『アフリカのことわざ』 アフリカのことわざ研究会 東邦出版 [文化人類学]
家族で楽しめる
以下は、本書『はじめに』と『おわりに」記されている「ことわざ」についてのアフリカのことわざ。「ことわざのない話は塩気のない料理のようなもの」// 「ことわざとは、言葉を食べやすくさせるヤシ油のようなもの」 / 「ことわざとは、言葉を乗せる馬である。言葉が失われたとき、ことわざはそれを見いだすのに役立つ」。
ことわざの題材は、ふつう身近なところから取られ、それをネタにして話す。それゆえ、理解と共感を得やすく、特定の地域における知恵の源泉になったりする。本書はアフリカのことわざの本である。アフリカの人には身近でも、日本人にとっては縁遠いネタで語られる。だから、「この世はニワトリの尻。今日は卵、明日は糞(p10、11)」など、一読しても、理解できずにウーンと唸ってしまうようなものがある。これは「生きている限り、思いがけないことが起こるもの」という意味だそうである。そうかと思えば、「あなたが退出したとたん、それまでの会話は変わります(p46)」などというスグに分かって笑えるものもある。(ちなみに、「その場では話を合わせていても、本音はどこにあるのかわからないという意味」)。そのように、スグ分かる、分からないとりまぜてイロイロ出ているが、懐かしいようなイラストとともに楽しめた。「これ、どういう意味だと思う?」のやりとりで、けっこう家族で盛りあがった。このイラストとことわざの組合せはカルタ取りになりそうである。「アフリカのことわざ研究会」の皆さんで、「アフリカいろはカルタ」を作ってみてはどうだろうか。異文化を考えながら、同時に同じ人間であるこことを感じつつ、家族や友人で楽しむことができるように思う。
2018年10月14日にレビュー