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『新装版 ピーターの法則 / 「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由』 ローレンス・J・ピーター著  ダイヤモンド社 [社会学]


[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

  • 作者: ローレンス・J・ピーター
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

「イグ」い というか 「エグ」い というか・・・

2003年に発行された書籍の新装版。原著は1969年、邦訳は翌70年に出版され、著者は1990年に没している・・・という本だが、評者は、はじめて読む機会を得た。事例・経験をもとにして論じられるたいへん読みやすい本ではある。

本書の重要なキーワードに「昇進」がある。階層社会、つまり会社などでの「昇進」に関する事例が多々登場する。多くは嘆かわしく好ましくない事例である。昇進すると「無能」が明らかになるという話だ。

ウィキペディアによると、ピーターの法則を用い、「計算機を使ってその動向をモデル化し、様々な昇進ルールを比較した」研究が「2010年のイグノーベル経営学賞を受賞」したという。

ピーターの法則
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

本書も、「イグ」い というか 「エグ」い というか・・・そういう内容である。階層社会の「外」にいる方が読めば笑いを催すものであろうし、「内」にいる方が読めば身につまされるものとなるにちがいない。本書の読書感によって、自分が精神面・文字通りいずれであれ、「外」にいるか「内」にいるかが、分かる本とも言えそうだ。

「昇進」という言葉に含まれるのは、階層社会における出世だけでない。人類の進歩も「昇進」していくものとして捉えられている。文明もその範疇に入る。これを読むと、登りつめた山は、いつかは降りるべきであろうななど思う。

2018年5月15日にレビュー


3:「市民」のあるべき姿とは(梅棹忠雄の場合
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17


本書中、マルクスが批判され(p113)、フロイトが批判され(p115)ている。そして、次のようにある。
(以下、引用)。

人類のおかれた状況を改善し、種として生き残るために、さまざまな提言がなされています。しかし、そのなかで唯一、ピーターの法則だけが、人間がつくった組織の実態に即して現実的な知識を提供できるのです。階層社会学は人間の本性を明らかにしてくれます。つまり、人間は絶えず階層をつくり続け、それを維持する手段を求め続け、それなのに逆に階層を破壊しようとする指向性があるというのです。ピーターの法則と階層社会学は、すべての社会科学を統合する要素を持っています。(p223)



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