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『考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる』 柴田 純著 吉川弘文館 [日本史]


考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる

考える江戸の人々: 自立する生き方をさぐる

  • 作者: 柴田 純
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2018/03/26
  • メディア: 単行本


「考える」ことについて考えさせられる良書

表紙イラストと副題(「自立する生き方をさぐる」)から、江戸時代における個々の生き方・生業などを事例をあげて紹介する本のように思ったが、そうではなかった。神仏中心の(自然や「運命」ともいうべきものに翻弄されることに甘んじる)在り方・生き方を脱して、自立した(「人を救うのは人だけだ」という)生き方を日本人が獲得していく過程が記されている。全般の記述からいけば、日本思想史に関する本であり、「考える」ことに重きが置かれている。

「まえがき」に相当する部分から、本書のテーマを示す部分を以下に抜粋してみると、以下のようになる。〈応仁・文明の乱以降、戦乱が打ちつづき治安が悪化するなかで、社会が混乱を増してくると、神仏の権威に懐疑心が生まれるようになっていく。やがて、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康が登場し、戦国の争乱が克服されて、一定の“平和”が実現されると、今までに比べて、人間的力への信頼が格段に高まってきた。16~17世紀とは、そうした大きな社会変動の時代であった。(p3)〉・・・〈本書の課題の一つは、この時期に人々の心の深部で何が起こりつつあったのかを明らかにすることである〉。

1(章)では「政治とは仏神の加護を期待するのではなく、人知によって克服すべき問題」という自覚をもった大名:井伊直孝(1590~1659)に注目する。

2(章)では、「治者(政治の担当者)」としての責任意識を自覚して藩政を領導する」その任務の自覚は、どのように獲得されたか。近世初頭の思想状況が検討される。

3(章)では、「問題が起こった場合、自分で考え、工夫して対策を見つけだし、行動していく主体的なあり方」が、大名など一部エリートだけでなく、一般武士や村の庄屋なども持つようになる。そうした人々がどのような問題意識を持っていたか、示される。

4(章)では、自立する生き方へと庶民を導くものとなった教育の機会(「寺子屋」)に焦点が当てられる。

『創意工夫する現代社会』は、全体のまとめ・総括部分となっていて、現代社会、AI も視野に入れた論議となっている。

2018年5月30日にレビュー

以下「目次」(一部省略)

人を救うのは人だけだ”

1 名君の条件
①井伊直孝の治者意識 ②直興の教諭と木俣氏の諫言

2 近世的思想とは
①中世の思想・文化状況(中世の本覚思想 / 真の知識人とは / 才覚の否定 / 本覚思想の崩壊)

②藤原惺窩と林羅山(天道思想 / 藤原惺窩 / 惺窩の問題意識 / 治者の任務とは / 「修己治人」の思想 / 林羅山 / 羅山の思想)

③那波活所の思想(活所の略歴 / 活所の天観 / 感通を本質とする人間的生 / 存誠とは / 出処進退 / 自然体に生きる / 一才一芸の肯定 / 動中静有り / 思を強調する立場 / 生意の強調)

④活所の中人思想(中人思想とは / 厳しい現状認識 / 中人の向上可能性 / 社会的中間層の登場)

⑤伊藤仁斎と荻生徂徠(伊藤仁斎 / 荻生徂徠)

3 中間管理職を生きる
①独立の精神(山本朝常 / 自立した民政官の登場)

②自立する武士の生き方( 沢辺北溟の略歴 / 儒学説 / 現状への批判 / 真の学者 / 常人たる北溟 / 常人の教化 / 志節を内に / 義理とは / 臣の道 / 士の道)

③工夫する庄屋の生き方(河内屋可生 / その上にまた工夫すべし / 西村次郎兵衛とは / 次郎兵衛の人間観 / 次郎兵衛の子育て観 / こころばせを誠にする / 堪忍の心得 / 意は我が身の主人 / 本心に仏あり / 道理をふまえて / 次郎兵衛の工夫 / 独りを慎む / 堪忍ならぬ気 / 次郎兵衛の回想 / 修己治人をめざす)

4 拡大する庶民の世界
①五個荘町域での寺子屋教育 ②寺子屋時習斎 ③時習斎門人姓名録の分析 ④幕末段階での就学率 ⑤五個荘町域外の入門者 ⑥五個荘商人の教養と商業倫理

創意工夫する現代社会
(江戸前期 / 江戸中期 / 江戸後期 / 身分型自立の社会 / 考える葦 / 思いやりと共感 / 「考える文化」の成立 / 智解ある人 / AI の限界 / AI と智解)

あとがき

藤原 惺窩
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E6%83%BA%E7%AA%A9

林 羅山
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%97%E7%BE%85%E5%B1%B1

那波活所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%A3%E6%B3%A2%E6%B4%BB%E6%89%80



メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

メディアの展開 - 情報社会学からみた「近代」

  • 作者: 加藤 秀俊
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 単行本


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「下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方」 繁田 信一著  新典社 [日本史]


下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方 (新典社選書 86)

下級貴族たちの王朝時代 ―『新猿楽記』 に見るさまざまな生き方 (新典社選書 86)

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 新典社
  • 発売日: 2018/01/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


庶民たちがいて、下級貴族たちがいて、そのうえでこそ、上級貴族たちが華やぐ王朝時代が成り立っていたはず

平安時代中期:王朝時代の“下級貴族”の生活をあぶりだした本。下級貴族とは正一位からはじめて少初位下(ショウソイゲ)まで30階層に分かれていた従五位下より下の身分。本文中には「十世紀半ばを過ぎた頃から、正六位上を除いて、下級の位階はほとんど消滅してしまい」「王朝時代の日本では、人々は、概ねのところ、正六位上を最下級とする位階を持つ人々(およびその家族)と、全く持たない人々とに、大きく二分されることにな」り、「その結果、正六位の位階を持つ人々は、実質的には、準貴族もしくは下級の貴族としての地位を獲得することになったのであった」とある。

その下級貴族が実質的に、さまざまな仕事を行って、その上の貴族の暮らしを支えていた。そのあり様が、本書の典拠となっている『新猿楽記』から検討される。藤原明衡による漢文作品『新猿楽記』(フィクション)の主人公:右衛門尉(ウエモンノジョウ)は下級貴族で、その娘とその婿たち(その多くは下級貴族)の暮らしぶりに焦点があてられる。その職業はさまざまで、博徒、武者、農業経営者、金属加工職人、学者、力士・・などである。

それは各章の表題ともなっている。「高名の博打(バクウチ)」「天下第一の武者」「大名の田堵(タト)」「覡女(カンナギ)」「鍛冶・鋳物師(イモジ)並びに銀(シロガネ)・金(コガネ)の細工」「紀伝・明法・明経・算道等の学生(ガクショウ)」「高名の相撲人(スマイニン)」「馬借(ウマカシ)・車借(クルマカシ)」「工の棟梁」「遊女(アソビメ)・夜発(ヤハツ)の長者」。そこで、他の文献も引き合いに出しながら展開される論議は、新鮮で啓発的だ。とりわけ、大名、武者、学生、相撲・・に関する知識は興味深い。

著者は「あとがき」に次のように記している。 〈世の王朝時代研究の多くは、「王朝時代研究」とは言いながらも、中級貴族層の大半をばっさり切り捨ててしまっており、さらには、下級貴族層や庶民層には全く注意を払っていませんでした。/ しかし、実に当たり前のこととして、庶民あっての貴族です。そして、庶民たちがいて、下級貴族たちがいて、そのうえでこそ、上級貴族たちが華やぐ王朝時代が成り立っていたはずなのです。/ このような考えから、私は、・・・〉。

そのような、観点、視点から見る王朝時代は、新鮮になって当然だ。他の著作にも目をとおして見たいと思わせる書籍であった。

2018年5月22日にレビュー

繁田 信一の著書
https://www.amazon.co.jp/%E7%B9%81%E7%94%B0-%E4%BF%A1%E4%B8%80/e/B004LUL1K8/ref=dp_byline_cont_book_1


平安貴族と陰陽師―安倍晴明の歴史民俗学

平安貴族と陰陽師―安倍晴明の歴史民俗学

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2005/05/01
  • メディア: 単行本



紫式部の父親たち―中級貴族たちの王朝時代へ

紫式部の父親たち―中級貴族たちの王朝時代へ

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 笠間書院
  • 発売日: 2010/12/01
  • メディア: 単行本



殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語

殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語

  • 作者: 繁田 信一
  • 出版社/メーカー: 柏書房
  • 発売日: 2005/09/01
  • メディア: 単行本



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『池上彰の世界から見る平成史』 角川新書 [日本史]


池上彰の世界から見る平成史 (角川新書)

池上彰の世界から見る平成史 (角川新書)

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/17
  • メディア: 新書


「足元」の歴史を知ることができる

前々から歴史年表、「今」と直結する平成のソレとその解説を入手したく思ってきた。遠い過去ではなく、いわば足元を知らなくてどうする?との思いからだ。だから、平成が終わろうとする「今」まさに願ってもない本が出たという感じでいる。

さすがに池上さんの解説はわかりやすい。「笑っちゃうくらい」と形容したいほどだ。では、それをスグ復唱して他の人に説明できるかというと、たいへん怪しいところだが、手元に置いておけば参照もできるだろうし、くりかえし読んで、備えおくこともできるだろう。

書かれている「平成」の項目を見ると、すべて自分の見聞きしてきたことなのである。しかし、分かってはいない。モヤモヤしている。そのモヤモヤを、池上さんは晴らしてくれる。項目ごとの解説はせいぜい2ページ(図版を入れて3ページ)といった簡略なものだが、「東西冷戦終結」を起点とした流れの中での、日本のあり様を解いてくれる。「プラザ合意」や「55年体制」などよく耳にする(つまり、大切な)ことを教えてもくれる。評者にとっては、たいへん有難い本だ。

2018年4月29日にレビュー

(以下、「目次」を逆に記載)

主要参考文献
おわりに

イラク戦争などの有事に対応する法律を整えていった
日教組と文部省は何で対立していたのだろうか?
共産主義と社会主義 いったいどう違うのか?
COLUMN

51 新年号は2019年5月1日スタート
50 元号とは何か?
49 アメリカ合衆国大統領にトランプ
48 小池・東京都知事の誕生
47 オバマ大統領が初めて広島を訪問
46 日銀がマイナス金利導入
45 パリ同時多発テロ
44 中東に自称「イスラム国」樹立
43 クリミア住民投票
42 アベノミクスとは?
41 菅政権から野田政権へ
40 東日本大震災 観測史上日本最大の地震
39 尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件
38 深刻だったギリシャ危機
37 リーマン・ショック、日本への影響
36 アメリカ発 100年に一度の金融恐慌
35 メリットはあった? 郵政民営化
34 ブッシュの大罪
33 アフガニスタンの次はイラク戦争
32 拉致被害者帰国
31 アフガニスタンという国
30 凶悪テロの原点。アメリカ同時多発テロ事件
29 中央省庁再編
28 東海村JCO臨界事故
27 国旗国家法
26香港が中国に返還される
25 失われた10年の始まり
24 住専問題って何だったの?
23 阪神・淡路大震災の悲劇
22 オウム真理教による2度目のテロ事件
21 日本は「テロ先進国」!?
20 欧州ではEUが誕生
19 46年ぶりに社会党の党首が総理大臣に
18 細川内閣(非自民・非共産)が誕生
17 東京佐川急便事件とは
16 「湾岸トラウマ」でPKO協力法が成立
15 イラン・イラク戦争でイライラ
14 政府によるバブルつぶし
13 秀逸! 平野ノラのバブル芸
12 マルタ会談って何?
11 ハンガリーが壁に穴をあけた
10 劉暁波と天安門事件
09 消費税は平成の幕開けとともに
08 いまの選挙制度につながる事件
07 昭和天皇崩御の裏で・・・
世界から見る平成史

06 東西冷戦に決着!資本主義の勝利
05 中華人民共和国はソ連についた
04 冷戦への決定打「トルーマン・ドクトリン」
03 ベルリンの壁は、恥ずかしい壁?
02 すべてはスターリンの“裏切り”から始まった
01 「平成」じゃない平成がスタート
東西冷戦終結と平成の始まり
東西冷戦の歴史と世界の関係を理解しておこう~

平成以降の主な地震と火山活動
平成時代の日本の首相
平成年表 世界から見る平成の日本
世界と平成日本② 世界に広がる分断、対立。その裏で進む一強政治
世界と平成日本① 戦後、世界は東西陣営に分かれた。そして、冷戦は終結した
はじめに



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『世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』 茂木誠著 [日本史]


世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

  • 作者: 茂木誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本


「東アジアや世界のダイナミックな動きのなかで、ざっくり日本史を摑む」助け

著者自身、次のように述べている。「日本史マニアの読者層は厚」い。「日本史本の出版数は世界史本の比では」ない。「しかし、世界史の目線で日本史を俯瞰できるような著作は、ほとんど」ない。「これは日本史専攻で世界史を教えてきた茂木誠という突然変異体(ミュータント)だからできたことかもしれない」。

著者は、「歴史教科書には、一貫した歴史観すらない」ことを指摘する。そして、「これでは東アジアや世界のダイナミックな動きのなかで、ざっくり日本史を摑むことは困難」と述べる。(以上『はじめに』から)

そして巻末(『おわりに』)で、次のように述べる。「歴史観というものは人それぞれですので、こういうものの見方もあるのか、という部分を楽しんでいただければ、本書は役割を果たしたことになります。事実の間違いや誤解など、お気づきの場合はご教示願えれば幸いです」。

「歴史観というものは人それぞれ」とはいうものの、やはり、歴史上の事実を一つ一つの点とみなすならば、それらの点をうまくグループ分けしつなぎ合わせ、全体の流れを整合性のある仕方で語ることのできるものが、よりふさわしい歴史観ということになるだろう。新しい発見も含めてである。

本書は、その点、たいへんうまく語られ(まとめられ)ている。神話の時代も含め(因みに、著者の立場は「神話を事実と混同するのは論外ですが、神話を神話として理解し、そこに込められた民族意識を知ることは、無意味なことではないのです」p44)、そのストーリーは興味深く、首肯させられる。

仮に「事実の間違いや誤解など」ある程度見いだされたとしても、全体の流れは著者の語るスジから逸れないのではないかと“直観”する。「東アジアや世界のダイナミックな動きのなかで、ざっくり日本史を摑む」うえで、確かな骨格が提供されているように思う。

2018年4月13日にレビュー

ジオ・ヒストリア

ジオ・ヒストリア

  • 作者: 茂木誠
  • 出版社/メーカー: 笠間書院
  • 発売日: 2022/10/25
  • メディア: Kindle版



日本とユダヤの古代史&世界史 - 縄文・神話から続く日本建国の真実 -

日本とユダヤの古代史&世界史 - 縄文・神話から続く日本建国の真実 -

  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2023/06/09
  • メディア: Kindle版



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『伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史』 ミネルヴァ書房 [日本史]


伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史

伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2017/12/30
  • メディア: 単行本


それにしても、良い視座を見いだしたものだ・・・

「伝奏(テンソウ)」と称する人々の「橋渡し役」に興味を持った。何かのはざまに身をおくと、身を置いた両側にあるもの双方それぞれがいろいろ見えてくるものである。場合によっては身を引き裂かれる思いをして認知することもあるにちがいない。本書の場合、「公武交渉人」がテーマであるから、その両脇にある、公家と武家の双方が見えてくることになる。また、それに限らず、その視点・視座に注目するなら、個々の歴史事象の見え方もおおいにちがってくるであるように思ったのである。

本書の目的については、次のようにある。〈 天皇・朝廷は、時の政治権力である武家とどのような関係を持ち続け、「武家の時代」を生き抜いていったのか。本書は、朝廷と武家政権が交渉をおこなう際に、朝廷側の窓口となった役職の歴史を通覧するものである。(「序章 武家と公家をつないだ人々」)〉

その役職については、次のようにある。〈交渉人たる公家の役職名は、史料上では「関東申次」「武家執奏」「伝奏」「武家伝奏」と表記される。おおむね「関東申次」は、鎌倉時代の中期(寛元4年、1246)に成立したと見なされている。その後、南北朝期には「武家執奏」、室町時代に入って「伝奏」と表記されるようになり、江戸時代にいたると「武家伝奏」という表記も見られるようになる。このように史料上での表記は時代により異なるが、いずれも朝廷ー武家間の意思(意志)疎通をはかる交渉人、連絡係、仲介者という語義であることをあらかじめお断りしたい〉とある。

本書は、その目的にあるように「通覧」がおおきな特徴となっている。歴史区分ごとに扱うのではなく、区分を取り払って通時的に扱う。とりわけ、時代とともに、その名称が揺れうごいてきた「橋渡し役」「公武交渉人」について考察するにあたって、その取り扱いはたいへん有効であるにちがいない。

それにしても、鎌倉から江戸幕末維新期までの武家の時代にあって、「影の薄い存在と見なされていたきらいがある」「姿の見えにくい天皇・朝廷」のありようを探るうえでの良い視座を見いだしたものだと思う。(以下、「目次」章立て)

序章 武家と公家をつないだ人々 第Ⅰ部 鎌倉時代ー関東申次の誕生と活躍(第1章 関東申次成立前史 第2章 関東申次の成立 第3章 関東申次の展開と終焉) 第Ⅱ部 南北朝・室町時代~戦国・織豊期ー関東申次から武家伝奏へ (第4章 動乱期の公武関係を支えた公家たち -武家伝奏の誕生 第5章 足利将軍家に仕えた公家たち-戦国期の武家伝奏と昵近衆の活躍 第6章 織田・豊臣の武家伝奏) 第Ⅲ部 江戸時代ー近世武家伝奏の活躍とその終焉 (第7章 近世の武家伝奏の登場 第8章 近世中期の武家伝奏の活動と幕府役人観 第9章 近世朝廷の武家伝奏から維新政府の弁事・弁官へ おわりに あとがき 人名索引

2018年4月3日にレビュー

幕末の天皇 (講談社学術文庫)

幕末の天皇 (講談社学術文庫)

  • 作者: 藤田 覚
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/13
  • メディア: 文庫



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*「世界史」で読み解けば日本史がわかる 神野 正史著 祥伝社 [日本史]


「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

  • 作者: 神野 正史
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本


「歴史を多面的に見る」ことを学び、身につける助け

おもしろい本だ。ひとつひとつ出典・根拠をあげ学術的に各章を記述していくなら、章ごとに一冊の本になりそうである。ところが、それをそうせず、かるく語りおろすかのように記述していく。だから、読んでいて、「風が吹けば桶屋がもうかる」の落語を聞いているようにも読める。たしかに因果関係があるようで、実はたいへんアヤシイ話しとして、ソレは語られるが、本書の記述も一見そのように読めなくもない。

しかし、その論議をたどっていくと、日本史の出来事に、思いがけない世界史的事象が絡んでいることが示される。オドロキである。そして、その話の筋道は、たいへん確からしい。これまでの知見をくつがえすかの論議もある。コマッタものである。だが、たぶん、筆者の論議は、確かなものなのだろう。

著者の意図は、そもそも論議の緻密さや根拠の確かさの提示ではなく、別のところにある。著者自身つぎのように述べる。「本書も、H・ピレンヌ同様「バタフライ効果(風が吹けば桶屋が儲かる)」との謗りを受けることも覚悟のうえで、日本史のさまざまな場面を思いきった世界史的観点から見ていくことで、今までの日本の中から見てきた日本史の別の側面や意外性を発見していくことを試みたものです。(「まえがき」)」

また、「最後に(あとがき)」には、「本書では『歴史を多面的に見る」ということをテーマとして筆を進めてまいりましたが・・」とあり、「本書によって、物事はすべて多面的に学ぶこと、考究することの重要性を悟ってくれたなら、筆者本懐の極みです。」ともある。

筆者は、歴史事象とそのつながりを単に記述していくだけでなく、「エントロピー増大則」についてふれるなど、自身の世界観や史観も披瀝している。それもまたオモシロイ。記述の仕方においては、だいぶ風が吹きまくっている感もないではないが、それ以上に、学ぶところ大である。

目次
まえがき
第1章 縄文時代(本当に貧しい未開の時代だったのか)
第2章 仏教公伝(「項羽と劉邦」の戦いが与えた影響)
閑話休題 鬼伝説の謎を解く
第3章 室町時代末期(戦国の動乱は地球規模の動きだった?)
第4章 戦国時代(加藤清正、大谷吉継が死んだのはコロンブスのせい?)
第5章 宣教師の来日(彼らがやってきた本当の目的とは)
第6章 江戸幕府の滅亡(イギリス宗教弾圧が日本を救った?)
第7章 日韓併合(イギリス産業革命が生んだ悲劇)
第8章 日露戦争(「ビスマルクの失脚」が14年後の日本を救った)
第9章 太平洋戦争(それは「アメリカ・ファースト」から始まった)
最後に

2017年11月20日にレビュー

エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)

エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)

  • 作者: 鈴木 炎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



エントロピーとは何か―でたらめの効用 (ブルーバックス)

エントロピーとは何か―でたらめの効用 (ブルーバックス)

  • 作者: 堀 淳一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1979/08
  • メディア: 新書



トコトンやさしいエントロピーの本 (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしいエントロピーの本 (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 石原 顕光
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2013/09/27
  • メディア: 単行本



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『徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)』 磯田 道史著 [日本史]


徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)

徳川がつくった先進国日本 (文春文庫)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/01/06
  • メディア: 文庫



本書をとおし〈江戸時代の天下泰平が築かれ、維持されて〉いった過程を見ることができる。1637年(寛永14年)の〈「島原の乱」から「生類憐れみ令」にかけての社会の大きな転換が、後の泰平の礎になっている〉。〈この時期に実現した「平和の到来」があったからこそ、江戸時代の社会は、幾多の危機を乗り越え、泰平を維持することができた〉。〈宝永地震と巨大津波にみまわれながらも成熟した農村社会をつくり上げられたのは、平和を背景に知的な農民たちが努力する環境を与えられていたからです。さらにその後の天明の大飢饉で農村社会が破綻に追い込まれると、今度は幕府や藩が民政重視へと転換し、福祉政策の真似事をはじめ、民間社会を支えはじめました。そしてロシアとの対外危機では、幕府が国を守る鎖国観念を醸成することで、その後の華やかな江戸文化の隆盛を守ることができました〉と著者は記す。

1806年の「露寇事件」、1783年の「浅間山噴火・天明の飢饉」、1707年の「宝永の地震・津波」、1637年の「島原の乱」を時代のターニングポイントと捉えている。生命の尊重、人権意識が天下泰平の礎となり、地震・津波・飢饉といった天災を経験する中で、為政者と民との関わりのダイナミズムによって(という表現を著者はしていないが)望ましい支配のあり方が探られ、選び取られていった過程を、時間をさかのぼりながら論じている。

本書の醍醐味は、一般の歴史教科書とは異なるその論述の仕方にある。江戸の昔を語る本ではあるが、現代日本を照射する内容をもっている。今起きている、政治問題等を理解する上での参考にもなる。

徳川様の世は、今よりもずっと上?(磯田道史著『徳川がつくった先進国日本』から) 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26

(以下、目次)

はじめに

第1章 「鎖国」が守った繁栄 1806年(文化3年)
「徳川の平和」の岐点
文化爛熟期に起きたウェスタン・インパクト
ラクスマン、レザノフと日本との出会い
ロシア船襲撃事件
開国論と鎖国論
武力衝突の回避へ
「民命」の重さ

第2章 飢饉が生んだ大改革 1783年(天明3年)
幕府中興の祖、吉宗の行った改革
田沼政治の功罪
前近代の政治は「財政あって福祉なし」
浅間山の噴火から天明の飢饉へ
飢饉が明らかにした政治の矛盾と限界
名代官の時代
幕藩体制の転換

第3章 宝永地震 成熟社会への転換 1707年(宝永4年)
新田開発へと雪崩を打つ
上道郡沖新田の干拓事業
大地震と津波の甚大な被害
環境破壊と自然のしっぺ返し
豊かな農村社会へ

第4章 島原の乱 「戦国」の終焉 1637年(寛永14年)
徳川時代の幕あけ
生瀬(ナマセ)の乱の凄惨な事実
「徳川の平和」への助走期間
島原の乱とは何か
武士が払ったコスト
愛民思想の芽生えと「武断」から「仁政」へ
武家政治の大転換
「平和の到来」をもたらした「生命の尊重」

参考文献 年表

2017-06-26

徳川家康 弱者の戦略 (文春新書)

徳川家康 弱者の戦略 (文春新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/02/17
  • メディア: Kindle版



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『宣教師ザビエルと被差別民』 沖浦 和光著 筑摩書房 [日本史]


宣教師ザビエルと被差別民 (筑摩選書)

宣教師ザビエルと被差別民 (筑摩選書)

  • 作者: 沖浦 和光
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/12/13
  • メディア: 単行本


期待していた以上に

フランシスコ・ザビエルが宣教師であることはもちろん承知していたが、被差別民との関係については全く知らない。しかし、本書主題においては、「と」で結ばれ並べられてある。これはオモシロイと思った。それで手にした。

期待していた以上にオモシロイ。ザビエルの出自、生い立ち、はるばる日本へ来たいきさつ、日本への渡航を手引きし後に信者となった日本人アンジローのこと、将来を嘱望してヨーロッパに派遣した日本人信徒ふたり(ベルナルドとマテオ)のこと、ザビエルが中国に向かい、亡くなった後インドのゴアに運ばれ、そのミイラ化した遺体が安置されていることなど、歴史の教科書にみる著名な肖像画の主が、実在しただけでなく実際どんな人物であったか・・知ることができる。さらには、イグナティウス・ロヤラなど若者7人ではじめた「イエズス会」の宣教の方針、それが中世修道会(Ordo)ではなく「会:Societas」を名乗った理由、彼らがどのように未信者たち(時に、人食いの慣行もある地域にも分け入り)に向って行ったのか、その向った先に「被差別民」がいたこと・・も知ることができる。

さらに、オモシロイのは、当時のヨーロッパ、ならびに日本の歴史的状況が興味深く語られることだ。ヨーロッパ世界の宗教改革・大航海時代を背景にバスク地方出身のロヨラ、ザビエルらは宣教活動をはじめる。片や日本の状況は、次のように記される。《ザビエルの一行が上陸した頃は、戦国時代の末期で、戦国大名が各地に割拠して室町幕府の権力は完全に無力化していた。応仁の乱以来のほぼ1世紀にわたる内乱によって国土は荒廃し、多くの民衆が戦乱の犠牲となり、その日の糧に苦しむ貧民・窮民が絶えなかった。「天変地異」もしきりに起こり、水害・旱魃・疫病・地震なども相次いだ。/ しかし、他面では「下克上」の風潮が広がり、〈一向一揆〉に代表されるような民衆の反権力闘争が高揚し、都市や村々の自治的基盤が固まっていく時代であった。・・・(「1世直し闘争としての一向一揆」)》当時の日本は、貴族・有力者のものであった宗教に大きな変化の生じる時期で、そのような中、ザビエル一行は、地方大名や民衆に受け入れられていく。

著者は、現地と歴史を行き来する。現地に足を運び、その報告を交えて記述をすすめる。「賤民制の推移」についての歴史的記述を含める。著者はずっと差別問題を思想史レベルで考慮してきた人物であるそうな。「2015年没」とある。本書が遺著であるという。評者にとって、本書ははじめての沖浦体験である。著作集も刊行されているようだ。過去の著作にも目をとおしてみたいと思わせる著作であった。

2017年3月10日にレビュー

沖浦和光著作集第5巻 瀬戸内の民俗と差別

沖浦和光著作集第5巻 瀬戸内の民俗と差別

  • 作者: 沖浦 和光
  • 出版社/メーカー: 現代書館
  • 発売日: 2016/12/12
  • メディア: 単行本


辺境から歴史見つめてー沖浦和光追想
民に寄り添う沖浦ワールドの魅力を語る
ジャーナリスト 池田 知隆
http://gendainoriron.jp/vol.06/rostrum/ro01.php

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『えた非人: 社会外の社会』柳瀬 勁介著・塩見鮮一郎訳 河出書房新社 [日本史]


えた非人: 社会外の社会

えた非人: 社会外の社会

  • 作者: 柳瀬 勁介
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/11/25
  • メディア: 単行本


本書は『社会外の社会 穢多非人(1901 明治34年 大学館)』の現代語訳。付録の解説と資料も充実

現にあるのに、見えないモノがある。それが、習慣、習俗として社会に定着している場合なおさらだ。

訳者:塩見鮮一郎は、戦後若かりし頃の自分の見聞を示しつつ、著者:柳瀬勁介の時代に思いを馳せて記す。「世間でランプが普及していても、ここでは油皿にちいさな炎が燃えていればいいほうだ。蚊帳もないし、火鉢もない。なにもない。なにもないのが当然のように、当の部落の人も、善良な市民も、それを疑わない。いまでは信じられないような時間が、開化の明治の暗流にあった(『解説 奇書誕生の異聞』)」。

そのような中で、著者「柳瀬勁介はある日、覚醒する」。「維新のスローガンとは無縁の社会」に気づく。「“明治の聖代”に、まずしく、悲惨な、まさに家畜のあつかいを受けている人間がい」る。そして、「壮絶な戦い」を始める。「『解放令』が出てから、四半世紀になろうとしているのに、「えた」と「非人」についての論述はな」い。「なければ、自分が書くまで」・・・。その志しのうちに筆を執り、本稿成ったものの、救済策のために渡った台湾の地で急逝する。本書の原著は、その遺志を継いで友人がまとめ出版した『社会外の社会 穢多非人(1901 明治34年)』。

読んでの「印象」。著者の文章は、(訳されたものを見ても)たいへんしなやかで勢いがある。勁介はみずから選んだ名ということだが、「疾風勁草」を想起させられた。また、その論考は、過去の文献等によく目を配り、法学を学んだ人ならではの論理性を感じる。また、解説されている原著成立過程(推薦文)からは、スローガンとその実践との乖離。分かっているつもりで、実は分かっていないもどかしさ。スローガンとして声高に語っても、なかなか実践に至らない難しさ。われわれの意識、認識が変わるのには、多大の時間を要するということ。逆をいえば、「時代精神」の強靭さ・・・。

以下、目次・章立て

第1章 「えた」の名称 第1節 「えた」という名称の意義 第2節 「えた」の異名(33種挙げられている)

第2章 「えた」の起源

第3章 「えた」の状態 第1節 「えた」の地位、第2節 「えた」の風俗、第3節 「えた」の信仰と道徳、第4節「えた」の人口と出生率

第4章 「えた」排斥の原因

第5章 救済策

付録
解説と資料/解説 奇書誕生の異聞 塩見鮮一郎 資料1 著者小伝(権藤震二) 資料2 本書引用書目 資料3 亡友遺稿刊行の始末 資料4 『社会外の社会 穢多非人』解題 柳瀬道雄 役者あとがき

2017年2月6日にレビュー

江戸の貧民 (文春新書)

江戸の貧民 (文春新書)

  • 作者: 塩見 鮮一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/08/20
  • メディア: 単行本



弾左衛門とその時代 (河出文庫)

弾左衛門とその時代 (河出文庫)

  • 作者: 塩見 鮮一郎
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/01/05
  • メディア: 文庫


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『出雲国誕生』 大橋 泰夫著 吉川弘文館 [日本史]


出雲国誕生 (歴史文化ライブラリー)

出雲国誕生 (歴史文化ライブラリー)

  • 作者: 大橋 泰夫
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: 単行本


『出雲風土記』の文献史学、考古学、歴史地理学等の研究を踏まえ、「地方支配の拠点」としての《出雲国府を中心とする出雲国の姿について、みていく》内容

当初、本書について、古事記・日本書紀に記され、「大和」に対立するものとして存在したという「出雲」についての「神話」とされるモノを事実として裏付ける書籍であるかのように思ったが、そうではなく、奈良時代のはじめ(西暦713年)に元明天皇によって調査報告を命じられ、20年後に完成した『出雲風土記』に文献史学的検討を加え、さらに考古学、歴史地理学等の研究成果を踏まえて、律令制に基づいて設置された「地方支配の拠点」としての《出雲国府を中心とする出雲国の姿について、みていく》という内容。

本書によると、『風土記』は常陸・播磨など幾種類か残っているが、そのうち《ほぼ完全な形で伝わるのは、『出雲風土記』だけ》であるという。そして、《『出雲風土記』に示された出雲国の姿は、七世紀後半代に領域的な国が成立しそれにともない国司が派遣され、国府が成立したことを契機に官衙や官道が一体的に整備された状況を示している。・・略・・/ 出雲国のあり方が示すように、七世紀末頃に国府が独立した点については、国の骨格が形成され在地社会が大きく変容する契機となった点にその意義がある。この時期は古代国家にとって大きな画期であり、全国で国府成立を契機として国の形成が進んだ。こうした国府創設の実態が明らかにされているのが、出雲風土記である(「古代出雲国の成立」)》とある。それゆえ、本書は、出雲国だけでなく、他の「地方支配の拠点」の「誕生」と成長を示すものでもあるのだろう。

2017年1月3日にレビュー

出雲国風土記 (講談社学術文庫)

出雲国風土記 (講談社学術文庫)

  • 作者: 荻原 千鶴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/06/10
  • メディア: 文庫



常陸国風土記 全訳注 (講談社学術文庫)

常陸国風土記 全訳注 (講談社学術文庫)

  • 作者: 秋本 吉徳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/10/09
  • メディア: 文庫



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