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「戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略(中公新書 2481):平川 新著 [日本史]


戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略 (中公新書 2481)

戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略 (中公新書 2481)

  • 作者: 平川 新
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: 新書


戦国大名たちを取り巻く世界は動いていた。

オモシロイ本だ。群雄割拠の戦国時代、領地の取得に明け暮れる大名たちが天下統一をめざすそのさなか、その日本全体を征服し領有しようとする国際的な動きがあった。世界をふたつの領域に分割し征服しようとするスペイン・ポルトガルの野望があり、宣教師たちは、いわばその手先ともなっていた。

国内で、軍備拡張競争する諸大名たちを束ねた豊臣秀吉は、当時の国際情勢を鑑み「朝鮮出兵」を断行する。それはスペイン・ポルトガルの目に、自分たちのアジア拠点であるマニラ、マラッカをも脅かすものと映り、日本は、軍事的に不可侵の国であり、「帝国」とみなすに十分だった。

宣教師たちを遣わしたイエズス会、フランシスコ会、ドミニコ会が、スペイン、ポルトガルの世界征服(侵略)に果たした役割、また、彼らと信長、秀吉、家康、政宗、ほか大名たちとの関係がいま解き明かされる。

2018年7月27日にレビュー

以下『目次』

序章 戦国日本から「帝国」日本へ
なぜ秀吉は朝鮮に出兵したのか / イエズス会の野望 / 家康の外交 / 政宗の外交 / 「帝国」日本の登場

第1章 大航海時代と世界の植民地化
1 ヨーロッパの世界進出(1494年の世界領土分割条約 / スペインの南北アメリカ征服 / 太平洋航路の発見とフィリピン征服 / ポルトガルのアジア進出 / 1529年のサラゴサ条約 / ポルトガル人とスペイン人の日本上陸 / トルデシリャス条約500年記念事業 / イギリス・オランダの世界進出)

2 明国征服論と日本征服論 (ポルトガルとスペインの明国征服論 / イエズス会の日本宣教組織 / ポルトガルとスペインの日本征服論)

第2章 信長とイエズス会
1 フランシスコ・ザビエルの日本布教 (ザビエル、日本人の案内で鹿児島に上陸 / 最初の布教は仏教用語 / 日本の国王に会えず)

2 信長と宣教師たちの出会い (ルイス・フロイスと織田信長 / 信長、世界を知る / 信長の世界観 / 「安土城之図」にこめたメッセージ / 信長の明国征服構想 )

第3章 秀吉のアジア征服構想はなぜ生まれたか
1 秀吉とイエズス会 (朝鮮出兵をめぐる従来の理解 / 明国征服構想を抱いた時期 / 日本・ポルトガル連合による征明計画)

2 バテレン追放令 (軍事力への懸念 / イエズス会への疑心 / 神社仏閣の破壊 / 秀吉は信仰の自由を認めていた / 日本人売買の禁止について / イエズス会の反発 / 追放令後も活動を継続 / ポルトガル人とスペイン人の対立 / イエズス会への強力な牽制)

3 アジア支配への動き (寧波がアジア支配の拠点 / 朝鮮と琉球への服属要求 / ポルトガル領インド国王への書簡 / フィリピン総督への恫喝 / 怯えるマニラ / 高山国(台湾)への服属要求 / 「唐・天竺・南蛮」の征服構想 / 「予が言を軽視すべからず」 / 征服者スペインに対する怒り / 東洋からの反抗と挑戦)

第4章 家康外交の変遷
1 全方位外交の展開 (アジアとの関係修復 / 積極的なヨーロッパ外交 / 布教禁止の理由)

2 秘められたスペインの野望 (マニラとの駆け引き / 前フィリピン臨時総督ビベロと家康の交渉 / キリスト教政策の転換 / 貿易のためのビベロの条件 / ビベロの日本征服構想 / 「皇帝」と「帝国」の日本 / ビベロの戦略 / メキシコへの使者)

3 メキシコからの使者ビスカイノ (答礼使および貿易交渉使としての来日 / ビスカイノの江戸登城 / 将軍秀忠との会見 / 「皇帝」家康との会見 / 家康、禁教に転換 / アダムスの警告 / 岡本大八事件 / マカオからの抗議と反発 / 「わが邦は神国なり」)

第5章 伊達政宗と慶長遣欧使節
1 宣教師ソテロの誘い (政宗とビスカイノの出会い / 家康は長崎、政宗は仙台へ / 「布教特区」というアイデア / 改竄された家康親書)

2 支倉常長の旅 (貿易反対に転じたビスカイノ / 揺れるスペイン政府 / ローマでの歓迎 / イエズス会とフランシスコ会の対立 / 粘る支倉常長 / 支倉の帰国と政宗の対応)

3 政宗の意図をめぐる諸説 (スペインとの軍事同盟説について / 「政宗は次の皇帝」 / 「王国と王冠の献上」 / 「30万人のキリスト教徒」と政宗 / 政宗外交の意義と限界)

第6章 政宗謀反の噂と家康の情報戦
1 「仙台陣」の噂 (「仙台陣」の動き / 家康による「仙台陣」の指示 / 病床の家康との対話 / 伊達家を救った決断 / 松平忠輝による讒言 / 家康、政宗に後事を託す / 大久保長安討幕陰謀説 / 忠輝の排除 / 家康が仕掛けた情報戦)

2 二回目の謀反の噂 (宣教師をめぐる噂 / 秀忠による政宗討伐の噂 / 家康が使節派遣を容認した理由 / 秀忠の疑心 / 噂の背景 / 徳川の知力、政宗の忠誠)

第7章 戦国大名型外交から徳川幕府の一元外交へ
1 戦国大名による外交の展開 (二元外交としての遣欧使節 / 室町幕府の外交 / 戦国大名の外交 / 東シナ海交易からヨーロッパ外交へ / 「国王」としての大名たち / 徳川幕府の朱印船 / 鍋島氏の国際交渉 / 伊達と鍋島の違い)

2 鎖国への道程 (戦国大名型外交の定義 / 政宗外交の終わり / 幕府のスペイン断交)

終章 なぜ日本は植民地にならなかったのか
「帝国」とみなされた日本 / 群雄割拠克服の意義 / 「皇帝」の力 / 「帝国」日本の確立)

あとがき / 参考文献 / 関連年表


宣教師ザビエルと被差別民 (筑摩選書)

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  • 作者: 沖浦 和光
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/12/13
  • メディア: 単行本



「未解」のアフリカ: 欺瞞のヨーロッパ史観

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  • 作者: 石川 薫
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2018/01/16
  • メディア: 単行本


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