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人工知能に哲学を教えたら (SB新書) 岡本 裕一朗著 [哲学]


人工知能に哲学を教えたら (SB新書)

人工知能に哲学を教えたら (SB新書)

  • 作者: 岡本 裕一朗
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/09/06
  • メディア: 新書


「強い(大胆な)人工知能研究」の立場から

人間のお株を奪うだけでなく、シンギュラリティーで人間の時代を過去のものにするだろうとも言われているAI(アーティフィシャル・インテリジェンス)に関する本。

著者は、ジョン・サールの言う「強い(大胆な)人工知能研究」の立場を取る。(サール自身は、その立場をとらないが)、人工知能は単なる人間の道具ではなく、「適切にプログラムされたコンピューターは、実際、心に他ならない」という立場。批判、反論があることを承知で、著者が、そのような立場を取るのは、「強い主張こそが、新たな可能性を開くように思え」るからであり、人工知能を「道具」としてではなく、「賢い主体」とみなし、そこからどんな問題が生じるか検討する方が生産的で」あり、「すでに、その段階にきているのはたしか」であるからだ。

ということで、1章:人工知能に倫理を教えられるか 2章:人工知能にとって「認知」とは何か? 3章:人工知能はアートを理解できるか? 4章:人工知能にとって幸福とは何か? 5章:ロボットは仕事を奪うか? 6章:人工知能は「神」になるか? 7章:人工知能は人類を滅ぼすか? と話しが進められる。

1章ではジュディス・トムソンの「トロッコ問題」、アイザック・アシモフの「ロボット工学の3原則」、ピーター・シンガーの主張した「動物の権利」、マッカーシーとヘイズが提起した「フレーム問題」、2章では「ディープ・ラーニング」、「グーグルの猫」、プラトンの「イデア」、ウィトゲンシュタインと「直示的定義」、クワインのいう「翻訳の不確実性」、ライプニッツの「普遍記号学」、経験主義と理性主義、ロックとライプニッツの論争などなど・・・、いろいろな話題が取り上げられる。

人工知能のあれこれ、あれやこれ、を教えてくれる本で、過度に心配する必要もないが、覚悟はしておく必要のあることを興味深く教えてくれる本。

2018年11月25日にレビュー

図解 人工知能大全 AIの基本と重要事項がまとめて全部わかる

図解 人工知能大全 AIの基本と重要事項がまとめて全部わかる

  • 作者: 古明地 正俊
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/09/21
  • メディア: 単行本



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