「人騒がせな名画たち」 木村泰司著 マガジンハウス [アート]
「人騒がせな」本ではない
本書自体が、暴露趣味の「人騒がせな」内容で、芸術の品を下げる類のモノなのではと思ったりしたが、そうではない。たしかに「ウラ話」はでているが、それらは絵画理解のためにたいへん重要で、ソレを知らないと絵を読みまちがえる知識情報だ。
本書に示されているのは、有名な作品・作家のものばかりだから、「これまで、自分は何を見てきたのだろう?!」という思いになる。絵の中のワンポイントが、重要な情報源であったりするので、(その点を目に留めることなくいたのであれば)、絵そのものをよく見ていなかったことを思い知らされることにもなる。絵をくまなく見ること、象徴的な意味を汲み取ることが大切で、感覚だけぼんやり見ているだけでは、西洋絵画を理解できないことが、よく分かる本だ。
「目からウロコ」の知識は、きっと誰かに話したくなるにちがいない。
2018年11月27日にレビュー