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「物語のひねり方 読者を飽きさせないプロット創作入門 」ジェーン・K・クリーランド著 フィルムアート社 [文学・評論]


物語のひねり方 読者を飽きさせないプロット創作入門

物語のひねり方 読者を飽きさせないプロット創作入門

  • 作者: ジェーン・K・クリーランド
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2019/01/25
  • メディア: 単行本


書くことはもちろん、読むうえでも、話すうえでも、役立つ

読者をクギ付けにするための創作のコツが示されている。ストーリーにサプライズを盛りこむ実践的アドバイスが示される。前半で理論が示され、後半はエクササイズという展開。著者の執筆理論「TRD」を支える「対立」「動機」「認識」といった言葉になじみ、理解するのに、多少時間がかかるかもしれない。その点、翻訳がわるいとは言わないが、(英語の達者であれば)原書で読んだ方が、あるいは、原書と併せて読んだ方がスッキリ理解できるように直観する。

作家に求められることとして「書き直し」の大切さが、よく言われる。文章推敲のレベルではなく、大幅な書き換え、修正である。本書の項目の中にも「執筆とは書き直しの繰り返しのこと(p200)」とある。本書を理解するなら、これまでは「勘」でしていた「書き直し」を、ルールをわきまえた上での実践としてできるにちがいない。

著者の理論を知ると、分析的に読書をする際に役立つことも示されている。「揃いも揃って読書の授業が大嫌いな」生徒たちに、「ダメもとのつもりで、TRDのコンセプトを」教えたら、「どんな本であれ、次のTRDを探し出すことを、まるでかくれんぼのゲームとして」捉えるようになり、大喜びした経験が(p263に)示されている。さもありなんと思う。

「プロの作家を目指す人々に向けた指南書としてこの本が目指していることを突き詰めれば、『プロの作家とは、話上手でなければならない』ということではないかと思う(「訳者あとがき」)」とある。内容は同じことであっても、話術に長けた人とそうでない人とで、聞き手の反応はおおきく異なる。人を魅了する話し手となるうえでも、本書は参考となるにちがいない。

2019年3月26日にレビュー

Mastering Plot Twists: How to Use Suspense, Targeted Storytelling Strategies, and Structure to Captivate Your Readers

Mastering Plot Twists: How to Use Suspense, Targeted Storytelling Strategies, and Structure to Captivate Your Readers

  • 作者: Jane K. Cleland
  • 出版社/メーカー: Writer's Digest Books
  • 発売日: 2018/06/26
  • メディア: ペーパーバック



森敦との対話

森敦との対話

  • 作者: 森 富子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/08/26
  • メディア: 単行本


(以下、「パート2 プロット創作」 p200、201からの抜粋)

登場人物の行動を再調整しなければならないようなことがあると、作家は自分があまりうまく書けていないのではないかと感じてしまいがちだ。そうではなく、まったく違った見方をすることを私はお勧めする。執筆の本質は書き直しなのだ。執筆は文字を書くことではない。執筆とは発見や解明のためのプロセスなのだ。私の場合は、初稿を「プロットをレイアウトすること」だと思っている。第二稿で登場人物の情報や感情を加え、どの出来事もしっかりと登場人物たちの切望から発生しているように整える。私はその時点から、原語やペースを見極めながら何度も原稿を書き換えてゆく、その上で今度は比喩や学識やテーマの重みを加える。最後に、私のプロットが力強く魅力的で信ぴょう性があるかどうかをいま一度確認する。気づけば私の執筆はプロットで始まりプロットで終わっているようだ。 / 見直しと微調整とはまるで違う。見直しとは、あなたのアイデア、登場人物、彼らの切望、彼らの行動の推進力となる感情、彼らの認識、あなたのプロットについて文字通り見直す、つまり構想し直すことを意味する。手がかりやレッドへリング(偽の手がかり)の伏線を張るところまで立ち戻って見直すことも、執筆プロセスに内在する欠かせないことなのだ。
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