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サバイバルボディー:人類の失われた身体能力を取り戻す スコット・カーニー著 白水社 [医学・健康]


サバイバルボディー:人類の失われた身体能力を取り戻す

サバイバルボディー:人類の失われた身体能力を取り戻す

  • 作者: スコット・カーニー
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2018/09/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


アイスマン・メソッド検証の旅、ノンフィクション文学として秀逸

表紙に描かれているのは氷の浮かんだ水に沈む人のカラダであるようだ。本来、人間のカラダは、それに耐えうるものであることを示すものらしい。らしいだけでなく、それを実践して「アイスマン」と呼ばれる人物がいる。ヴィム・ホフというのがその男の名だ。彼は、ニュースで知られ、有名になり、「アイスマン」になるためのメソッドを開発する。本書中にも紹介されているが、それは、さほど難しいモノではない。

著者は、そのメソッドを、信奉者を死に至らせかねないカネ儲けの胡散臭いモノであろうと疑う。そして、それを検証する旅にでる。ところが、実際にヴィム・ホフに会い、そのメソッドを体験して、「人類の失われた身体能力を取り戻す」効果のあるものであることを知る。「アイスマン」を検査した医学者に会い、「アイスマン」に影響された人物たちに会う。そうして得た医学的証拠、他の身体改造メソッドの事例が示される。それは驚くべきものだ。

そしてついに著者の検証の旅は、凍てつくキリマンジャロの山頂に達する。著者はヴィム・ホフと一緒に、高度順化なしの30時間で、それを成し遂げる。もっともそれは「高度の影響が忍び寄ってくる。周囲の世界がぼやけ、一歩ごとに足が少しずつ重くなってくる。自分が失神しかけているのに気づいて、速い呼吸を30回繰り返しているうちに、サングラスを外したみたいに周囲がまた明るくなってくる」という中での達成だ。

著者は、言わば「ミイラ取りがミイラにな」ったの言葉を地で行ったことになる。本書を読むなら、著者同様に「サバイバルボディー」を獲得することができるにちがいない。少なくとも、そのメソッドにしたがって、氷水の中に入っていくだけの動機付けを与えてくれる本である。きっと、そうしたいと思うようになるにちがいない。であるからこそ、本物のミイラになることのないように、巻頭に「警告」文が用意されているのだろう。ノンフィクション文学としても秀逸。

2018年11月12日にレビュー

【ミイラ取りがミイラになるの解説】
http://kotowaza-allguide.com/mi/miiratorigamiira.html
【注釈】 ミイラを取りに行った者が、その目的を果たせずに自分がミイラになってしまうことから、人を連れ戻しに行ったり探しに行ったはずの者が、先方にとどまって帰ってこなくなってしまうこと。
また、説得しに行ったはずなのに、かえって相手に説き伏せられてしまうことをいう。
「ミイラ」とは、防腐剤として用いられた油のことをさす。
ミイラ(木乃伊)は、アラビアやエジプトなどで死体に塗る薬のことで、この薬を布で巻いて箱に入れ棺におさめると死体が腐るのを防げた。
この薬を取りに行った者が、砂漠で倒れるなどして目的を果たせず、ついには自分がミイラになってしまったことが、このことわざの起源とされている。
「ミイラ」はポルトガル語で「没薬」という意味。 「木乃伊」は当て字で、オランダ語「mummie」の漢訳。


ICEMAN 病気にならない体のつくりかた

ICEMAN 病気にならない体のつくりかた

  • 作者: ヴィム・ホフ
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2018/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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