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「ニューヨークが教えてくれた "私だけ"の英語 」岡田 光世著 CCCメディアハウス [言語学(外国語)]


ニューヨークが教えてくれた“私だけ

ニューヨークが教えてくれた“私だけ"の英語―― “あなたの英語"だから、価値がある

  • 作者: 岡田 光世
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2022/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



英語についてのエッセイ。英語だけでなくコミュニケーションの土台となるものを思い出させてくれる。笑顔と思いやりがあればカタコト英語でも(場合によっては言語ナシでも)なんとかなると思わせてくれる本である。英語(言語)が壁のように立ちはだかって、話すこと、話しかけることをためらってしまう傾向のある方にイイ本である。なにより著者自身、自分に期待するハードルの高さで苦労してきた方だけに、説得力があるし励ましとなる。 / 著者の中学時代から、その経歴にそって話は進む。外国嫌いの家族とのこと、アメリカ留学したこと、ホームステイでの経験、讀賣アメリカに入社したこと、ニューヨーク在住生活や旅行の話である。 / プロフィルに著者の生年が明示されていない。1960年あたりらしい。外国人少年にストーカーまがいのことをしたこともある。英語を話す機会を得るためである。FENを家で流しっぱなしにしたり、カーペンターズの歌から発音イントネーションを学ぶ。憧れは鳥飼玖美子先生だったという。それゆえ、それが分かる年代の方は(まさに評者がそうなのだが)むかしを思いだすよすがとなるだろう。 / ニューヨークは人種のルツボである。母語が異なり異文化で育った人びとの寄り合いである。ヘタをするとヤマアラシのジレンマに陥る可能性は高い。そこでうまくやっていくために、笑顔と相手への思いやりが重要であり意識化される必要が生じる。それは言葉以前の問題である。 / 日本でも都会生活をすると田舎とのチガイを感じる。洗練された対人意識を都会人はもっている。否応なく互いへの敬意、思いやりの必要性を学ぶ。本書からニューヨーカーの人柄はおせっかいであると知った。なんや大阪のおばちゃんやないけという感じである。と同時にプライバシーに踏み込みすぎることはない。 / 著者の人柄もあるだろう。喜怒哀楽の激しい方である。ある意味かわいい人と言っていい。知らない人に話しかけたのがきっかけでフランスに招待される人である。著者に学ぶなら、言語の壁を越えて世界をわたり歩き、人々の人情の機微を知り、人生をゆたかなものにできそうである。世界平和にも貢献できそうである。学ぶところ大である。たのしく読みやすく、ついでに洗練された英語も学べる。いいエッセイである。


特派員直伝 とらべる英会話

特派員直伝 とらべる英会話

  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


NYUのCreative Writing Program で著者はE.L.Doctorowの指導を受ける

Show. Don't tell. p98

村上春樹が翻訳したことで、日本でも知られるようになったアメリカ人作家、レイモンド・カーバーや、グレイス・ペイリーは、よき手本として授業でもよく紹介された。原書はどのページも、誰にでもわかる単語ばかりが並んでいる。 / 意外かもしれないが、英語の小説や詩の多くは、日本の中学校レベルの単語で書かれている。長くて難しい言葉をもったいぶって使うより、誰にでもわかるシンプルな言葉のほうが、多くを語れる。そしてそのほうが、書くのはずっと難しい。
Don't use big words.

小説や詩も、文章を書く基本は新聞記事やエッセイと同じだ。自分がよく知っているテーマを選ぶ。知らない場合は、徹底的に調べる。冒頭の文が命。そのあとも読者の関心をそらすな。自分がその先を読みたい、と思うものを書け。

「Craft of Fiction」(フィクションの技法)を教えていたのは、ゴードン・リッシュ(Gordon Lish)という凄腕編集者だった。彼が個人で教えていた教室も、受講していた。そこでは生徒が自分の作品を朗読するのだが、冒頭の文が気に入らないと、それ以上、読ませてもらえず、容赦ない辛辣な批判が飛んだ。泣き出す生徒もいた。 / この編集者がよく言っていたのが、「clichè(使い古された決まり文句)を使うな」。誰もが使う手あかのついた言葉で書くほうが楽だが、あなた自身の言葉にこそ力と魅力がある、ということだ。また、書く対象と作者の距離が近すぎたり、情緒的になりすぎたりすると、読者が置き去りになり、しらけてしまう、とも指導している。p99

生き生きとした会話を書くために、「街で人の会話に耳をすませろ」「ニュースではキャスターではなく、街角でインタビューされる人の言葉をよく聴け」ともアドバイスしている。それこそが、人々の生活とともにある、「生きた言葉」だからだ。p100


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