アレクサンダーと私―「アレクサンダー・テクニーク」への道(からだの冒険こころの冒険)壮神社 [スポーツなど]
アレクサンダーと私―「アレクサンダー・テクニーク」への道 (からだの冒険こころの冒険)
- 出版社/メーカー: 壮神社
- 発売日: 1992/10/01
- メディア: 単行本
「アレクサンダー・テクニーク」とは、どんなものかを知るのにたいへん良い入門書です
F・M・アレクサンダー(1869~1955)は「人間のからだの基本的なはたらき方を発見し、それを最高に実現できるようなテクニークを開発した」。彼のテクニークは「からだの『へたな使い方』を、うまい使い方に変えていくもので、それによって、からだやこころの問題がいろいろと解決されていく。
からだの下手な使い方はたいてい習慣化しているので、このワークでは、その習慣的なパターンを取りのぞき、より自然なパターンにもどしていく。・・(そうすることにより、人は)心身の不必要な緊張をとき、力をぬいて、もっとらくに生きられるようになる」。
以上「訳者のことば」の抜粋ですが、この本は、そのテクニークをアレクサンダーから直接学んだ女性(著者)が、そのテクニークを身につけ、他の人に教える者となる経緯を記したものです。
技術を身につけるのは何事でもそれなりの苦闘がいるものです。アレクサンダーは自分の開発したテクニークに関しては天才肌の人でしたが、他の人に自分の教えを巧みに伝授できる表現力に富んだ有能な教師ではありませんでした。(しかし、とは言うものの、そんな彼からレッスンを受けた人物にはオルダス・ハクスリー、バーナードショー、ジョン・デューイ、また、動物行動学で有名なノーベル賞受賞者のティンバーゲンなどもいるそうです)また、著者も、小児麻痺の後遺症によって、人一倍、からだの『へたな使い方』が身についていた女性でした。ですから、著者が、テクニークを学び取り『うまいからだの使い方』と自信を取り戻すのは並大抵ではありませんでした。
アレクサンダー・テクニークのみならず、こうしたボディーワークを本だけで学び取るというのはまず不可能といっても良いですが、彼女の苦闘の跡を辿ることにより、このテクニークのおおまかなところを掴むことができます。
訳者の親切な「あとがき」等の助けもあって、この本はアレクサンダー・テクニークを知るためのたいへん良い入門書となっています。
2004年9月29日にレビュー