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『声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする』斉田 晴仁著 音楽之友社 [医学・健康]


声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする

声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする

  • 作者: 斉田 晴仁
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: 単行本


「息」が「声」に「言葉」に「歌」になる過程が見える

声の医・科学書。読者対象は、発声指導者、言語聴覚士、看護学など医療関係者、言語学、音響学を学ぶ者。発声指導者には、自分の経験的な方法によるだけでなく、「本書で正しい解剖学と生理学などの知識を得て、ご自分のオリジナリティある発声指導に生かして」欲しい。声の医療には、「動的な解剖学の知識と、声帯の治療だけではなく、呼気、声帯振動、共鳴管腔、中枢など包括的な医学知識とさらに音響学の知識が必要」「本書を基に読者の方が魅力あふれる音声言語医学を発展させて」ほしい。著者は「耳鼻咽喉科医師と歌手としての立場から」本書を記した。「本書が統合的な声の科学の研究に寄与できればと願っています」とある。雑誌サイズ、見開き2ページで1項目が扱われる。解剖学的図像(CT,MRI,ハイスピードカメラによる)がふんだんに用いられている。レイアウトは、余白が適度に用いられて、読みやすい。

目次 はじめに この本の読み方 // 序章:声はどのようにして作られるのだろうか// 第1章 呼吸(息は声のみなもと、どのように息が作られるのだろうか)// 第2章 声帯振動(息はどのようにして声になるだろうか)// 第3章 構音、共鳴(声の響きや言葉はどのように作られるのだろうか)// 第4章 調節機構(発声や発音はどのように調節されるのだろうか)// 第5章 ボイスマップ(発声法を理論的に評価する方法とは)// 第6章 ボイスマップの応用(声を自由にデザインする!)// 第7章 声の健康(声をこわさないようにする音声医学)

2016年10月3日に日本でレビュー
声のサイエンス―あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか (NHK出版新書 548)

声のサイエンス―あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか (NHK出版新書 548)

  • 作者: 山﨑 広子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書


以下「発声のための支えとは何か」から引用。発声のための支えとは何か

発声のために重要な声門下圧は、主に腹圧により得られる。腹腔壁を構成する前後側部の腹筋群、背筋群、骨盤底筋群と横隔膜の緊張で腹圧は調節される。腹腔の上端の横隔膜は常に注目されるが、下端の骨盤底筋群も重要である。普段あまり意識されず横隔膜のような大きな働きはないが、ドーム状の横隔膜を裏返したような形で腹部下端にあり、腹圧を調節するのに役立っている。発声のための支えとは、声門下圧を調節する横隔膜の運動を自在に行えるように、横隔膜自体も含む腹腔を取り囲む筋群の調節で腹圧を保つことである。前項で身体のバランスは両股関節の中点と述べたが、この位置はドーム状に分布する腹圧を作り出す腹腔壁の下端の骨盤底筋群の直上に位置する。またレオナルド・ダ・ヴィンチの構想(p139参照)にも記されるウィトルウィウス的人体図の中心点にも近い。この点は解剖学的な身体の中心点であり、洋の東西を問わず長年注目されていた。東洋ではこの部位を意識して気持ちを集中してといわれるように、精神論的にも注目されてきた部位であり、伝統芸能の指導でも使われることが多い。(p141、「第4章 発声のための姿勢と支え』から引用)
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