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「事典 古代の祭祀と年中行事」 岡田荘司・編 吉川弘文館 [宗教]


事典 古代の祭祀と年中行事

事典 古代の祭祀と年中行事

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2019/01/31
  • メディア: 単行本


古代の祭祀と年中行事を総覧できる

本書『はじめに 天皇・国家の神祇祭祀と法会』で編者は次のように記す。 〈本事典は、古代を中心とした天皇と国家の神祇祭祀と仏教法会六十項目を掲載した。祭祀とは、古代以来の神々(天照大神はじめ天神地祇)に対して祭式作法によって祀ることであり、神社・神道の儀式として、毎年恒例・臨時に執り行われてきた。わが国は神仏共存の関係は長く、神祇祭祀とともに、仏教法会が国家的信仰儀礼の両輪として行われた。これらの祭祀・法会は、神社においては神職に、寺院においては僧侶に委託して執り行われるとともに、国家機構である朝廷内の神祇官をはじめとした官司においても斎行され、さらに国家の重事とされる大嘗祭は国家と天皇祭祀の極致として、代行の叶わない親祭として執り行われた。/  古代律令国家の祭祀体系が形成していったのは、7世紀後半、天武・持統天皇朝(672~97)の時代である。その祭祀体系は、祈年祭の幣帛供進(班幣)を中心とした官社制度にある。・・後略・・〉 〈本事典では、古代の祭祀制の柱とされる七・ハ世紀成立の律令祭祀制と九世紀成立の平安祭祀制との、二つの祭祀制を基本に収録した。・・後略・・〉

立項されている内容については、本書「凡例」に以下のようにある。 〈1 本事典は、古代に天皇自身が行い、あるいは社寺に委託した神道祭祀(恒例祭祀・臨時祭祀・神宮祭祀)、および仏教法会についてまとめた事典である。 2 項目は、神道祭祀編と仏教法会編の2つに分け、そろぞれに総論を置き、恒例・臨時・神宮などの順に約60項目を立項し、最新の研究に基づいた記述に図表も付して、わかりやすく解説した。 3 古代を中心にするが、その後の変遷についても概観した(とくに現在まで続く祈念祭・新嘗祭・大嘗祭・式年遷宮など)。 4 見出し ① 各項目の冒頭には、各祭祀・法会が挙行される月や臨時・神宮などを付し、祭祀・法会名と読みを記載した。②1年に数度、斎行される祭祀については/を付して記載した。③本文中には、内容に対応したゴチックの見出しを置き、読者の便宜を図った。〉

『総論』の後に、「恒例祭祀」が、1月 四方拝 2月 祈念祭(としごいのまつり)・・と、月を追って示される。

*『総論』は、認知宗教学への言及もあるなどして興味深い。理解に資する図版も多く提供され、親切である。しかし、ひとつ気になった点は、立項されている(『恒例祭祀』等の)各項目は、情報量も多く、複数執筆者によるものなので、致し方ないのかもしれないが、記述方法にさらなる統一性があれば読みやすいと感じた。その点、(情報量は格段に少なくなるが)「百科事典」で各項目にあたったほうが了解しやすい。とはいえ、年中行事を総覧できる本書はありがたい。そもそも、如何なる行事があるかを知らなければ、概略も詳細も知りようがない。

2019年3月12日にレビュー


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