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「5歳からの哲学 考える力をぐんぐんのばす親子会話」 高月園子訳 晶文社 [哲学]


5歳からの哲学

5歳からの哲学

  • 作者: ベリーズ ゴート
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2019/01/31
  • メディア: 単行本


「実際に教育現場で利用された」「哲学の手ほどき」

「5歳から」とタイトルにあるのは、著者らの住む英国で小学校に入学する年齢が念頭にあってのことのようだ。現役教諭と大学・哲学教授の共同執筆で、本書の目的は「小さな子供たちに、哲学の手ほどきをすること」「そのために、必要なお話と問答のプランを提供」すること。本書中の質問は、「実際に教育現場で利用されたもの」であるという。

「哲学は学習教科のあらゆる領域を内包し」「問答の使用は読み書きの側面を広くカバーし、子どもの思考スキルを育み、自主的に学習する能力を伸ばします」と(「はじめに」)ある。子どもは「哲学することにより」、「批判的な論理的思考力、創造的思考力、集中力、聴く力、コミュニケーション能力、社交性」といったスキルを発達させる。

本書では、それらを培うための「哲学的質問」が用意される。「哲学的質問は、科学的質問、普通の生活で生じる多くの質問とちがい、定まった答えがない」。「哲学は基本的な質問を、理由づけを求める形で問う」。

用意されている質問には、(目次を見ると)「どういうことを公平っていうのかな?」「自然はそのままのほうがいいのかな?」「友だちってなんだろう?」「みんなちがっていていいの?」「親切って、どんなこと?」「自分勝手はいけないの?」「なまけものは悪いこと?」「よくばりは悪いこと?」「だれもが同じに美しいと思うのかな?」「ほんものかどうか、見分けられるかな?」「どんなときなら、おこってもいいの?」「目に見えるものは、すべてそのとおりなのかな?」「数はほんとうにあるものなの?」「なにかとなにかが同じであると言えるには?」などがある。

章立ては、1(政治哲学)公平さとルール 2(環境哲学)草地、ゴミ、リサイクル 3(社会哲学)友だちと人間関係 4(倫理)美徳と悪徳 5(美学)美しさ、絵、物語 6(心の哲学)感情、何かを信じること、人 7(認識論)夢と錯覚 8(形而上学)何が真実か 

子供たちが、自分の問題として考え、また共感できそうな短い物語が提示され、上記のような質問がなされる。子供たちの間で、出てきそうな答えが示され、その反論も示される。どのように答えるにしろ、子供たちはその理由を考えるように仕向けられる。指導する親、教師には、子供の考えをより深いもの(正解ではなく)に導くための指針も示される。

家庭や教育現場で、子供たちの「考える力をのばす」上で参考になるにちがいない。

2019年4月2日にレビュー

考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 (幻冬舎新書)

考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 (幻冬舎新書)

  • 作者: 梶谷 真司
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/09/27
  • メディア: 新書



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