「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める! 苫米地英人著 [心理学]
『奇跡の人』になろうではありませんか
本書を、評者なりにまとめるなら・・・、自分の能力を最大限に開花させ、人生を生き切るうえでゴールの設定は大切である。そうすれば、会社等で不本意な仕事をいやいや行って、人生を振り返ったときに悔いることはない。そのために、人生のゴールをどのように設定するかは重要だ。そして、その点でできることは、「頭のゴミ」に相当するものを、捨てることだ。・・・
評者は、認知科学者である著者の本をはじめて読んだ。以前、マーフィー理論に基づく『口ぐせの法則』なる本を読んだが、本書をとおして、ポジティブな独り言(自己対話)が当人に及ぼす好影響について不分明な点の啓発を得た。また、他の書籍で「人間の脳は現実とイメージの区別がつかない」ことについて読んでいたが、「臨場感」のあるリアルなイメージの重要性とその運用法について知ることができた。
さらに啓発を得たのは、「全体と部分との双方向の関係」を示すゲシュタルトに関する論議。「ゲシュタルトによって事象を認識する(ゲシュタルト)能力」を高める点で、次のような記述がある。「抽象度を上げて知識を増やすことが重要と言いましたが、しかし知識は増やそうとおもって増やせるものではありません。『知識を増やす』という目的で知識を詰め込んでも、それはゲシュタルトの一部にならないのです。知識がゲシュタルトの一部となるのは、その知識を興味を持って取り込んだときだけです。心から興味を持って知識を得ないと、ゲシュタルトを大きくすることにはならないのです。(・・略・・)では、興味を持って知識を取り込めるのはどういう場合かというと、それは単純に趣味の好きなことに没頭しているときか、『心から望むゴールのために知識を取り込んでいるとき』です」。そして、「バラバラだった情報がつながり、ゲシュタルトができるという体験」をした「奇跡の人」ヘレン・ケラーとサリバン女史の感動的な記述がある。
著者は本書を次のように結ぶ。「読者の皆さんがそれぞれのゴールに向かって、皆さん自身の『奇跡の人』になられることを願ってやみません」。