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「発酵食の歴史」マリ=クレール・フレデリック著 原書房 [食生活]


発酵食の歴史

発酵食の歴史

  • 作者: マリ=クレール・フレデリック
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/02/21
  • メディア: 単行本


食生活をかえりみ、本物を取り入れるよう促される

発酵食品・飲料の歴史の本。人類の食の歴史のなかで、発酵がどのような位置を占めてきたか、それがどのように伝播し、世界の各地で食されてきたか記される。日本の食についての記述も多い。世界の発酵食についての該博な知識に圧倒される。

人類にとってたいへん身近なもので、かつ有用なものでありながら、発酵は腐敗と同列に誤まって位置づけられてもきた。とりわけ、パスツールが細菌を明るみに出して以来、醗酵は闇に埋もれてきたと言っていい。それは「パン生地を醗酵させる」ではなく、「パン生地をやすませる」などという表現からもうかがい知ることができる。

その闇に埋もれた発酵・食に著者は光をあてる。火(力)を用いて調理する以前、狩猟した獲物の肉を食しやすくする上で発酵があったことなど、示す。フツウの食の歴史の本なら、抜け落ちてしまうところではないだろうか。また、食品産業の提供するパンやチーズやビールと昔ながらの製法によるそれらとの違いなど、現在の醗酵食の状況も示される。

自分の食生活をかえりみ、本物を取り入れるよう促される本だ。

2019年3月31日にレビュー

発酵は錬金術である (新潮選書)

発酵は錬金術である (新潮選書)

  • 作者: 小泉 武夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11/01
  • メディア: 単行本



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