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『ルールの世界史』伊藤毅著 (日本経済新聞出版) [世界史]


ルールの世界史 (日本経済新聞出版)

ルールの世界史 (日本経済新聞出版)

  • 作者: 伊藤毅
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2022/01/14
  • メディア: Kindle版


「あなたはルールをぶっ壊したいと思ったことがありますか」

クイズ番組で出題されそうな面白おかしいネタを満載した内容で、表紙に示されてあるような日本人の知らない世界のルールをあげつらい、網羅的歴史的に示す本かと手にした。が、そうではなく、ルールの誕生と成長、その死と再生をしめすものだった。

最終章(第7章)「ルールの一生」冒頭には次のようにある。〈ルールは人の欲求を開花させるためのコミュニケーション・ツールです。人はルールを使って遊び、スポーツを楽しみ、お金儲けをし、創造活動をしました。/ ルールは、あるときは計画的に、あるときは偶然に、あるときは苦しみながら生み出されました。ルールは人が作り出すものであり、生み出す人によって個性が出てきます。/ 生まれたルールは成長していきます。人々は、より面白くするため、より効果的に、より安全に、ルールをバージョンアップしていきました。/ そして、人間と同じように、ルールには終わりがあります。/ あるときは人々がそのルールを使わなくなることで、あるときはルールが対象とした活動自体が衰退することで、あるときはルールを使う人々が衰退することで、ルールは一生を終えていくのです。/ 最終章では、これまでのルールの歴史を振り返りながら、ルールの一生を考えていきたいと思います〉。

このように引用すると抽象的内容でツマラナイと思われるかもしれないが、先行する章でその具体的な内容が取り扱われる。それはフットボール(ラグビー、サッカー)の話題であり、チューリップバブルであり、東インド会社であり、ウォール街の株価大暴落であり、自動車開発であり・・と多彩である。

しかし、本書は単なる歴史をめぐる著作ではない。プロローグは次のように始まる。「あなたはルールをぶっ壊したいと思ったことがありますか」。さらに本書を書いた目的については、次のようにある。〈わたしたちはルールを変えてはいけないのでしょうか。わたしたち人間は、ルールが先にあってルールによって生かされているのでしょうか。そんなはずはありません。ルールは、人々がコミュニケーションのために作り出したツールのはずです。/ この本は、今のルールを変えたいと思った人や、ルールを変えないといけない人たちのために書きました。/ ルールを変えるためには、ルールについて知る必要があります。本書では、経済活動を中心にそれぞれのルールがどのような目的をもって作られ、そのためにどのようなテクニックを利用したのかを分析していきます。それによって、ルールの変え方もわかってくるはずです〉。

全体に文章は軽快でよみやすい。出版社の宣伝文句には「驚きの 教養エンタテインメント」とある。読者によって「驚きの」度合いはちがうだろうが、読んで楽しむことができる本であることは間違いない。

2022年2月14日にレビュー

狂気とバブル

狂気とバブル

  • 出版社/メーカー: パンローリング株式会社
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版






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