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「うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)」 グラフィック社 [科学一般]


うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)

うつくしい博物画の記録 しぜんを しるための えほん (しぜんをしるためのえほん)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: グラフィック社
  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: 単行本


人間が自然をどのように認知し組織分類し図版としてきたかに注意が向けられている

邦題は「うつくしい博物画の記録」。原題は“Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album”。編者はウェルカム・コレクション(Wellcome Collection ):ロンドンにある無料の博物館。「はじめに」を“Four Fields”の著者 ティム・ディー(Tim Dee)が書いている。

新書を二回りほど大きくしたハードカバー書籍で、美術書の体裁だ。そのせいか値段も高い。(原著は、驚くような値段:4137円がついているので、それに比べれば廉価ではあるが・・)。

全体の内容を追っていくと、人間が自然をどのように認知し組織分類し図版としてきたかに注意が向けられている。「はじめに」は、次のようにはじまる。「ものに名前をつけ、その名を呼ぶこと。それは、人間と人類全体の成長段階に見られる行為です。/ 幼い子が何かを指差しながら、名前を口にして言葉を覚え始めることはよくあります。筆者の子どもたちは2人とも「パパ」という前に「でんしゃ」と言いました。」 // 名前をつける作業は人類の歴史物語にも出てきます。聖書の天地創造の物語では、・・・」とあって、このあとアダムが動物たちに名前をつけていくことが記され、後に次のように結ばれる。「本書に集めたすばらしい文章やイラストや図は、私たち人類がどのように成長してきたかを教えてくれるでしょう。私たちは惹きつけられては苛立たせられ、悩まされては魅了されながら、自然を理解しようとしてきたのです。」

自然を理解し自分の世界に配置しようとした人類の努力のあとが、「ならべる ORDERING.」「あつめる・みせる COLLECTING & DISPLAYING.」「しらべる・みわける INVESTIGATING & IDENTIFYING.」「「ちずにする MAPPING.」「くらべる COMPARING.」の各項に示されていく。

一番はじめにとりあげられるのは〈カール・フォン・リンネ「自然の体系」〉。見開き2ページで示され、次の説明が付される。〈「自然の体系」は自然界全体を体系的に秩序づけようとする最初の試みで、18世紀最大の科学的業績の1つ。リンネは動物界の頂点に人間を置き。Nosce te ipsum 、すなわち「汝自身を知れ」という簡略な語で説明した。「ものの名前を知らなければ、そのものの知識も失われたことになる」と記したリンネは、生涯に4400種以上の動物と7700種以上の植物に、自らの画期的な「二名法」で命名した。ただし、当時の他の大勢と同様、自然界を変わることのない神の創造物と考えた上での分類だった〉。

よって、人間が世界をどのように捉えてきたか、その歴史に関心ある方には、おおいに価値ありといえる。見るだけでも楽しめる本。文字がたいへん小さいのが難点。

2019年4月5日にレビュー

記憶術全史 ムネモシュネの饗宴 (講談社選書メチエ)

記憶術全史 ムネモシュネの饗宴 (講談社選書メチエ)

  • 作者: 桑木野 幸司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album

Animal Vegetable Mineral: Organising Nature, A Picture Album

  • 作者: Tim Dee
  • 出版社/メーカー: Wellcome Collection
  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: ハードカバー



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