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『歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち』 丸善出版 [医学・健康]


歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち

歴史を変えた100の大発見 脳 心の謎に迫った偉人たち

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2017/12/02
  • メディア: 単行本


『謎』がまだまだあることを知ることのできる本

神経科学(Neuroscience)の歴史の本。神経の中枢とされる「脳」に焦点を当てている。「偉大な科学者たちの思想や功績にはすばらしい物語がつきものだが、本書では脳についての100の物語」が紹介される。

「古代の医師たちは、重篤な頭部損傷の治療法を多少なりとも知っていたが、脳そのものに関する知識は乏しかった。はるか遠い昔、脳は体の中枢器官というより、血液を冷やす場所であるとされていた。中枢器官としての役割は心臓にあって、感情も魂も心臓に宿ると考えられていた。(同じような考えは今でもある。)しかし、進歩はゆっくりと、しかし、着実に進み、何世紀もかけて脳の本質がようやく理解されるようになった。」

本書の『はじめに』から以上引用したが、その末尾で、神経科学者は脳の探偵にたとえられ、次のように結ばれる。「脳の探偵たちは、これまでに驚くべき発見をたくさんしてきたが、いまだに解決されていない謎も多くある。私たちは何を知っていて、まだ解明されていない事柄は何であるのか。これらについて、本書で見ていくことにしよう」。

図像(イラスト、写真)がふんだんに用いられ、見ているだけで楽しい。本書末尾に『偉大な神経科学者たち』のプロフィルが紹介されている。本書中にも登場する人物たちである。「 ヘロフィロス(解剖学の創始者)、プラトン(知性は頭に宿ると提唱)、ガレノス(医学の体系を確立)、イブン・アル=ハイサム(視覚理論の提唱)、イブン・スィーナー(イスラムの医師・学者)、トナス・アクィナス(脳機能局在論を発展させた)、アンドレアス・ヴェサリウス(最初の近代解剖学者)、ヨハン・ヤコブ・ウェファー(脳卒中の原因の発見)、フランツ・ヨーゼフ・ガル(骨相学の祖)、ジョヴァンニ・アルディーニ(体内における電気の役割の研究)、カール・オーガスト・ウェインホールド(脳内の電気的活動の研究)、ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキンエ(神経細胞の発見者)、テオドール・シュワン(細胞説を提唱)、ベルンハルト・フォン・グッデン(脳標本用のミクロトームの発明者)、ポール、ブローカ(言語野が前頭葉に位置することを特定)、ジャン=マルタン・シャルコー(近代神経学の祖)、ヘンリー・モーズリー(パーソナリティー障害の概念を発展させた)、ジョン・ヒューリング・ジャクソン(脳の階層説を提唱)、エドワルド・ヒッツィヒ(運動皮質の領域を特定)、グスタフ・フリッシュ(運動皮質の領域を特定、ハーマン・ムンク(視覚皮質の領域を特定)、ウィリアム・ジェームズ(情動の理論を提唱)、デーヴィット・フェリアー(感覚皮質の領域を特定)、カミッロ・ゴルジ(神経細胞の染色法を開発)、サンティアゴ・ラモン・イ・カハール(ニューロン説を発展させた)、エミール・クレペリン(双極性障害を報告)、ジークムント・フロイト(精神分析学の創始者)、オイゲン・ブロイラー(統合失調症を報告)、ジョルジュ・ジル・ド・ラ・トゥーレット(トゥーレット症候群を報告)、ジョゼフ・バビンスキー(足底反射の発見)、チャールズ・スコット・シェリントン(シナプスを発見)、アロイス・アルツハイマー(認知症のなかでもっとも多い型を報告)、オットー・レーヴィ(神経伝達物質を発見)、カール・ユング(分析心理学を発展させた)、ナサニエル・クレイトマン(睡眠研究の祖)、グレイ・ウォルター(人工知能の先駆者)、アラン・ロイド・ホジキン(活動電位の発見)、アンドリュー・ハクスリー(活動電位の発見)、エリック・カンデル(分子レベルで記憶の仕組みを解明) 」の39人である。そこには、「生年、生誕地、没年、重要な業績(上に列挙した名前の後、括弧でくくった部分)」が一行で示され、さらに補足的な情報が記され、4人分が1ページに配されている。(「索引」も用意されているが、できれば、各プロフィル欄に、本書中の掲載ページも併せて示して欲しいところ)。

2015年英文発行書籍である。すでに新たな発見がなされて改訂の必要なところもあるのかもしれない。そのように考えると、日本版発行そうそう古い本となってしまっていると言えなくもないが、脳の『謎』の理解の発展の歴史をビジュアルに示す本書の魅力は、理解されていることそのことよりも、脳の『謎』がまだまだあることを知ることができることの方であるように思う。それゆえ、仮に情報の更新が必要であるにしても、決して古びることはない。

2018年2月1日にレビュー

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)

  • 作者: 渡辺 正峰
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/11/18
  • メディア: 新書



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皮膚は「心」を持っていた!山口創著 青春出版 [医学・健康]


皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: 新書


「触れる」行為を見直してほしい

たいへんオモシロイ本だ。皮膚は、体をぐるっと覆っているウスイ皮膜以上のものであることを知ることができる。

皮膚は、他者との境界をなしている。その境界の意識が無いとどうなるか。他者も自分も無くなって(同化して)しまう。人間は、他者との関係をハカリながら生きている。ある時はベッタリを良しとし、あるときは、距離を置くことを望む。

そうした、距離感を適切にハカルことのできない人は、人間関係における種々の問題を抱え込む。それが元でうつ病になったりもする。距離感をハカルことのできない原因のひとつとしては、成育時の母子関係等があるようだ。「心」の健全な成長と「皮膚」はたいへん密接なつながりがあるようである。

本書では、皮膚を単なる人体の外縁を成すものではなく、感情・心と密接なモノであることが示され、瞑想、マインドフルネスより即効性のあるものとしてのセルフマッサージも紹介されている。

スキンシップの大切さは、以前から言われて久しいが、(とりわけ異性や思春期の子どもに対しては難しいものがあるが)どのように行うことができるかも示されている。

本書執筆の意図として著者は、①優しく温かい絆で結ばれた社会にしたい。②心を整える方法として「触れる」行為を見直してほしい、の二つをあげている。

これまで、知らなかった皮膚について多くの啓発を受けた。学んだことを実践するよう促される書籍だ。


2017年11月15日にレビュー

以下は「蛇足」。ざっと読んで、南方熊楠の研究対象であった「粘菌」を想起した。粘菌は、単細胞で生活するが、多数が集合して同化し、巨大なモノともなる。

また、三島由紀夫の(正確なタイトルを失念したが)「手で触れるニューヨーク」というエッセイを思い出した。現代人の孤独は、モノからも疎遠となり、突き放されてあるところからもくる。

以下、目次

第1章 皮膚は「第二の脳」だった!?(肌に触れることは、心に触れること)
怒りっぽいのは「性格」のせいではなかった!? / 皮膚という「露出した脳」 / 頭が先か、体が先か。頭・心・体の関係 / 皮膚はもっとも原始的な感覚器 / 皮膚は“音”を聞いている / 耳では聞こえない超音波や低周波もわかる / 光や色も感知している皮膚 / 赤色にユニフォームで勝率が上がる!? / 皮膚はこんなに頭がいい / 目はごまかせても、皮膚はごまかせない / 触覚としての指紋の役割 / 皮膚は記憶を宿している / 触れられることからはじまる親子関係 / 胎児や赤ちゃんが感じるストレス

第2章 感情は「皮膚」でつくられる(イライラ、不安の理由は「肌」にある)
判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚!? / 体が温まると、心も温かくなる / 清潔にすることで罪悪感が軽減する / やわらかいものに触れると、心もやわらかくなる / 世界中の子どもが持っている「ライナスの毛布」 / 硬い肌着でストレスホルモンが増加 / 赤ちゃんが求めているのは「食べ物」よりも「肌感覚」 / 虐待が子どもの肌感覚に与える影響 / 「痛いの痛いの飛んでいけ」で痛みが軽くなる理由 / 孤独は心だけでなく体にも影響する / 紙の本と電子書籍、記憶に残りやすいのは? / 触覚の根っこは「命に触れる」こと / 年を重ねても触覚は衰えない

第3章 皮膚で「心を整える」方法があった!(この「触れ方」でポジティブに変わる
「触れる」機会が減りつつある現代人 / 皮膚が心地よさを感知するメカニズム / 動物にもある魚にもある「C触覚繊維」 / 「心地いい触れ方」の5つのポイント / こんな触れ方はやってはいけない / 触れることで、言葉以上に思いが伝わる / 「オキシトシン」というもうひとつの癒し / ストレスを軽くするスキンシップの秘密 / セルフマッサージで心を整える / マッサージでポジティブな心に変わる(実例:うつで悩んでいたクライアントが回復、体の不調だけでなく心も前向きに変化する、マッサージで過去のトラウマにアプローチ、母と子のコミュニケーションとしてのマッサージ) / 「触れる」ことで関係性がつくられる / マッサージをしている側にも変化が起こる / 災害、医療、子育て、介護・・「触れる」ことの可能性

第4章 「触れる力」が心を育てる (脳内物質「オキシトシン」の効果)
夫婦の絆を強くする脳内物質 / 子育て中の妻のイライラはオキシトシンが原因!? / 親子の愛情が深まり、子どもの情緒が安定する / 1~2歳の子どもの脳はだっこで育つ / 「触れない育児」が引き起こす悪影響 / 自閉症の子は脳のオキシトシンが少ない / ADHDの子どもも変わるタッチケア / 触れられ方の好みは人それぞれ / 「境界の感覚」を育むことの重要性 / スキンシップが多い子どもは学力が高い / 思春期の子どもの「触れ方」にはコツがある

第5章 「皮膚感覚」を活かす人づきあいのヒント (「心」に触れるコミュニケーション)
触れていなくても、そばにいるだけで心が強くなる / 相手を自分の一部のように感じるスペース / 「距離が近すぎる」というストレス / 添い寝するだけで自律神経が同調する / 病気の人には「付き添う」だけでもプラスの効果が / 「直接会わない」コミュニケーションのデメリット / 触れるだけで、相手に感情が伝わる / 相手のために触れる「慈愛の心」

子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/04/17
  • メディア: 新書



人は皮膚から癒される

人は皮膚から癒される

  • 作者: 山口 創
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 単行本



皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章

皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章

  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2022/05/11
  • メディア: 単行本



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「毛細血管」は増やすが勝ち!  根来秀行著 集英社 [医学・健康]


ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!

ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


毛細血管をケアし、増やすための「実習」も備えられている

毛細血管に焦点をあてた本。たいへん斬新な印象がある。だいじな点は赤色で表記され、4時限・13レクチャーの授業形式で進められる。親しみぶかいイラストもおおく用意され、全体にわかりやすい。

1時限目 老化は毛細血管からやってくる (①毛細血管は人体最大の臓器②毛細血管は命の営みの最前線③毛細血管のスバラシイ5つの働き④毛細血管は年とともに減っていく⑤不調の陰に毛細血管の劣化あり)/ 2時限目 毛細血管が若返るアンチエイジング・ホルモン(⑥血管を修復・再生する「成長ホルモン」⑦血管のサビをとる「メラトニン」⑧メラトニンのスイッチは体内時計⑨まだまだある!血管を助けるアンチエイジング・ホルモン) / 3時限目 毛細血管は自律神経に支配されている(⑩自律神経は毛細血管の司令塔⑪副交感神経が上がると血がめぐる⑫自律神経は体内時計と連動する) / 4時限目 増える!若返る!毛細血管ケア(⑬毛細血管は増える!⑭毛細血管は何歳からでも自分で増やせる)

4時限目には、毛細血管をケアし、増やすための「実習」が備えられている。「睡眠実習」10/ 「運動実習」11/ 「食べもの実習」14 / 「お風呂実習」10/ 「抗ストレス実習」12。全体で57の情報・提案等が示され、実習を促すものとなっている。

心身の不調を感じる方は、いちど目を通すとよいように思う。

2017年3月28日にレビュー

【図解】毛細血管が寿命をのばす

【図解】毛細血管が寿命をのばす

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ホルモンを活かせば、一生老化しない

ホルモンを活かせば、一生老化しない

  • 作者: 根来 秀行
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


つづく部分に(「1時限目、レクチャー⑤ 不調の陰に毛細血管の劣化あり」からの引用)

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「がんでも、なぜか長生きする人の『心』の共通点」 保坂隆著 朝日新聞出版 [医学・健康]


がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点

がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点

  • 作者: 保坂隆
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: 単行本


「錨」のような働きをする

がんの告知を受けて気が動転していても、この本なら読めそうな気がする。読んでいるうちに、落ち着いて告知を受け入れていけそうな気もする。活字はおおきめ、行間もおおめに開けられ、話題ごとのページ数はすくない。そして、ですます調のやさしい言い回しだ。

目次を見れば、読まなくてもおおよそ内容はおしはかることができそうだが、本書の値打ちは、内容そのもの以上に、著者の経験に裏打ちされた包容力のようなものを、行間から得られることのように思う。それはやさしさと言ってもいい。がんと告知された心の動揺を、信頼できる人に話しても、その人がその種の経験に欠けるなら、ともに動揺し、沈黙するだけかもしれない。しかし、著者はちがう。みずから告知し、動揺し苦しみ、がんを受容するためのたたかいを患者と共に生きる経験を積み重ねてきている。そうした経験からうみだされる言葉は、やはり重い。やさしい言い回しではありながら、荒れ海に翻弄される小船が、投じられる錨によって安定をとりもどすように、著者の言葉は安心感をうみだすにちがいない。そう、感じる。(以下、『まえがき』から抜粋)

《がんは決して不治の病ではありません。上手に付き合うことで、他の病気も予防し、ときにあなたの人生を輝かせ、生きている意味に気づかせてくれるはずです。/ そして、この本を最後まで読んでくださった方は、もう一つの大切なメッセージに気づくでしょう。/ それは、がんであっても、がんでなくても、「心のありかた」が健康に大きくかかわっているということ。つまり、どんな人でも健康で長生きしたいのなら、まずは「心」を元気にするのが大切だということです》。

2019年8月26日にレビュー

碇の文化史 (佛教大学研究叢書)

碇の文化史 (佛教大学研究叢書)

  • 作者: 石原 渉
  • 出版社/メーカー: 佛教大学
  • 発売日: 2015/03/30
  • メディア: 単行本



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「腸は考える(岩波新書)」藤田 恒夫著 [医学・健康]


腸は考える (岩波新書)

腸は考える (岩波新書)

  • 作者: 藤田 恒夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/10/21
  • メディア: 新書


「頭でっかち」にならないために

大木幸介著『脳内麻薬と頭の健康ー気分よければ頭もまたよし(講談社ブルーバックス)』を読んで「リトル・ブレイン(小型の脳)」について知りました。

「脳同様に薬物に反応する」ので「神経節(ガングリオン)」が、そう呼ばれるようになり、実際のところ「リトル・ブレインもビッグ・ブレイン(脳)も、構造、作用とも本質的には等しく、リトル・ブレインはビッグ・ブレインのミニチュアといえるのである」という記述に驚かされました。そして、その「リトル・ブレインの中で最も大きく、複雑なものは、消化管の支配系(内臓神経節)であり・・消化管の裏側、臍の奥の方を中心に広く分布している」とありました。

「・・頭の健康」の本を読み、「頭」を健やかにする方法を得ようとして、示唆されたものは「臍の奥の方」にあるものでした。それで、「臍の奥の方」にある腸についての、オモシロイ本はないかと捜してみて、出会ったのが当該書籍であるというわけです。

お腹のなかで巨大なミミズのようにのたくっているだけの存在かと思いきや「腸は考える」存在でもあるのだということがよくわかりました。最近は、自己啓発ブームで、関心の的は、もっぱら頭と脳(ビッグ・ブレイン)に向かって参りますが、「それだけではないよ」と教えられる著作の一つです。

2005年6月15日にレビュー

感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

感情とはそもそも何なのか:現代科学で読み解く感情のしくみと障害

  • 作者: 乾 敏郎
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: 単行本



脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

  • 作者: 大木 幸介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/06/07
  • メディア: 新書



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「脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし 」大木 幸介著 講談社ブルーバックス [医学・健康]


脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

  • 作者: 大木 幸介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/06/07
  • メディア: 新書


ハラも身の内、ノウも身の内

東洋的修行に「臍下丹田を鍛える」と称するものがあります。「ハラを鍛える」などとも言います。

シュルツの『自律訓練法』の自己暗示の言葉には、お腹のミゾオチ付近を念頭において「太陽神経叢が温かい」と唱えるものがあります。

英語で、ガッツ(guts:「ガッツ石松」のガッツ)といえば「腸:ハラワタ」を意味します。

どうも精神的のものを鍛えることと腹部とは関係が深いようです。

ですが、実際のところ東洋的修行における「ハラを鍛える」とは具体的にどのようにすることか、また、それが、現代の科学的観点からどのような意味を持つものかよくわかりませんでした。それで、あれこれ調べている中で出会った一冊が当該書籍です。

ハラを鍛え、体を鍛えることが、とりもなおさず頭を鍛え、脳を爽快に保つことであり、人間の創造性の土台でもあるということを当該書籍から知ることができました。

ハラを知るのに「脳」と「頭」を主題とする当該書籍から学んだということです。たいへんオモシロイ本です。お勧めいたします。

2005年6月14日にレビュー

腸は考える (岩波新書)

腸は考える (岩波新書)

  • 作者: 藤田 恒夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/10/21
  • メディア: 新書



ハラをなくした日本人

ハラをなくした日本人

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 恵雅堂出版
  • 発売日: 1992/06/01
  • メディア: 単行本



丹田・肚・スタマック―自分の中の天才を呼びさます

丹田・肚・スタマック―自分の中の天才を呼びさます

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2023/06/07
  • メディア: 単行本



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『自律神経を良くすれば、耳鳴り、めまい、難聴も良くなる!』 石井 正則著 廣済堂健康人新書 [医学・健康]


自律神経を良くすれば、耳鳴り、めまい、難聴も良くなる! (廣済堂健康人新書)

自律神経を良くすれば、耳鳴り、めまい、難聴も良くなる! (廣済堂健康人新書)

  • 作者: 石井 正則
  • 出版社/メーカー: 廣済堂出版
  • 発売日: 2016/11/04
  • メディア: 新書


これでもダメなら、病院へ。

著者は、現役バリバリの医師。JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)の 耳鼻咽喉科主任部長。月・水・金の再診を担当している。専門は、神経耳科(難聴・めまい・耳鳴)、内視鏡下鼻内手術、航空宇宙医学、心療耳鼻咽喉科、動揺病・宇宙酔い 。ネットサイト『ドクターズガイド』によると、《 神経耳科の専門医であり、ヨガの公認インストラクターでもある。ストレス疾患の専門治療施設でヨガクラスを定期的に開催し、医師としての専門的な知識を加えることにより、ヨガのポーズと呼吸に着目し、耳鳴りやめまいの改善法として、呼吸法が有用であることを発見、低音性耳鳴りに効果的な呼吸法を開発した。// また、耳鼻咽喉科心身医学研究会の発起人メンバーであり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙医学審査会委員でもある。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などでも活躍している。現在、初診の診療待ちは2年先という人気ドクターである》と、ある。

「目次」をみていくと《はじめに 耳の病気は自律神経の乱れからきている! 序章 2000万人が悩む不快な耳鳴り、めまい、難聴! 1章 不快な耳鳴り、めまい、難聴が治った4つの症例 2章 耳鳴りは脳がつくり出している音だった! 3章 自律神経を整えるために有効なのは「有酸素運動」「瞑想」「腹式呼吸」 4章 耳鳴り、めまい、難聴を遠ざける暮らしの知恵 5章 耳鳴り、めまい、難聴を遠ざける食の知恵 》となっている。

ストレスと自律神経の不調がモンダイを起こすという。避けるべき「5つの不」と「3つの嫌」がとりあげられ論じられている。「耳鳴り、めまい、難聴のクスリを、わたしができるだけ避ける理由」と題された項目もある。そこでは「とはいえ、必要なクスリもある!」とあり、とりわけ「睡眠障害を放っておいてはいけない」と、習慣性を起こしにくいクスリ名が紹介されている。効果的な運動の仕方、楽におこなえる瞑想法が示されると同時に、よくやりがちな生活習慣でダメなものも指摘されている。

自分のカラダに生じているモンダイの原因が何かわからないというのは不安だが、本書に示されている症例と自分のソレとが合致し、やはり自律神経に起因すると知ったなら、本書で提案されていることをとりあえず実施して、モンダイの変化を見ていくのは良いように思う。それでもダメなら、病院へ・・・。

2016年11月23日にレビュー

感覚のふしぎシリーズ第4回 聴覚と平衡感覚のしくみ

感覚のふしぎシリーズ第4回 聴覚と平衡感覚のしくみ

  • 出版社/メーカー: 株式会社ニュートンプレス
  • 発売日: 2016/05/31
  • メディア: Kindle版



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「すごい腸とざんねんな脳」内藤 裕二著 総合法令出版 [医学・健康]


すごい腸とざんねんな脳

すごい腸とざんねんな脳

  • 作者: 内藤 裕二
  • 出版社/メーカー: 総合法令出版
  • 発売日: 2023/02/10
  • メディア: 単行本



人間のからだがシステムとして機能しているのであれば腸と脳が関係していても全然ふしぎではないはずですし、脳と腸の相関関係については1991年発行の『腸は考える(岩波新書)』などにも記されていました。

ですから本書を、今さらのように思いつつ手にしたのですが、本書の驚くべきは器官としての腸そのものではなく、そこに存在(寄生・共生)している細菌が脳に影響を与えているということです。実際のところ内容として、もっぱら説かれているのは腸内細菌に関してです。

幻冬舎新書に『したたかな寄生 脳と体を乗っ取る恐ろしくも美しい生き様 』というオモシロイ本があります。そこでは、ハリガネムシがカマドウマに寄生して川に飛び込ませ(いわば入水自殺させ)るという記述があります。人間も、腸内細菌に脳と体を乗っ取られているのかもしれません。その点で、腸内細菌たちの手練手管を知るに本書はたいへんいい本に思います。

ただけっこう記述は難しい。書き方は平易なのですが、専門用語が多出します。その点をわきまえて入手するのはいいと思います。

腸は考える (岩波新書)

腸は考える (岩波新書)

  • 作者: 藤田 恒夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/10/21
  • メディア: 新書



脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

脳内麻薬と頭の健康―気分よければ頭もまたよし (ブルーバックス)

  • 作者: 大木 幸介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/06/07
  • メディア: 新書



したたかな寄生 脳と体を乗っ取る恐ろしくも美しい生き様 (幻冬舎新書)

したたかな寄生 脳と体を乗っ取る恐ろしくも美しい生き様 (幻冬舎新書)

  • 作者: 成田 聡子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 新書


カマドウマとハリガネムシと渓流魚と腐生植物(『したたかな寄生』 成田 聡子著 から)
https://kankyodou.blog.ss-blog.jp/2017-12-15
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『声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする』斉田 晴仁著 音楽之友社 [医学・健康]


声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする

声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする

  • 作者: 斉田 晴仁
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: 単行本


「息」が「声」に「言葉」に「歌」になる過程が見える

声の医・科学書。読者対象は、発声指導者、言語聴覚士、看護学など医療関係者、言語学、音響学を学ぶ者。発声指導者には、自分の経験的な方法によるだけでなく、「本書で正しい解剖学と生理学などの知識を得て、ご自分のオリジナリティある発声指導に生かして」欲しい。声の医療には、「動的な解剖学の知識と、声帯の治療だけではなく、呼気、声帯振動、共鳴管腔、中枢など包括的な医学知識とさらに音響学の知識が必要」「本書を基に読者の方が魅力あふれる音声言語医学を発展させて」ほしい。著者は「耳鼻咽喉科医師と歌手としての立場から」本書を記した。「本書が統合的な声の科学の研究に寄与できればと願っています」とある。雑誌サイズ、見開き2ページで1項目が扱われる。解剖学的図像(CT,MRI,ハイスピードカメラによる)がふんだんに用いられている。レイアウトは、余白が適度に用いられて、読みやすい。

目次 はじめに この本の読み方 // 序章:声はどのようにして作られるのだろうか// 第1章 呼吸(息は声のみなもと、どのように息が作られるのだろうか)// 第2章 声帯振動(息はどのようにして声になるだろうか)// 第3章 構音、共鳴(声の響きや言葉はどのように作られるのだろうか)// 第4章 調節機構(発声や発音はどのように調節されるのだろうか)// 第5章 ボイスマップ(発声法を理論的に評価する方法とは)// 第6章 ボイスマップの応用(声を自由にデザインする!)// 第7章 声の健康(声をこわさないようにする音声医学)

2016年10月3日に日本でレビュー
声のサイエンス―あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか (NHK出版新書 548)

声のサイエンス―あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか (NHK出版新書 548)

  • 作者: 山﨑 広子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書


以下「発声のための支えとは何か」から引用。

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『新版 漢方の歴史』 小曽戸 洋著 大修館書店 [医学・健康]


新版 漢方の歴史 (あじあブックス)

新版 漢方の歴史 (あじあブックス)

  • 作者: 小曽戸 洋
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2014/09/20
  • メディア: 単行本


新知見を得られる楽しい本

1999年に発行された書籍の(2014年に改訂された)新版。これまでずっと読み続けられてきた本である。権威ある書籍と考えていいのだろう。少なくとも信頼性の高い本と考えることはできるのだろう。著者プロフィールを見ると、博士号をふたつ所持していることがわかる。医学博士であると同時に文学博士でもあるという。「北里大学東洋医学総合研究所医史学研究所部長」「日本医史学会理事長」とあるので、東洋の「医」の「歴史」を語るに、たいへんふさわしい方であるにちがいない。

『はじめに』、言葉へのこだわりが示される。「東洋」、「漢方」という言葉について記される。「漢」とは何か、「方」とは何かから説かれる。そのこだわりから、出版社はどこかと見ると「大修館書店」である。諸橋轍次編纂「大漢和辞典」の版元である。なるほどまさに本書は、大修館書店から出るにふさわしい本に思える。中国と日本をつなぐような本である。

《中国には約三千年、日本には半分の千五百年にわたる伝統医学の歴史がある。十六世紀にはポルトガルから南蛮医学が伝わり、次いで十七世紀初にはオランダから蘭方(和蘭医学)が伝わったが、それでも十九世紀半ばの明治維新まで、日本の医学文化は、基本を中国に負う伝統医学が中心であった。なお、日本漢方は昭和期に入ってから形成されたといい、『傷寒論』を主軸とした方証相対主義(古方流)に限る向きもあるが、それは日本伝統漢方の全体像ではなく、そのような考えでは日本漢方の多様性は論じられまい。日本漢方は平安時代の『医心方』に遡り、鎌倉・南北朝・室町時代を経て、江戸時代を通じて培われたものにほかならない。江戸時代、日本の漢方は独自の発展を遂げ、清朝のそれを凌ぐ展開をみせた。その点からすると、「漢方は中国を越えた中国系医学」という言い方も可能かも知れない》という記述もある。

一般向けの著作である。漢文や中国の歴史に興味のある方にとっては、新知見を得られる楽しい本であるように思う。《殷王朝が史実として存在したことが認められるようになった。そのきっかけとなったのは、実は漢方薬「竜骨」だったのである》という記述が、甲骨文字の発見とともに記されていたりする。未知の興味深い記述のつづく楽しい本である。少なくとも、評者にとっては、そうである。

2016年9月8日にレビュー

大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

  • 作者: 諸橋轍次
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2000/05/10
  • メディア: 単行本


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