなかった。当時でも探せば、もっと簡単な本はあったにちがいないが、書店で目にしたのは、そんなところだった。図書館司書に尋ねれば学生向けの本を教えてくれたかもしれない。今は本書のような手引書が山ほどある。禅を知りたく思うときのいい助けとなっている。

著者の経歴はたいへんユニークである。大学の農学部を出て、曹洞宗の大本山總持寺で修業した禅僧であり、多摩美術大学美術学部環境デザイン学科教授であるという。作庭師として手ずから仕事をし、そこに没入する経験などがおのずと生きているのだろう。オモシロイ人が書く本はオモシロイことになっている。そして、本書もまたオモシロイ。


あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法

あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「今、ここ」に意識を集中する練習 心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門

「今、ここ」に意識を集中する練習 心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門

  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: Kindle版



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『新版 ハマトンの知的生活』翻訳:渡部 昇一 ・ 下谷 和幸 三笠書房 [教育・学び]


新版 ハマトンの知的生活 (単行本)

新版 ハマトンの知的生活 (単行本)

  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2022/02/24
  • メディア: 単行本



現代の「知の巨人」のひとり故・渡部昇一先生の範とされたP.G.ハマトンの「知的生活」のすすめである。それはただ本を読んで思索にふけり書をしたためるというものではない。まさに「生活」である。食べること、眠ること、運動することなどなどが関係する。ゲーテやカント等の「知的生活」への言及もある。彼らをとおして「知的生活」の築き方を学ぶことができる。

評者は、トルストイの『イワンの馬鹿』を想起した。「知的生活」と馬鹿のイワンとではおおきな違いがあるように見える。しかし、腹痛であっても頭痛であっても愚直に耕作をつづける馬鹿のイワンのように「知的」であろうとするなら、ちいさな日々の積み重ねは生き方となり、それはやがて実をむすぶ。そんなことを思いながら読んだ。


知的生活 (講談社学術文庫)

知的生活 (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/09/06
  • メディア: 文庫



知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

  • 作者: 渡部昇一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: Kindle版



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「超文系人間のための 統計学トレーニング」 斎藤 広達著 [経済]


超文系人間のための 統計学トレーニング 「数字を読む力」が身につく25問 (PHPビジネス新書)

超文系人間のための 統計学トレーニング 「数字を読む力」が身につく25問 (PHPビジネス新書)

  • 作者: 斎藤 広達
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2022/03/16
  • メディア: Kindle版



どのような知識も身近なものとして活用したいものです。「統計」的知識はビジネスを推し進めるうえで、自信をもち、また自分の言説に説得力をもたせるうえで有用です。その点、よく分かってはいるのですが、数式を見るとアタマが痛くなる面々にとって、挑戦となる分野でもあるわけです。それが、たいへん分かりやすく本書で紹介説明されています。文系の壁を乗り越えるうえで助けになります。/ 「統計」の比較的分かりやすい平均値、中央値あたりから、期待値、正規分布、偏差値、回帰分析、多変量解析など「統計」の深みに向かって、どんどん実例を取り上げながら説明されていきます。実務で活かせる実感をもてるのは有り難いことです。
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『実力が120%発揮できる! 緊張しないからだ作りワークブック』かわかみ ひろひこ著 [音楽]


実力が120%発揮できる! 緊張しないからだ作りワークブック

実力が120%発揮できる! 緊張しないからだ作りワークブック

  • 作者: かわかみ ひろひこ
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
  • 発売日: 2022/02/24
  • メディア: 単行本



以前、比較的ちいさな会場でのバイオリン・ソナタ演奏会で、休憩時間にその楽譜を拝見したことがあります。円熟した女性演奏家でしたが、その楽譜に「胃の裏側の中心」と書いてあり、リラックスするために、またベストパフォーマンスを示すために努力されているのだと感じました。ちょうど、その頃、評者自身、アレクサンダーテクニークやフェルデンクライス理論や高岡英夫の身体理論など面白がって読み、かつ自習していた頃でしたので、そう直観できたわけです。

本書を見てアレクサンダーテクニークを音楽家向けにアレンジしてよく説明されているように感じます。本書の方法を当てはめるのは有効であると思います。ただ本書はあくまでもイントロダクションであり、ワークの案内であり、本格的に行う必要があれば助言や指導を必要とするように思います。その点は、本書中にも示唆されています。

他の方の援助を必要とする(二人でおこなう)ワークもありますので、著者の講習会へ参加するなどして、指導を仰ぐのがいいように思います。自分でそのとおり行っているつもりでも、ちがっていたりしますので、効果を確実なものとするには、直接指導を受けたほうが安全で確かに思います。

ただそれでも「自分はプロではないし、プロになるわけでもないし、理論だけ知りたい」という方も多くいると思います。そういう方にも本書は有効に思います。見よう見まねで自分のカラダと相談しながら自分の行ったワークがどう自身に跳ね返ってくるのかフィードバックを確認しつつ、ゆっくり効果を味わうという方法もあろうかと思います。そうした点でもよく出来た本に思います。
心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門

心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門

  • 作者: 青木紀和
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2016/02/12
  • メディア: Kindle版



フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく

フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく

  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 1993/03/01
  • メディア: 単行本



究極の身体 (講談社+α文庫)

究極の身体 (講談社+α文庫)

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



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『最高の体調をつくる音楽の活用法』日本版監修:大黒 達也,翻訳:大山雅也 [音楽]


GOOD VIBRATIONS 最高の体調をつくる音楽の活用法 ~免疫力・回復力を高める4つの力

GOOD VIBRATIONS 最高の体調をつくる音楽の活用法 ~免疫力・回復力を高める4つの力

  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
  • 発売日: 2022/02/24
  • メディア: 単行本


「音楽療法」について広く知られるようになったのは、故・日野原重明先生が提唱しだしたあたりからでしょうか。もうずいぶん経つと思います。とはいえ、音楽がもつ医療的な効果・役割は、医学論文を待つまでもなく実感として知られてきました。そうでなければ、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』は書かれることはなかったでしょうし、感動を呼び起こすこともなかったでしょう。

音楽療法の本もいくらか目をとおしてきたつもりですが、あまり印象に残ったものはありません。その中で本書は特筆すべき内容に思います。訳者『解説』にもあるとおり「神経科学者の視点から音楽療法の可能性について書かれた本」であるからです。本書ほど、脳機能に則して書いてある、しかも一般向けにやさしく解説した本はないように思います。そして、「可能性」を感じさせ期待させてくれる本もなかったように思います。

著者は「音楽の神経科学、とりわけ脳波を用いた音楽の期待や予測に関する研究の第一人者」で、「もともと音楽家を志していたヴァイオリニスト」とのことです。ですから、音楽に関して造詣が深く、関連する話題、経験談も出てまいります。ですが、小難しい印象はありません。それは医学的情報についても同じです。「一般書」であるから当然といえば当然ですが、なかなかそういう本に出会えるものではありません。翻訳者が著者とおなじく医学者そして音楽家を志した過去があり、職場を共にしてきたなど、たいへん懇意にしてきたことも本書の分かりやすさに関係していると思います。(最近、ひどい翻訳書を読んでばかりいたのでなおさらそう感じるのかもしれませんが)直接、著者が日本語で書いたものであるかのように自然です。

内容としては、 1996年にヒグマに襲われて急逝した写真家・星野道夫氏の推薦図書『エンデュアランス号漂流』の話題が取り上げられます。そこでの28人全員生還について船長シャクルトンの手記に、音楽が「いのちをつなぐ精神薬」になったとあることから始まります。話題は広範です。言語学的な話しも出ます。音楽と暮らしとの関係を示すために民族学的話題がとりあげられたりもします。単に読み物としても楽しいですし、これから著者たちの研究がどう発展していくのか期待させられる本でもあります。

追記:翻訳者は大山雅也氏です。著者と懇意にしている医学者:大黒達也氏は本書日本版監修者でした。

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)

  • 作者: 宮沢 賢治
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/05/31
  • メディア: Kindle版



エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)

エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/05/04
  • メディア: 文庫



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