『笑いの力』河合 隼雄・養老孟司・筒井康隆・三林京子 岩波書店 [文化人類学]
「笑い」について真面目に考えさせられ、大いに笑わされもするオモシロおかしな本
本書は、「絵本・児童文学研究センター」主催第9回文化セミナー「笑い」(コーディネイター工藤左千夫氏、2004年11月14日、小樽市民会館)の記録。
まずお三方の講演(河合隼雄「児童文化のなかの笑い」・養老孟司「脳と笑い」・筒井康隆「文学と笑い」)、つづいて、桂米朝に師事し「桂すずめ」の名を許された女優の三林京子さんを交えてのシンポジウム「笑いの力」が掲載されている。
当初、緊張気味だったのが、気持ちがほぐれるにしたがい、参加者の面々からオモシロおかしな話がどんどん出てくる。一神教の欧米社会と多神教の日本との笑いの違い、ひいては文化の違いついての話は興味深い。日本社会に閉塞感が蔓延するのは、欧米に追いつき追い越せといった態度が影響しているような話もでる。
シンポジウムの見出しは以下のようになっている。「笑いを考えることとは」「文化の中の笑い」「笑いと真面目の反転」「落語の奥深さ」「武器としての笑い」「上下関係と笑い」「笑いと虚構」「反権力としての笑い」「上方の笑い、江戸の笑い」「子供の文化と笑い」「いま、笑いの力とは」
「笑い」について真面目に考えさせられ、大いに笑わされもするオモシロおかしな本である。
2018年9月7日にレビュー