「本当はおもしろい 中学英語」時吉秀弥著 明日香出版社 [言語学(外国語)]
本当はおもしろい 中学英語 (ASUKA CULTURE 2266-3)
- 作者: 時吉 秀弥
- 出版社/メーカー: 明日香出版社
- 発売日: 2023/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「中学英語」の学び直しにイイ。/ 文法事項を「世界の切り取り」方のちがいとしてまとめている。英文法を通して「英語を話す人たちは、こんな風に世界を見ているのか」と知ることができる。そのような見方を知ることができれば、英文法は味気アルものになり、面白くなる。面白くなればしめたもので、棹ささなくても小舟は進む。英語力を高めていくことができる。/ 「認知言語学」をベースにして説明がなされていく。ほのぼのしたイラストが多用されているので「中学生」向きに見えるが、「中学英語」を学んでいるフツウの現役中学生には、たぶん難しいのではないかと評者には思われる。中学生の子供さんをもつ親のみなさんが、子供と一緒に学ぶと、親子ともども刺激とともに、多くを得られるように思う。
『ウェールズの教育・言語・歴史―哀れな民、したたかな民』平田 雅博著 晃洋書房 [言語学(外国語)]
イングランド支配下における言語教育の実際・実態とそれに対するウェールズの人々の反応に多くの紙面が割かれている
学校英語で「イギリス=England」と教わったと思うが、国家としての名称は BritainやUnited Kingdom が正しい。 Englandは、あくまでも Britainを構成するネーション(nation)に過ぎない。
「ネーションとは、共通の言語、文化、伝統を持つ共同体」。実のところ「 Britain=England」はまちがいだし、それを聞くと他のネーションがオモシロくない。
他のネーションとは、スコットランドやウェールズやアイルランドのことだ。それら、「4つのネーションが、歴史的に合併、分裂(1922年に北アイルランドのみブリテンに残る)してできた国家」がBritainであるからだ。そんなことが、サッカー、ラグビーを話題にしながら『序章』で扱われる。
イギリス(まちがえた、ここでは Britainとしなければ、まずい)の国旗ユニオンジャックのデザインは、1606年にそれらのネーションの象徴を組み合わせて生まれたものだが、ウェールズは1536年にイングランドに併合されていたので、「赤い龍」はデザインから外れたという話題も出る。
著者が『序章』で各章についてまとめたものを、以下に引用してみる。《ウェールズを扱う場合、中世までさかのぼらざるを得ないために第1章では中世から19世紀までの長期間を扱う。イングランドから見たウェールズのイメージの変遷をたどり、独自の言語、教育、宗教に触れながら19世紀に行き着く。 第2章では、イングランド=ウェールズ関係史を考える手がかりとなるロンドン政府によるウェールズの教育調査をまとめた(18)47年報告書を集中的に分析する。言語を異にするケルト辺境の民が住むウェールズを取り上げるために中心となる問題は言語問題であり、それがもっとも直接的にあらわれるのは教育の現場である。 第3章では、教室に向けられたミクロな視点から一転して、イングランドとウェールズとの関係へのマクロな視点に移行して47年報告書を見直してみる。 第4章では、その後のウェールズの反発とイングランドの対応を検討し、ウェールズのナショナリズムとイングランドの英語帝国主義の観点からまとめてみる。// 第5章、第6章では、ブリテン国内を超えて帝国に向かう。スコットランドを併合したブリテンは1707年以降、ブリテン帝国として北アメリカ、カリブ海、西アフリカ海岸などに植民地を築いた。18世紀末にアメリカの13植民地が独立した後、19世紀には、帝国の至宝インドを中心として、帝国の辺境としてのオーストラリア、ニュージーランドといった島々、さらには19世紀末にはアフリカも含む巨大な帝国を有した。イングランドをはじめとする四つのネーションはそれぞれこの帝国にも移民、貿易その他の事業に乗り出し、活躍の場を広げた。問題はこの国内と帝国の両者の関連である。・・略・・第5章では、「ウェールズと帝国」を視野に入れ、ウェールズとインドやインド以外の植民地との関連を考える。 第6章では、四つのネーションが相互に関連しながら帝国と関わった歴史を明らかにしようとする方法である「ブリテン帝国史への四ネーションアプローチ」の妥当性を吟味しながら、四つのネーションとそれらが構築したり構築しようとした四つの帝国、とりわけ、ウェールズが関わった帝国を検討する。本書全体のまとめともなろう》。
ウェールズのイングランド支配下における言語教育の実際・実態とそれに対するウェールズの人々の反応に多くの紙面が割かれている。英語を話さずウェールズ語を話した子どもに「罰札」をつけるという習慣があったという。日本でも戦前「方言札」といって各地で行われたように聞く。(本書では触れられていないが、明治期、「お雇い外国人」教師として招聘された誰かが日本の教育界に持ち込んだものかもしれない)。それらを通し被支配者であるゆえの「哀れな民」の部分をよく知ることができる。それに対して「したたかな民」の部分がよくわからない。ゲルマン語で「ウェールズ」は「異邦人」「異なる人」の意味だそうだが、そこには軽侮の念も含まれているのだろうか。「併合の後、・・ウェールズ語と言えば小作農であり、ウェールズ語に対する侮蔑のイメージが決定的となった」「また、ウェールズ人であることはしだいに貧困や不潔と結びつくようになった」の記述もある。そうした、取り扱いのもとでながらく耐えてきたということが「したたかな民」である理由ということなのだろうか。
2016年7月2日レビュー
イングランド王国と闘った男―ジェラルド・オブ・ウェールズの時代 (歴史文化ライブラリー)
- 作者: 桜井 俊彰
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2012/07
- メディア: 単行本
国のことばを残せるのか―ウェールズ語の復興 (比較文化研究ブックレット)
- 作者: 松山 明子
- 出版社/メーカー: 神奈川新聞社
- 発売日: 2015/03/25
- メディア: 単行本
「英語達人列伝II かくも気高き、日本人の英語」斎藤兆史著 中公新書 [言語学(外国語)]
本書でとりあげられる「英語達人」は、嘉納治五郎、夏目漱石、南方熊楠、杉本鉞子(えつこ)、勝俣銓吉郎、朱牟田夏雄、國弘正雄、山内久明。
一読印象に残るのは、漢文の素養。素読の影響の大。以下、少々乱暴だが評者なりに本書を要約すると、「英会話ができるから英語ができるなんて思うなよ。英文和訳、和文英訳いいではないか。受験英語でいいではないか。英文法、英文学を侮ってはいけない。海外留学などしなくても、自分の微妙な気持ち、深い思想を精妙な英語で表現し英語ネイティブを唸らせた人たちが、現にいる。日本に居ながら、そうできたという事実がある。であれば、いまのわれわれにもできないわけがない。成功事例は現にある。それでは、やってやろうではないか!」である。以下、本書(第Ⅶ章 國弘正雄)から引用。
英語教育業界では、長らく実用か教養かの不毛な議論が続いており、実務的な業界で英語を使ってきた人間は、とかく「実用派」に与しがちである。そして文学などは英語教育の役に立たない、という論を展開する。 / ところが彼は違う。回想録のほかの部分でも、R・H・プライス(1898-1964.文学者、日本文化研究家)の言葉を紹介している。プライスは、生前、日本人がおかしなリズムの英文を書くのは英詩を読まないからだと語っていたという。國弘は、ここからさらに英詩を音読することの重要性を説く。彼ほど徹底的に英語を勉強した人間は、実用対教養などという二項対立は軽々と乗り越えてしまうのだ。(p192)
朗読学(大西雅雄著・国書刊行会) [言語学(外国語)]
言語学、認知心理学の範疇にある学術書
たいへん古い本です。当該書籍は、今から75年前に発行された書籍の復刻版です。「旧字旧かな」を改め、読みやすくされています。「朗読学」として発行される以前、「朗読原理」と題して、既に流布されていたようです。「内容に相応しく」改名して、昭和15年に「朗読学」としたとのことです。
いわゆる「読み聞かせ」等の場で役立つ技術を得られるものと思い読み始めたのですが、言語学や認知心理学の範疇に入る本です。実用書ではなく学術書です。当方の読後感からいくと、「朗読学」より「朗読原理」のままで良かったのではないかと思います。読みながら、みすず書房から出ている「リズムの本質」(カール・クラーゲス著)を思い出しました。そこでは、身近で具体的なところから、分析的に論議が進められていくなかで、難解ながらも、知的興奮を呼び醒まされるものでしたが、当該書籍との近似を感じます。当時、音楽評論家・兼常清佐氏が、「常識でわかっている事をわざわざ面倒な言い回しで言っただけと批評した人があるが、それは当たらない」と(書評に記して)弁護していますが、そのように批評する人の気分も理解できます。
「朗読の意義」とその範囲について著者は、次のように記しています。「著者の進んで言わんとするところは、朗読の広義である。それは、朗読ということを舌末の余技と軽視せず、言語理論の究極の要諦と解するからである。本書がいわゆる『朗読法』ではなく、『朗読学』であるのも、右の所以である」とあり、「他人に読みきかせるためのいわゆる『音読』が狭義であり、『素読』『通読』『黙読』『精読』『熟読』『味読』などという観念を含めたものに与えんとする仮の名称が広義の“朗読”である」とあります。
さらには「一つの場合として、他人に明朗に伝達するところがあるためには、まず最初自己に明朗に把持されるところがなければならぬ。すなわち、伝達形式化されたものを『外読』と呼ぶならば、把持形式のものは『内読』である。この外読と内読との合致如何は、後ほど別に一つの技術として考え直すとしても、ここではこの両者を合称して広義の朗読と認めることに第一歩をおかなければならぬ」とあり、またさらに「自作の文章を推敲し添削を加えるということは、言語理論上、明らかな自己朗読であるにもかかわらず、世人の多くはこれを朗読の範疇から洩らしている」との記述もあります。
そのような「広義の朗読」について、論じていく書籍です。一読難解ですが、本当に理解できたなら、相当な知的財産となりうるであろう手ごたえを感じます。
2015年6月22日レビュー
「ニューヨークが教えてくれた "私だけ"の英語 」岡田 光世著 CCCメディアハウス [言語学(外国語)]
ニューヨークが教えてくれた“私だけ"の英語―― “あなたの英語"だから、価値がある
- 作者: 岡田 光世
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2022/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
英語についてのエッセイ。英語だけでなくコミュニケーションの土台となるものを思い出させてくれる。笑顔と思いやりがあればカタコト英語でも(場合によっては言語ナシでも)なんとかなると思わせてくれる本である。英語(言語)が壁のように立ちはだかって、話すこと、話しかけることをためらってしまう傾向のある方にイイ本である。なにより著者自身、自分に期待するハードルの高さで苦労してきた方だけに、説得力があるし励ましとなる。 / 著者の中学時代から、その経歴にそって話は進む。外国嫌いの家族とのこと、アメリカ留学したこと、ホームステイでの経験、讀賣アメリカに入社したこと、ニューヨーク在住生活や旅行の話である。 / プロフィルに著者の生年が明示されていない。1960年あたりらしい。外国人少年にストーカーまがいのことをしたこともある。英語を話す機会を得るためである。FENを家で流しっぱなしにしたり、カーペンターズの歌から発音イントネーションを学ぶ。憧れは鳥飼玖美子先生だったという。それゆえ、それが分かる年代の方は(まさに評者がそうなのだが)むかしを思いだすよすがとなるだろう。 / ニューヨークは人種のルツボである。母語が異なり異文化で育った人びとの寄り合いである。ヘタをするとヤマアラシのジレンマに陥る可能性は高い。そこでうまくやっていくために、笑顔と相手への思いやりが重要であり意識化される必要が生じる。それは言葉以前の問題である。 / 日本でも都会生活をすると田舎とのチガイを感じる。洗練された対人意識を都会人はもっている。否応なく互いへの敬意、思いやりの必要性を学ぶ。本書からニューヨーカーの人柄はおせっかいであると知った。なんや大阪のおばちゃんやないけという感じである。と同時にプライバシーに踏み込みすぎることはない。 / 著者の人柄もあるだろう。喜怒哀楽の激しい方である。ある意味かわいい人と言っていい。知らない人に話しかけたのがきっかけでフランスに招待される人である。著者に学ぶなら、言語の壁を越えて世界をわたり歩き、人々の人情の機微を知り、人生をゆたかなものにできそうである。世界平和にも貢献できそうである。学ぶところ大である。たのしく読みやすく、ついでに洗練された英語も学べる。いいエッセイである。
「指と耳で見る、目と手で聞く: 視覚障害・聴覚障害のある人の暮らす世界」金治 直美著 ぺりかん社 [言語学(外国語)]
指と耳で見る、目と手で聞く: 視覚障害・聴覚障害のある人の暮らす世界 (なるにはBOOKS別巻)
- 作者: 金治 直美
- 出版社/メーカー: ぺりかん社
- 発売日: 2022/12/27
- メディア: 単行本
視覚障害、聴覚障害の世界について理解を深めることができる。経験談をとおして学ぶことができる。日々の暮らしの中で、彼・彼女たちがどのような困難を抱えているか、自立した生活ができるように盲・聾学校でどのような支援・教育を受けているかを知ることができる。また、障害ゆえに出来ないこともあるが、健常者にはない能力のあることが示される。彼・彼女たちは「指と耳で見」「目と手で聞く」ことができる。できないこともあるが、そうした中でも喜びを見いだしている様子を知ることもできる。街中で困難をおぼえている彼・彼女たちに出会ったときに、どのように助けになれるかを学ぶこともできる。
ひとりひとり障害の程度は異なる。視覚障害についていえば、全盲と弱視とがあり、全盲は10人のうち1~2人という。また、弱視と一口に言ってもその見え方には違いがある。同じように、白杖を持っているからといって誰もが同じように、その使い方において熟達しているわけではない。
多くは生まれつきではなく事故、病気、老化などによって障害者となる。つまり、誰もが障害者になる可能性がある。そういう可能性のある一人として本書を読むことができる。また、障害は社会が作る場合がある(ことは否めない)という視点をもてる。バリア(障壁)があるから障害者が誕生する。バリアフリー社会になれば、ある意味障害者はいなくなる。社会的多数派である健常者が要らぬ制度を設けたために生じた悲しい50年の歴史について本書は示している。
視覚障害者も聴覚障碍者も他者とのコミュニケーションを必要とする。健常者と同じである。彼・彼女たちの用いる言葉に点字があり手話がある。それらは立派な言語である。外国語を学び、その聞き取りや発話(発音)能力を伸ばしたく思う方は、その点においても本書から得られるものがあるように思う。
『アスペルガー流人間関係 14人それぞれの経験と工夫』東京書籍
https://kankyodou.blog.ss-blog.jp/2016-07-01
ディスレクシア入門---「読み書きのLD」の子どもたちを支援する
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2016/12/01
- メディア: Kindle版
『ディスレクシア入門』 加藤醇子編集 日本評論社
https://kankyodou.blog.ss-blog.jp/2016-09-26
「英語長文読解の王道 パラグラフリーディングのストラテジー」 河合塾SERIES [言語学(外国語)]
英語長文読解の王道 パラグラフリーディングのストラテジー (1) 読み方・解き方編 河合塾SERIES
- 作者: 島田 浩史
- 出版社/メーカー: 河合出版
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
「豆腐」を「レンガ」にするためにも
たいへん読みやすい。英文パラグラフについて、手取り足取り教えてくれる。「実況中継シリーズ」という参考書があったが、その路線か。さすがに有名予備校:河合塾の出す本ともなると、こうなるのか・・と、感嘆しきり。また、パラグラフを理解することで、読解上得られる益についても知ることができる。英文だけでなく、和文読解、作成にもたいへん有用なものであることを示唆している。
最近、外山滋比古が「パラグラフと段落」というエセーをものしていた。豆腐をレンガにするためにも、パラグラフ理解は必要だ。
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2010-11-24
その昔、もう40年ちかく前になるが、研究社から出された『英文パラグラフの論理―A programmed approach to logical writing & rapid reading』を、入手して特訓した。高校時代、だ。来校した著者:S.N.ウィリアムスの懇話会にも参加した。lover の l音 を間違えて、r音で、発音すると、女の子は顔を真っ赤にする・・などという話をしていった。当時、パラグラフという考え方は今ほど熱心に説かれていなかったように思う。当方は、S.N.ウィリアムスの著作をとおして、はじめてパラグラフについて知ることができた。
しかし、『パラグラフリーディングのストラテジー (1) 読み方・解き方編』ほど、深く説いてはいなかった。形式についての説明と多数の練習問題がついていただけであったように思う。
外山は言う。
「いまの日本の文章にはみな段落がついているが、欧文のパラグラフとは大きく異なる。あえて言うなら、英文のパラグラフはレンガ、日本語の段落はトウフのようなものだ。形は似ていても、その内容は違う。レンガは積み重ねればいくらでも長大になりうるけれどもトウフは重ねると崩れる。このトウフをすこし固くできれば、日本語に新しい知的活力が加わるだろう。果して語と文中心の考えを脱却できるか。」
段落をパラグラフに、豆腐をレンガにし、「日本語に新しい知的活力」を加えたく願う多くの方に、お勧めしたい本である。
2013年2月14日レビュー
英文パラグラフの論理―A programmed approach to logical writing & rapid reading
- 作者: S.N.ウィリアムス
- 出版社/メーカー: 研究社出版
- 発売日: 2000
- メディア: 単行本
「英語語義語源辞典」小島 義郎, 増田 秀夫, 高野 嘉明 三省堂 [言語学(外国語)]
この辞書、帯にはっきり「読む辞典」と書いてあります。「まえがき」にも、当該辞典の成立過程について述べられ「折角作るのであれば単に『読むための辞典』に終わらず、英語を読む際常に座右に置いて『引くための辞典』として、一般の英和辞典と同じ規模のものにしようということになり幾多の変遷を経て今日に至った」とあり、本来「引く」ことより「読む」方に重きを置いた辞典であることが示されています。
この辞書、実際に使って思うのは、(「まえがき」にあるこの辞典の特色として説明されている通り)語義欄に「わかりやすくできるだけ物語風に」「意味の変遷」が列挙されてあるのを「語源と関係付けながら」読む必要のある辞書だ、ということです。語源と今日用いられている一般的な語義との間に隔たりがあるほど、その橋渡しが必要になり、その橋を架けるのになかなか骨が折れます。「意味の変遷の物語」を想像力を働かせつつ時間を取って、読み取る必要があるのです。
大修館書店の「英語語義イメージ辞典」(見出し語数約3千)では、著者がその橋渡しの労をとって、読者は用意された橋を渡るだけで良いのですが、当該辞書(見出し語数約5万)では、橋の素材も、橋のおおまかな図面も用意されてはいるものの、橋そのものは自分の力で架けることが求められています。
なかなか大変な作業が求められますが、それでも、研究社の「英語語源辞典」に比べれば、ずっと橋を架けることを楽しむことのできる辞書だと、私は思います。
2004年9月4日レビュー
「新訂・英文解釈考」佐々木 高政著 金子書房 [言語学(外国語)]
実は、1977年発行の改訂前の初版本も持っています。高校の頃、少ない小遣いの中から買いました。書店で手にし、ふと読み出した佐々木先生の「はしがき」にホダサレて買ってしまった、というのが実情です。その「はしがき」を読むだけでも英語習得の志を新たにさせられること請け合いです。また、この書籍の中で取り上げられている例文は、「わたしたちの身の上に起こるいろいろなことをどのように受けとめ、どのように対処するかを思わず説いてしまったという文章が多く」、「30年の月日」の中で、先生に「拾い出された」それらの例文から、英文解釈の技法を学ぶことができるのはもちろんのこと、同時に先生の人柄も想起できるものです。ああ、ほんとに先生から直接講義を受けたかったと真に思います。皆さんもきっとそう思われるにちがいありませんよ。
2004年6月3日レビュー
英文パラグラフの論理―A programmed approach to logical writing & rapid reading
S.N.ウィリアムス | 1969/11/1
https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E6%96%87%E3%83%91%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%81%AE%E8%AB%96%E7%90%86%E2%80%95-programmed-approach-logical-writing/dp/4327400351/ref=sr_1_1?qid=1670445850&refinements=p_27%3AS.N.%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9&s=books&sr=1-1&text=S.N.%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9
通訳翻訳ジャーナル 2023年1月号 [言語学(外国語)]
この世にはいろいろな資格がある。資格取得に励み、そして実際に資格を取得したものの、肝心の仕事がナイ。仕事があっても生計を立てられるほどナイ、続かナイ、などということがある。
特集「選ばれる通訳者・翻訳者になるために」は、通訳・翻訳の仕事で生計を立てるうえでの役立つ情報が出ている。発注者の期待に応え、その信頼を得ることが肝心であるというアタリマエのこと(プラス・アルファ)が記されている。
実際に仕事を発注している立場からの、またそれを受注して個々の通訳・翻訳者に割り当てる通訳・翻訳会社サイドの通訳・翻訳者への思い。また現に信頼を得て仕事をしている通訳・翻訳者の経験談・アドバイスなど記されている。
どんな世界でもよく勉強し、アンテナを敏感にし、勉強しつづけることが大切であることがわかる。