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『私たちは何を悩んできたかー高校生が語った子どものころの悩み』永野恒雄編著 [教育・学び]


私たちは何を悩んできたか

私たちは何を悩んできたか

  • 出版社/メーカー: 同時代社
  • 発売日: 2021/12/09
  • メディア: 単行本


思い起こせば他愛のない悩みではあるが・・

高校で社会科(倫理)を教えていた編著者が、生徒に「今だから言える昔の悩み」という題で作文を書いてもらった成果が本書である。回答しているのは高1年生で、学齢前から小学校(低・中学年)当時の悩みが多い。その作文に対してインタビューがなされる。子どもたちをリスペクトしている様子が伝わってくる内容である。

作文からは生徒たちが「くだらない」、「ばかばかしい」、他愛もない悩みと今では評価していることが分かる。しかし、その当時は真剣な悩みで、子どもは子どもなりに、周囲(親等)を気遣いながら、ひとり悶々としていた様子が分かる。健気だといえば健気だが、一緒に悩んでくれる(見守ってくれる)誰かが居れば、どれほど負担が少なくてすんだことだろうと思う。

彼・彼女たちは、その年齢なりの仕方で悩みを解決していく。ある意味、シタタカでもある。人間のこころの成長とはこういうものなのだろうと思う。評者も、子どもの頃の同様の悩みを思いだして懐かしく思いもした。子どもの生の悩みを取り上げた本は初めて読んだように思う。その点貴重である。すこし誤植があるのが残念である。

2022年3月9日にレビュー

 まえがき
 この本を読まれる方へ

第一章 カラダの悩み
 〈作文①〉やめられない指シャブリ
 〈作文②〉だんだんホクロがふえてくる
 〈作文③〉階段が私の食卓だった
 〈作文④〉とまらないオネショ
 〔補足と解説〕◎身体の悩みあれこれ

第二章 疑問と悩み
 〈作文⑤〉なぜヒトは死ぬのか
 〈作文⑥〉「宇宙を創ったもの」を創ったものは?
 〈作文⑦〉私以外はみんなロボット
 〈作文⑧〉私の母はオナラをしない
 〔補足と解説〕◎子どもは小さな哲学者だ/◎ニセ家族という疑惑

第三章 コダワリと悩み
 〈作文⑨〉メンソレータムの少女の名前
 〈作文⑩〉マンホールの誘惑
 〈作文⑪〉消しゴムの使い方にこだわる
 〈作文⑫〉命と同じくらい大切な布きれ
 〔補足と解説〕◎子どもと強迫性障害

第四章 不安と悩み
 〈作文⑬〉愛犬ヒミコよ死なないで
 〈作文⑭〉母の浮気はワタシが防ぐ
 〈作文⑮〉霊にとりつかれてしまう
 〈作文⑯〉私は親の死に目に会えない
 〔補足と解説〕◎死の不安と哲学的疑問/◎子どもの思想的開き直り
 
第五章 罪悪感と悩み
 〈作文⑰〉ウソをつくと地獄に行く
 〈作文⑱〉気がつくと大ウソつきになっていた
 〈作文⑲〉私が殺した生き物たち
 〈作文⑳〉なくした委員バッチ
 〔補足と解説〕◎ウソとサトラレの関係

第六章 家族の悩み
 〈作文㉑〉家族の笑い顔も今のうち
 〈作文㉒〉私はエビトリ川で拾われた
 〈作文㉓〉なぜ私にはお父さんがいないの?
 〈作文㉔〉ベンツ・豪邸・キュウリサンド
 〔補足と解説〕◎「捨て児宣告」という民俗/◎「貧富の差」と序列主義

第七章 イジメの悩み
 〈作文㉕〉ついに相手をタコなぐり
 〈作文㉖〉いじめられっ子のウラミは深い
 〈作文㉗〉いじめていた子からの手紙
 〈作文㉘〉学校でウンコをしただけで
 〔補足と解説〕◎いじめた側からの証言/◎学校と排便をめぐる問題

第八章 成長と悩み
 〈作文㉙〉どうしてもウサギになりたい
 〈作文㉚〉私の背はもう伸びないの?
 〈作文㉛〉昔の僕はヒーローだった
 〈作文㉜〉土曜深夜に受けた性教育
 〔補足と解説〕◎子どもを演ずる子どもたち

あとがき
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