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『西洋美術は「彫刻」抜きには語れない 教養としての彫刻の見方』堀越 啓著 [アート]


西洋美術は「彫刻」抜きには語れない 教養としての彫刻の見方

西洋美術は「彫刻」抜きには語れない 教養としての彫刻の見方

  • 作者: 堀越 啓
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2022/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



芸術全般を好み、NHKの『日曜美術館』を毎回のぞき、展覧会にも足を運び、ブログに記事をアップなどしてきましたので、少しは「彫刻」を知っているツモリでしたが、本書を読んで、全然知らないことを自覚させられました。彫刻の見方(鑑賞の仕方)も学びました。「美術鑑賞の5つのフレームワーク」として ① 作家や作品情報を整理する「3P」、② 作品について感じたことを記す「鑑賞チェックシート」、③ 作家が生きた軌跡をたどる「ストーリー分析」、⓸ 作品が製作された背景や流れを読み解く「3K」、⑤ 作家や美術様式を俯瞰する「A・PEST」が紹介されています。それに沿って見ていくなら、彫刻ウルトラ初心者でもいっぱしの批評家になれそうです。どんな文体で本書の記述がなされているか、以下に(当方が一番記憶に留めたく思った部分を)引用してみます。ミケランジェロに関する部分です。

ミケランジェロが影響を受けた彫刻に《ベルヴェデーレのトルソ》があります。この作品は、彫刻のマッス(量塊)を非常によく著した傑作です。高さ約1.6メートル。写真〔引用者注:ページ下部にバチカン美術館にある同作品の写真〕からも「うわー、すごく重そう!」と感じませんか?実際に重いのでしょうが、実物以上の重さを想起させる感覚、それがマッスです。私なりに言い換えれば「オーラ」でしょうか。ミケランジェロはこの作品と出会い、大きな影響を受けました。例えば絵画ではありますが、顕著なのが《最後の審判》の一部分です。〔引用者注:ページ下部に〈最後の審判 殉教のナイフと剝ぎ取られた肌を持った聖バーソロミュー;システィーナ大聖堂 の写真〕圧倒的な量塊を持つこの作品は、ミケランジェロだけでなく、ルネサンス以降の芸術家たちの大きな霊感の源になりました。P148

《ベルヴェデーレのトルソ》
https://www.flickr.com/photos/consciousvision/3507051584

中国のテレビドラマ「宮廷画師 郎世寧」を見ながら思ったこと
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2015-04-14


論理的美術鑑賞 人物×背景×時代でどんな絵画でも読み解ける

論理的美術鑑賞 人物×背景×時代でどんな絵画でも読み解ける

  • 作者: 堀越 啓
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


目次
第1章 彫刻はこんなにおもしろい(彫刻の特徴とは?「縦横思考」で考えると見えてくる;なぜ、いま「彫刻」なのか? ほか)
第2章 彫刻から美術史が簡単に理解できる(彫刻から美術史が簡単に理解できる;5つの彫刻の流れのポイントを覚えれば、美術史を理解できる! ほか)
第3章 彫刻作品を鑑賞するコツ(彫刻は理解するのが難しい?;美術鑑賞の5つのフレームワークとは? ほか)
第4章 これだけは押さえたい彫刻作品(ギリシャ、ローマの美しき彫刻たち;ドナテッロ、ミケランジェロによるルネサンスの煌めき ほか)
第5章 彫刻で人生が豊かになる(見方が変わると人生が変わる理由―見方が8割。人生を決めるのは「見方」;彫刻鑑賞で得られる三つの「S」 ほか)
巻末付録 日本で見るべき彫刻作品29選
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