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文章読解に関する石黒圭の「予測」に関する本 2種 [読書法・術]


文章予測 読解力の鍛え方 (角川ソフィア文庫)

文章予測 読解力の鍛え方 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 石黒圭
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/09/23
  • メディア: 文庫



「予測」で読解に強くなる! (ちくまプリマー新書)

「予測」で読解に強くなる! (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 新書




2つの書籍イメージを上下に並べたが、上のイメージ書籍は、下のイメージ書籍を復刊したもののようである。下の本は、中古しか出回っておらず、いわゆる絶版状態だ。出版から7年も経っているので、新たな出版社から新装販売したのだろう。中身の方は見ていないのでわからないが、「予測」をテーマにしていることは同じである。

下・イメージ書籍を読むと、おおくの引用がなされているが、それがけっこう古い作品・作家によるものだ。相馬御風(早稲田大学「都の西北」作詞者)、山本有三(「路傍の石」作者)、夏目漱石、小林多喜二、太宰治、三島由紀夫。新しいところでも、村上春樹、宮崎駿、土屋賢二、向井万起男(向井千秋さんの夫)といったところだ。引用は古くても、それはそれで、著者の主張をしっかり支えているのでなんら問題はなく、今だにたいへん有用な本であることはまちがいないのだが、今どきの若い人には難しく感じられるかもしれない。また、政治性が若干におうこともあって、出版社を変えて新装増訂出版したのだろうと、勝手に思っている。

読書するにあたり、読書する自分の方法に意識的であるかないかで、得られるものが違ってくる。多くのものを得るうえで、石黒圭の本はたいへん有用であることを、遅れ馳せながら旧版?を読んであらためて知ったしだい。

以下、旧版のほうから、いくらか引用してみる。

あとに続く展開の幅を限定するのが予測 予測があることで、後続文脈の候補が絞られ、無駄な処理をしなくて済むようになり、文書理解の経済効率が上がります。 つぎはこんな展開になるのではないかという想定に基づき、つぎの文に入ることで、流れに乗って読めるようになる 言語は1本の線であり、頭から順に読むようにできている 頭から順に読む過程で徐々に意味が見えてくるという性質が言語にはあり、その線的な性質が予測を生む 平均すると、読み手は文章全体の半分弱の文でしか予測をおこなっていない 予測が起きるのは、おもに文脈の展開が変わる節目 読み手にかかわらず、共通した予測が想定できるところには、だいたい予測を誘発する表現が隠れています 文章理解は文章を媒介にした読み手と書き手の擬似対話 「問いの予測」「答えの予測」「深める予測」「進める予測」 「当たる予測」「外れる予測」 逆説というのは、順接を前提に、それを外すことで成り立つ表現 実現しなかった予測は、行間の存在を示唆し、読みを深め、余韻を感じとるきっかけを与えてくれる  本書で考える予測とは、「今読んでいる文をとおして感じられる理解のモヤモヤを、そのあとに続く文脈で解消しようと期待する読み手の意識」のこと つぎにくる内容を一つに限定するのではなく、ある程度限定するのが予測の基本的な働き 予測というのは、推論の一種です 予測もまた、言葉の足りない部分を論理的に導きだし、読むというコミュニケーションを円滑にする推論の一種ですので、文法論ではなく語用論で扱うべき問題 「進める予測」は、読み手が物語の場面に没頭し、登場人物に感情移入しているときによく起こります 予測に強くなることは、筆者の立場を正しく見抜くことにもなる 予測によって意味の箱(フォルダ)のようなものを頭のなかに作り、その箱が埋まったら片づけ、また別の意味の箱を作るという作業を繰り返して文章を理解している 大切なことは予測をとおして行間の存在に気づくこと 文章理解とは問題解決過程、すなわち「謎」を解く過程 優れた文章は、重層性のある問いが有機的に関連してできています。そして、その問いを解き明かそうと予測を重ねるうちに、その文章世界に引きこまれ、読みが広がっていくのです 多様な予測が可能な文章は、精読に値する深みを備えています。このような深みのある文章に出会ったとき、予測を活かして文章に主体的に問いかけ、その答えを主体的に見いだす力が身につけば、読解力は確実に向上します。本書で紹介した予測という考えを、みなさん自身の今後の読書に活かしてくださることを期待しています。

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける(石黒圭著)
https://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2013-02-28


「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)

  • 作者: 石黒 圭
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/03/18
  • メディア: 新書



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