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『通勤通学スーパー読書術』 ダイヤモンド・オンラインBOOKS [読書法・術]


通勤通学スーパー読書術 ダイヤモンド・オンラインBOOKS(Vol.9) (DIAMOND online BOOKS)

通勤通学スーパー読書術 ダイヤモンド・オンラインBOOKS(Vol.9) (DIAMOND online BOOKS)

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2016/10/10
  • メディア: Kindle版


大元の記事は現在も健在

著者には、読書術・関連書籍として『その手があったか! 時間がない人のための即効読書術 ( 2017/3/11発行)ISBN-10: 4800311896』があります。そこには 〈『ダイヤモンド・オンライン』に連載(2016・2・5~6・10)した『通勤通学スーパー読書術』に加筆して電子書籍としたものを、さらに勧められて「加筆改稿して紙の本」にしたもの〉と記されてあります。つまり、当該電子書籍は、「加筆改稿して紙の本」にする以前の内容であるもようです。

調べましたら2018年10月末現在においても、ネットサイト「DIAMOND online」上で、大元の記事(「通勤通学スーパー読書術」)を閲覧することが可能です。ですから、概ねどのような内容か、購入前に、確かめることもできます。

https://diamond.jp/category/s-superdokusho

ちなみに、評価を星3つとしたのは、当該電子書籍の内容ソノモノを直接見ていないからです。購入を考えて検索するうち当該電子書籍が目に留まり、目次内容から、以前読んだ「紙の本」:『その手があったか! 時間がない人のための即効読書術』との類似に気づいたしだいです。ソチラにも複数レビューがありますので、参考にされるといいように思います。

2018年10月30日にレビュー

その手があったか! 時間がない人のための即効読書術

その手があったか! 時間がない人のための即効読書術

  • 作者: 坪井 賢一
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2017/03/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』 印南 敦史著(星海社新書) [読書法・術]


読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術 (星海社新書)

読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術 (星海社新書)

  • 作者: 印南 敦史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/05/27
  • メディア: 新書


これはこれでたいへん参考に

書籍タイトルから推して、忘れずに記憶に留めるための具体的方策が示され、強調されていると期待すると、さにあらず。「読んでも読んでも忘れてしまうのですが・・」という悩みに、〈作家であり、書評家であり年間約700冊前後の本を読んでいる〉著者は、「だよーンだよーンそんなモンダよん」と(本文にはありませんが)答えるばかり。

具体的方法もおおく紹介されてはいるのですが、ぜんたいに印象が薄いのは、著者の読者へのスタンスが次のようなものだからでしょう。〈だからこそ、「忘れない読書法」を身につけたい人は、他の誰かが編み出したメソッドを試してみると同時に、自分なりの手段を見つけ出すことにも積極的になるべきではないでしょうか。「決まり」なんかないのだから、自分にとって心地よく、そして効果的な読書法を見つけ出せばいいのです。/ たとえば僕は・・省略・・(p141)〉。

そういう本であれば、「なんだ、読む価値などないではないか」ということになりかねませんが、本書の値打ちは、読書=知識の集積と考え、記憶に留めようと努めるあまり、行き詰って読書から遠ざかったり、読書の喜びを忘れたりしてしまった人たちに、読書の喜びと習慣を取り戻すように助けることにあるように思えます。

忘れっぽい存在であるという自分の限界を認めつつ、自分に合った方法を模索し当てはめ、数多くのさまざまな本を読むなかで、おのずと知識は集積され(著者の言葉によると「ミルフィーユ」のように)厚みを増していくものであることが示されています。

また、否応なく仕事として毎日のように書評を書いて過ごさねばならない著者ならではの、本との付き合い方(つまり速読などの方法)も示されています。

記憶に留めることを第一の目的とするならば、記憶術の本を読んだ方がいいですが、これはこれでたいへん参考になります。

2018年10月5日にレビュー

遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣

遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣

  • 作者: 印南 敦史
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



世界一やさしい読書習慣定着メソッド

世界一やさしい読書習慣定着メソッド

  • 作者: 印南 敦史
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2017/03/11
  • メディア: 単行本



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『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』 福田 和也著 PHP研究所 [読書法・術]


ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法

ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法

  • 作者: 福田 和也
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2001/06/02
  • メディア: 単行本


作家・物書きからの貴重な「お裾分け」

作家・物書きとして生きるとはいかなることか教えられる。覚悟の必要性が分かる。正直に苦労を告白しているだけに、実感をもって覚悟を迫られる。「ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法」は、作家として生きるなかで、著者が習得したことの、貴重な「お裾分け」と言っていい。刊行されてからだいぶ経つが、読むこと、書くこと、それぞれにおいて示されていることは、今日でも役に立つ。

受賞歴もあり、たいへんな量を書いているということだが、評者は知らなかった。著者同様に書いている人物として本書に名前をあげられた鹿島茂、坪内祐三、群ようこは知っていたが・・・。

2018年9月11日にレビュー


日本の家郷

日本の家郷

  • 作者: 福田 和也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/02
  • メディア: 単行本



甘美な人生

甘美な人生

  • 作者: 福田 和也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/05
  • メディア: 単行本



地ひらく―石原莞爾と昭和の夢

地ひらく―石原莞爾と昭和の夢

  • 作者: 福田 和也
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 単行本



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「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書:西岡 壱誠著 東洋経済新報社 [読書法・術]


「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書

「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書

  • 作者: 西岡 壱誠
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/06/01
  • メディア: 単行本


「知識を運用する」能力を高める「能動的な」読書の具体的な方法を示している

「地頭がいい」人とは、「さっと本質をとらえたり、論理展開がクリアだったり、物事を多面的にとらえたり、知識を使いこなせたり、複雑なことを一言で説明できたりする」人と著者はいう。「地頭力」は生まれつきではなく本の読み方をとおして(変えるだけで)鍛えることができるのだという。それは「能動的な」読書法を指し、本書で具体的に説明されていく。

もともと出来なかった、成績がわるかった(と、謙遜に言うのだけれど、やはり頭がイイんですよね)著者は、東大を2浪。その後、本書の方法に開眼し、「みるみるうちに成績が上がって、気がついたときには東大模試で全国第4位になって、東大に合格し」たそうである。

そのように短期間に目標に到達した自己マネジメント能力の高い方ならではの解説である。ムダがない。つまり、読者からすれば、即戦力になる。

2018年8月10日にレビュー

丸谷才一の読書法(トリアタマのすすめ ?!)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2017-03-23

目次

はじめに

PART1 地頭が良くなる「東大読書」の5ステップ

STEP1 仮説作りで「読み込む力」が劇的に上がる(東大生は「読み始める前」に考える)
*「読み始める前の準備」で、読解力は劇的に上がる!
* 装丁読みで「少ない情報から中身を推測」する
* 仮説作りで「本の全体像」と「自分の現在地」を明確にする

STEP2 取材読みで「論理の流れ」がクリアに見える(東大生は「読者」ではなく「記者」になる)
* 「記者」になったつもりで読むと「記憶」も「理解」も深まる
* 質問読みで「情報」を「知識」に変える
* 追求読みで「自分で考える力」を鍛える

STEP3 整理読みで難しいことも「一言」で説明できる(東大生は立ち止まりながら読む)
* 整理読みとは何か?
* 要約読みで「一言でシンプルに表現できる」ようになる
* 推測読みで「次の展開」を予測できるようになる

STEP4 検証読みで「多面的なモノの見方」を身につける(東大生はカバンに「2冊の本」を入れている)
* 本は「2冊同時」に読むことで効果が何倍にもなる!
* パラレル読みで「別の切り口から考える力」を身につける
* クロス読みで「思考力」と「幅広い視点」を身につける

STEP5 議論読みで本の内容を「ずっと記憶」しておける(東大生は「アウトプット」を重視する)
* 「読みっぱなし」は効果半減
* 3種類の議論読みで「いつでも思い出せる」ようになる

PART2 東大流「読むべき本」の探し方

METHOD 0 「得るものが多い本」をどう探すのか

METHOD 1 売れている本・ベストセラーを選ぼう!
* なぜ「ベストセラー」なのか?
* ベストセラーは「毒」か「薬」のどちらかだ
* ベストセラーは「次の本」への道しるべになる

METHOD 2  信頼できる人のレコメンデーション
* 他の人に考えてもらう、とは?
* 知り合い以外に教えてもらう方法

METHOD 3 時代を超えて読み継がれている古典
* 時代を超えた価値がある
* 「今の考え方」のベースになっている

METHOD 4 今年のマイテーマを決める
* 「今年のテーマ」
* 10冊読める期間で区切ろう

METHOD 5 「読まず嫌い」を避ける
* 知識は深いほうがいい? 広いほうがいい?
* 「読まず嫌いチェック表」の作り方

特別付録 東大読書/ 東大選書のポイントを一挙掲載!
おわりに


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知の越境法 「質問力」を磨く (光文社新書):池上彰著 [読書法・術]


知の越境法 「質問力」を磨く (光文社新書)

知の越境法 「質問力」を磨く (光文社新書)

  • 作者: 池上彰
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 新書


「知」の越境(勉強)法であると同時に、越境「人生論」としても

テレビ・ラジオに出演して、さまざまな分野の専門家と渡り合っている著者の姿をみると、経歴からいって、いつの間にそんな知識を獲得したのだろうと不思議に思うことがある。そういう池上さんであるだけに、「知の越境法」を書くにふさわしい。

本書を読むと、池上さんの人生そのものが「越境」人生であること・あったことが分かる。自ら望んで「越境」した場合もあるし、そうではなしにそうなった場合もある。いずれにしろ、その場その場で花を咲かせてきた。

読み方によっては、「知」の越境(勉強)法であると同時に、越境「人生論」としても読める。どんな状況でも花を咲かせ実を結んでいく励みを得られる。

2018年7月26日にレビュー

僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2016/12/16
  • メディア: 単行本


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『読書の価値』 森 博嗣著 NHK出版新書 [読書法・術]


読書の価値 (NHK出版新書 547)

読書の価値 (NHK出版新書 547)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書


オモシロイ人の書く本はオモシロイ

人気作家であるから「読書」について語る資格は十分にあると言える。しかし、本書に示された著者の読書半生をみると、ちょっとどうかなと疑問符がつく。作家の中には、小学生時代に学校図書館の本を全部読んだなどという方もいる。あくまでも、そういう方と比較しての話だが、それでも、「文字がうまく書けなかった」「読書が苦手だった」「小説を毛嫌いしていた」という経歴はめずらしい。もっとも、そうなったのには理由がある。そうした理由が示されていく。

著者は、本との出会いを人との出会いに比している。「本と人は同じような存在である」という。そう考えると、著者はたいへんユニークである。「小学生のときに一番感動した本は、電磁気学の本」で、「6年生のときに、電波を発生する装置を作ることができた」。高校時代は「クラスから10人以上が東大に入る理系の集団」にいて、数学に夢中になる。しかし、「数学科を目指して、数学者にならなかったのは、既に自分には解けない問題を解くような大学院生がいることが大きかった。これは、漫画家にならなかった理由も同じである。」「僕は言葉で考えない」。「概念のような抽象的なものを示す言葉も、図形でイメージしている」と著者はいう。読者は、そういう人物と本書を通して出会うことになる。

そのような人物が、小説家になり、「現在、僕は1時間に6千文字を打つ作家として知られているけれど、平仮名入力だったら、1時間に1万文字は軽く打てるはずである」というまでになる。そのようにできる理由・秘密も示される。

そういう著者の「読書」にまつわる話は面白い。情報をインプットする面においてもアウトプットする面においても参考になる。オモシロイ人の書く本はオモシロイという事例ともなっている。

2018年6月22日にレビュー

以下「目次」

まえがき
僕は文字がうまく書けなかった / 読書嫌いだった理由 / 「人間の知恵」に触れる体験 / 小学生の僕が感動した本 / 活字でしか得られないもの / 読書の価値とは何か

第1書 僕の読書生活
どうすれば文章の意味が理解できるか / 速読は読書ではない / 翻訳小説の魅力 / 僕が初めて買った本 / 書いてあることが分からない / 1ヶ月もかかった読書 / 推理小説への傾倒 / 日本に小説好きが少ない理由 / 優れた小説の条件 / 専門書を読むためのセンス / 漫画という存在について / 「ポーの一族」の衝撃 / 小説なんか読んでいる場合ではない! / 萩尾望都という才能 / ある家庭教師の思い出 / 夢中になった数学の本 / 他者の思考を覗きこむ体験 / 読書から離れていた日々

第2章 自由な読書、本の選び方
どのように本を選ぶか / 本と人は同じような存在である / 本選びの極意 / 本はすすめられて読むものではない / 本選びのたった一つの原則 / 教養とは何か / 「つまらない本」の読み方 / 本と読者の未来 / 本を「賢い友人」とするために / 読書は本選びから始まっている / 僕の本の選び方 / 本が特別に優れている点 / ベストセラーを避けるべき理由 / 作家志望者へのアドバイス / 「自由な読書」の楽しさ

第3章 文字を読む生活
僕の研究者時代 / 世間に文章下手が多い理由 / 詩は小説よりもわかりやすい / 雑誌の創刊号はなんでも面白い / 研究にのめりこむ日々 / 「文字を書く」という苦痛 / キーボードという道具 / 僕は1時間に6千文字を書く / 文章は何のためにあるか / 上手な文章の条件 / 文章力を鍛える方法 / 社会人にこそ必要な文章術 / 悠々自適な読書生活 / 「広く読む」ことのメリット

第4章 インプットとアウトプット
僕は言葉で考えない / 知識を蓄える意味 / 読書の効用 / ただ文字を辿って読んではならない / メモに意味はあるのか / ネットに本の感想を上げる意味 / 読書感想文は無意味だ / 「本の価値」はどこから生まれるのか / 真に意味のあるアウトプット / 著者のたくらみ / 本はイメージを運ぶメディア

第5章 読書の未来
日本の特殊な出版事情 / 多種多様な版型 / 文章書下ろしが少ない理由 / 縦書きに拘る意味はあるのか / 紙の本には横書きが合う / 消えていく2段組み / 「読みやすさ」の罠 / 日本で電子書籍の普及が遅れる理由 / 本作りの「中間業者」が消えていく / 本の未来像 / 娯楽産業の限界 / 作家と編集者の関係 / 有名人の著作が増えた理由 / 自費出版ビジネスの幻想 / 出版社は読者集団のままで良いのか

あとがき


小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/06/17
  • メディア: 新書



作家の収支 (幻冬舎新書)

作家の収支 (幻冬舎新書)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/11/28
  • メディア: 新書


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『読む力 現代の羅針盤となる150冊』 松岡正剛×佐藤優 中央公論新社 [読書法・術]


読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

読む力 - 現代の羅針盤となる150冊 (中公新書ラクレ)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/04/09
  • メディア: 新書


「松岡正剛学」入門書

『千夜千冊』を読めば正剛さんの、凄さがよく分かる。ところが、テレビのインタビューや対談本(『多読術』など)に見る正剛さんは、なにかモソモソとした、分かったような分からないようなことを言うおじさんに思える。そんな感じをもっていた。ところが、本書はちがう。やはり、相手によって、本領が発揮されるようだ。水を得た魚ともいえる。丁々発止の雰囲気がある。

「読む力」について正剛さんは、『まえがき』で次のように記す。それは、〈たんなる読解力のことではない。国語の試験問題に答えられるようにすることではない。著者の「意図と意表のあいだに」どのくらい介入して、そのうえでそれなりの「傷」をもって帰ってこられるかということだ〉。〈傷を浴びて帰ってくるというのは、そこに「創」を感じるということである。「創」とは絆創膏という名称に見るようにもともとは「きず」のことをいう。「きず」を感じることが読書のもたらしてくれる最大の収穫なのである〉。〈というわけで、本書は二人が互いの「創」を持ち出しあったものになった。〉と、ある。

つまり、本書は、書物に打ちかかって返り血を浴びた、あるいは、自ら血を流して得た互いの「創」をなめあう本ともいえる。壮絶である。

その後、正剛さんは、こう続ける。〈ところで、「読む力」には三つの「A」がすこぶる有効である。アナロジー、アフォーダンス、アブダクションだ。その本から何を類推できるのか、何を連想したかということ(アナロジー)、その本によって何が制約されたのか、攻めこまれたのかということ(アフォーダンス)、その本によって何を前方に投げられるのか、どんな仮説がつくれるのかということ(アブダクション)、この三つのAが本を読むたびに立体交差をするように働けば、「読む力」は唸りをあげていく〉。〈読むとは、従属することではない。守って破って離れることだ。読むことによって、読者はもう一冊の本を編集できるのである〉。

そのような〈三つの「A」〉が実践される対話空間にあって、全体の印象としては、正剛が押し込み、佐藤が受けるという感じで対話は進む。どこまでも押し込まれる佐藤ではあるが、その懐の深さに正剛さんは感心する。一読者としても、ただただ感心せざるを得ない。

受けた佐藤は『あとがき』で、次のように記す。〈松岡正剛氏の頭の中には、独自の樹形図がある。中世神学に「博識に対立する体系知」という格言があるが、1980年代中葉から90年代にかけて、ポストモダンの嵐が(中途半端に)吹き荒れた後、体系知というアプローチに知識人が冷ややかになってしまった。その結果が、現在の閉塞した社会状況を作り出す大きな要因になったと思う。そのような状況で、松岡氏は、編集工学という、知恵と技法が綜合された方法論で、知のネットワークを再構築するという「不可能の可能性」に挑んでいる。私もこのネットワークの隅に位置する一人であると認識している。私は、「松岡正剛学」という学術分野が成立すると考えている。本書は読書術の指南書ではなく、「松岡正剛学」という、21世紀に日本の知的ネットワークを再構築する体系知に関する初めての入門書であると私は密かに誇っている。 / 私との対論に忍耐強く付き合ってくださった松岡正剛先生に深く感謝します〉。

正剛さんの『多読術』を読んで、氏の「編集工学」についての理解のモヤモヤしていた感じが、吹き払われたかの感がある。その方法が本書で補完されたように感じている。そういう意味でも、「松岡正剛学」入門書といっていいように思う。

2018年6月10日にレビュー

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/07/27
  • メディア: 単行本



松岡正剛千夜千冊

松岡正剛千夜千冊

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 求龍堂
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 大型本



多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/04/08
  • メディア: 新書



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『速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド』 角田 和将著 [読書法・術]


速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド

速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド

  • 作者: 角田 和将
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「速読を“活かす”ことを極める本」

「速読を極める」というより、「速読を活かすことを極める本」。

本を効率的に読んで生活に活かし、学んだことを確かに自分のものとしていくのが本書の主眼。そのために、「情報のピックアップを洗練させ、気づきや閃き、自身が成長するきっかけをつかむ」ための読みが強調される。それはスキル・人格の向上などに資するものとなる。

教え込まれて習慣となっている読み(逐次的に読む、音読)と気になるところを覚えようとしたり不分明な点を考えること(停滞)から離れることが求められる。そうではなく、本全体を通して作者が伝えたいことを見渡すために、先ずは「読み切る」ことが勧められる。複数回、それを繰り返すなかで、結果として覚えることも可能となる。

著者のいう「理解とは、気づきや閃きを得ること」。作者の意図を知り、内容をまとめて、感想を得る以上を指している。学んだことを生活に活かす(ヒントを得る)ために、「環境」と「経験」(宇都出雅巳「速読」理論であればストックに相当)が豊富であれば、学んだことを、より活かすことができる。それゆえ、作者と自分の「環境」「経験」の差異を意識していることは重要。「読書の方程式 : 本x環境x経験=理解力」であるとして、それぞれの要素を高めていくことを著者は勧める。

読み切ることが重要視されている。「読み切る達成感を味わうことで、『もっと読みたい』と意欲が生まれ、『もっと読むには早く読む必要がある」と、自然に速く読もうとする状態をつくることができる」からだ。

ふつう速読に際し(たとえば「フォト・リーディング」などでは)、「準備」と称して目的を設定し、読もうとする本から何を得たいか決めておくことが求められるが、本書では勧められていない。気になるところへは付箋を貼って先に進むようにも勧められる。マーカー・折り目はダメ、再読の際そこにしか目が留まらないからであるという。繰り返し読む際の「気づき」を狭めるものは、総じて非とされている。

そして、自分の生活に役立つものとなる気になる点があれば、そこを詳しく調べる。書いてある内容を自分に置き換えるイメージ操作は重要。作者の目線になるべく近い状態で疑似体験するなら、これまで理解できなかったことへの気づきを得られる。また、「気づき」を拡張するために、いかに「本に書かれている文章と違うことを思い浮かべられるか」も大切。つまりは「連想」能力、読書内容と「関連付け」る想像力は生活のヒントを多く呼び込むものとなる。

2018年4月28日にレビュー

どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)

どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)

  • 作者: 宇都出 雅巳
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2014/04/12
  • メディア: 文庫



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『理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント』 鎌田 浩毅著 中公新書 [読書法・術]


理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書)

理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書)

  • 作者: 鎌田 浩毅
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 新書


修羅の世界に生きる火山学者:鎌田先生が教示する読書のための本

「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」(論文を書くか、さもなくば消え去るか)という修羅の世界に生きる火山学者:鎌田先生が教示する読書のための本。橋爪大三郎先生の『正しい本の読み方 (講談社現代新書)』を文科系の読書術と見做すなら、まさしくこちらは理科系の読書術である。多くの読書術・法の本が出回っているなか、それらと重なる点も見受けられるが、同様の点であっても、その裏づけとなる著者の経験には説得力がある。目次、ポイントを見るだけでは得難いものを本文から得られる。たいへん実践(戦)的な本でもある。

本書は2部+1 構成になっている。第Ⅰ部は、読書の「苦手な人のための読書術」(言い換えるなら「楽しく読む読書術」。読書の得意でない人々のもつ「心のバリア」を取り除く方法を示す。第Ⅱ部は、「仕事や勉強を効率よく進めるための読書術」(言い換えるなら「アウトプット優先の読書術」)。+1は、「補章 読まずに済ませる読書術」。

「第1章 本と苦労なく向き合う方法」は、苦手な人の悩み①億劫で読みはじめられない、②読みはじめても最後までたどり着かない、③読む時間がない、④ビジネス書と小説の読み方の違いがわからない、に答えるかたちで進められる。第1章のポイントは *途中で読むのをやめてもいい*15分だけ集中して読む*「2:7:1の法則*情報は3つだけ取ればいい。

「第2章 難解な本の読み方」は、「読み方さえ知っておけば、専門書も決して難解ではないのである」とあり、人間同士のコミュニケーションをたとえに用いながら、対応策が示されていく。「フレームワーク法」「関心法」「ラベル解読法」など示される。第2章のポイントは *「小見出し」ごとに読む*解説と「あとがき」から読んでもよい*「棚上げ法」で読む*「不完全法」で読む。

「第3章 多読、速読、遅読の技術」は、流行(ハヤリ)の「多読」「速読」について一考再考すべき内容。〈「遅読」こそが速読への道〉〈世間の「速読法」は機能しない〉など、考えさせられる。膨大な蔵書を有した劇作家井上ひさしの「井上流本の読み方 十箇条」に「その四、本はゆっくり読むと、早く読める」とあるのを思い出した。第3章のポイントは *速読に向く本、向かない本がある*「遅読」のススメ*読み方を変えて3回読む*続かないのは意志が弱いからではない。

「第4章 (ここから第Ⅱ部に入る)アウトプット時代の読書術」は、「行動するための読書術」であり、「結果を出すための知識」をインプットする方法が示される。〈科学者の世界には「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」(論文を書くか、さもなくば消え去るか)というフレーズがある〉が、まさにそうした修羅の世界に生きる著者による時間管理の手法などが示される。第4章のポイントは *「知的消費」と「知的生産」を分ける*解ける問題から取り組む*「割り算法」で読む*持ち時間を意識して情報を収集する。

「第5章 本の集め方、整理の仕方」では、本は「安い買い物」であること、リアル書店、古書店、図書館の利用の仕方、効果的な入門書の選び方などが示される。第5章のポイントは *小額でも本を毎月買ってみよう*入門書は3冊手に入れる*本は表紙とタイトルで選んでよい*本の整理は美しさより使い勝手で。

「第6章 読書メモの取り方」では、「思考の文房具」である本を「使いこなすため」のコツが示される。具体的な方法が示され、〈このように理系人はできるだけ頭を使わない方策を採る、頭脳をフル回転させる思考と、単純作業をきっちり分けるのだ。頭脳労働を節約することで、より知価の高い仕事を生みだすのが理系的戦略である」ことが謳われる。第6章のポイントは *本は「文房具」として使い倒す*探しものの無駄な時間を省く*「単純作業」と「考える時間」を分ける*楽をして成果を上げる理系的方法。

「第7章 読まずに済ませる読書術」では、増えていく蔵書の管理について著者「自身の苦い経験に裏打ちされた提言」が示される。第7章のポイントは *本は容易に再入手できる*「愛蔵」は「死蔵」かもしれない*読書で「想定外」に対処する*「今、ここで」を生きる読書術

2018年4月24日にレビュー

「火事場のばか力」読書法
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22


一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ

一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ

  • 作者: 鎌田 浩毅
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/04/03
  • メディア: 単行本



座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる

座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる

  • 作者: 鎌田 浩毅
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/11/12
  • メディア: 単行本



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宇都出著〈集中読書術〉、出口著〈本の「使い方」〉、平野著〈・・スローリーディング〉 [読書法・術]


サクッと読めてアウトプット力を高める 集中読書術

サクッと読めてアウトプット力を高める 集中読書術

  • 作者: 宇都出 雅巳
  • 出版社/メーカー: 総合法令出版
  • 発売日: 2017/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



宇都出 雅巳氏の記事をネット上で読んだ。それで、ソレ以上のことが書かれているのだろうと現物(上記イメージ書籍)を見てきた。氏は「フォトリーディング」は幻想だという。ストックのない情報・知識は読みこなすことなどできないという。ストックとは、要するにデータベースのことだろう。基礎的な知識・がある(を持っている)状態であれば、新しく入ってくる情報・知識は、そこに付加するだけで良いことになる。それゆえ、ストックのある人、既に多くの本を読み知識のある人は、そうでない人よりも難なく速く読み進めることができる。

また難なく読み進めることができるということはストレスフリーであるということでもある。それで、そのために著者が勧める物理的な方法としては、表紙を取り去り、厚い本であれば分冊化してしまうこと。心理的方法としては、目次を読む。繰り返し読む。そして、取っ付きやすいところから読む。つまり、本文を頭から読まない・読み始めない。読み飛ばす。わからないところがあっても先に進む。著者は同じことを繰り返し述べるので、先に行って後に分かることもある。また、わからない点は、自分の欠落したところである。そのことを自覚し(かつ喜び)、疑問として置くことで、好奇心が高まり、知識吸収の熱が高まる。

目次は、本文の内容を凝縮している。本文の具体的事例等を抽象化したものが目次である。だから、あまり読む気になれない本であれば、目次の各項目の末尾を「・・とは?」として読んでみると好奇心が湧く。人は単なる事実を伝えられるより、問いかけられた方が注意が高まり、自ずと意欲が生まれる。だから、自らに問いを発しつつ読むのは良い。また、実際に読み進めて分からないところにぶつかったら、目次に戻る。目次(抽象)と本文(具体的事例)を往還することで、全体の構成もいっそう把握でき、全体の中での当該項目の役割も理解できる。

そうした、繰り返し読書を、著者はペンキを塗ることにたとえている。たしかに、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りと進めていく。そうしてはじめて、きめの細かい塗装面に仕上げることができるのは事実である。一度に厚塗りしても良い仕上がりにはならない。やはり必要な工程はかかるものである。時間をかけて、一度に読もう(精読)とすると、疲れ果てて最後まで読み通すことができない。途中、分からないところで、立ち止まり「考える」ことが、そのまま読書放棄につながることもある。それは、考えているようで「休んでいる」ようなものである。立ち止まって中空をみつめるより、目次に戻る。全体に目配りする。そのようにして、細かい工程を(繰り返しつつ)着実に進めることは、たしかな成果につながる。読書も同じである。

著者は、松岡正剛さんの講習に出たという。だから氏の「多読術」にある考え、読書は著者とのコラボレーションであり、インストールではないという考えが基本にある。

それに対して・・・


本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)

本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)

  • 作者: 出口 治明
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/09/11
  • メディア: 新書



出口治明氏は、決して読み飛ばさないという。200ページ程度の本は、それでも2,3時間で読むようなことが書いてあった。新しい分野の本に挑戦する時も、なるべく分厚い本をあえて選ぶという。なぜなら、出版社はいいかげんな著者に分厚い本を執筆させることはないからだという。内容の信頼性は厚さで保証されているということだろう。しかし、読むにおいては負荷のかかる本である。ストレスフリーどころではない。先ず、「鬼の上司」のような本に指導訓練をしてもらい、後に同種の「薄い本」を読むと、全体の構造がよく分かっていいのだという。「分厚い本と薄い本」が、宇都出氏のいう「本分と目次」との関係になる。

もう一冊は・・・

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2006/08/17
  • メディア: 新書


上記「スローリーディング」の本を手にして読んだ。著者の言い分は、速くではなく深くを目指そうというものだ。文章には書き手がいる。書き手の意図を微細なところまで汲みとって、はじめて読んだと言えるのではないか。ただ、多く読んだ、速く読んだだけでは、しようがないでしょ、というものだ。確かに、読んだ内容が身について血肉とならなければ、そのとおりである。

(ちなみに、以上、古書店で立ち読みして、記憶に頼って書いたものゆえ、正確さは保証できない。その点ご承知おかれたし)。

2018-03-13

ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝

ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 求龍堂
  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア: 単行本


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