『顔に魅せられた人生』 辻 一弘著 宝島社 [アート]
直接読んで感動してほしい
アメリカン・ドリームを達成した日本人による苦労話・自慢話のたぐいであろうと軽く読み流そうと思ったが、引き込まれて最後まで読み通してしまった。おまけに、感動している。
今、思いにあるのは、「天は自ら助くる者を助く」という言葉だ。自己実現をしようと真剣であると、思わぬ助けが現れる。ちゃんと見ていてくれる存在がいるのである。その真剣さを評価し、進歩するよう助けてくれる。前途茫洋としている中で、行くべき道を示してもくれる。窮地にあっても、障害を取り除いてくれる。もちろん、本人も必死である。
「天は自ら助くる者を助く」。著者の人生は、その連続である。本書では、その中で、出会った人々とのエピソードが語られる。たいへんビッグな名前が数々あがる。映画産業の内幕がわかる。衰退もわかる。
傍から見てウラヤマシイと思える人が得ている富や名声も、たいへんハカナイものであることもわかる。そのことを自覚して、著者に現代アーティストへの転機を与えたのは、著者を特殊メイクアップアーティストにいざなった同じ人物である。「天」からの助けとなった恩師は、著者に道を示し、転機を与えもする。著者と恩師の関係はあたたかい涙をさそうものがある。それだけ、深い関係だったということだ。
『エピローグ』のタイトルは「夢を追いかける人に覚えていてほしいこと」。10のアドバイスが出ている。若い夢追い人にとってたいへん役立つにちがいない。こうした言葉を語るだけの資格が著者にはある。
学べる点を挙げればさらにあるが、直接読んで感動してほしい。そういう本だ。
2018年9月24日にレビュー
「アメリカン・ドリーム」(ウィキペディアから)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0
以下、「夢を追いかける人に覚えていてほしいこと」から抜粋。
「自分のやりたいことを自覚するのが大切。100人いれば100人分の機会がある」
「必死に努力して到達するか、可能性を信じられずに人生を終えるか、ほとんどの人は状況のせいにして自分を信じられずに諦めている」
「失敗を恐れないこと。多くの人がその恐れのために、行動に移れず情熱や夢を犠牲にして生きている」
「人と違うことができる人は、恐れのない勇気のある人たち」
「安定や保障を求めると人生は停滞する」
「自分の心の中にある声をしっかり聞くべき」
「やりたい仕事を見つけたら、それを10年間続けること」
「可能なら海外で1カ月以上暮らすこと」
「他人と自分を比べることは無意味」
「短い時間でも良いので、できるだけ運動をすること」
「一番重要なのは技術よりも内側の情熱の強さ」