「刑法的思考のすすめ~刑法を使って考えることの面白さを伝えたいんだよ! 」仲道 祐樹著 [法律]
刑法的思考のすすめ~刑法を使って考えることの面白さを伝えたいんだよ! (未来のわたしにタネをまこう 2)
- 作者: 仲道 祐樹
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2022/03/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
刑法のおもしろいケーススタディー本です。社会的必要からかロジカルに考える筋合いの本が流行っていますが、本書は、「刑法を使って」ロジカルに考える本で、刑法とロジカルシンキングを一度に学ぶことができます。
刑罰を科すにあたっては、責任が伴います。死刑にかぎらず懲役刑であれ禁固刑であれ、人の貴重な命の時間が関係してきます。それゆえにも、その法律の解釈や運用にあたっては慎重であり、しっかり考え抜く必要があります。本書では特に、殺人罪、窃盗罪、名誉棄損罪、詐欺罪のオモシロイ事例が取り上げられ、「刑法を使って考える」よう訓練されます。
表紙にあるようなマンガは、残念ながら巻頭の見開き4ページのみです。とはいえ、内容そのものが理解しやすく、事例もオモシロイので、読むことに難儀することはないように思います。
いくつか事例が取り扱われた後で、次のような説明が加えられます。〔ということで、刑罰という激烈な制裁を使える刑法では、何が犯罪で、どのような刑罰かをあらかじめ法律の形で決めておくことが求められます。この「罪刑法定主義」というのが、刑法や刑法学に課される制約なのですが、これ何を言っているかというと、これまでみなさんが(引用者注:本書のなかで)やってきたこと、つまり、条文から考えよう、ということを言っているにすぎません。条文に書かれている「人を殺した」に含まれるのはどういう場合か、「人」と言える範囲を越えていないか(中略)といった点を踏み外さずに、条文に書かれている文言の範囲に収まっていれば処罰することができるし、その行為を処罰する条文がなければ処罰できないという原則が罪刑法定主義なのです。// とはいえ、文言の範囲内か範囲外かが微妙な問題になることがあります。(後略)「刑法的思考の限界とその先(p186-7)」
著者:仲道先生の講義やゼミはたいへん面白そうです。偽学生で潜りこめるのであれば、潜りこんで話を聞きたいものです。その場合「刑法を使って考える」とどんな扱いになるのでしょうか・・・
これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得
- 作者: 荒木 優太
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2016/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)