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*フランク・ゲーリー 建築の話をしよう / エクスナレッジ刊 [建築など]


フランク・ゲーリー 建築の話をしよう

フランク・ゲーリー 建築の話をしよう

  • 作者: バーバラ・アイゼンバーグ
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2015/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



夢をカタチにする過程が、見て取れる

『ザ・ニューヨーカー』誌の建築評論家ポール・ゴールドバーガーが「世界でもっとも有名な建築家」と評したフランク・ゲーリーによる対談本。「自伝をつくりたいので、力を貸してくれないかと声をかけられ」、著者バーバラ・アイゼンバーグがまとめたもの。しかし、単なるサクセス・ストーリーではない。中心となるのはあくまでも「建築の話」。

ゲーリーは、夢をスケッチし、模型とし、建築依頼者や環境とのからみを考量しながら改良を加え、粘りづよく現実のものとしていく。「落胆」とのたたかいもある。「コンペで負けたり、棄権せざるをえなくなったこともあれば、せっかく勝ちとったコンペが規模縮小されたことも、完全に白紙に戻った」りすることもあるからだ。

1929年、カナダのちいさな炭鉱町のユダヤ人家庭に生まれたイーフレイム・ゴールドバーグ(ゲーリーの本名)は、17歳までカナダで過ごし、のちロサンゼルスに移住。21歳のときにアメリカ市民になることを選ぶ。南カリフォルニア大学建築学部を卒業し、ハーバード大学デザイン大学院へ・・と、キャリアを追って語られる。一見、華々しいが、実のところは、ほとんどが苦労話である。差別、貧乏、クライアントとの齟齬などなど、自分にとって不都合なことも正直、真率、フランクに話している印象が好ましい。

紹介されているゲーリーによる(夢の)スケッチ、模型、実現した夢(ミネソタ大学 フレデリック・R・ワイズマン美術館、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール、ニューヨーク ビークマンタワーなど多数)の写真も見ごたえがある。夢をカタチにする過程が、見て取れることも、当該書籍の醍醐味。

個性を活かすクリエイティブな仕事ほど、それをカタチにするには、他者との協調、コミュニケーション、人との好縁なくしてはありえないという印象をもった。内容は、もっぱら建築にかかわるものだが、夢をカタチにして社会・公共の場で活かしていくことを願う人であれば誰もが参考にできる本である。

2016年2月2日レビュー

世界現代住宅全集 20 フランク・O・ゲーリー ゲーリー邸

世界現代住宅全集 20 フランク・O・ゲーリー ゲーリー邸

  • 作者: 二川由夫
  • 出版社/メーカー: ADAエディタトーキョー
  • 発売日: 2015/09/26
  • メディア: ペーパーバック




フランク・O.ゲーリー―アーキテクチュア+プロセス

フランク・O.ゲーリー―アーキテクチュア+プロセス

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本


FRANK GEHRY RECENT PROJECT

FRANK GEHRY RECENT PROJECT

  • 作者: フランク・O.ゲーリー
  • 出版社/メーカー: ADAエディタトーキョー
  • 発売日: 2011/04/26
  • メディア: ペーパーバック




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「築100年の家を1年かけて理想の空間にしたら生きがいを見つけました。」 ほっち著 KADOKAWA [建築など]


築100年の家を1年かけて理想の空間にしたら生きがいを見つけました。

築100年の家を1年かけて理想の空間にしたら生きがいを見つけました。

  • 作者: ほっち
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/02/01
  • メディア: 単行本



これからどんどん空き家が出てくる。中古の家を改装して自分の好みの空間にすることを夢見る方も少なくないにちがいない。本書に登場するのは中古市場をにぎわしている築30年などというレベルではない。大正時代のものだ。100年ものの古家である。

著者は、それを入手する。一般の住宅市場ではなく行政をとおしてである。家の残置物を片付けた経費を支払っただけだから、実質タダである。おまけに県と町から補助金がでる。そして浄化槽の資金援助も受ける。まったくのシロウト状態からYouTubeの情報を仕入れつつ夢の住まいに改装する。インフラとなる電気、水道、ガスの配管以外のほとんどすべてをDIYでする。仲間の助け、近隣の方の助けを得ながら完成させる。失敗もあるしプロのような仕上がりにはならないが、著者は次のように言う。「DIYは、家だけでなく、自分たちの人生も作っている。そんな気がしています」。

家探しの段階から読者は著者とともに夢の追体験をすることになる。時間さえかけるつもりであれば「自分にもできる」「なんとかなる」という気持ちになれるだろう。しかも、失敗の先例も知ることになる。すこしは速くできるにちがいない。田舎の空気まで吸い込むようなすがすがしい気分になれる本である。


家をセルフでビルドしたい 大工経験ゼロの俺が3LDK夢のマイホームを6年かけて建てた話

家をセルフでビルドしたい 大工経験ゼロの俺が3LDK夢のマイホームを6年かけて建てた話

  • 作者: 克, 阪口
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/11/30
  • メディア: 単行本



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「古家リノベーション」平山友子著 春陽堂書店 [建築など]


古家リノベーション

古家リノベーション

  • 作者: 平山友子
  • 出版社/メーカー: 春陽堂書店
  • 発売日: 2022/11/14
  • メディア: 単行本



お分かりになる方にはお分かりになることと思いますが、本書には『暮らしの手帖』の雰囲気があります。文章に生活感があって、落ち着いたエッセイといった感じです。写真も味わいがあります。「古家リノベーション」を考えている方が、そのための基本的な知識を得、思いをふくらませるのにたいへん良い本であるように思います。

本書で使用しているリノベーションという言葉について、著者は次のように書いています。《一般的には、傷んだ建物を修繕・改修することをリフォームといいます。これに対して、リノベーションは既存の建物に大規模に手を入れることで、新たな価値を与えるとか、新築以上の価値あるものにするという意味でつかわれています。本書では、工事の規模の大小にかかわらず、その建物が住み手に新しい価値をもたらしたものをリノベーションと定義しました。ご了承いただけたら幸いです》。

著者は埼玉県寄居町にある実家の作業小屋を、住居にセルフリノベーションしました。そこに移り住んで8年になると言います。その成果も本書に見ることができます。そのことを次のように書いています。《多くの人の手を借りたリノベーションでしたが、自分の住むところを自分でつくったことで、生きていく力が上がったようにも感じています。 / こうした経験を振り返って、リノベーションには大きな可能性があることを、この本でお伝えしたいと思っています。取材に応じて下さった方々のお話を聞くと、それぞれが人生の冒険をされたのだなあと深く感じ入ります。第一章では・・略・・》とあって、著者のものも含め11の家族の「人生の冒険」が取り上げられます。

また巻末には「古家リノベーションを成功させるためのQ&A」という章が設けられ、基本的で大切な情報が示されます。それは ①リノベーションできる建物、できない建物はどのようなものでしょうか ②リノベーションに適した古家の選び方 ③建物の状態を見るチェックポイントは? ➃知っておきたいリノベーションに関する法律 ⑤知っておきたい構造のこと ⑥知っておきたい防火・耐火のこと ⑦知っておきたい耐久性のこと ⑧知っておきたい費用のこと ⑨知っておきたいメンテナンスのこと への答えです。回答は本書中の事例の設計施工を担当した専門家によるもので、簡潔な「まとめ」も用意されています。

これからますます空き家が増えていくという話もある中、日本においては相変わらず新築志向であると聞きます。既存住宅をリノベーションして自分たちならではの家に育てていくという選択があってもいい筈ですし、資源活用という観点からいっても良いことに思います。本書はそのような「人生の冒険」に乗り出そうという皆さんにとっての良い助けとなるように思います。

くさる家に住む。 (人と人、人と自然が共生する10の暮らし方)

くさる家に住む。 (人と人、人と自然が共生する10の暮らし方)

  • 出版社/メーカー: 六耀社
  • 発売日: 2013/02/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



安全靴とハイヒール―建築現場で働く女性たち

安全靴とハイヒール―建築現場で働く女性たち

  • 作者: 平山 友子
  • 出版社/メーカー: パンドラ
  • 発売日: 2023/01/12
  • メディア: 単行本



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