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『親子で学ぶ科学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド』 創元社 [科学一般]


親子で学ぶ科学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド

親子で学ぶ科学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド

  • 作者: キャロル・ヴォーダマン
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2013/10/11
  • メディア: 単行本


親子で驚きを共有し、科学への興味関心を高めていく格好の書籍

たいへんビジュアルな本です。まるで色見本帳のようです。見ていてわくわくして参ります。生物・化学・物理の範囲に属する項目が、各項目ごと見開き2ページで解説されていきます。

しかし、その内容は決してやさしいものではありません。訳者(渡辺滋人氏)の記しているように「簡潔でそれなりにわかりやすい説明を試みているものの、噛んで含めるように手取り足取りゆっくりと読者を導いていくタイプの本と(は)違うように思います」。実際、けっこう高度な内容で、ひとり独習して理解に至るには高校程度の知力・理解力が求められるのではないかと思います。

この本は「親子で学ぶ」とタイトルにあるように、親御さんの役割がたいへん重要であるように思います。目次は「科学って何?」「科学の方法」から始まり、それらが簡潔に説明されています。そこから見えてくるのは、自分の子どもの好奇心が単にオドロキとして終わるのではなく、科学的なモノの見方へとつながるよう導いていく務めが親には課せられていることであるように思います。そこには、こんにち確かなモノと見なされている科学的情報も、更新されつつ今日に至っていることを認めることも含まれてきます。たとえば、「科学って何?」の「知識を支える」の欄には〈周期表の配置〉に関して、次のようなコメントが付されています。「1989年に発表された周期表は、ロシア人化学者メンデレーエフの功績とされているが、現実には何世紀にもわたる元素研究の積み重ねの結果でもある」とあります。そのような見方は、いま学んでいる確かなものとされている知識も更新された積み重ねの結果としてあり、将来変化する可能性もある知識と見なしていくことにもなると思います。そうした見方は、子どもの思いに、将来 “自分が” 科学的知識を更新する可能性のあることを悟らせるものとなるかもしれません。

「まえがき」にある著者の言葉からは、本書を用いて子どもを導く親の側に科学の十全な知識が決して求められてはいないことが示されています。次のようにあります。「あらゆる科学的事象に対して、たとえ答えがわからなくても親自身が『へぇー!』という驚きの声を挙げることがどれほど大切であるか、二人の子どものシングルマザーである私も実感しています。科学では気づかせるべき『正しい答え』は必ずしも必要なものとはいえません。」「この本がすべての親たちのガイド役になることを、私たちは願っています」。

補足する解説は十分にできないにしても、親子で本書をのぞき込んで、子どもといっしょに「へぇー!」という驚きの声を挙げることは、いくらでもできそうです。そして、むずかしく思えるところは、もっと詳しくやさしい解説書に当たることもできるでしょう。それこそ、「調べ学習」の良い材料になるように思います。そのようにして、親子で驚きを共有し、科学への興味関心を高めていく点で、本書は格好の書籍であるように思います。

2018年1月22日にレビュー

物理学は歴史をどう変えてきたか:古代ギリシャの自然哲学から暗黒物質の謎まで

物理学は歴史をどう変えてきたか:古代ギリシャの自然哲学から暗黒物質の謎まで

  • 作者: アン ルーニー
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2015/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07

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