『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』 印南 敦史著(星海社新書) [読書法・術]
読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術 (星海社新書)
- 作者: 印南 敦史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/05/27
- メディア: 新書
これはこれでたいへん参考に
書籍タイトルから推して、忘れずに記憶に留めるための具体的方策が示され、強調されていると期待すると、さにあらず。「読んでも読んでも忘れてしまうのですが・・」という悩みに、〈作家であり、書評家であり年間約700冊前後の本を読んでいる〉著者は、「だよーンだよーンそんなモンダよん」と(本文にはありませんが)答えるばかり。
具体的方法もおおく紹介されてはいるのですが、ぜんたいに印象が薄いのは、著者の読者へのスタンスが次のようなものだからでしょう。〈だからこそ、「忘れない読書法」を身につけたい人は、他の誰かが編み出したメソッドを試してみると同時に、自分なりの手段を見つけ出すことにも積極的になるべきではないでしょうか。「決まり」なんかないのだから、自分にとって心地よく、そして効果的な読書法を見つけ出せばいいのです。/ たとえば僕は・・省略・・(p141)〉。
そういう本であれば、「なんだ、読む価値などないではないか」ということになりかねませんが、本書の値打ちは、読書=知識の集積と考え、記憶に留めようと努めるあまり、行き詰って読書から遠ざかったり、読書の喜びを忘れたりしてしまった人たちに、読書の喜びと習慣を取り戻すように助けることにあるように思えます。
忘れっぽい存在であるという自分の限界を認めつつ、自分に合った方法を模索し当てはめ、数多くのさまざまな本を読むなかで、おのずと知識は集積され(著者の言葉によると「ミルフィーユ」のように)厚みを増していくものであることが示されています。
また、否応なく仕事として毎日のように書評を書いて過ごさねばならない著者ならではの、本との付き合い方(つまり速読などの方法)も示されています。
記憶に留めることを第一の目的とするならば、記憶術の本を読んだ方がいいですが、これはこれでたいへん参考になります。
2018年10月5日にレビュー
遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣
- 作者: 印南 敦史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)