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〈フランス人は「老い」を愛する 60歳からを楽しむ生き方〉 賀来弓月著 文響社 [医学・健康]


60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

  • 作者: 賀来弓月
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


発見がある

フランス人(の考え方)を見聞きするとき、フランス文化を知るとき、魅力的に感じるとともに「変わってるなあ」とつくづく感じることがある。それも、けっこうある。それは日本的・常識からそう感じるまでで、それだけ対照的な要素が日仏の間にあるのだろう。「変わってる」と感じる分、日本人(の考え方)が逆照射されて、見えなかったところが見えてきたりする。

本書は、フランスの老人施設でのボランティアを10年(毎年2か月)経験した日本人・元外交官によって記された。御年80歳(1939年生まれ)であるから、いわば「老老介護」である。その中で、フランス人の「老い」を見・聞き、さらに触れつつ、日本人の「老い」(そして自分の「老い」)について考えてこられたことが記されている。

本書からも、見えなかったところが見えてくる。発見がある。フランス語圏の現代作家たちの文章、ことわざなどの引用も多い。ビクトル・ユーゴが、たいへん大きな影響力をもつ国民作家であり、あったことが伺える。「フランスは、近代的な老人ホームが世界ではじめて誕生した国です。そんな高齢者介護の草分け的な存在であるフランスには、高齢者介護の優れた伝統(技法と心)があります」という記述もある。最近注目されている認知症高齢者の介護技法「ユマニチュード」も、そういえば「フランス発」である。

〈日本においては、「高齢者はケアされる側であるとしても、ケアする側ではない」と決めつける傾向にないでしょうか。私がフランスで知ったことは、多くの高齢者が、80歳、90歳になっても、健常であれば、他の人のために働くことができると考えていることでした。何歳になっても、自分のできる範囲で奉仕しようとする生き方なのです。 / 日本の定年退職者や高齢者の間に奉仕活動がさらに広がることで、サポートされる側もサポートする側も心豊かに生きていくことができるのではないかと思いました(p145)〉という記述もある。

2019年6月13日にレビュー

フランス人ママン 「強く生きる子」を育てる75の言葉

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  • 作者: 荒井好子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



あらゆる文士は娼婦である:19世紀フランスの出版人と作家たち

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  • 作者: 石橋 正孝
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2016/10/15
  • メディア: 単行本



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